支払った税金が取り戻せる?介護保険に関する控除、ご存知ですか。

年末調整や確定申告などを正しく活用すれば、支払った税金が戻ってくることは皆さんご存知ですよね。生命保険や住宅ローンだけでなく、介護保険についても、介護保険料の控除や、リフォームでの税額控除など、仕組を知ることで、支払った税金を取り戻せるかもしれません。

介護保険にかかる税金を控除できる介護保険料控除について

ここからは介護保険に関する税金の還付の仕組について解説します。

まずは介護保険料控除についてです。介護保険料控除では、支払った介護保険料について税金が控除されるというものです。


介護保険料は65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の第2号被保険者によって、控除の仕方が異なります。

第1号被保険者の場合は、介護保険料は原則として年金から天引きされています(特別徴収)。一部、老齢年金や退職年金を受給していない人や低年金者など特別徴収できない人には市町村が直接、納付通知書を贈り保険料の納付を求めています(普通徴収)。徴収方法により手続きが異なります。

第2号被保険者の場合は、医療保険料とともに、組合健康保険や政府管掌健康保険または共済組合などの医療保険者によって、給与天引きで徴収されています。年末調整の際には社会保険料控除の中に含まれて手続きをされています。

第1号被保険者と第2号被保険者の場合の介護保険料控除

65歳以上の第1号被保険者の人の介護保険料は、社会保険料控除の対象になります。申告書の社会保険料控除額を記入する欄に、申告年分の1月から12月までの1年間に納付された介護保険料額を記入してください。


特別徴収の場合(大抵の方はこちらに当てはまります)、年金からの天引きで介護保険料を納付しています。1月ごろに年金保険者から送付される「公的年金等の源泉徴収票」に、前年1年間に特別徴収されて社会保険料の総額(介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険税の合算額)が記載されています。


普通徴収の場合、市町村から発行された納付書を使って、現金や口座振替で介護保険料を納めています。1月ごろ市町村から送付される「介護保険料納付額確認書」または、お手持ちの領収書や口座振替を申し込まれた通帳で1月から12月までに支払った額を確認します。


40歳以上65歳未満の第2号被保険者の人の介護保険料は、会社員の場合、給与天引きされています。年末調整の際に、保険料控除申告書に支払った金額を記載します。


自営業者の場合は、市町村から発送される「年間納付額のお知らせ」の中で国民健康保険料等とともに金額が確認できます。確定申告の際に、こちらの金額を記載します。



介護保険料控除の対象となる保険契約

介護保険料控除の対象になるのは、介護保険法の規定による介護保険料です。

健康保険料、国民健康保険税、労働保険料などとともに社会保険料控除の中で控除されます。

要介護・要支援被保険者におけるバリアフリー改修工事費用の税額控除

一定のバリアフリー改修工事を行った場合、確定申告によって、その年収めた所得税から一定額が控除され、「還付金」という形で税金の還付を受けることができます。また固定資産税についての控除もあります。税金の種類により還付の方法が異なります。

対象となる工事は

・通路の拡幅・階段の勾配の緩和・浴室の改良・トイレの改良・手すりの取り付け・段差の解消・出入り口のとの改良・床材の取り換えのいずれかです。


対象となる方は

①50歳以上の方②要介護者または要支援認定の方③障がい者の方④②もしくは③に該当する親族または65歳以上の親族いずれかと同居している方で、

・改良工事が完了した日から6ヵ月以内に居住していること・改良工事後の家屋の床面積が50㎡以上であり、その2分の1以上が自身の居住用に利用されること・自身の居住部分の工事費用の額が、改修工事総費用の2分の1以上であること・合計所得金額が3000万円以下であること・対象となる改修工事費用から補助金等を控除した額が50万円を超えること です。



所得税

【ローン型減税】

ローン型減税は、償還期間5年以上の住宅ローンで工事費用を賄った場合が対象です。改修後、居住を開始した年から5年間、年末ローン残高を上限に、工事費の2%を所得税から控除します。控除対象限度額は250万円です。(所得税金額の範囲内です)

【投資型減税】

投資型減税は、100%自己資金で工事費用を賄った場合が対象です。改修後、居住を開始した1年間分のみ、工事費の10%を所得税から控除します。控除対象限度額は200万円です。(所得税金額の範囲内です)

固定資産税

バリアフリー改修工事では固定資産税でも税金についての軽減が受けられます。工事完了後3カ月以内に、各市町村宛に申告をすると、工事完了翌年分の「固定資産税」も減額できます。減額幅は家屋面積100㎡相当までに対して3分の1です。固定資産税金額が3万円だったとすると1万円に減額されます。

生命保険料控除が改正され介護保険料控除が加えられた

平成22年の税制改正によって生命保険料控除が改正され、介護医療保険料控除が加わりました。旧制度では生命保険料控除と個人年金保険料控除のみでした。介護医療保険料控除が加えれ、3つの控除が適用されます。また、所得税・住民税に対する控除も変更されました。

旧制度が全く廃止になったわけではなく、条件ごとに旧制度を適用する契約と新制度を適用する契約とに分かれます。

介護保険料控除の新契約と旧契約による税金(所得税・住民税)の控除額の違い

新制度の対象となるものは、平成24年以降の契約となります。従って平成23年12月31日までのものと、平成24年1月1日以降の契約では扱いが異なります。

例えば、介護保険料控除の最高限度額(所得税)が、旧制度では5万円だったのに対して新制度では4万円に変更されています。また住民税については3.5万円から2.8万円に変更されています。控除額全体の限度額は所得税で12万円、住民税で7万円です。


また保険期間が5年未満のものなど、保険によっては控除の対象外となるものもありますので確認が必要です。

介護保険料控除の新契約と旧契約による控除額の違いの計算式

平成24年1月1日以降に契約した新契約の場合、実際いくらの税金が戻ってくるのでしょうか。年間保険料が8万円、税率10%の方を例にしてみます。

新契約の場合、年間保険料が8万円までの場合は、その金額に応じた控除額が減額されますが、1年間に支払った保険料が8万円を超えた場合、控除額は一律で4万円となります。


これに所得税率10%を掛けた4000円が戻ってくることになります。


住民税も年間保険料が5万6000円超の場合、控除額は最高で2万8000円となります。税率は一律で10%ですので、これを掛けて、住民税が2800円安くなることになります。


所得税・住民税合わせて、税金が6800円も戻ってくることになります。

介護保険料控除に新契約と旧契約の双方に加入している場合の税金の控除額

介護保険料控除に新契約と旧契約の双方に加入している場合、双方に控除を適用させることができます。ただし、各控除の最高限度はなります。

新契約のみにするか、旧契約のみにするか、また双方とも適用するかは、選択をすることができます。




介護保険料控除の手続きと必要書類

介護保険料控除の手続きは会社員の方の場合は、年末調整で税金の還付が行われます。

・保険料控除申告書

・介護医療保険料控除証明書 をご用意ください。


それ以外の方は、確定申告の際に税金の還付を受けます。

・確定申告の用紙

・介護医療保険料控除証明書

・介護保険料納付額確認書(各市町村より1月中旬に発送されます)

 または保険料の支払いが確認できる資料


 をお手元にご用意ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

介護保険についても、年末調整や確定申告で、税金の還付を受ける仕組みはあります。年齢が上がるにつれ、収入を増やしていくことが難しくなっている方も多いと思います。支出の見直しをしたり、支払った税金を取り戻してゆくためにも、正しい知識を身につけて、これからの生活に活かしてゆきましょう。

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