介護保険料の支払いで、年金からの天引きとはどのようなものなのか?

第1号被保険者の介護保険料の支払い方法で、年金からの天引きというものがあります。年金からの天引きはどのような場合に対象となるのか?介護保険料の年末調整での控除はどうなるのか。老後の大切な資金となる年金からの保険料支払いについて解説していきます。

介護保険料が年金から天引きになる場合

一定の条件を満たしている場合、介護保険料を支払う時、保険料が年金から天引きされることになります。

特別徴収と普通徴収

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料支払い方法は『特別徴収』と『普通徴収』の2通りあります

・特別徴収とは、年金からの天引きで保険料を納める方法です。各年金保険者(日本年金機構や共済組合など)が第1号被保険者の老齢・退職年金等からあらかじめ介護保険料を天引きし、市に納付されています。
偶数月の年金支払い時に介護保険料を差し引いた額の年金が支給されることになります。

・普通徴収とは、納付書や口座振替で保険料を納める方法です。特別徴収の対象とならなかった場合には、市より納入通知書が送付され、個別に市役所や金融機関等の窓口で納付することになります。平成21年6月からはコンビニでも納付できるようになりました。
普通徴収の納期は6月から翌年の3月までの年間10期となります。

特別徴収の場合、介護保険料が年金から天引きされる

特別徴収の対象となった場合、受給している年金から保険料が自動徴収されることになります。特別徴収に対する手続きなどはありません。

特別徴収の対象者

介護保険料の特別徴収(年金からの天引き)対象となるのは、次のすべてに該当する世帯です。
  • 世帯主が国民健康保険に加入している。
  • 世帯内の国民健康保険加入者が全員65歳以上74歳以下である。
  • 世帯主が年額18万円以上の老齢基礎年金等の公的年金を受給している。
  • 介護保険料と国民健康保険料の合計金額が老齢基礎年金等の公的年金受給額の2分の1を超えない。

特別徴収の対象であっても、特別徴収が中止になる場合もあります。その場合等を説明します。
  1. 介護保険料の支払いを口座振替に変更した場合。    ・特別徴収から口座振替への変更は手続きが必要となり  ます。国保・年金課資格賦課まで問い合わせをし、納  付方法変更申出書を送付してもらいます。特別徴収の  中止は、日本年金機構や共済組合等の年金保険者に依  頼してから3カ月~4カ月程度かかります。手続き後も  1~2回特別徴収されることもありますので、年金支払  月にはよく確認してください。 
  2. 世帯主が国民健康保険を脱退した場合。
  3. 保険料が変更になった場合。               ・介護保険料の金額が変更になっても、途中で金額を変更しての特別徴収は出来ません。このため、該当年度の特別徴収を中止し、減額後の保険料を納付書あるいは口座振替で支払うことになります。また、保険料が増額した場合は特別徴収はそのままで、増額分を納付書あるいは口座振替で支払います。
特別徴収が中止となった世帯や保険料が減額になった等の世帯には、変更の納入通知書が送付されます。

複数の年金を受けている場合の天引き

複数の年金がある場合、決められた順序でその中の一つの年金から天引きされることになっています。
年金天引きの対象となる主な公的年金を、優先順位の高いものから並べてみます。
  1. 国民年金法による老齢基礎年金
  2. 旧国民年金法による老齢年金、通算老齢年金
  3. 旧厚生年金保険による老齢年金、通算老齢年金
  4. 旧船員保険法による老齢年金、通算老齢年金
  5. 旧国家公務員等共済組合法などによる退職年金、減額退職年金および通算退職年金
  6. 移行農林年金退職年金、減額退職年金および通算退職年金
  7. 旧私立学校教職員共済組合法による退職年金、減額退職年金および通算退職年金
  8. 旧地方公務員等共済組合法による退職年金、減額退職年金および通算退職年金

年金天引きの対象となる公的年金を複数受給している方は、受給額の多い少ないに関わらず、上記の順位に従い、順位の高い公的年金から天引きされることになります。


介護保険料が天引きされない場合

年金から介護保険料が天引きされない主な理由として、以下のことが考えられます。

天引きの対象となっている年金の支払いが停止となっている。

年金の支払い停止理由として多いものを説明します。
  1. 複数の年金受給権があり、いずれかの支給を選択しなければならない場合。
  2. 現況届が期限までに提出されておらず、年金の支払いが差し止められている場合。(現況届とは、公的年金受給権者の生存や住所等を定期的に確認するため、事業団体や日本年金機構等が受給者に送付し、必要事項を記入したうえで提出を求める文書です。)
  3. 年金の受給権を担保にする融資制度を利用し、返済中である場合。
  4. 市町村から日本年金機構に対して天引き中止の依頼があった場合。

年金からの介護保険料の天引きは、住んでいる市町村から日本年金機構に対する依頼があって再開されます。


納付書または口座振替で納める普通徴収

65歳以上の第1号被保険者の介護保険料の納め方は、特別徴収(年金からの天引き)が基本となっていますが、特別徴収が出来ない方は送付されてくる納付書や口座振替での『普通徴収』という方法で保険料を納めることになります。
普通徴収の対象となる方は、支給年金額が年間18万円未満の方や年金受給権を担保にしている方、現況確認が取れない方などです。
そして注意が必要なのは、年度の途中で65歳となったり新居住地に転入してきた方や年度途中で介護保険料の減額があった方、年度途中で基礎年金番号の変更があった方は特別徴収の対象であったとしても、普通徴収で納めることになります。
年度途中で65歳になった方と新居住地に転入してきた方は、はじめは普通徴収により保険を納めることになりますが、その後特別徴収対象者であればおよそ半年から1年程で特別徴収に変更されます。

介護保険料を年金から天引きされる場合の年末調整

特別徴収(年金からの天引き)での介護保険料は、『所得税法203条ノ4』により年末調整では控除してはいけないということになっています。

所得税法203条ノ4を下記に記載します。
・公的年金等の支払いの際控除される第七十四条第二項(社会保険料控除)に規定する社会保険料がある場合、その公的年金等の金額に相当する金額から当該社会保険料の金額を控除した残額に相当する金額の公的年金等の支払いがあったものとみなし、その残額がないときは、その公的年金等の支払いがなかったものとみなす。

言い換えると、特別調整の介護保険料を年末調整で控除してしまうと、給与支払い報告書では介護保険料は区分されないので住民税の計算過程で控除額が重複してしまいます。また、所得税の確定申告をした場合にも控除額が重複してしまうので特別徴収の介護保険料は年末調整では控除出来ないのです。
さらに簡単に言いますと、年末調整の際に控除できる社会保険料は、給料から天引きされているものか、自分で直接支払っている物に限られています。このことから、年金から天引きされている介護保険料は年末調整では控除出来ないということになります。

特別徴収の介護保険料は年末調整で控除できない

そこで、特別徴収の介護保険料は年末調整ではなく、確定申告してから所得控除にするという方法を取ることになります。
そして普通徴収保険料を口座振替等で支払っている場合には、年末調整で社会保険料控除の対象になります。


まとめ

保険料の支払いについて、特別徴収にするか普通徴収にするかは自分では決められません。これは介護保険に基づいて決められており、保険料の納め忘れを予防することによって、介護サービスを受ける際に制限を受けることがないようにするためです。

自分が納める介護保険料がどのように徴収されているのか、また市から送られてくる通知書などはよく確認することが大切です。

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