介護保険の現物給付とは何?現物給付の内容・条件を説明します!

現物給付とは、介護保険の場合、例えば介護スタッフによるリハビリや入浴、健康チェック等のサービスが提供されることを指します。介護保険の現物給付は、介護の必要な度合いに応じて決定されます。高齢者の増加により民間会社の現物給付サービスの提供も検討されています。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険の現物給付について解説

現物給付とは、公的保険の給付方法の一つで、治療・介護等の医療サービスを「現物」(お金ではなく実際の品物・方法)で支給することを指します。

介護保険給付では、利用者各自が認定された要介護認定基準ごとに手厚い現物給付が受けられます。


また、現物給付は、これ以上の症状の悪化を防ぐ「介護予防サービス」と、基本的な身の回りの世話である「介護サービス」に分類されます。


このサービスは、介護老人保健施設・病院・診療所・自宅等での専門スタッフによるリハビリや入浴、健康チェック等が該当します。


今回は介護保険の現物給付について説明します。




現物給付と償還払い方式の違い

現物給付と償還払い方式による違いとは、介護サービスの利用で支払う費用の手続き方法が異なるところにあります。


それぞれの費用支払い手続きの方法について説明します。

現物給付の特徴と利用方法

現物給付の特徴は、介護サービス利用者の簡便な手続きを目的としています。

利用者はサービスを提供した事業者へ費用を支払いますが、この支払の時に、利用者が負担する費用は原則1割となります。


その後、サービスを提供した事業者が、介護保険の保険者である市区町村に利用料の9割の請求を行います。これを代理受領方式と言います。

償還払い方式の特徴と利用方法

償還払い方式の特徴は、利用者が利用したサービスの費用を全額支払った後、保険者へ保険給付の請求を行い、その費用の全額または一部を払い戻してもらう方法で、いわゆる「金銭給付」です。

この方式を利用する場合には、利用者が費用全額負担した旨を申請書に記載し、保険者である市区町村へ提出する必要があります。

介護保険の現物給付を受けられる条件

介護保険の現物給付の内容は、要介護認定を受け介護の必要な度合いに応じて決定されます。

要支援1・2と認定された方は「介護予防サービス」を、要介護1~5と認定された方は「介護サービス」の現物給付が受けられます。


サービス内容については以下の通りです。参考にしてください。


  • 要支援1・2とは

要支援1・・・要介護状態とは認められないものの、社会的支援を必要とする状態の方が対象です。


要支援2・・・生活の一部について部分的に介護を必要とする状態で、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持、状態の改善が見込まれる方が対象です。


  • 要支援1・2の方が受けられる現物給付

主なサービスは以下の通りです。在宅サービスと地域密着型サービスに分かれます。


○在宅サービス


(1)訪問サービス


・介護予防訪問介護

・介護予防訪問入浴介護

・介護予防訪問看護

・介護予防訪問リハビリテーション等


(2)通所サービス


・介護予防通所介護

・介護予防通所リハビリテーション(筋力トレーニング・栄養指導・口腔ケア等)


(3)その他のサービス


・介護予防特定施設入居者生活介護

・介護予防福祉用具貸与

・住宅改修等


○地域密着型サービス


・介護予防認知症対応型通所介護  

介護予防小規模多機能型居宅介護

介護予防認知症対応型共同生活介護


  • 要介護1~5とは

要介護1・・・生活の一部について部分的に介護を必要とする状態で、主に、①食事や排泄はほとんど単独でできるものの、時折介助が必要な場合ある、②立ち上がり・歩行等に不安定さが見られる、③問題行動や理解の低下が見られる、という方が対象となります。


要介護2・・・軽度の介護を必要とする状態で、主に①食事や排泄に何かしらの介助が必要、②立ち上がりや片足での体勢の保持、歩行などに何らかの支えが必要、③衣服の着脱がやや不自由、④物忘れ・直前の行動の理解の一部に低下がみられる、という方が対象となります。


要介護3・・・中等度の介護を必要とする状態で、主に①食事や排泄の一部に介助が必要、②立ち上がりや片足での体勢の保持、歩行等が一人では不可能、③入浴・衣服の着脱に介助が必要、④問題行動・理解力の低下がみられる、という方が対象となります。


要介護4・・・重度の介護を必要とする状態で、主に①食事に介助が必要、②排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要、③立ち上がり・両足での体勢の保持がほぼ不可能、④問題行動が目立ち・理解力のかなりの低下がみられる、という方が対象となります。


要介護5・・・最重度の介護を必要とする状態で、主に①食事・排泄が単独では不可能、②立ち上がり・両足での体勢の保持が不可能、④意思伝達がほぼ不可能、という方が対象となります。


  • 要介護1~5の方が受けられる現物給付

主なサービスは以下の通りです。在宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスに分かれます。 


○在宅サービス 


(1)訪問サービス 


・訪問介護 

・訪問入浴介護 

・訪問看護 

・訪問リハビリテーション等 


(2)通所サービス 


・通所介護 

・通所リハビリテーション


(3)その他のサービス 


・特定施設入居者生活介護 

・福祉用具貸与 

・住宅改修等 


○施設サービス


・介護老人福祉施設(ただし、原則要介護3以上の方が対象)

・介護老人保健施設

・介護療養型医療施設


○地域密着型サービス 


・認知症対応型通所介護 

・小規模多機能型居宅介護 

・認知症対応型共同生活介護等


また、介護保険が適用される方は、第1号被保険者と第2号被保険者でなければなりません。


次項では、この第1号被保険者と第2号被保険者を説明します。

 

第1号被保険者と第2号被保険者

こちらでは、第1号被保険者と第2号被保険者が現物給付を受けられる条件についてそれぞれ説明します。


  • 第1号被保険者

65歳以上の方が対象になります。要介護状態になった原因がどのような場合でも、公的介護保険のサービスを受けることができます。


  • 第2号被保険者

40歳から64歳の方が対象になります。老化に起因する16種類の特定疾患によって要介護状態になった場合に限り、介護サービスを受けることができます。

16種類の特定疾病については次項で説明します。

16種類の特定疾病

介護保険制度において、第2号被保険者が要介護認定を受けるためには、以下の疾病によることが要件とされています。

  • がん(末期)
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靭帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • アルツハイマー病、脳血管性認知症等の初老期における認知症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳梗塞、脳出血等の脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 肺気腫、慢性気管支炎等の慢性閉塞性肺疾患
  • 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

民間の介護保険の現物給付サービス

民間の介護保険は、介護保険金や介護保険一時金というような、「現金給付」が一般的です。


しかし、民間の介護保険であっても、条件つきながら現物給付サービスを認めようという動きがあります。


この給付方法は、公的介護保険で認められてきましたが、民間の介護保険にも認められる可能性が高まっています。

ただし、実際に民間の介護保険で現物給付サービスが認められるようになれば、いろいろな課題点も想定されます。


課題点については主に次のようなことがあげられます。

民間の介護保険の現物給付の課題点は保険会社の都合でサービスの質が低下する点

民間会社が現物給付サービスを行うため、経営不振や、他社との価格競争の影響で質の低下が懸念されます。

また、公的介護保険との競合も考えられ、公的・民間の介護保険が同じ適用範囲で取り扱われることで、公的介護保険なのか民間の介護保険なのかの区別が曖昧になり、利用者のみならず医療・介護現場も混乱する恐れがあります。

まとめ

介護保険制度は、高齢者の増加に伴い仕組みの変更や、民間への委託も加速していくかもしれません。

介護保険制度の変更に係る情報には、絶えず注目しておくことが必要です。

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