小切手の書き方って?銀行小切手の書き方と裏書の書き方を解説

小切手の正しい書き方は小切手法により決まっており、金額・振出人・振出日などの項目があります。また、持参人払式小切手や記名式小切手、指図式小切手は通常と書き方が異なります。今回は、通常の銀行小切手の書き方に加え、裏書の場合の書き方や書き方の注意点を解説します。

小切手の書き方って?銀行小切手の書き方と裏書の書き方を解説


ビジネスにおいて、小切手は現金の代わりとして広く利用されていることは知っていると思います。


ただ、ネットバンキングの普及で小切手を使う会社も減ってきています。いざ「小切手を切ってください」と言われたら、書き方がわからずに戸惑う人が多いのではないでしょうか。


実は小切手の書き方には決まりがあります。小切手は現金と同じように扱えるので便利ですが、書き方を知っておかないと不正払い出しや偽造の被害に遭う可能性があります。


そこで、この記事では「小切手の書き方」について、

  • 記入箇所ごとにどう書けばいいのか
  • 受取人を指定するときの書き方はどうするのか
  • 小切手を譲渡したいときにはどうすればいいのか
などについて解説していきます。

この記事を読んでいただけたら、小切手の書き方に関する基本的なことを知ることができるので、ぜひ最後までご覧ください。

小切手とは

ドラマや漫画の世界では目にすることも多いですが、金融系や経理系の職業に就いていなければ、現実世界で小切手を扱うことは、ほとんどないのではないでしょうか。使い方の解説をする前に、まずは前提知識として、小切手の概要について理解しておきましょう。


小切手とは、現金での支払いに代わる決済方法で、小切手の発行者が指定した金額を支払うことを約束した証明となります。決済金額が高額となる、企業間での取引などでよく利用されます。


仕組み自体はシンプルで、

  1. お金を支払う人(振出人)が当座預金口座を作り、小切手帳を受け取る
  2. 1.の口座にお金を入金する
  3. 振出人がお金を受け取る人(受取人)に支払額を記入した小切手をわたす
  4. 振出人が銀行に小切手の換金手続きをする
  5. 銀行は、1.の口座から受取人に必要な金額を支払う

が基本の仕組みです。いざ利用することになった際に慌てることがないように、ぜひ覚えておきましょう。

小切手の特徴

小切手は前述した仕組みや性質から、以下のような特徴があります。商取引において長らく利用されてきたのは、このようなメリットを活用するためです。

  • 大量の紙幣や硬貨を持ち歩く必要がない
  • 振出人・受取人双方で金額を確認する手間が省ける
  • 紛失や盗難のリスクを抑えられる
  • 銀行に支払いの記録を残すことができる
  • 振り込みに比べると安価に支払いができる場合がある
  • 同時履行性(支払・受取を同時に確認できる性質)が高い

現在は電子取引も一般的に利用されているので、小切手の利用件数は年々減少しているのが実態で、平成2年のピーク時と比較すると、約8分の1まで利用件数は減少したといわれています。

参考:小切手の種類

小切手には種類があり、利用用途に応じて使い分けることができます。参考までに紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。


線引小切手

小切手の表面左上にある、2本の平行線が特徴です。小切手のお金を誰に支払ったのかが確実に分かるようにするためのもので、指定された受取人、または銀行のみにお金が支払われます。


持参人払小切手

誰でも換金が可能です。自由度が高い反面、小切手を紛失したり、盗難にあった場合に、不正利用されてしまうリスクがあるので注意しましょう。


先日付小切手

振出日に未来日が書かれています。振出する時点ではお金を準備できていないが、将来的に資金調達が可能な場合に利用します。

小切手の記入箇所ごとの書き方

小切手は振出人が金額などの必要事項を正しく記入して、取引相手に渡さなければいけません。ひとつでも書き方を間違えていると円滑な商取引ができなくなります。


また、振り出すだけでなく、受け取る側になる可能性もあります。トラブルに巻き込まれないためにも、正しい書き方を覚えておきましょう。


小切手に書かなければいけないことは小切手法で決められています。それらの必要事項が記載されていないと、小切手としての効力が認められません。


そこで、小切手の以下の記入箇所ごとの書き方を詳しく解説します。

  • 金額
  • 振出人
  • 振出日
  • 銀行渡り
  • 割り印

書き方①:小切手の金額の書き方って?手書きの場合は漢数字で書く

金額の書き方は、チェックライターを使う場合と手書きによる場合で異なるので注意してください。


チェックライターの場合は、金額の頭に「」マークを付け、算用数字で金額を書き、最後に「☆」や「※」を記入します。


手書きの場合は、金額の頭に「金」とを付け、続けて金額を漢数字で書き書き、最後に「円也」と記入します。たとえば¥123,456なら、「金壱拾弐万参千四百五拾六円也」と書きます。


金額の前後に記号を付けるのは、前後に数字を追加して金額が書き換えられることを防止するためです。


また、「\100,000」と書くべきところを間違って「\1,000,000」と書いて渡しているのがあとでわかっても、法律的に違反していない限りその小切手は有効なので、金額を記入する際には充分気をつけてください。

書き方②:小切手の振出人

小切手の振出人とは支払いを委託する人、または企業のことをいいます。小切手の振出人の欄の書き方は、振出人が個人か企業かによって異なります。


個人の場合は「自著」または「記名捺印」で署名します。一方、企業の場合は「会社名」「代表者の資格名称」「代表者氏名」を記載します。


なお、捺印に使用する印鑑は銀行届出印となります。


また、あらかじめ署名しておくことはトラブルのもとになるので、問題がないことを確認したうえで、最後に署名・捺印するようにしましょう。

書き方③:小切手の振出日

小切手の振出日の日付は、小切手を作成した日の日付を書くのが一般的です。しかし、作成日より先の日付を記入したり、空欄にすることもできます。これは、小切手の支払い呈示期間に関係します。


作成日より先の日付を記入した小切手は先日付小切手と呼ばれます。資金繰りの都合上などで、当事者同士の話し合いで将来の一定期日まで銀行に持ち込まないことを約束して発行されたものです。


しかし、これはあくまでも当事者間の信頼関係に基づいているだけのものです。何らかの理由で第三者の手に譲渡されるなどで期日前に銀行に持ち込まれた場合には支払いの義務が発生します。


その際に当座預金の資金が不足していた場合には不渡りを出してしまうリスクもあるので注意が必要です。


必要事項の全部または一部が空欄の小切手は白地小切手と呼ばれます。振出日が空欄の場合は受け取り側が振出日を記入することができます。


なお、小切手の呈示期間は小切手の振出日を含めて11日以内(11日目が銀行の休業日の場合は翌営業日)です。

割り印はなくてもOK

小切手は偽造防止のためにミシン目部分に割り印を押し、ミシン目から切り離した右側の部分を相手に渡すことが慣例となっています。しかし、実際には割り印がなくても小切手を使うことはできます。


そもそも小切手法には割り印についての条文はなにもありません。割り印について法的な拘束力はなにもないので、あってもなくても問題はありません。

注意:銀行渡り(線引き)を忘れずに

小切手の左上に二本の平行線を引いたものを線引小切手といいます。線引小切手は小切手を受け取ることができる人を制限しているので、小切手のお金が誰に支払われたのかがわかるようになっています。


しかし、この二本の線が入っていない小切手は持参人払式小切手と呼ばれ、小切手を銀行へ持っていった人へ支払いが行われます。つまり、拾った人や盗んだ人に不正に換金される危険性があるのです。


 不正利用を防ぐためにも、小切手を振り出す際には銀行渡りを忘れずに書くようにしましょう。


なお、線引小切手には以下の2種類があります。

  • 一般線引小切・・・平行線の間に「銀行渡り」「銀行」「Bank」などと記載された小切手
  • 特定線引小切手・・・特定の銀行名が記載され、指定銀行でしか支払いができない小切手

参考:金額の書き方を間違えて記入してしまった場合

実務上銀行は、金額が訂正された小切手は安全性の面から支払いを行わないことになっています。金額を間違えた場合は、必ず新しい用紙に書き直してください。


また、トラブル防止のためにも、書き損じた小切手は破棄処分するなど、その取扱いにも充分注意してください。


なお、金額以外の部分は訂正することができるので、以下の方法で訂正します。

  1. 訂正したい箇所に二重線を引く
  2. その上に正しい内容を記載し、金融機関の届出印を押す

小切手の特殊な書き方

小切手は受取人の記載の仕方によって、

  • 持参人払式小切手
  • 記名式小切手
  • 指図式小切手
の3つに分けられます。

一般に流通しているのは持参人払式小切手であり、それを渡すことで相手に現金を渡したのと同じ効果があります。

記名式小切手と指図式小切手は受取人を指定する小切手ですが、その特殊な書き方を以下で詳しく解説します。

記名式小切手の書き方

小切手は金額欄の下には、小さな文字で「持参人へお支払いください」と書かれています。この持参人の文字を二重線で消して訂正印を押し、特定の受取人の名称を記載した小切手を記名式小切手といいます。


記名式小切手では受取人が特定されるため、不正取得者へお金が支払われるリスクが非常に低くなるメリットがあります。

指図式小切手の書き方

記名式小切手と同様に持参人の文字を抹消して訂正印を押し、「○○殿またはその指図人」と記載した小切手を指図式小切手といいます。


指図式小切手の効力は、記名式小切手と同様です。


なお、記名式小切手または指図式小切手では、受取人が小切手を現金化する場合には裏書が必要です。


これは、記名された人が譲渡したことを証明し、所持している人が支払いを受けることができるようにするためです。


そのため、最初の受取人AがBへ小切手を譲渡し、Bが銀行で現金化する場合にはAとBの両名の裏書が必要になります。

小切手の裏書の書き方

小切手はいつでも換金できるので譲渡される例はあまり多くありませんが、譲渡することも可能です。その際には小切手の裏側に譲渡する人が署名または記名捺印し、小切手を譲り受ける者の名称を記載します。


裏書された小切手が不渡りとなった場合、小切手の所持者は譲渡人すべてに支払いを請求することができます。つまり、小切手を裏書して譲渡した人は、譲渡した相手に責任を負う必要があるのです。


そのため、裏書は前回の裏書の受取人と今回譲渡する人の記名が一致していないといけません。裏書が連続していないと正当な権利者と推定されないからです。


ただ、記名式小切手や指図式小切手は前述のとおり裏書が必須ですが、持参人式小切手の場合は裏書をしてもしなくてもよいことになっています。


小切手の裏書の書き方の注意点について、以下にご説明します。

小切手の裏書にはパターンがある

小切手の裏書の書き方には、印鑑がいる場合といらない場合があります。


住所と氏名を手書きで署名する場合には、印鑑は不要です。一方、ゴム印などで記名する場合は捺印する必要があります。


自署する場合は本来押印は不要ですが、銀行によっては押印を求められるケースもあります。ひと手間ではありますが、小切手の裏書には印鑑を捺印しておくのが無難です。


もちろん、裏書に住所を記入しない場合は印鑑が必要なので注意してください。

小切手の裏書を訂正する場合

よくある裏書の間違いや不備には、以下のようなものがあります。  

  1. 社判の印字や印鑑がにじんでいて不鮮明である
  2. 印鑑が紙からはみ出して途切れている
  3. 印鑑が重なっている
  4. 社判や印鑑が枠からはみ出して、披裏書人欄にかかっている

2や3の場合は、同じ印鑑をほかのものと重ならないように枠内に押し直します。


それ以外で裏書の書き方を間違えてしまった場合は、間違えた裏書欄全体に×印を書きます。印鑑があれば、その×印の中央に訂正印を押印しておくのがいいのですが、なくても構いません。

アメリカの小切手の書き方とは

参考までにアメリカの小切手(パーソナルチェック、Personal Check)についても解説します。


アメリカの銀行に口座を開設すると小切手帳(check book)が発行されます。以下の必要事項を記入すると現金の代わりに利用することができます。

  • 日付(DATE):振出日を記入
  • 支払先(Pay to the order of):会社名や個人名など誰に支払うのかを記入
  • 金額:数字と英語それぞれで支払額を記入します。
  • 支払理由(MEMO):何の支払いかを記入します。任意項目です。
  • 署名:口座開設時と同じサインを記入します。

また、小切手を受け取った場合は、銀行窓口での手続きか、ATMでの換金をすることで、お金を受け取ることができます。


クレジットカードなどと同じように、電気や水道の支払いなど日常的に利用される決済方法です。留学などで長期滞在を考えている場合は、予め詳しい利用方法をチェックしておきましょう。

小切手の換金方法

実際に小切手を受け取った場合、どうやってお金に換えればいいのか、注意すべきポイントは?が気になるところでしょう。次項以降では、具体的に以下の3点を解説します。

  • 小切手の換金方法について
  • 小切手の換金期間
  • 換金時の手数料について

普段小切手を扱うことのない場合は、なかなか知る機会も少ないでしょう。スムーズにお金を受け取るためにも、ぜひ最後までチェックしてみてください


小切手の換金方法①持参人が銀行で小切手の支払いを受ける

小切手を受け取ったら、まずは銀行に行きましょう。

  • 自分が普段利用している銀行
  • 小切手に記載されている支払銀行
どちらの銀行でも換金手続きは可能です。小切手と印鑑、身分証明書を持参します。また、支払銀行に直接持参して手続きする場合は、すぐに現金化できるのに対し、普段利用している銀行に持ち込んだ場合は、換金までに3日程度かかります。

これは、普段利用している銀行から、手形交換所とよばれる手形・小切手の取引所で支払銀行との間で小切手と現金の交換取引された後に口座に入金されることになるからです。急いでいる場合や、普段利用している銀行窓口が遠いなどの事情がある場合は、支払銀行を利用しましょう。

小切手の換金方法②小切手の換金期間は振出日から10日間

換金には期限があります。小切手に書かれた「振出日」を必ずチェックしましょう。振出日とは小切手を発行する日付で、発行時点でお金を準備できていない場合などは、未来日が設定されています。


換金可能期間は、振出日を基準にして10日目まで(振出日を含めると11日間)とされており、この期間を超えてしまうと換金することができません。うっかり銀行に行くのを忘れてしまうことのないよう、速やかに手続きをすることがポイントです。


なお、小切手を受け取る際は、振出人・振出日・金額を必ず確認し、記入漏れがあればその場で指摘することが大切です。


小切手の期限についての記事でより詳しく解説しているので是非参考にしてください。

小切手の換金方法③同じ銀行でも支店が異なると手数料がかかる

小切手の換金においては、

  • 振出:支払銀行に指定された銀行・支店で現金化すること
  • 取立:支払銀行以外で現金化すること

の2種類があり、支払銀行が同じで別支店の場合は、手数料がかかる可能性があるので注意しましょう。


振出では、同一行内で取引が完結するので手数料はかかりませんが、取立は、全国各地に存在する手形交換所にて小切手から現金への交換を行います。手数料は銀行によって金額が異なり、600~1,200円程度となります。

参考:小切手と手形の違いとは

小切手と同じような使い方をするものに「手形」があります。金融機関や経理担当として仕事をされている方はもちろん、会計や簿記の勉強をされている方は、売掛金や買掛金として聞きなじみのある言葉でしょう。


小切手と同じように現金の代わりとなる決済手段で、使い方や仕組みは基本的には同じです。大きな違いは、手形が発行後すぐに現金化できない点にあります。手形を発行します当座預金口座にお金が準備されていなくても将来確実に資金調達できる場合は、未来の支払日を指定します。


支払期日までは銀行窓口に持参しても換金することが出来ず、不渡となるので注意が必要です。

まとめ:小切手の書き方をマスターして取引を円滑に進めよう

小切手の書き方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

今回の記事のポイントは、
  • 小切手は現金の代わりとして利用し、高額の決済金額となる取引において利用される
  • 金額や振出人などの記入項目別の詳しい書き方は法的に決まっている
  • 不正な支払いトラブルに巻き込まれないためには、線引きを忘れないようにする
  • 小切手を譲渡したいときには、裏書きをすることで第三者に譲渡できる
  • 小切手の換金は、自分が口座を所有している銀行か、小切手に指定された支払銀行に持参する
  • 換金期間は、振出日は10日以内なので期限には要注意
  • 支払銀行以外では換金に手数料がかかる場合がある
でした。

小切手のメリットは現金の受け渡しをしなくてもいいところです。商談の場で突然1000万円が必要になった場合でも、わざわざ金融機関に行く必要もありません。

また、現金を持ち歩く必要もないので、盗難などのリスクも回避できます。一方、不渡りを出してしまうと会社の信用力が低下してしまうリスクもあります。

さらに、小切手の書き方を知らないと、ビジネスを行ううえで思わぬトラブルに遭う可能性もあります。円滑に取引を進め、資金繰りのトラブルに遭わないためにも、ぜひ小切手の書き方を覚えておいてください。

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