更新日:2018/01/05
介護保険の認定はどんな状態の時にランク分けされるのかを解説!
要介護認定とは、介護保険サービスを利用したい方に対し、“どんな介護が、どのくらい必要なのか”を判定するために行われます。介護保険サービスの内容は、要介護認定を受け介護の必要なランクに応じ決定されます。また、ランクによって介護給付の支給限度額も異なります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
知っておくべき介護保険の要介護認定ランクに関する知識
要介護認定とは、介護保険のサービスを利用したい方に対し、“どんな介護が、どのくらい必要なのか”を判定するために行われるものです。
介護保険を受けるためには一定の年齢になり、この要介護認定を受け、「要支援」・「要介護」の判定が行われる必要があります。
介護保険サービスの内容は、この要介護認定を受け介護の必要な度合いに応じて決定されます。
要支援1・2と認定された方は「介護予防サービス」を、要介護1~5と認定された方は「介護サービス」の現物給付が受けられます。
今回は、介護保険の要介護認定について説明します。
介護保険の要介護認定のランク(レベル)と目安
第1号被保険者は、65歳以上の方が対象になります。要介護状態になった原因がどのような場合でも、公的介護保険のサービスを受けることができます。
一方、第2号被保険者は、40歳から64歳の方が対象になります。第2号被保険者の場合、がん(末期)、脳梗塞・脳出血等の脳血管疾患および関節リウマチ、アルツハイマー病、早老症等の老化に起因する病気を加えた16種類の「特定疾患」により要介護状態になれば、公的介護保険のサービスを受けることができます。
要介護認定のランクは以下の通りです。
要支援1の身体状態
要介護認定等基準時間が25分~32分未満、またはこれに相当すると認められる状態を指します。なお、要介護認定等基準時間とは、利用者が介護サービスを受けるのにふさわしい時間のことです。
要介護状態とは認められないものの、社会的支援を必要とする状態の方が対象です。
このランクの方は、適切な介護予防サービスを受けることにより、要介護状態への進行を防止できるとされています。
要支援2の身体状態
要介護認定等基準時間が32分~50分未満、またはこれに相当すると認められる状態を指します。
生活の一部について部分的に介護を必要とする状態です。このランクは、適切な介護予防サービスの利用により、状態の維持、状態の改善が見込まれる方が対象です。
要介護1の身体状態
要介護認定等基準時間が32分~50分未満、またはこれに相当すると認められる状態を指します。
このランクは、生活の一部について部分的に介護を必要とする状態です。認定の対象となる方は次の通りです。
- 食事や排泄はほとんど単独でできるものの、時折介助が必要な場合ある
- 立ち上がり・歩行等に不安定さが見られる
- 問題行動や理解の低下が見られる
要介護2の身体状態
要介護認定等基準時間が50分~70分未満、またはこれに相当すると認められる状態を指します。
このランクは、軽度の介護を必要とする状態です。認定の対象となる方は次の通りです。
- 食事や排泄に何かしらの介助が必要
- 立ち上がりや片足での体勢の保持、歩行などに何らかの支えが必要
- 衣服の着脱がやや不自由
- 物忘れ・直前の行動の理解の一部に低下がみられる
要介護3の身体状態
要介護認定等基準時間が70分~90分未満、またはこれに相当すると認められる状態を指します。
このランクは、中等度の介護を必要とする状態です。認定の対象となる方は次の通りです。
- 食事や排泄の一部に介助が必要
- 立ち上がりや片足での体勢の保持、歩行等が一人では不可能
- 入浴・衣服の着脱に介助が必要
- 問題行動・理解力の低下がみられる
要介護4の身体状態
要介護認定等基準時間が90分~110分未満、またはこれに相当すると認められる状態を指します。
このランクは、重度の介護を必要とする状態です。認定の対象となる方は次の通りです。
- 食事に介助が必要
- 排泄、入浴、衣服の着脱には全面的な介助が必要
- 立ち上がり・両足での体勢の保持がほぼ不可能
- 問題行動が目立ち・理解力のかなりの低下がみられる
要介護5の身体状態
要介護認定等基準時間が110分以上、またはこれに相当すると認められる状態を指します。
このランクは、最重度の介護を必要とする状態です。認定の対象となる方は次の通りです。
- 食事・排泄が単独では不可能
- 立ち上がり・両足での体勢の保持が不可能
- 意思伝達がほぼ不可能
介護保険で介護認定を受けると利用できるサービス
介護保険で受けられるサービスには、「居宅サービス」、「支援サービス」、「施設サービス」があります。
こちらでは、ランク別の介護保険で受けられるサービスを紹介します。
介護保険の居宅サービス
①要支援1・2
要介護にならないための介護予防サービスが受けられます。
介護予防サービス | 内容 |
---|---|
介護予防訪問介護 | 要介護にならないための、身体介護・生活援助等を行います。 |
介護予防訪問入浴介護 | 要介護にならないために、浴槽を積んだ入浴車で利用者宅を訪問し、入浴サービスをします。 |
介護予防訪問看護 | 要介護にならないために、看護師等が訪問し看護します。 |
介護予防訪問リハビリテーション | 要介護にならないために、介護スタッフが自宅に訪問し、必要なリハビリを行います。 |
介護予防通所介護 | 要介護にならないために、利用者が施設に通い機能訓練・レクリエーションを行います。 |
介護予防通所リハビリテーション | 要介護にならないために、利用者が施設に通い筋力トレーニング・栄養指導・口腔ケア等を行います。 |
②要介護1~5
これ以上、要介護ランクが上がらないための介護サービスが受けられます。
介護サービス | 内容 |
---|---|
介護訪問介護 | 身体介護(入浴、食事、排せつ等)・生活援助(掃除、洗濯、調理)等を行います。 |
介護訪問入浴介護 | 浴槽を積んだ入浴車で利用者宅を訪問し、入浴サービスをします。 |
介護訪問看護 | 看護師等が訪問し療養上の世話・診療補助をします。 |
介護訪問リハビリテーション | 介護スタッフが自宅に訪問し、必要なリハビリを行います。 |
介護通所介護 | 利用者が施設に通い(または送迎により)、機能訓練・レクリエーションを行います。 |
介護通所リハビリテーション | 利用者が施設に通い(または送迎により)、筋力トレーニング・栄養指導・口腔ケア等を行います。 |
その他、福祉用具の貸与・住宅改修等のサービスもあります。
介護保険の支援サービス
介護保険の施設サービス
施設名 | 内容 |
---|---|
特別養護老人ホーム | 原則、65歳以上・要介護3以上の方が対象となります。認知症・寝たきり等の利用者が日常生活上の介護を受ける施設です。 |
介護老人保健施設 | 原則、65歳以上・要介護1以上の方が対象となります。病状の安定している利用者が、ご自宅への復帰を目的をしたリハビリテーション、介護・看護を受ける施設です。 |
指定介護療養型医療施設 | 原則、65歳以上・要介護1以上の方が対象となります。医療面が充実し、長期間療養を必要とする利用者が治療・療養を目的としたサービスを受ける施設です。 |
その他に、「地域密着型サービス」という市区町村が提供するサービスもあります。例えば認知症高齢者を対象としたグループホーム等が該当します。
介護保険のそれぞれの要介護認定のランク(レベル)によって限度額が変わる
〇利用者負担割合
利用者本人の合計所得金額 | 利用者負担割合 |
---|---|
160万円未満 | 1割負担 |
160万円以上 ただし、同一世帯の第1号被保険者の方の年金収入+その他の合計所得が金額が ①65歳以上の方が1人→280万円未満 ②65歳以上の方が2人以上→346万円未満 | 1割負担 |
160万円以上 | 2割負担 |
ただし、要介護認定のランクによって、介護保険サービスの給付される限度額が定められています。この限度額を超えて利用した場合、超過分は利用者が負担しなければなりません。
要介護認定のランク別の限度額は次の表のとおりです。
〇1ヶ月あたりの支給限度額
要介護認定ランク | 単位(平成29年1月現在) | 円(1単位=原則10円) |
---|---|---|
要支援1 | 5,003単位 | 50,030円 |
要支援2 | 10,473単位 | 104,730円 |
要介護1 | 16,692単位 | 166,920円 |
要介護2 | 19,616単位 | 196,160円 |
要介護3 | 26,931単位 | 269,310円 |
要介護4 | 30,806単位 | 308,060円 |
要介護5 | 36,065単位 | 360,650円 |
要支援・要介護ランク認定手順
〇必要書類の取得・作成
原則として、介護を必要としている利用希望者本人、またはその家族が申請します。申請するのは市区町村の窓口です。なお、地域包括支援センター・居宅介護支援事業者・介護保険施設の職員が申請を代行することもできます。
必要な書類は次の通りです。
- 要介護・要支援認定申請書
- 介護保険被保険者証
- 健康保険被保険者証(第2号被保険者のみ)
利用希望者側が取得・作成するのは上記の書類のみですが、書類提出後に市区町村が、利用希望者の主治医に意見書の作成を依頼することになります。
〇要介護・要支援認定の流れ
利用希望者が認定されるまでの流れは次の通りです。
①書類提出
⇩
②訪問調査の日程調整
⇩
③市区町村担当者またはケアマネジャーの訪問調査
⇩
④介護認定審査会が、要介護認定のランクを判定
⇩
⑤認定結果および介護保険被保険者証を利用者宅へ郵送(申請から30日以内)
※なお、認定結果は要支援・要介護の7つのランクの内いずれか、利用希望者の状態がいずれにも当てはまらなかった場合は、非該当となります。
まとめ
介護サービスには、ランク別に1ヶ月あたりの支給限度額が定められているため、利用者本人・家族がケアマネジャー等と十分に話し合い、確実かつ効率的なケアプランの作成に協力していきましょう。