外出が困難な方でも、外出支援サービスが介護保険でも利用できます。

病院への通院等で外出が困難な方に対して、外出支援はなくてならないサービスですが、基本的には介護保険以外のサービスとなっています。ただし一定の条件下では、介護保険での外出支援サービスが認められています。今回、外出支援サービスについて説明します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

介護保険の外出支援サービスに関する情報まとめ

在宅介護において外出を支援するサービスに関しては、意欲や体力、認知機能の維持の為、公共交通機関の利用が困難な高齢者や障害者にとって、外出させるための手段の確保として重要なのですが、通院時乗降介助という訪問介護サービスとして、ケア-マネジャーが作成する居宅介護計画書(ケアプラン)に盛り込まれていなければ、介護保険は適用されず介護保険対象外となってしまいます。

なお、外出支援サービスとして市区町村自治体もしくは、社会福祉協議会が運営する移送サービスや民間企業の福祉タクシー、介護タクシーなどがあげられます。


要介護1以上の方が居宅介護計画書(ケアプラン)に盛り込まれた場合、行先などに条件つきですが、介護保険が利用できる外出支援サービスとして介護保険タクシーがあります。




介護保険の外出支援サービスの利用対象者

介護保険の外出支援サービスの利用対象者は、自治体や社会福祉法人によって違います。

 

一般的な基準としては、 


  • ・65歳以上の要介護者 (要介護1以上)
  • ・身体機能や認知機能の低下により、公共交通機関の利用が困難な人
  • ・担当ケアマネージャーが必要と判断し、ケアプランに盛り込まれている人


などがあります。 


また、市区町村自治体もしくは社会福祉協議会の外出支援サービスを利用する場合には、その地域に居住していることが条件となります。


その他にも、


  • ・家族などが付き添える人
  • ・住民税非課税世帯
  • ・要支援、要介護認定者


などの条件が付いている場合があります。


民間企業運営の福祉タクシー、介護タクシーの場合には、外出の許可が得られていれば、特に利用対象者の基準がないことがほとんどです。


介護保険の外出支援サービスの内容と価格

介護保険での外出支援サービスとは、家庭において移送することが困難な要介護者に対して,居宅介護計画書(ケアプラン)に盛り込まれた介護保険指定業者番号を取得した事業所が、通院時乗降介助という訪問介護サービスとして、移送用車両(ストレッチャー装着ワゴン車及びリフト付車両:車いす対応)により、利用者の居宅と医療機関等との間を送迎する介護保険タクシーのことです。


通院等乗降介助という訪問介護サービスは介護保険が適用され、9割または8割が市区町村である保険者より支払われます。


護保険タクシーは移送を伴う介護ですが、運賃は介護保険の対象になりませんので利用者が負担します。


介護保険タクシーの料金 = 移送運賃 + 介護保険サービス(1割負担、一部2割)となります。


※ 透析といった理由で長期間定期的に利用する場合など、ケースによっては運賃の割引が適用されることもあります。


介護保険のサービス料金は・・・


1回につき970円が通院等乗降介助の料金で、そのうちの97円が利用者負担となりますが、費用は時間帯(早朝・深夜)や地域(市区町村)の区分などによって異なります。


※上記の費用は、自己負担割合が1割の場合です。一定の所得がある方は、自己負担割合が2割になります。




自治体などが提供するもの

市区町村の自治体や社会福祉法人による外出支援サービスは、介護を必要とする高齢者や身体障害者が外出する際に、車いすやストレッチャーに乗ったまま移動できる介護タクシーや業務用車両で移動をサポートするというものです。

介護タクシーの場合にはヘルパーさんによる乗降介助が受けられますが、それ以外のケースでは介助のために家族の付き添いが求められることがあります。


また、移動範囲が決まっていたり、利用回数や利用上限金額などが決まっています。

そのほかにも、利用できる曜日や時間帯、さらに利用目的が決まっている場合もあります。


費用は1時間当たり数百円、ガソリン代の実費のみなど、負担しやすい金額が設定されているようです。 


民間企業が提供するもの

民間企業の場合、サービス範囲もかなり広くなります。

車いすやストレッチャーが利用できる福祉タクシーや、利用者の乗降介助をお願いできる介護タクシーのほかに、トラベルヘルパー(外出支援専門員)による日帰りや宿泊を伴う外出を支援するサービスもあります。

地域助け合い型の外出支援サービスの種類

2006(平成18)年の道路運送法改正に伴って自家用有償旅客運送が制度化され、福祉有償運送や過疎地有償運送(現:公共交通空白地有償運送)として移動サービスを実施する団体が多くなりましたが、最近は、これらを利用できない買い物難民、引きこもりがちな高齢者の介護予防といった観点から、許可・登録を要しない形態での地域助け合い型の移動サービス(移動・外出支援)が徐々に広がりを見せています。


地域助け合い型の移動サービス(移動・外出支援)の典型的な内容 


  1. 体の不自由な人を対象とし、個別の目的に応じて目的地や室内での付き添いや介助も行う送迎
  2. サロン等居場所の利用者を対象とした送迎や、居場所から通院・買い物等の送迎
  3. バス停が遠い・急坂があるなど、交通が不便な地域の住民を対象とした通院・買い物等の送迎これらを組み合わせて複数の活動をしている団体もあれば、車両による支援だけでなく、団地や町内会等の小さな生活圏の中で、掃除や買い物、お子さんの見守り等色々なメニューの一つとして、車両による送り迎えをしたり、坂の下に休憩できる場所を設置・運営している例もあります。


完全無償

利用者が「運送の対価」を金銭的に全く負担しない、もしくは物品や地域通貨、時間預託制度のポイント等のように、金銭的な価値の換算が困難な財物や流通性の乏しい財物等により、運送の対価を負担する場合のことです。

有償の運送に該当しないため、道路運送法上の許可や登録は不要となっています。


無償運送

ガソリン代等の実費程度を利用者に負担してもらう送迎のことで、他にも道路通行料、駐車場料金等が発生する場合は、実費として利用者の負担に含むこともあります。

有償の運送に該当しないため、道路運送法での許可や登録は不要。 

介護・家事身辺援助等のサービス一体型

介護や家事身辺援助等の有償サービスが提供されていて、そのサービスの中に車両を使った送迎も含まれているものです。

有償の運送に該当しないため、道路運送法上の許可や登録は不要。

サロン送迎(自家輸送)

利用者から運送の対価を得ずに行う送迎のことで、サロンやデイサービスでの利用者の送迎等がこの類型にあたります。


サロンの利用中やサロンの送迎途中で買い物等に行くことができる場合もあります。


有償の運送に該当しないため、道路運送法での許 可や登録は不要。



福祉有償運送

利用者を介助が必要な高齢者や障がい者に限定し、営利に至らない範囲の対価で、道路運送法79条による登録をして行う運送のことです。


NPOや社会福祉法人等の非営利法人、法人格を持たないものの一定の要件を備えた団体の実施によるものですが、登録を受けた法人等が、介護保険の訪問介護事業者指定を受けていれば、介護保険が適用される送迎も可能となります。


公共交通空白地有償運送

交通が不便な地域で、主に住民向け営利に至らない範囲の対価で、道路運送法79条による登録をして行う運送のことです。


NPOや社会福祉法人等の非営利法人、法人格を持たないものの一定の要 件を備えた団体の実施によるもので、住民主体という観点から市町村運営有償運送(市町村福祉輸送、交通空白輸送)は除かれています。


訪問介護(ホームヘルパー)を利用した外出支援サービスの内容と価格

訪問介護(ホームヘルパー)を利用した外出支援サービスは、通院・外出介助として、居宅以外の場所(外出先や外出途中)だけでは介護保険サービスとして認められません。

居宅サービスとして認められるのは、居宅において行う外出先(病院等)へ行くための準備行為を含む一連のサービス行為と見なし得るためとされています。


要介護者である利用者に対して、通院等のため指定訪問介護事業所の訪問介護員等が、自らの運転する車両への乗車又は降車の介助を行うとともに、併せて、乗車前若しくは降車後の屋内外における移動等の介助又は通院先若しくは外出先での受診等の手続き、移動等の介助を行った場合に、1回につき所定単位数を算定する単位です。


介護保険では、基本的に1回つき97単位の970円が通院等乗降介助料金となり、そのうちの97円が利用者負担です。


※上記の費用は、時間帯(早朝・深夜)や地域(市区町村)の区分などによって単位や単価が異なります。


そのほかにも、それぞれの事業所により介護保険以外の移送料金の負担が発生する場合もあります。

また、負担金もそれぞれの事業所で距離などにて決められております。


介護保険の外出支援サービスの利用の流れ

①ケアマネジャーに通院などの外出予定を伝え、介護保険タクシーの利用を相談します。


②介護保険タクシーなどの利用がケアプランの中に組み込まれたら、ケアマネジャーが契約業者に予約の連絡を入れます。


③利用者の希望に沿うよう業者が日程や時間を調整します。

予約が混み合っていると希望通りの日時に利用できないこともあるため、利用の予定は早めに立ててください。 


④介護保険タクシーは、基本的に緊急車両としての利用を想定していません。「急に具合が悪くなったから今からすぐ病院に行きたい」というような緊急時には使えません。


⑤予約の日時になったら、介護保険タクシーが利用者の自宅を訪問し、外出をサポートします。


⑥出発の際の迎えから目的地へ送って帰宅するまでがサービスに含まれますが、病院などで受診に時間が掛かる場合は車を待機させず、診察後に再度業者に連絡をして迎車を頼むことになります。



自治体や社会福祉協議会の場合

まずは外出支援サービスの対象者かどうかの確認が行われ、確認が取れると申し込みをして利用スタートです。


その地域に居住していることが条件となりますが、その他にも家族などが付き添える人や住民税非課税世帯、要支援または要介護認定者などの条件がもうけられている場合もあります。


不明な点は、各自治体の高齢者窓口か、社会福祉協議会に問い合わせてください。 

ケアマネジャーが詳細を知っている場合もあるので、まずは聞いてみてもいいでしょう。



民間企業の場合

民間企業へ依頼する場合は、各事業者へまず問い合わせ、希望や身体の状態を伝えて見積もりをもらいます。

見積もりに納得すれば、契約して利用スタートです。


民間企業の場合には、特に利用対象者の基準がないことがほとんどです。  

まとめ

高齢化が進む日本では、介護や福祉関係のサービスの需要がますます高まっています。

その中でもこれからの超高齢化社会を支えるサービスとして、高齢者の外出支援をサポートする介護タクシーなどの外出支援サービスに注目が集っています。


外出支援サービスは、基本的には介護保険以外のサービスとなっていますが、要介護1以上の認定者において病院等の外出が困難である時、訪問介護の一種である通院等乗降介助と居宅介護計画書に位置づけした場合に限り、介護保険での外出支援サービスとして介護保険タクシーなどが認められています。


そのほかにも介護保険適用外ですが、市区町村自治体や社会福祉協議会、民間企業が運営する外出支援サービスもあります。

自分に合う外出支援サービスを調べて、利用されることをおすすめ致します。

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