給与明細はいつまで保管する必要がある?給与明細の保管方法

給与明細の保管は義務ではなく、処分しても構いません。しかし、給与明細は収入の証明に使えたり、源泉徴収票の代わりとして確定申告に使えたりするので、最低二年間は保管しておくことをおすすめします。給与明細の保管方法としては、写真やスキャンでデジタル化する、アプリで管理するなどの方法があります。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

給与明細は保管期間はいつまで?給与明細の保管方法と保管の必要性

給与明細をもらうと給料日は目前で、今月の給料がいくらなのか気になりますよね。


しかしその明細の細かな内容を隅々まで見ているという方は、少ないのではないでしょうか。


中には振込金額だけ見て捨てる方、妻もしくは夫に渡している方、支給金額は通帳でわかるのでそもそも明細は見ないという方もいらっしゃるかもしれません。


実はこの給与明細は給与の金額だけではなく、雇用保険料、健康保険料、年金、税金など社会生活に欠かせないデータの宝庫になっています。


さらに、そのデータの豊富さから給与明細は2年間保管しておいた方がよいとされています。


そこでこの記事では

  • 給与明細の保管期間とその理由
  • 給与明細の記載内容と利用方法
  • 給与明細の保管方法
についてご紹介します。

この記事を読んでいただければ、給与明細の内容や保管期間、保管期間の理由について詳しく知ることができます。


是非最後までお読みください。


給与明細の保管は義務ではない

そもそも給与明細の保管は個人には義務づけられていません。そのため給与明細をもらってもすぐに捨ててしまう方も多くいます。なぜなら給与明細は対して毎月内容が変わるわけではありませんし、毎回同じだからと言って処分してしまったり、目を通さない方もいます。


しかし会社には労働基準法第百九条により給与明細の3年間の保管が義務付けられています。



そのため、たとえ手元に給与明細がなくても会社に相談すれば再発行してもらえる可能性があります。 


 ただし会社側には再発行義務はありませんので、請求したからといって対応してもらえるわけではありません。



退職後であれば申し出にくくなることもあるでしょう。


 そのような場合も考え、やはり自身で保管しておくのが望ましいといえます。では給与明細をどの期間まで保管しておくべきなのでしょうか?その目安となる期間を次の項目で解説していきます。

給与明細は最低2年は保管すべき!給与明細を保管する理由とは

給与明細とは、契約に基づいて雇用者から従業員へ支払われる報酬の明細です。


従業員にとっては、受け取った給料の証明のみならず、支払った税金や社会保険料の証明にもなるのです。


この証明は様々な場合に利用できるため、少なくとも2年間は保管をしておいたほうがよいとされています。


給与明細を保管すべき理由は

  1. 給与明細は収入の証明に使える
  2. 源泉徴収票の代わりとして確定申告に使える
  3. 税金や年金の支払い証明に使えるため
  4. 離職票に書かれた金額の確認に使える
  5. 未払い賃金の請求に使える
この様な理由がありますので詳しく解説していきます。

給与明細を保管する理由①給与明細は収入の証明に使える

給与明細は収入の証明に使えます。


例えば、クレジットカードを作る場合や小さいローンなどを組む場合、基本的に収入証明が必要となります。


通常、収入証明は源泉徴収票や所得証明書などを出すことが多いのですが、この書類がなくても給与明細の提出で対応できます。


また働き始めて1年目の年末を迎えていなければ源泉徴収票もありませんので、この給与明細が役に立つのです。


また収入証明は引っ越し先から提出を求められる場合もあります。


いずれにしても、きちんと勤労し賃金を得て生活をしていることの証といえるでしょう。

給与明細を保管する理由②源泉徴収票の代わりとして確定申告に使える

給与明細は確定申告で源泉徴収票を紛失してしまった場合でも、給与明細を資料として使用することができます。


サラリーマンのような給与所得者が確定申告をするのは、2か所以上の事業所から給与をもらっている場合や、住宅ローン控除を受ける場合、医療費控除や最近ではふるさと納税で寄付金控除を受ける場合など、様々な場合があると思います。


そのような場合で勤務先からの源泉徴収票を紛失してしまった場合でも、給与明細を添付することにより、それに替えることができるのです。


もちろん紛失しないに越したことはありませんが、再発行までに時間がかかることもありますので、覚えておくとよいでしょう。


その他配偶者の扶養に入るための資料として必要になることもあります。

給与明細を保管する理由③税金や年金の支払い証明に使えるため

給与明細は所得税住民税年金の支払いの証明になります。


会社は所得税や住民税を従業員の給与から天引きして、代わりに役所等へ納めます。(入社して1年目の住民税は除く)


また健康保険料や厚生年金は給与天引きした金額と会社負担分とを合わせて、事業主が健康保険組合や年金事務所へ支払います。


会社側が手続きを忘れたため支払われていないなどの場合に、この給与明細が自身の支払いを証明することになるのです。


また誕生日の頃に送られてくるねんきん定期便と付け合わせ、きちんと納付記録がされていることの確認にも使用できます。

給与明細を保管する理由④離職票に書かれた金額の確認に使える

退職時には雇用保険被保険者離職票が発行されますが、これは1年間支給された給与が記載されています。


給与明細はこの雇用保険被保険者離職票の記載金額が正しいか確認するための資料になります。


雇用保険被保険者離職票は、失業保険の基本手当日額を決定するための重要な資料ですので、相違があると正しく算出されません。


記載金額は税金や社会保険料の控除前の賃金になりますので、銀行口座の振込金額のみを意識していると、実際の賃金がわかりづらいでしょう。


しかし給与明細があればこれをきちんと確認することができます。

給与明細を保管する理由⑤未払い賃金の請求に使える

労働基準法第百十五条では現在、賃金の請求権は2年間で時効となると規定されています。


給与の未払いや残業代の未払いなどがあった場合、従業員は勤務先へ2年間さかのぼって請求することができます。


給与明細は実際に未払い給与や残業代が支払われていなかったことを証明するために必要となります。


給与明細を2年間は保管したほうがよいのはこの規定によるものです。


残念ながら会社側から証明を出してもらえることは難しいこともありますので、自身で管理することを心掛けましょう。

参考:アルバイトの給与明細は保存すべきか

アルバイトやパート勤務の場合、給与明細はどうしたらよいのでしょうか。


前述のとおり、給与明細は収入証明や支払い証明として使用できることから、アルバイトでも残業していたり、税金や社会保険料が控除されていたりする場合は、同様に2年間は保管しておくのが望ましいといえます。


正社員よりは立場の弱いアルバイトの方が、バイト代が振り込まれない、残業代が振り込まれていないなどのトラブルに遭遇する可能性もあるため、そのような場合の証拠としてやはり捨てずに2年間は保管しておきましょう。

そもそも給与明細とは

給与明細は給料がきちんと正しい金額が支払われているか確認できる書類です。


確認する際には総支給額から雇用保険料などの支出がいくら天引きされているのかもチェックしましょう。この支出を覗くと給料として支払われるのは全体の約8割とされています。残りの2割で保険料や税金をが支払われます。


保険料や税金で引かれる項目

  • 健康保険料
  • 厚生年金
  • 雇用保険料
  • 所得税
  • 住民税
以上のものが挙げられます。毎月支払うものですのできちんと把握しておきましょう。

また40際以上になると「介護保険料」も加わります。この保険料は64歳まで払い続けることとなります。

なお収入を確認する際には自分の勤務時間、基本給や残業時間が合っているか確認をするべきです。基本的にはシステム管理をしていますが、ごく稀に間違えてしまっている可能性もあります。

給与明細を処分してしまった!再発行は可能?

万が一、給与明細を処分してしまった場合には再発行ができるのでしょうか?


再発行は会社の規定によって再発行が可能な場合と不可能な場合があります。何故ならば会社には給与明細の保管期間の義務はあっても再発行の義務はないためです。


デジタルデータとして保管されている場合にはすぐに対応してくれるかもしれませんが、デジタルデータにない場合は再発行に時間がかかってしまうかもしれません。さいあく、数字だけを口頭で伝えるだけの可能性もあります。

給与明細の保管方法

給与明細の保管の必要性と期間についてご紹介してきましたが、実際に毎月保管すると紙であれば2年間でも最低24枚になります。


もらった時は丁寧に保管しても、翌月になるとついついどこにおいたかわからなくなってしまうこともあるでしょう。


ここでは保管場所や保管方法についてご紹介します。ご自身の生活にあったやりやすいやり方法で保管しましょう。


給与明細の保管方法

  1. 写真やスキャンでデジタル化する
  2. エクセルなどで内容を記録する
この2つの方法であれば書類を持っていなくとも保存することができます。さらに最近ではアプリやソフトでも管理することもできますので、合わせて解説していきます。

給与明細の保管方法①写真やスキャンでデジタル化する

給与明細をスマートフォンやデジタルカメラなどで撮影しデータとしておくことで、紙の明細を破棄することができます。


またスキャナーを利用すればPDFファイルでの保管が可能です。


企業によっては最初からPDFファイルで発行されるところもあるようです。その場合は自身のパソコンなどにダウンロードしておきます。


WEB上での発行であればスクリーンショットなどを使用して保管するといいでしょう。


さらにそれらをUSBメモリなどで保存すればパソコンなどの買い替えにも備えることができます。

給与明細の保管方法②エクセルなどで内容を記録する

エクセルなどのもあります。表計算ソフトで金額を入力する方法


お勧めは明細に記載されている全ての項目です。


基本給、時間外手当、家族手当や交通費などの支給関係、健康保険料、介護保険料、年金、所得税、住民税などの控除関係の金額です。


ただこれは大変手間もかかりますので、支給金額と税金と社会保険料、手取り金額のみでもよいでしょう。


表計算ソフトでデータ化しておくことにより、毎年の金額の推移がわかり、ライフプラン作成にも一役買うことができます。


データ化と併用して給与明細画像をエクセルに張り付けておきましょう。

給与明細を保管するおすすめのアプリ・ソフトを紹介

今では給与明細をアプリやソフトを使って保存することもできます。


そこでおすすめのアプリとソフトをご紹介します。

  • やよいの青色申告オンライン
  • 給料明細.net
  • フリーウェイ給与計算
やよいの青色申告オンラインでは青色申告も同時にできるソフトです。

給料明細.netではこちらのサイトに必要な項目を記入すると自動的に給与明細を作成してくれます。

フリーウェイ給与計算では給料を受け取る方にも給料を支払う側の方にもおすすめなソフトです。その理由は5人までの給与明細が無料で作成できます。さらに課金をすることで管理する人数を増やすこともできます。

また税率や保険料率の改正があった時にはインターネットを経由しているため、最新の情報で計算されます。

この他にも自動的に給与を計算できるアプリやサイトがありますので、ご自身で使用してみて給与明細の内容がきちんとあっているか確認するのもおすすめです。

まとめ:給与明細は発行から最低二年間は保管しよう

給与明細と保管期間についてご紹介してきましたがいかがでしたか。


この記事のポイントは

  • 給与明細の保管するべき理由
  • 給与明細の保管期間
  • 給与明細は保管方法
  • 給与明細の保管のおすすめアプリ・ソフトの紹介
以上の点です。

給与明細はついつい処分してしまいますが自身が勤労し、その対価として賃金を得て税金や保険料を支払い社会生活を行っていることの証明なのです。

それを確認することで、自身が1ヶ月間どのように働き、何をどこに納めているのか一度見直してみることによって、様々な法律に規定され守られながら、権利や義務を行使していることを実感できるのではないでしょうか。


今回、解説した通り給与明細は様々な場面で使えます。そのため2年間は保管しておきましょう。書類では無くしてしまったり、かさばって場所も取ってしまいますので、写真・アプリやソフトにデータとして残しておきましょう。無料で利用できるものを使えば費用もかからなくてすみます。

ほけんROOMではこの他にもマネーライフに関する記事が多数掲載されています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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