更新日:2023/02/23
60歳からもらえる年金はどれくらい?いつからもらうべきか解説!
「60歳から年金はどれくらいもらえる?」「何歳からもらうのがベスト?」このような疑問はありませんか?本記事で何歳からもらうべきなのか、60歳からもらう年金を増やす方法を詳しく解説していくので、ぜひご覧ください。
- 60歳からもらえる年金にはどんな種類があるか知りたい人
- 60歳からもらえる年金は何歳からもらうのがお得か知りたい人
- 60歳からもらえる年金を増やしたいと思っている人
内容をまとめると
- 60歳からもらえる年金は、国民年金・厚生年金・特別支給の老齢厚生年金がある
- 60歳からもらえる年金の受取りを繰上げしても年金が減額され、お得とは限らない
- 60歳からもらえる年金の受取りを繰下げると年金は増額される。上限は75歳
- 60歳からもらえる年金を増やす方法には、厚生年金の加入期間を延ばす・任意加入の利用・付加年金の支払いがある
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目次を使って気になるところから読みましょう!
60歳からでも年金はもらえる
誰でも60歳からもらえる年金、これはずっと前のことです。今や、年金は、原則65歳からしかもらえません。
「子どもが就職したので、会社を退職したい」「介護のために会社を辞めるしかない」などで早めの年金受給を希望する人も多いでしょう。
年金の早期受給を希望する場合、手続きすれば、60歳からもらえます。
この記事では年金を早めにもらうのと遅らせるのはどれくらい違うか、年金の種類や老後資金を増やす方法について解説します。
話題のNISAや保険、資産運用を活用して老後資金を増やす方法も紹介しているので、老後にゆとりをもって生活できる方法が見つかります。
年金支給開始年齢引上げが議論されている現在、早めに老後資金を準備しておくことが大切です。
60歳からもらえる年金の種類3つ
60歳からもらえる年金は次の3つです。
- 国民年金:すべての人が加入する年金「老齢基礎年金」ともいいます
- 厚生年金:会社員や公務員などで一定年収以上の人が加入する年金
- 特別支給の老齢厚生年金:一定条件を満たす厚生年金の加入者だった人が60歳から65歳までの間に受給できる年金
①国民年金
60歳からもらえる年金のうち国民年金は老齢基礎年金ともいわれ、20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければならない公的年金です。
国民年金保険料を納めた期間と保険料を免除された期間の合計が10年以上あれば、通常65歳から受け取れます。年金受給額は加入期間に応じて計算されます。
60歳から65歳までの間に繰上げ受給、66歳から75歳までの間に繰下げ受給も可能です。ただし、年金受給額は繰上げで減額、繰下げで増額されます。
国民年金加入者は、次の3つに分けられます。
- 第1号被保険者:自営業や農業に従事する人、学生や無職の人とその配偶者
- 第2号被保険者:会社員、公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
令和4年度の国民年金保険料は、月額1万6,590円です。第2号被保険者は、後述する厚生年金と合わせて納付します。第3号被保険者の納付は不要です。
②厚生年金
60歳からもらえる年金のうち厚生年金は、第2号被保険者である会社員、公務員などが国民年金に上乗せして加入する公的年金です。
厚生年金の保険料は収入により異なっており、標準報酬月額や標準賞与額に18.3%を掛けた額で算出されます。
算出された額には国民年金保険料も含まれており、本人と会社が折半します。
例えば、標準報酬月額が40万円とすると保険料は7万3,200円、本人負担3万6,600円です。同様に標準賞与額を70万円とすれば保険料は12万8,100円、本人負担6万4,050円です。
国民年金を受け取れる人に厚生年金の加入期間があれば国民年金と合わせて受け取れます。納めた保険料と加入期間に応じた額を年金として受給できます。
会社員として働いて、その後退職した人は、厚生年金をもらえる場合が多いので確認しましょう。
厚生年金も国民年金と同じように、60歳から65歳までの間に繰上げ受給、66歳から75歳までの間に繰下げて受給できます。
③特別支給の老齢厚生年金
- 生年月日が1961年4月1日以前の男性および1966年4月1日以前の女性
- 国民年金の受給資格期間(10年)を満たすこと
- 厚生年金保険に1年以上加入していること
60歳から年金をもらうとお得?
60歳からもらえる年金は、繰上げしてもらうとお得でしょうか。前倒しで受給すると減額されるので必ずしもお得とはいえません。
繰上受給開始年齢 | 1962年4月2日 以降に生まれた人 | 1962年4月1日 以前に生まれた人 |
---|---|---|
60歳0か月 | 24% | 30% |
61歳0か月 | 19.2% | 24% |
62歳0か月 | 14.4% | 18% |
63歳0か月 | 9.6% | 12% |
64歳0か月 | 4.8% | 6% |
75歳から年金をもらうことができる
年金改革関連法により、2022年4月から年金受給開始を75歳まで遅らせることが可能になりました。
繰下げの場合は、1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増額されます。繰上げより大きな割合です。
75歳から受け取るようにすると、「0.7%×12か月×10年」ですから、80%以上増額できます。
65歳からだと月額15万円の人が10年間遅らせて75歳から受け取ると、27万6,000円/月です。
繰下げ待機期間中に、もしも本人が亡くなった場合、遺族からの請求で65歳から支払われるはずだった未支給年金を受け取れます。ただし、年金額は65歳から払ったときの金額で計算されます。
年金受取を遅らせると年金額が増える
年金受取を遅らせると年金額を増やせます。どのくらい増えるのかみてみましょう。
▼繰下げしたときの増額率
繰下受給開始年齢 | 増額率 |
---|---|
66歳0か月 | 8.4% |
67歳0か月 | 16.8% |
68歳0か月 | 25.2% |
69歳0か月 | 33.6% |
70歳0か月 | 42% |
71歳0か月 | 50.4% |
72歳0か月 | 58.8% |
73歳0か月 | 67.2% |
74歳0か月 | 75.6% |
75歳0か月 | 84% |
1か月繰下げるごとに0.7%ずつ増えるので、70歳まで遅らせると42%、75歳だと84%もの増額になることがわかります。
遅らせて受け取ると、その後一生涯増えた金額で受け取れるので、長生きすればそれだけたくさん受け取れます。
反面、受取始めてすぐに亡くなるともらい損ねることになってしまいます。
また、年金受給者に年下の配偶者がいれば家族手当(加給年金)受け取れることがあります。加給年金を受けられるのは配偶者が65歳に達するまでです。
繰下げて加給年金を受け取れなくならないよう気をつけましょう
年金は複雑すぎてわかりにくいものです。繰上げ・繰下げの際は、事前に専門家や年金事務所に相談したほうがよいでしょう。
60歳からもらえる年金を増やす方法
年金の支給開始年齢引き下げが議論されています。今後は、支給開始が70歳、75歳になることがないとはいえません。
- 厚生年金の加入期間を延ばす
- 任意加入制度を利用する
- 付加年金保険料を支払う
①厚生年金の加入期間を延ばす
年金を増やす方法の1つ目は、少しでも長く働きながら厚生年金保険料の納付を続けることです。厚生年金は70歳まで加入できます。
働いていれば給与ももらえるのでその分の蓄えておけば老後資金として使えます。
60歳あるいは65歳で退職した後も働き続ければ、納めた保険料が多くなり、受給できる年金を増やせます。
厚生年金に加入しながら働く場合、支払われる給与(賞与も含む)と年金の合計額が一定額(47万円)を超えると、在職老齢年金に注意が必要です。
具体的にいうと、基本月額と給与の合計が47万円以下か超えるかにより、次の扱いです。
- 以下:全額支給
- 超える:超えた額の1/2が減額
ここで、基本月額とは年金を12か月で割ったものです。
例えば、基本月額15万円・給与40万円の場合、基本月額と給与の合計が55万円となり47万円を8万円超えるので年金は4万円減額されます。
減額された分が後から戻ってくることはありません。
②任意加入制度を利用する
何らかの事情があって未加入期間がある場合、国民年金は満額支給されません。
サラリーマンなら会社が管理してくれることが多いので未払いが生じにくいのですが、自営業等の人は振込を忘れることも多いものです。
また、学生のときに払っていないケースもよくあります。
満額受給するためには40年間の加入が必要です。納付期間が不足していれば、少しでも年金を増やすために任意加入制度を利用できます。
ただし、任意加入を利用するためには「厚生年金に加入していない」「60歳以上65歳未満」などの条件があるので注意しましょう。
③付加年金保険料を支払う
自営業に従事する人やその配偶者など国民年金の第1号被保険者は、付加年金保険料(400円)を加算して納めることにより将来受け取る年金を増額できます。
年金増額分は「200円×付加保険料を払った月数」で計算されます。
どのくらいお得になるか計算してみましょう。
50歳から60歳になるまで10年間、毎月400円の付加保険料を払ったとします。すると支払総額は400円×12×10=4万8,000円
付加保険料を払ったことによる年金増額分は、付加保険料を払った月数が120か月なので、
200円×120か月=2万4,000円
年金を1年間受け取るだけでは元を取れませんが、2年でトントン、2年を超えればお得にできます。長生きすればするほどお得です。
老後資金の準備方法4つ
公的年金を少しでも増やす方法を説明してきました。
- 働く期間を延ばす
- 資産運用をして備える
- 保険を活用する
- 貯金で備える
①働く期間を延ばす
働く期間を延ばすことにより、給与などの収入を得て一部を老後資金として蓄えることができます。給与などで得た収入は、
- 預貯金に貯めていく
- 保険で、もしものために保障を備えながらお金を増やす
- リスクはあるものの、リターンを期待して株や投資信託、NISAなどで運用する
厚生年金加入者として保険料をより多く納めれば、受け取る年金を増やすことも可能です。
②資産運用をして備える
現役世代のうちに資産運用で老後資金を蓄えておくことも大切です。
資産運用として預貯金・保険・投資信託・不動産・株式の他多くの種類があります。
なかでも利益が非課税になるつみたてNISAやNISAがおすすめです。少額から始められ、いつでも解約できるので、投資初心者にも適している運用方法といえます。
つみたてNISA、(一般)NISAの特徴は以下の通りです。
つみたてNISA
金融庁が指定する投資信託を年間40年間積み立てでき、利益は非課税です。最長20年間、最大800万円まで投資できます。
つみたてNISAは積立投資で時間分散が図られているのでリスクも低く抑えられています。
つみたてNISAについてつみたてNISAはやめたほうがいい!?現役FPが徹底解説で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
(一般)NISA
株式や投資信託を年間120万円まで購入でき、利益は非課税です。5年間保有可能、その後もロールオーバーを活用して継続できます。
2024年からは新しいNISA制度が開始されます。現行のNISA制度は、新制度と別枠・非課税で投資できるため、2023年中に始めておくのもおすすめです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)も公的年金の補完に向いています。拠出時・運用時・年金受取時の3つのタイミングで非課税メリットを享受可能です。
特に、国民年金の第1号被保険者は、厚生年金に加入できないので公的年金を補うために有効な制度といえます。30代、40代ごろから始めればある程度の老後資金を期待できます。
ただし、原則として60歳まで解約できないので始める際には、慎重にしましょう。専門家への相談もおすすめです。
③保険を活用する
老後資金の準備方法の3つ目は保険です。老後資金として利用できる保険として次の3つがあげられます。
- 個人年金保険
- 養老保険
- 終身保険
④貯金で備える
また、低金利はまだしばらく続くと予想されます。
とはいえ、余裕資金が多ければ、積み立てていくだけで増えるので備えることはできます。リスクもなく安心して蓄えていける方法といえます。
まとめ:60歳から年金はもらえるが年金額が減額される
こちらの記事では、60歳からもらえる年金はどんな種類があるか、早めにもらうのと遅らせるのでどれくらい違うかについて解説しました。