更新日:2017/12/27
介護保険でポータブルトイレを利用したい!注意点とその流れについて
介護保険が利用できる福祉用具には様々ありますが、そのひとつにポータブルトイレがあります。ポータブルトイレには様々な種類があり、機能も様々。また、介護保険が利用できない場合もあります。ポータブルトイレの種類、機能、選ぶ際のポイントと申請の仕方をまとめました。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- ポータブルトイレを購入する際に使える介護保険と選び方の情報まとめ
- ポータブルトイレは介護保険の特定福祉用具である
- ポータブルトイレは介護保険を利用してレンタルすべきか、購入すべきか
- ポータブルトイレはレンタルすることができない
- 介護保険を利用した場合のポータブルトイレの値段(金額)
- 介護保険を利用して購入できるポータブルトイレの種類
- 標準型(プラスチック製)ポータブルトイレ
- 木製いす型ポータブルトイレ
- コモード型(金属製)ポータブルトイレ
- ベッドサイド設置型(スチール製)ポータブルトイレ
- ウオシュレット付き水洗ポータブルトイレ
- ポータブルトイレを購入・買い替えの際の選び方
- ポータブルトイレの選び方の7つのポイント
- 機能で選ぶ4つのポイント
- 介護保険で申請をしてポータブルトイレを購入する流れ
- ただし再申請の場合はポータブルトイレの耐用年数を超えていないといけない
- まとめ
目次
ポータブルトイレを購入する際に使える介護保険と選び方の情報まとめ
最小限の移動で排泄を済ませることが出来るポータブルトイレもそのひとつです。
ポータブルトイレを購入する際に使える介護保険の制度と、選び方をまとめました。
検討している方はご参考ください。
ポータブルトイレは介護保険の特定福祉用具である
「特定福祉用具」とは、利用者の肌が直接触れるもので、介護に必要なものを指します。
具体的にはポータブルトイレのほか、入浴用品、特殊な尿器(自動排泄処理装置の交換部分)等が挙げられます。
ポータブルトイレは介護保険を利用してレンタルすべきか、購入すべきか
場合によっては、購入するべきではなくレンタルのほうが良いものもあれば、レンタルするよりも購入したほうが良いものなど様々です。
では、ポータブルトイレはどうなるのでしょうか。
ポータブルトイレはレンタルすることができない
これは「特定福祉用具」とされているためです。
お店で下着などを買ったときに、「【衛生用品】は開封すると返品できません」といわれたことはありませんか?
一度開封したものは「着用した(かもしれない)もの」とされ、衛生用品は返品・交換が出来ないことがほとんどです。
「特定福祉用具」はいわばこの「衛生用品」と同じです。
ポータブルトイレも座る部分が直接肌に触れてしまいます。
利用者の肌が直接触れるものに関しては、不衛生となるためレンタルが出来ないのです。
ポータブルトイレを検討している方は、最初から購入する選択肢しかありませんので、慎重に選びたいですね。
介護保険を利用した場合のポータブルトイレの値段(金額)
ポータブルトイレ自体の値段は、2000円台のものから10万円を超えるものなど、値段の幅は非常に大きいものです。
基本的に、介護保険を利用すると、その金額の1割負担(所得が多い方の場合は2割負担)で購入することが出来ます。
支払い方法は、償還払いと言って、一度全額を自分で支払い、残りの8割か9割分の金額を市町村で返金してもらうスタイルが殆どです。
ただし、自治体によってルールが違う場合がありますので、気になる方は一度市町村で確認することをお勧めします。
すべてのポータブルトイレが対象ではない
ポータブルトイレには、あからさまにトイレであるという外観のものから、普通の椅子と変わらないオシャレなものもあれば、水洗のポータブルトイレ、今ではウオッシュレットがついたものも登場しています。
ただし、どれでも、どこでも、介護保険の対象というわけではありません。
特定福祉用具販売の指定を受けた事業者から購入する
今や、ポータブルトイレは、インターネット・ホームセンターなどどこでも気軽に買えるようになってはいますが、介護保険を利用してポータブルトイレを購入する場合、特定福祉用具販売の指定を受けた事業者から購入しなければ介護保険が使えないことになっています。
販売している会社すべてが対象ではないということが非常に重要なポイントです。
特定福祉用具販売の指定を受けた事業者ではないところで購入したら
介護保険が使えないため、全額自己負担となります。
ですので、購入する際は、対象の事業者かどうか十分確認しましょう。
介護保険にも限度額がある
介護保険の利用は、10万円が上限の額となっています。
10万円を超えた分は介護保険の利用が出来ず、これも全額自己負担となりますので注意が必要です。
介護保険を利用して購入できるポータブルトイレの種類
まずは特徴と種類をご紹介します。
標準型(プラスチック製)ポータブルトイレ
利点
- 値段が安い
- 軽量のため持ち運びしやすい
- プラスチックなので掃除がしやすい
欠点
- 軽量のため、移乗の際に力を強くかける必要がある方には不向き
- 見た目が「いかにもトイレ」
- 微妙な高さ調節が出来ない
木製いす型ポータブルトイレ
利点
- 重量があるため、立ち上がり動作に力を強くこめる方にお勧め
- 普通の椅子として利用できる
- 外観を損なわない
- 高さ調節が可能なものもある
欠点
- 重いので移動が大変
- 大きいため設置スペースが必要
- 掃除がしづらい(においが取れないことがある)
- 木製のため傷がつくと取れない
コモード型(金属製)ポータブルトイレ
利点
- 安定感がある
- 移動させやすい
- 高さの調節が出来る
- 掃除しやすい
欠点
- 見た目が「いかにもトイレ」
このタイプのトイレは、左右の手すりの調節や体に合わせてアームの移動や可動が可能な上、立ち上がり動作がしやすいよう高さの調節も可能です。
そのため、見た目よりも使いやすさを重要視する型にお勧めです。
ベッドサイド設置型(スチール製)ポータブルトイレ
利点
- ベッドからの移動・移乗がしやすい
- 高さが調節できる
- トイレ自体の移動も可能なキャスターつきのものもある
- 掃除しやすい
欠点
- 見た目が「いかにもトイレ」
ウオシュレット付き水洗ポータブルトイレ
これにより、利用者本人だけではなく、介護をしている家族などの負担の軽減も期待されるという、大きな利点があります。
ただし、他のポータブルトイレと比べると、介護保険を利用しても高額になることが欠点です。
利用者の状況に応じてよく検討しましょう。
ポータブルトイレを購入・買い替えの際の選び方
以上のように、それぞれ長所と短所があり、ある機能に特化したものやそれなりに機能を兼ね備えているものなど様々です。
購入する際には「どの問題を最優先に解消したいか」を参考に選ぶと良いでしょう。
買い替えのときも同様に、買い換えなければならなくなった理由に応じて、優先すべき問題を解消できる利点の多いポータブルトイレを選ぶことをお勧めします。
ポータブルトイレの選び方の7つのポイント
ポータブルトイレを選ぶ際のポイントをまとめました。
1.置き場所
ものによっては、重さがありなかなか移動が大変なポータブルトイレもあります。また、トイレの場所だけではなく、それに必要な物品や、介助者が介助しやすいスペースが確保されているか、という点も重要です。
身体状況によっては、左側に置くべきか右側に置くべきかという点も考慮しなければなりません。
まずは置き場所を決めて、それに見合うポータブルトイレを候補に挙げましょう。
2.安定感
腰掛けたときにぐらつかないか、また、肘掛がある場合は体重をかけても安定しているかなどは、転倒防止のためにも重要なポイントです。
また、立ち上がる際にも力をかけることが多いので、安定感があるかどうかもしっかりと確かめましょう。
3.高さ
足腰が弱っている状態では、立ち上がりやすいかどうかというのは非常に大事な条件となってきます。
特にデザインを重要視しているポータブルトイレは、高さが調節できないものもありますので、体に合っているかどうか購入前に一度座ってみることをお勧めします。
ポイントとしては以下の通りです。
- 座ったときにひざが直角か
- 両足の底が地面にしっかりとついているか
- ベッドから移乗することを想定している場合、ベッドの高さと同じ高さに調節することが可能か
この条件を満たすと、立ち上がり動作がしやすいとされています。
自分の体にフィットするものを選びましょう。
4.ひじかけが外せる(跳ね上げられる)
ひじかけがあると、力を入れたりすることが出来て大変楽ですが、逆にベッドから移乗するときは邪魔となってしまいます。
場合によって取り外しが出来たり、可動することが出来るものを選ぶと、移乗の際にも困らないでしょう。
5.けりこみスペースがあること
便座に足をついたとき、少し足を自分の体側(便座側)に引くことが出来るかどうかのスペースがあることも大切です。
このスペースがあるのとないのとでは、立ち上がる時の体への負担が大きく変わってきます。
6.便座の大きさ
体格によって便座の大きさを考慮しましょう。一般的な便座で事足りるのがほとんどですが、小柄な方ややせている方には少し大きい場合もあります。その際には小さめの便座を選びましょう。
7.ベッドからトイレまでの移動のしやすさ
ポータブルトイレですから、ベッド脇から移動して使用することが想定されています。
ベッドサイドに横付けするだけのタイプもありますが、ベッドとしっかり固定できるものがあります。
また、「4.ひじかけが外せる」でもご紹介したとおり、スムーズに移動するために邪魔な手すりが、可動式になって居ると移動のときに妨げにならず便利です。
機能で選ぶ4つのポイント
1.暖房便座
便座に座ったときにヒャッとする嫌な問題を解消してくれる機能です。
夜中や冬場など特に便座が冷えているときにはありがたい機能ですよね。
急激な温度変化で、心臓に負担がかかってしまうこともあります。
そういった面の問題の解消も期待できます。
ただし、暖房便座すべてに言える事ですが、下半身麻痺などで感覚が無い方には向きません。低温やけどの危険性があるので避けたほうが無難かもしれません。
2.ソフト便座
痩せているなどして、お尻の骨などが便座に当たり痛いという問題を解消してくれる機能です。
便座が樹脂製で出来ておりやわらかいのが特徴です。
小柄の人にも向いています。
3.シャワー機能
ウォッシュレットがついているものです。
紙で拭くよりも、肌への負担を減らすことが出来、清潔という利点があります。
介助者への負担の軽減も期待できます。
4.脱臭機能
排泄時の気になる臭いを解消する機能です。
排泄後はすぐに掃除をしなければなかなか気になる臭いですが、この機能があれば、排泄時、強力に脱臭してくれるので、介助者だけではなく本人の気持ちの負担を減らすことが出来るでしょう。
介護保険で申請をしてポータブルトイレを購入する流れ
簡単に流れをまとめると、このようになります。
- 全額(10割)自己負担でポータブルトイレを購入する
- カタログや領収書などが購入会社から渡される
- 市町村で申請して8~9割の金額を払い戻ししてもらう
最初は全額自己負担となるので、ポータブルトイレの販売金額のままのお金を用意しなければなりません。
購入後に購入会社から渡されるものは、払い戻しの申請の際に必要となるので必ず保管しておきましょう。
払い戻しの申請に必要なもの
お住まいの市町村の市役所や役場で手続きを行います。
持ち物としては、
- 支給申請書(役所などで入手可能)
- 領収書(購入会社からもらえます)
- カタログまたはカタログのコピー(購入会社からもらえます)
- 被保険者証(介護認定を受けていることがわかる介護保険証です)
- 印鑑
などが必要となります。
一般的な方法をご紹介しましたが、市町村によって手続きの仕方や必要なものが異なる場合がありますので、一度役所で確認することをお勧めします。
購入した会社の方が詳しいこともありますので、担当者に聞いてみるのも良いかもしれませんね。
ただし再申請の場合はポータブルトイレの耐用年数を超えていないといけない
つまり、ポータブルトイレを購入した場合、またポータブルトイレを購入することが出来ないということです。
購入できる条件
介護保険を利用して再度購入するには、以下のような条件が必要となります。
- ポータブルトイレの耐用年数を超えている
その商品によって耐用年数というのが定められています。
それを超えると、再度購入することが出来ます。
尚、その他としては、
- 用途や機能が異なるものを購入する場合
- 破損してしまった場合
- 身体機能などが著しく低下し介護度が重くなった場合
以上の場合は再購入が認められます。
「やっぱりデザインが気に入らない」「しっくりこない」などの理由での再購入は出来ませんので、ポータブルトイレを購入する際は「やっぱり合わなかった」とならないよう、慎重に選びましょう。
まとめ
- 介護保険を利用すると1~2割で購入できる
- レンタルは出来ない
- 体に合ったものを購入する
- 機能で選ぶことも大事
- 購入する際は指定された業者から購入すること
- 払い戻しに必要な領収書は大切に保管
- 基本的に買い替えは出来ないので慎重に!
介護保険を利用して購入できる福祉用品は少なくありません。
一度全額自己負担する必要があるものの、1割~2割で購入できる介護保険を利用して、利用者、介助者ともに負担のない生活を送りましょう。