更新日:2019/07/13
つみたてnisaのリバランスはしない方がいい?その理由や解決策を紹介
投資を経験したことがある方はリバランスという方法をご存知だと思います。一般的な投資においては安定した資産運用の為に行われるリバランスですが、つみたてnisaの場合は事情が異なります。この記事ではつみたてnisaのおけるリバランスの有用性について考察します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
つみたてnisaのリバランスはおすすめできない
安定した老後の資産運用に、税金面でも大変お得で比較的運用もかんたんなつみたてnisaを利用している人も多くいます。
しかし、そんなつみたてnisaの運用時に迷うのが、リバランスをすべきかどうかというところですよね。
結論から言うと、つみたてnisaのリバランスはまったくおすすめはできません。
そこで、この記事では「何故つみたてnisaのリバランスはおすすめできないのか」の理由について、
- つみたてnisaのリバランスとは何か
- つみたてnisaのリバランスにおける有用性
- つみたてnisaは何故リバランスの効果が薄いのか
以上のことを中心に解説していきます。
この記事を読んでいただければ、つみたてnisaにおいてリバランスが重要ではないことを知ることができ、つみたてnisaの運用方法の参考にしていただけます。
是非最後までご覧ください。
そもそもつみたてnisaのリバランスとは
つみたてnisaは、2018年1月から開始した投資方法のひとつで、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
つみたてnisaで取り扱っている投資商品は、手数料が低水準であるものや頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されています。
また、つみたてnisaによって得た利益には20年間といった長期に渡って所得税・住民税といった税金がかからないという特徴があります。
このことによって、投資信託等を一般的なものよりもさらに長期間に渡って保有することを促し、資産形成を進めるための制度と言えます。
しかし、長期投資に向いている商品とはいっても、つみたてnisaの商品は株価に連動する商品で構成されているため、毎日価格が変動していきます。
そのため、価格変動による影響が長期間に亘ってくると、思ったほど利益が出ていないなど当初の目論見通りに資産運用の結果を出すことができなくなることがあります。
このようなときは、「リバランス」という調整を行う必要があります。
例えば、Aという投資信託とBという投資信託をそれぞれ40万円で購入したときは、AとBの比率は50%ずつとなります。
その後、価格の変動によりA投資信託が30万円、B投資信託が70万円になったとすると、AとBの割合は30%︰70%となり、保有資産の中のバランスが崩れます。
このとき、A投資信託とB投資信託の割合を元の50%︰50%に戻すことをリバランスと言います。
つみたてnisaのリバランスの方法とその頻度
つみたてnisaをリバランスするためには、ふたつの方法があります。
それが「売買」と「買い足し」です。
「売買」とは、手持ちの投資商品の中で割合が少なくなった商品を購入し、割合が多くなった商品を売却することで、保有資産の総額を変えずに割合を当初の状態に戻すことを指します。
上記の例で言えば、A投資信託を追加で10万円購入し、B投資信託を30万円分売却することによって、A投資信託とB投資信託がそれぞれ40万円ずつとなり、当初の割合に戻すことができます。
なお、この方法でリバランスを行う場合、売却をしたときに税金や解約手数料(信託財産留保額)がかかります。
また新たに投資信託を購入する時に、購入手数料(ノーロードではない場合)が発生してしまうため、極度にリバランスを行いすぎることは運用損益の面でかえってマイナスになってしまう可能性が生じるため注意が必要と言えます。
一方で「買い足し」とは、新たに商品を購入することで当初の割合に戻すという方法です。
同じく上記の例で言えば、A投資信託を40万円追加購入することによってA投資信託、B投資信託がそれぞれ70万円となり、元の50%︰50%に戻すことができます。
買い足しによってリバランスを行う場合、保有資産全体が膨らむため、追加の資金が必要となることがデメリットと言えます。
またリバランスの頻度については、割合で何%以上ずれたときに行う、一年ごとなどに期間を区切って行う等、色々な基準があります。
いずれにも正解はなく、自身の資金や投資スタイルによってリバランスを行うかどうかを決めることとなります。
つみたてnisaはスイッチングができない
また、リバランスのもうひとつの方法として「スイッチング」というものもあります。
これは、保有する商品の内訳を一部または全部他の商品に振り替える操作のことを指します。
これも上記の例で言えば、B投資信託を20万円分A投資信託に振り替えることによって、A投資信託とB投資信託がそれぞれ50万円ずつとなり、50%ずつのリバランスとなります。
ただし、スイッチングによるリバランスはつみたてnisaでは行うことができません。
スイッチングによるリバランスを行うことができる投資はiDeCoのみとなります。
このため、つみたてnisaはあまりリバランスに向いている商品とは言えず、リバランスを重視する投資スタイルであればiDeCoを選んだほうが賢明です。
バランスファンドを選べばリバランスは不要!
そもそも投資を行うときには分散投資をすることが基本ですが、つみたてnisaにおける商品である投資信託の場合、はじめから分散投資の効果を得ることのできるバランスファンドが存在します。
バランスファンドでは価格変動によるリスクを抑えるため、安定性の高い債権などを中心にあらかじめ複数の商品が組み合わさったもので構成されています。
また、あらかじめ株式や債権の割合が決められており、価格変動時にはファンドがリバランスを行ってくれる商品でもあります。
そのため、わざわざ自身でリバランスを行う必要がなく、はじめからバランスファンドの商品を購入しておけば、定期的なリバランスを行う必要はありません。
バランスファンドのメリット・デメリット
一般の投資では定期的なリバランスが望ましい
通常の投資においては、定期的にリバランスすることはリスク回避の面において重要なことであり、見直しは望ましいことです。
しかし、つみたてnisaにおいてはここまでに述べたとおり、そもそもリバランスに向いていない投資です。
リバランスのための売却によって非課税投資枠が減ってしまったり、追加投資によるリバランスができないことなどもあり、リバランスしようとするのはおすすめはできません。
ノーセルリバランスという解決策も
ノーセルリバランスとは、資産を売却することなく追加の購入のみでリバランスを行う方法です。
積み立て時に債券や投資信託など、割合が減少した資産を多めに購入することで、価格変動によるバランス変動をもとに戻す方法です。
この方法であれば、当初に決めた資産の割合を崩すことなく追加購入をしていけば良いだけなので、決められたルールに従って投資をしているだけとなり、難しく考えなくとも効果が得られるということがメリットになります。
ただし、この方法にはデメリットもあります。それは、追加で投資信託等を購入するための資金が必要になるということです。
特に価格変動により大幅に資産価値が減少したものを補填するときは、かなりの資金が必要となります。
ノーセルリバランスも万能な解決策ではないということです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)などでリバランスする方法も
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、つみたてnisaと同様に老後資金を溜める上で有効な投資方法のひとつです。
毎月5,000円~最大68,000円までの間で一定金額を拠出し、定期預金や保険などの安定性の高い資産、または投資信託や債券などの価格変動のリスクのある商品を一定額の中から割り振って購入し、資産を形成するための制度です。
iDeCoにもつみたてnisaと同じように非課税制度があり、基本的に投資商品の価格変動による利益は全額非課税となります。
iDeCoには60歳まで積み立てた資金を引き出すことができないというデメリットもありますが、老後の資産形成としては優れた手段です。
このiDeCoを使って、つみたてnisaのリバランスをする方法もあります。
iDeCoではスイッチングによる資産割合の変更が可能なため、例えばつみたてnisaにおいてリスク資産の割合が増加したとき、iDeCo側のリスク資産を預金にスイッチングして、トータルでバランスを整えるといった具合です。
他にも、株式や投資信託、不動産など複数の投資を組み合わせてリバランスするという方法もあります。
つみたてnisaだけでは所有することのできない資産もあり、複数の資産を持つことはリスク分散にも繋がり、リバランスとしても正しい方法です。
まとめ:つみたてnisaのリバランスは避けた方が良い
つみたてnisaのリバランスはおすすめできないということについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回のこの記事のポイントは、
- 投資商品のリバランスには売買と買い足し、スイッチングがあるがつみたてnisaにはスイッチングが無い
- つみたてnisaで売却を行うと非課税投資枠が減ってしまいリバランスが行いづらい
- 一般的な投資ではリバランスは有用だがつみたてnisaでは必ずしも有用ではない
です。
つみたてnisaの非課税枠などの特徴はリバランスとの相性が悪く、制約も多いため必ずしも一般的な投資のセオリーは当てはまりません。
長期投資をするという原則を前提として、つみたてnisaに合った投資方法を心掛けるようにしていきましょう。
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