育休中のボーナスはいくらもらえる?パパ育休のおすすめ期間とは?

更新日:2020/11/20
育休中にボーナスがもらえる条件は何か、ボーナスをもらった場合に社会保険料や税金がかかるのかを解説しています。またパパに向けて、1日から取得できる育休をうまく活用することで手取り金額がアップするお得な情報も。そのほかにも損しないための節税対策を紹介します。
育休中にボーナスはもらえる?
育休中のボーナスがもらえるかは就業規則によって異なる
育児休業は子を養育するために親が取得できる休業のことで、その内容は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児介護休業法)によって定められています。
しかしながら法律で定められているのは休暇をとる権利のみで、休暇中の給与やボーナスについての規定はありません。
これらについては事業者が就業規則などに定めており、就業規則は労働基準法第百六条で従業員が閲覧できる場所に設置もしくは掲示しておかなければならないとされています。
育休中にボーナスの支給があるかどうかは就業規則でどのように規定されているか自身で確認する必要があります。
規定によってはもらえる場合もあればもらえない場合もあるでしょう。
ここではその就業規則の確認事項や、ボーナスをもらえたケース、育児休業給付金との関係を見ていきます。
就業規則のボーナス算定期間、受給条件を確認する
ボーナスは労働基準法では「労働の対価」であるとされてはいますが、必ず支払われなければならないものではなく、会社の就業規則等で支払うと決めた場合にのみ支払われます。
ボーナス支給についての就業規則で確認すべき点は2つあります。
ボーナス算定期間
算定期間は支給の対象となる期間のことです。通常はいつからいつまでの期間の企業の成績、各労働者の成績、人事評価、などでボーナスを支給するとの規定が設けられています。この算定期間に自分が在籍し働いていたかを確認する必要があります。
ボーナス受給条件
受給条件とは算定期間内の勤務日数や、ボーナス支給日の在籍要件など会社の定めた条件です。
どのように記載があるのかは会社のよるので一概にはいえませんが、算定期間内のある程度の勤務日数が必要となることがほとんどです。産休中、育休中の取り扱いについても記載があれば確認します。解釈が不明点があれば人事部や総務部に確認するといでしょう。
この算定期間、受給条件にあてはまっていた場合はボーナスがもらえることになります。逆にどちらかが当てはまらなければもらえませんので、ここはしっかり確認しましょう。
職業別、育休中にボーナスをもらえたケース
では実際に育休中にボーナスをもらえた3つのケースについてご紹介します。
公務員(地方公務員)
公務員の場合、ボーナス支給は6月と12月で受給条件はそれぞれ1日の在籍者、その算定期間は支給月以前の半年間です。
支給日が育休中であっても、その算定期間に勤務実態があれば支給されます。通算30日以内の欠勤であれば査定には影響はありませんし、産休で休んでいてもその日数は勤務日扱いになります。
しかしそれ以外の欠勤などで勤務日数が少なければその分減額されますし、1年以上休職している場合は支給されません。
育休取得が5月から11月だった場合、6月のボーナスの算定期間は12月から5月の6カ月で、そのうち5カ月間は働いているので、8割ほどの金額をもらうことができます。
次の12月のボーナスは算定期間の6月から11月までがすべて育休中になるので支給されません。
教員
育休中にボーナスを受け取ると育児休業給付金は減額される?
育休中にボーナスを受給すると国からの支援金である育児休業給付金に影響はあるのでしょうか。
通常、育休中に給与をもらうと受給額は減りますが、ボーナスをもらった場合はどうなるのか確認していきましょう。
育児休業給付金は休業開始時賃金月額証明書、支給申請書、その他書類を提出して受給します。
休業開始時月額証明書は給付金の日額を決めるための資料で、実際の毎月の賃金を記入し届け出ます。この金額をもとに給付金の支給日額が決定されます。
ここに記載する賃金額には臨時のもの(ボーナス)の額は含みません。そのためいくらボーナスをもらっても給付日額には加算されません。
支給申請書には育休中に受給した賃金を記入する必要があります。ここに記載があれば受給額が減額されたり、もしくは受給できなかったりすることがあります。
しかし、この欄は記載方法の説明に「臨時の賃金、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金を除く」とありますので、ボーナスは育休中の賃金として申告の対象ではなく給付金に影響はないことがわかります。
育休中のボーナスは給付金受給額を左右しませんので、安心してもらうとよいでしょう。
育休中にボーナスをもらった場合、課税や控除はどうなる?
育休中のボーナスは育児休業給付金に影響がないことはわかりました。しかしながらボーナスから控除されている税金や社会保険料などはどうなるのでしょうか。
ボーナスの手取り額のみ確認して控除されている金額については今までそれほど気にならなかったとしても、実際に明細をきちんと見てみるとかなりの金額が控除されていることに気がつくでしょう。
育休中は育児休業給付金があるとはいえ、ベビーカーやチャイルドシート、ベビーベッドにベビー服とさまざまなお金がかかります。ボーナスからの控除はできるだけ少ないほうがうれしいですよね。
ここでは通常ボーナスから控除されている所得税、厚生年金保険料、雇用保険料、健康保険料(介護保険料含む)の育休中の取り扱いについて解説していきます。
育休中のボーナスは社会保険料免除
実は育休中にボーナスをもらっても、社会保険料(厚生年金保険料、健康保険料)は控除されず、支払いは免除されます。
日本年金機構のHPには「育児休業等期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、被保険者が育児休業の期間中に事業主が年金事務所に申し出ることにより被保険者・事業主の両方の負担につき免除されます」とあります。
また「この免除期間は、将来、被保険者の年金額を計算する際は、保険料を納めた期間として扱われます」とありますので、免除されたからといって、未納付となることもありません。
育休中の生活を不安をなくし、子育てに安心して取り組めるとてもありがたい規定ですね。
育休中のボーナスには雇用保険料や所得税がかかる
では雇用保険料や所得税についてはどうなるのでしょうか。
実は育休中にボーナスをもらった場合、雇用保険料は免除にはなりません。
厚生労働省のHPには育児休業給付金を受給中でも「事業主から賃金が支払われた場合は、雇用保険料の負担が必要です」とあります。
ボーナスはこの賃金にあたりますので、金額に相当する雇用保険料を支払わなくてはなりません。雇用保険の保険料率は年度や業種によって相違ありますが、0.3%から0.4%です。
また所得税についても免除されることはありません。ボーナスは労働の対価である所得には変わりなく、非課税の育児休業給付金とは違うため控除の対象です。
ただ所得税はそもそも概算での控除ですし、育休中は通常よりは低めに算出されますので、それほど大きな金額ではありません。
また後に述べる年末調整や確定申告で取り戻すことができます。
パパの育休を取るタイミングによってボーナスの手取り金額アップ
出産を担当する女性と違って、男性の育休は比較的自身で設定することができます。
パパの育休は取るタイミングによってボーナスの手取り金額が変わってくることはご存じでしょうか。
取得の期間次第では数万から十数万も受け取る金額が違ってくることがあります。しかもデメリットはありませんから、これを利用しない手はありません。
あらかじめその仕組みを知って計画して取得をすれば、ボーナスの手取り金額を上手にアップできます。育児のためにも少しでも手元にお金があったほうがいいですよね。
では、具体的どのように取得をすればよいのでしょうか。ここではそのカラクリについてご紹介します。手取りも増え、育児にも参加できるとなると一石二鳥ですね。
ボーナス月の月末に育休取得で保険料を節約できるカラクリ
ボーナスの手取り金額アップのカラクリは、育休の社会保険料が免除となる仕組みを利用しています。
具体的に社会保険料の免除の規定がどのようになっているのか見てみましょう。
保険料の徴収が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月(育児休業終了日が月の末日の場合は育児休業終了月)までです。(日本年金機構HP)
この規定を具体例に当てはめて受取金額を確認しましょう。
12月のボーナス支給でボーナス額70万、控除される社会保険料が以下のようであった場合
項目 | 控除金額 |
---|---|
健康保険料 | 35,000 |
厚生年金 | 64,000 |
◎12月15日~12月19日までの5日間育休を取った場合
育児休業開始月は12月、終了予定日の翌日の月の前月は11月です。規定にあてはめると社会保険料の免除期間はありませんので、社会保険料99,000円は支払わなくてはなりません。
◎12月30日~1月3日までの5日間育休を取った場合
育児休業開始月は12月、終了予定日の翌日の月の前月は12月となり、12月の給与及びボーナスの社会保険料が免除となります。ボーナスだけでも99,000円、12月の給与分を合わせると10万円以上の免除となり、その分手取り額が増えることになります。
また、会社が12月31日から1月3日がもともと会社が休みであったために実質12月30日のみの1日を休んだだけで免除となったそうです。
ただし育休は子どもの誕生~1歳までで原則1回のみになっています。(一部例外として「配偶者の出産後8週間以内の期間内に、父親が育児休業を取得した場合、父親はもう一度取得が可能」という規定あり)
タイミングや期間をきちんと考えて取るようしましょう。
会社側にもメリットがある
男性の育休取得については職場によってはまだまだ言い出しにくいなどの雰囲気もあるかもしれません。しかし男性の育休取得は会社側にもメリットがあります。
社会保険料の節約
会社は社会保険料の半額を負担しています。そのため育休中の社会保険料の免除は会社側の負担を減らすことにもつながるのです。実質、経費削減にもなりますので理解をしてもらえるチャンスでもあるでしょう。
育休取得の実績
また政府が推奨している男性の育休取得の実績として報告できることは、ワークライフバランスを重視した働きやすい職場であることのアピールにもなります。実績は各都道府県の労働局へ報告を行います。
職場での仕事の調整などの業務については従業員や会社側との話し合いが必要ですが、費用やイメージアップの面で双方にメリットのある制度なのです。
育休中のボーナスに付随する損しないための基礎知識
育休中は給付金の受給や、ボーナスの社会保険料免除などさまざまな制度が利用できることわかってきました。
ここでは育休中の忘れてはならない税金やボーナス、給与に関する手続きについて解説します。
扶養手当の確認
出産で子供ができれば扶養手当が支給される規定があれば、忘れずに申告します。扶養手当は育休中であれば支給されないこともあるので、妻が育休中であれば夫に申請してもらいましょう。
住居手当などその他手当の確認
妻が住居手当などももらっていた場合、育休に入るとこれらももらえなくなるでしょう。もし夫の勤務先でも同様の制度があれば申請をしておきます。
その他税金に関する手続きについては以下でご紹介します。お金に関することもきちんと押さえ、損をしないようにしましょう。
育休中は年末調整や確定申告が必要?
育休中は給与がないため、所得が少なくなっています。
そのため源泉徴収された所得税を年末調整や確定申告することによって返還されることがあります。
まずは1年間(その年の1月1日から12月31日)の給与の合計を確認します。育児休業給付金は所得ではありませんので合計には入れません。
給与合計が103万円以下ですと所得税はかかりませんので源泉徴収されていれば全額が返還されます。職場で年末調整してもらうか、確定申告をして納めすぎた所得税を返してもらいましょう。
共働きでも育休中に扶養に入って節税できる
給与・ボーナスの面から見た育休復帰のベストタイミングはいつ?
育休は原則子どもが1歳になるまで取得できますが、給与やボーナスの側面から見た復帰のタイミングはいつになるのでしょうか。
できれば復帰してすぐに給与やボーナスがもらえるとうれしいですよね。
これについては特に決まりなく会社の規定によります。やはり就業規則などの確認が必要になります。
給与規定の例(確認事項)
給与は労働に対する対価です。1カ月の労働分を翌月決められ日に支払いする企業がほとんどですが、企業によっては当月の勤務分を当月に支払う企業もあります。
これは残業や休暇などの金額増減の要素は翌月で調整し、当月の20日(企業による)にまだ未達の末日までを勤労したものとみなし、みなし給与を支払いすると規定があるからです。自身の会社がどのような規定になっているのか確認しましょう。
ボーナス規定
給与と同様に 支払い時期と算定期間、算定方法について確認します。公務員の規定のように6月のボーナスの算定期間は前月までの半年間であれば、6月に育休復帰した場合はボーナスはありません。
算定期間のどれだけを勤務すればボーナス支給の対象になるのかをあらかじめ確認して、逆算して復帰するのも一つの手です。
まとめ:育休中にボーナスはもらえる?
- 育休中にボーナスが支給されるかどうかは会社の規定による
- 育休中のボーナスは所得税と雇用保険料はかかるが、社会保険料は免除となる
- 男性の育休は月をまたいで取るとボーナスの手取り金額がアップする
- 育休で給与が減った場合は年末調整などで所得税の還付をうけることができる
- 年間給与合計が201万円以下なら配偶者の扶養に入り控除の申請をする

育児休業期間中にボーナス支給日がある場合、ボーナスはきちんともらえるのか気になりますよね。
最近は男性も育休を取ることが推奨されており、男性にとって育児に積極的に関わり女性の育児の大変さと子供の成長の大切さを味わえる貴重な機会となっています。
とはいえ、育休を取ると給与やボーナス、育児休業給付金との関係がどうなってくるのか心配なのではないでしょうか。
そこでこの記事では育休中のボーナスに焦点を当て