育休中・産休中にボーナス(賞与)はもらえる?もらえる職業、制度とは

育休中・産休中にボーナスをもらえる会社は多くありません。育休中にボーナスがもらえるかどうかは、会社の就業規則によって異なります。育休中にボーナスをもらえた場合、税金の支払いは必要ですが、社会保険料の支払いは免除されます。今回は、育休中のボーナスについて解説します。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

育休中・産休中にボーナス(賞与)はもらえる?


育児休暇中にボーナスをもらうことができるのか、という問題について関心のある方は多いことでしょう。


ボーナスは、毎月の生活費一部として家計に織り込んでいる家庭が多いのが一般的です。そのため、ボーナスがもらえる、もらえない、ということは家計にとって大きな問題となってきます。


育休中で仕事ができない時であってもボーナスがもらえるのであれば、とても助かりますよね。


実は、育休中でもボーナスをもらうことができる可能性はあります。ただし、職業や勤務先の状況によっても違いはあり、一律にもらえる、ということはできません。なかにはボーナスをもらえないケースもあります。


そこで、この記事では、育児休暇中のボーナスについて

  1. 会社の就業規則によって異なる支給の有無と内容
  2. 職業別に異なる支給例の紹介
  3. 税金との関係
  4. ネット上で多い疑問
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んで頂ければ、育休中のボーナスの有無や、もらえる場合に注意するべき点についてお役に立てるかと思います。ぜひ最後までご覧ください。

育休中・産休中のボーナスは会社の就業規則で異なる

会社員の場合、育休中のボーナスの有無は勤務先の会社の就業規則で違ってきます。


ボーナスは、労働の対価として当然に支払われる賃金とはみなされていません。事業者が従業員に支払わねばならない賃金を規定している「最低賃金法」では、ボーナスは賃金とされていないのです。


事業者は就業規則の定めでボーナスの有無や支給条件などを自由に定めることができます。たとえば、就業規則にボーナスの支給について記載がなければ、ボーナスを支払わなくても何ら問題はありません。


また、ボーナスの支給について記載があっても、その条件として会社の業績による旨の記載があれば、状況によっては支給しなくてもよいのです。その場合でも、法律上問題はありません。


そのため、育休中のボーナスについても、支給の有無は会社の就業規則の内容で違ってくるのです。育児休業取得検討する場合には、就業規則を確認することが必要でしょう。

育休中のボーナスは支給されないor減額されるケースが多い

民間企業では、育休中のボーナスは支給されないか、もしくは減額されるケースが多いといわれています。


ボーナスの支給については、先述の通り会社が定める就業規則によって取り扱いが異なります。いわば、ボーナスの取り扱いは会社の裁量に委ねられているわけです。


すなわち、就業規則に育休中のボーナスは支給しない旨の記載があれば、ボーナスは支払われません。


しかし、この記載がなくてもボーナスが支払われないこともあります。


通常、ボーナスは会社が定めた査定期間勤務状況を鑑みて支給されることとなっています。


たとえば、毎年7月と12月にボーナスが支給される会社の場合、通常前者については前年の10月から3月、後者については当年の4月から9月が査定期間とされています。この期間の勤務状況がボーナスの査定影響してくるのです。


育休を取得することによってこの査定期間すべてを休職した場合、ボーナスは支払われません。反対に査定期間の一部について育休を取得した場合には、休職した期間分を除いた期間が査定の対象となり、ボーナスが支給されることとなります。


ただし、支給額は育休期間に応じて減額される可能性があります。この部分については、会社が定める就業規則の内容によるので、一概にいうことはできません。

育休中のボーナスと育児休業給付金(育休手当)の関係は?

育休中のボーナスと育児休業給付金との間には何らの関係もありません育児休業給付金とは、民間の会社で働いていて育児休業を取得した人が、雇用期間や賃金の支払い状況などの一定の要件を満たした場合にから支払われる給付金のことをいいます。


育休期間中は、会社によって違いはありますが、給与が支払われなかったり、減額されたりすることが一般的です。そのため、その間の生活支援を国が行うことで、育休の取得を推進するべく設けられたのが育児休業給付金の制度なのです。


国の制度のひとつであり、民間企業が策定した就業規則によって支払われるボーナスとは主旨が異なるものです。育休中のボーナスが支払われないことがあっても、支給要件を満たしていれば育児休業給付金は支払われないことはありません。


なお、公務員の場合にも同様の制度が設けられていますが、こちらは呼び名が育児休業手当金となります。育休手当とは、育児休業給付金と育児休業手当金の総称です。


休職中のアルバイトに関してははこちらで解説していますので、ぜひ読んでみてください。

育休にボーナスを支給しないのは違法?

では、育休中にボーナスを支給しないのは違法になるのでしょうか。


実は、就業規則の中に「賞与は、休業中の者には支給しない」と記載されていても、評価期間中に1日でも働いていれば、その労働に応じた支給がないと違法になるのです。



冬のボーナスの評価期間が4月~9月で、支給月が12月の就業規の場合、6月から休業したとすれば次のようになります。4月~5月末までは働いていたので、この期間に応じた額のボーナスを支給しなければいけません。


しかし、6月~9月の休業中については、会社の就業規則に従います。もし、働いた期間があったとしても、就業規則に「賞与は、会社の実績と個人の成績を勘案し各人ごとに決定する」とある場合には、会社の実績次第でボーナスが支給がされないケースもあります。

参考:育休明けにボーナスは支給される?

続いては、育休明けにボーナスは支給されるのかということですが、ボーナスの支給は法律の義務でないため、残念ながらはっきりと答えることができません。支給額や支給日は、会社が定めることができるので自由なのです。


しかし、育休明けにボーナスの支給がない方を対象にした「見舞金」という制度がある会社もあります。


見舞金とは

  • 査定期間中全て欠勤又は給食の者について見舞金としてを19万円支給する
  • 見舞金は6月の給料日に支給する
  • 給料明細には「見舞金」と表示される
  • 見舞金は社会保険料控除の対象外とする

育休中・産休中にボーナスが出た実例を職業別に紹介

ここからは、育休中のボーナスの有無について職業別に解説していきます。ここで取り上げる職業は次の5つです。

  1. 国家公務員、地方公務員
  2. 教員、教師
  3. 保育士
  4. 看護師
  5. 郵便局員
一般企業に勤めるサラリーマンやOLの方の育休中のボーナスの扱いは会社が定める就業規則の内容によりますが、ここにあげた職業の場合には、それとは違った対応がされています。

国家公務員、地方公務員のケース

国家公務員や地方公務員の場合、育休中のボーナスの有無は過去半年間の出勤状況に左右されます。


公務員のボーナスが出るのは6月と12月。その査定期間は、6月は12月2日〜6月1日、12月は6月2日〜12月1日です。査定期間中の勤務実績に応じた形でボーナスが支払われます。


実際に次の例があります。(地方公務員の場合)

  • ボーナス月が12月(査定期間は6月2日~12月1日)
  • 育休期間が11月から翌年の6月まで
  • 勤務実績は査定期間中の6月から10月の5カ月間
  • 勤務実績の割合を計算すると、5カ月間/6ヵ月間=0,83
  • ボーナスの満額を100とすると、そのうちの83%の金額をもらうことができた

上記の例は国家公務員にもほぼあてはまります。


しかし、査定期間中に勤務実績なしの場合には、ボーナスは支払われません。

教員、教師のケース:公務員と同じ

教員は、先述の公務員と同じ扱いになります。すなわち、育休中でもボーナスは出るのですが、金額は査定期間中の勤務実績によるわけです。


育休中にボーナスが出た例には、次のものがあります。

  • ボーナス月が6月(査定期間は12月2日~6月1日)
  • 産休期間が2月~6月
  • 育休期間が6月~翌年の3月
  • 査定期間中は産休期間を含めて12月から1月は勤務実績があるが、それ以降、翌年3月までは勤務実績はなし
  • この例では、産休取得期間がボーナス査定期間にカウントされ、育休期間中の6月のボーナスは満額支給。
公務員は、産休期間はボーナスの査定に影響しません。そのため、上記のようになりますが、その年12月のボーナスは査定期間すべてが育休期間となっているので支払われません。

保育士のケース:私立勤務の場合は出ないことも

保育士の場合、勤務先が私立保育園であれば育休中のボーナスの有無は、そこの給与規則によって違ってきます。一般の企業と同じで、給与規則の内容によっては出ないこともあるのです。


これに対して、公立の保育園に勤務している場合には公務員と同じになります。この場合の実例は次の通りです。

  • ボーナス月が12月(査定期間は6月から11月)
  • 産休期間が7月から11月
  • 育休期間が11月から翌年9月
  • 実際の勤務実績は6月のみだが、教員の例同様、7月からの産休期間はボーナス査定に影響しないため、育休中の12月のボーナスは満額支給された
  • しかし、翌年6月のボーナスは査定期間(12月から6月)すべてが育休となっているため、支払われない

看護師のケース:勤務先の就業規則を要確認

看護師の場合、勤務先の病院の就業規則を確認する必要があります。育休中のボーナスについては、一般企業と同様に就業規則によるものとなっているからです。


就業規則に育休中の賞与についての規程がある病院の看護師については、次の例があります。

  • ボーナス月が7月(査定期間は11月から4月)
  • 産休取得期間が3月から6月
  • 育休取得期間が6月から翌年3月
  • 産休取得期間も含めて勤務実績は11月から3月の5ヵ月あったため、育休中の7月のボーナスはほぼ満額近い額が支払われた

郵便局勤務のケース:民営化後も公務員と同じような取り扱い

郵便局勤務の場合、ボーナスについては、郵政が民営化された後も公務員と同じような取り扱いがされています。


たとえば、ボーナスの支給月は国家公務員と同じ6月と12月になります。また、正社員の場合、産休期間、育休期間の取り扱いも公務員と同じです。そのため、正社員として郵便局に勤務している場合には、育休中のボーナスの有無についても公務員に準じるものと考えてよいでしょう。

産休中・育休中のボーナスに関する保険料・税金の取り扱い

産休中や育休中に支給されたボーナスから、社会保険料や税金の取り扱いはどのようになるでしょうか。ここからは、この点について次の順序で解説していきます。

  1. 社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は免除
  2. 所得税、住民税、雇用保険料はかかる
  3. 年末調整をする必要はある
  4. 配偶者控除を受けることができる

社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)が免除される

産休中や育休中に支払われるボーナスからは、一般的に社会保険と呼ばれる健康保険料厚生年金保険料の引き去りは免除されます。


これはボーナスに限ったことではなく、産休及び育休中に支払われる給与からの社会保険料の徴収は免除されることとなっているのです。


育休中に社会保険料が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月までとされています。たとえば、3月1日に育児休業を開始して、8月27日に終了したとすると、この場合の社会保険料免除期間は、3月から7月までとなるわけです。


この期間中にボーナスの支給があった場合に、社会保険料が免除されることとなります。当然ながら、この期間内ではなく別の時期にボーナスの支給がされた場合には、社会保険料の免除はありません。


ボーナスからの社会保険料免除が受けられるか否かは、ボーナスの支給時期によって決まる、と考えて良いでしょう。

税金(所得税、住民税)・雇用保険料がかかる

育休期間中のボーナスは、所得税や住民税、さらに雇用保険料が差し引かれて支給されます。所得税は給与所得があった場合にかかります。また、住民税は前年の所得に対してかけられる税金です。


そのため、産休中、育休中であっても、前年に所得があり、さらに今年ボーナスが支給されるのであれば、そこから所得税と住民税が差し引かれることになります税金については社会保険料のように免除されることはありません。


また、雇用保険料免除されず、ボーナスから差し引かれることとなります、会社から給与が支払われた場合には雇用保険料を支払う必要があるからです。


仮に、会社からの給与ではなく、国の制度である育児休業給付を受けている場合には雇用保険料は免除されますが、会社から給与が出ている場合にはその金額の多寡に関わらず、雇用保険料は免除されません。

育休・産休中でも年末調整は必要

産休、育休の期間であっても年末調整必要です。 

年末調整とは、その年に支払う所得税について前もって会社が給料から天引きした金額と正確な金額との差額を計算して調整することです。年末調整をすることで、給料天引きによって払い過ぎた金額があれば還付されますし、反対に少なければ追加で徴収されることとなります。 

産休、育休の期間であってもボーナスが支給された場合には、所得税がかかることとなるので年末調整を行って払い過ぎた税金がある場合には還付してもらうようにしましょう。 

育休・産休中でもボーナス金額によって配偶者控除を受けることができる

産休中、育休中であってもボーナスが出た場合、金額によっては配偶者控除を受けることができます。 

配偶者控除とは、所得税法上認められた税額控除のことです。すなわち、ボーナスを含めた年間の給与収入が103万円以下の配偶者がいる場合には、納税者本人の所得金額に応じた金額が所得税額から控除されます。

また、ボーナスを含めた年間の給与収入が201,6万円以下の場合には配偶者特別控除を受けることができます。 

なお、共働き世帯で妻の育休期間中、給与なしであったり、給与の支給があっても配偶者控除の枠内であったりした場合には、一時的に夫の扶養に入ることを検討するのも良いでしょう。

夫の扶養に入ることで、配偶者控除もしくは配偶者特別控除適用を受けることができ、節税に役立つからです。 

知恵袋に寄せられた育休中・産休中のボーナスに関する疑問

インターネット上での質問箱として利用されている知恵袋。ここには育休中のボーナスに関する数々の疑問が寄せられています。ここではその中から次の3点について解説します。

  1. 育休までのボーナスの査定期間との関係
  2. 育休中のボーナスの返却指示
  3. 育休を取った年の年収によっては扶養に入れる

育休までのボーナスの査定期間が短いと支給されない?

民間企業の場合、産休を含めて育児休暇を取る日までのボーナスの査定期間が短い場合にはボーナスは支給されるのでしょうか、というのが質問の主旨です。


査定期間中の勤務実績によってはボーナスがもらえないことがあるのでしょうか、と言い換えることもできるでしょう。


勤務実績が短ければもらえないのではないか、との疑問を持つ方もいるかと思いますが、これに対する答えは、会社に尋ねるのがよい、というものでした。


これまで解説してきたように、民間企業の場合、育休期間中のボーナスの支給については、その会社の就業規則の定めによります。そのため、就業規則に査定期間中勤務実績による、との記載があれば、仕事に出た日数が少なくてもボーナスが支給される可能性があります。

育休中のボーナスがマイナスで振込指示される?

育休中に支給されたボーナスから、産休中の欠勤控除との調整でマイナス分が出たため、その金額を会社に振り込むように指示された。このようなことはあるのかという質問です。


育休中にボーナスが出ない可能性については理解できるけれど、出たボーナスからマイナス分の返還を求められるのはいかがなものか、との疑問を持つ方もいるかと思います。


これに対する答えは、給与明細の確認をしてどの部分がマイナスとなるのかの説明を求めるべき、というものでした。


欠勤控除については、産休や育休で給与やボーナスが支給されていなければ対象となりません。しかし、産休、育休に入る前に欠勤があり、給与の前払いがされている場合、その分の給与は欠勤控除の対象となり、後日、社員請求することができます。


この質問はこのケースにあたり、給与明細を確認することで解決しました。

育休の年収次第で配偶者の扶養内に入ることができる?

育休中に出た給与やボーナスから所得税が引かれているが、この分は戻ってくるのだろうか、というのが質問の主旨です。


配偶者控除が使えるのであれば、所得税は戻ってくるのではないか、と考える方も多いことでしょう。この質問に対する答えも所得金額が103万円以内なら、所得税は戻る、というものでした。


育休中に給与やボーナスが支給された場合、その金額が103万円以内なら配偶者控除が、201.6万円以内なら配偶者特別控除が利用できるので、所得税は還付されます。


問題は共稼ぎで、妻が夫の扶養に入っていない場合です。配偶者に対する控除は夫の扶養に入っている場合に利用できる制度だからです。


その場合には、育休中年収が配偶者の控除対象となる金額の範囲内に収まっていれば、たとえば、妻は夫の扶養に入ることができます。そのうえで、配偶者控除もしくは配偶者特別控除を利用して、所得税の還付を受けることとなるのです。

まとめ:育休中・産休中でも就業規則によってはボーナスがもらえる

育休中のボーナスについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  1. 育休中でもボーナスはもらえるが、民間企業では就業規則、公務員では査定期間中の勤務実績により決められ、場合によってはもらえないこともある
  2. 育休中に支給されたボーナスからは、健康保険料、厚生年金保険料の支払いが免除される
  3. 育休中に支給されたボーナスには、所得税、住民税、雇用保険料がかかる
  4. 所得税については、年収によって配偶者控除もしくは配偶者特別控除の適用を受けることができる
です。

民間企業では、育休中のボーナスはなし、というところも多いようです。ただ、すべての企業がそのような規定をしているわけではありません。育休取得を検討する際には、就業規則を確認するようにしましょう。

また、年収によっては配偶者に対する控除制度を利用することができます。一時的に配偶者の扶養に入ることも可能です。

ここで解説した知識を利用して、育休中のボーナスの取得や活用に役立てましょう。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたいマネーライフに関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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