更新日:2018/02/14
介護保険法とは何!?成立から法改正について詳しく説明します!
介護保険法とは、介護保険制度を実施するための法律です。高齢者の増加や財源等の状況から、何回か介護保険法は改正されてきました。法改正に関して、新制度の創設や介護保険機能の強化だけとは限らず、介護保険利用者の自己負担額の増加も検討されています。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険を利用する上で知っておくべき介護保険法についてのまとめ
一方、核家族化の進行や介護する家族の高齢化が原因で、高齢者を介護する家族側の構成も変化し、介護が困難な状態となっています。
この高齢者介護の充実のために「介護保険法」が制定されました。今回は介護保険法について説明します。この記事を読めば法定された介護保険制度の基本的な知識が得られることでしょう。
介護保険法とは
- 自立支援:介護を必要とする高齢者の身の回りの世話ばかりではなく、高齢者の自立を支援することが目的です。
- 利用者本位:介護する側からの押し付けではなく利用者の選択により、多様な介護主体から保健・医療サービスや、福祉サービスを受けることができるシステムを目指します。
- 社会保険方式:介護保険給付とその負担との関係を明確にするべく、この方式が採用されています。
介護保険法の成り立ちと仕組み
以下では介護保険の仕組みと法の成り立ちを説明します。
介護保険は市区町村が運営している
介護保険料は40歳以上の方から徴収され、要支援・要介護認定を受けた介護保険利用者は「1割負担」または「2割負担」となります。
介護保険料は、事業所に勤務する従業員の場合、毎月の給与から天引きされます。一方、自営業者等の場合は国民健康保険料に上乗せされて納付することになります。ただし、従業員の方にしても自営業者の方にしても、65歳に到達すると介護保険料の支払い方法は変わります。
介護保険の保険者は市区町村であり、要介護認定申請を受け付けるのも認定のための審査を行うのも市区町村となります。
また、65歳に到達した場合には誰でも第1号被保険者となり、介護保険料の金額・所得区分について、保険者である各市区町村が独自に決定します。
介護費用を将来にわたり、国民全体で公平にまかなう仕組みとして2000年に介護保険法が施行された
2000年には介護保険法が施行、同時に介護保険制度が開始されることになりました。
介護保険法の改正とは
介護保険制度の現状を踏まえ度々法改正されています。こちらでは、2005年・2012年・2018年の各改正について説明します。
2005年の介護保険法の改正内容
- 予防重視型システムへの転換:介護を軽度者の大幅な増加や、軽度者に対する介護サービスが状態の改善につながっていない事を踏まえ、新予防給付の創設や地域支援事業の創設を目指しました。
- 施設給付の見直し:在宅と施設の利用者負担の公平性のため、施設の居住費用・食費の見直し、低所得者に対する配慮を目指しました。
- 新たなサービス体系の確立:独居高齢者・認知症高齢者の増加、在宅支援の強化、医療介護の連携を目的に、居住系サービスの充実や、地域密着型サービス・地域包括支援センターが創設されました。
- サービスの質の確保・向上:利用者によるサービスの選択に応じた質の向上を目的に、介護サービス情報の公表やケアマネジメントの見直しをしました。
- 負担の在り方・制度運用の見直し:低所得者へ配慮し、市町村の事務負担を軽減するため、第1号保険料の見直し・保険者機能の強化をしました。
2012年の介護保険法の改正内容
- 医療と介護の連携の強化:医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが連携した地域包括ケアの推進を目的として、単身・重度の要介護者等に対応するため24時間対応の定期巡回・随時対応サービス・複合型サービスを創設しました。
- 介護人材の確保とサービスの質の向上:介護福祉士・一定の介護職員等による疸の吸引等の実施を可能とする措置を認めました。
- 高齢者の住まいの整備:有料老人ホーム等の前払金返還に関する利用者保護規定を追加しました。
- 認知症対策の推進:「市民後見人」の育成・活用等、市町村における高齢者の権利擁護を推進しました。
- 保険者による主体的な取組の推進:保険者の取組を強化する目的のため、地域密着型サービスの公募・選考による指定を可能にしました。
- 保険料上昇の緩和:各都道府県の財政安定化基金を用いて、介護保険料の軽減等に活用しました。
2018年に行われる介護保険法の改正内容
○自己負担限度額の増加
介護保険制度を持続させると言う理由で、一部の介護保険サービス利用者の自己負担額を2割から3割へ引き上げることになりました。つまり、2割負担の利用者の中で「特に所得の高い層」の自己負担額が3割となります。
○福祉用具貸与価格の見直し
福祉用具貸与について、同じ福祉用具であっても貸与を行う業者ごとに価格が異なっており、今回の改正で利用者が適正な価格で福祉用具貸与を受けられるように見直されます。国が福祉用具ごとに全国平均の貸与価格を公表する予定となっています。
○介護医療院の創設
この介護医療院とは、長期療養のための医療と、日常生活を送る際の介護を一体的に受けられる施設です。介護医療院を開設できるのは、医療法人、地方自治体、社会福祉法人等になります。
○共生サービスの推進
共生サービスとは、介護保険制度と障害福祉制度に新しく位置づけられるサービスです。介護が必要な高齢者と障害を持つ方が同一の事業所でサービスを受けやすくすることを目的とします。
介護保険法の地域包括支援センターとは
専門職員は次の通りです。
○社会福祉士
社会福祉士とは、日常生活を営むのに問題がある高齢者等からの相談に対し、助言・指導・援助を行なう専門職です。
○保健師
保健師とは、地域の高齢者等の病気の予防および健康の保持や増進のため、様々な保健活動を行う専門職です。
○主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)
主任ケアマネジャーとは、ケアマネジャーの上級資格で、所定の研修を受けた方に対して与えられる資格です。他のケアマネジャーの監督・管理・監修を担当する人物として機能します。
地域包括支援センターの役割
○権利擁護業務
主に社会福祉士が担当することになります。権利擁護とは、高齢者の権利を守る業務が該当します。
例えば、認知症等が原因で、しっかりとした自己判断による種々の契約が困難であることや、金銭の管理に不安があって信頼のおける方に管理してもらいたい場合、高齢者をサポートする「成年後見制度」の活用を支援します。
また、家族等による虐待の被害にあっている高齢者を守るため、適切な対応を行うことも地域包括支援センターの重要な業務です。
○総合相談業務
こちらも、主に社会福祉士が担当することになります。総合相談とは、高齢者とその家族の介護はもとより、福祉や医療、その他いろいろな相談や悩みを受け付ける業務です。
○介護予防ケアマネジメント業務
主に保健師が担当することになります。要支援1.2(※)と認定された方、支援・介護が必要となるおそれが高い方が自立して生活するために、介護予防の支援を行います。
※要支援1.2・・・要支援とは何らかの社会的支援が必要な方が対象です。その内、要支援1とは要介護状態とは認められないものの、社会的支援を必要とする状態の方が該当します。また、要支援2とは生活の一部について介護を必要とする場合で、介護予防サービスの利用により状態の維持や改善が見込まれる方が該当します。
○包括的・継続的ケアマネジメント業務
主任ケアマネジャーが担当することになります。高齢者にとって安心して快適に暮らせる地域になるために、主任ケアマネジャーによるケアマネジャーへの個別指導・相談を行い、自立支援型ケアマネジメントの支援等を行います。
まとめ
また、介護保険利用者の自己負担額の増加は、2018年の介護保険法の改正だけに限られないと思われます。そのため、民間の介護保険の加入を検討してみるべきでしょう。
民間の介護保険とは、生命保険会社が取り扱う任意の保険のことです。主に現物給付ではなく「現金給付」を行うことを目的としています。
現金給付とは、介護保険制度により要介護認定を受け、公的な介護保険サービス(現物給付)を受けた時に、保険金が下りる仕組みのことです。この現金給付で自己負担分を賄うことができます。
公的な介護保険制度を補完することを目的として、民間の介護保険に加入することは有効な方法の一つといえます。