更新日:2024/03/07
医療保険の一種、「被用者保険」とは?給付内容をわかりやすく解説
公的医療保険は「健康保険」「国民健康保険」の2つに分けられますが、健康保険は「被用者保険」とも呼ばれます。被用者保険とはそのままの意味で、雇用されている人が加入する保険です。ここでは被用者保険と国民健康保険の違いについて解説し、被用者保険のメリット・デメリットも解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
医療保険の被用者保険とは?わかりやすく解説します
- 被用者保険と国民健康保険の違いとは?
- 被用者保険の中には「付加給付」がつく場合がある
- 医療保険の被用者保険のデメリットはある?
公的医療保険は被用者保険と国民健康保険の2種類に分けられる
- 会社員
- 公務員
- 船員
- 学生
- 専業主婦
- 自営業者
- 年金生活者
- 非正規雇用者やその家族
医療保険に加入していなければ、治療を受ける際の医療費が全額実費負担となってしまいますので、全ての人が被用者保険か国民健康保険のいずれかに加入しておく必要があるのです。
被用者保険に含まれる保険
被用者保険には、以下の4つの種類に分けられます。
- 大企業などに勤める人が加入する組合管掌健康保険
- 中小企業などに勤める人が加入する政府管掌健康保険
- 船員が加入する船員保険
- 公務員が加入する共済組合保険
「社保」や「協会けんぽ」と呼ばれる組合管掌健康保険 ・政府管掌健康保険・共済組合保険については聞いたことのある方が多いのではないでしょうか。
3番の船員保険とは、名前の通り船員として働く人が加入する被用者保険のことを指します。この船員について、船員法では以下の定義が設けられています。
日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。
被用者保険と国民健康保険の違いとは?
一方で、国民健康保険は、居住している自治体が運営している医療保険となりますので、地域保険に分類されます。被用者保険に加入できない人が加入する医療保険です。被用者保険とは違い扶養制度がありませんので、産まれたての赤ちゃんを含み国民健康保険に加入している全ての人が保険料を支払う必要があります。
このように、日本では「国民皆保険体制」が確立されており、国民は何らかの形で被用者保険は国民健康保険どちらかの医療保険に加入する考え方となっています。
医療保険の被用者保険のメリット
公的医療保険のうち、サラリーマンや公務員などが加入する被用者保険には、国民健康保険と比較した際にメリットとして考えられることが何点かあります。
ここからは、国民健康保険の内容と異なる部分をいくつか挙げて解説をしていきたいと思います。
被用者保険は扶養制度がある
被扶養者となることができる対象範囲等、詳しくはこちら(全国健康保険協会)からご確認ください。
被用者保険は雇主による拠出が得やすい
これが被扶養者保険に加入する最大のメリットと言っても過言ではありません。
被用者保険は本人の所得が把握しやすい
被用者保険は所得に応じた高い給付を保障しやすい
人は誰しも突然の病気や怪我にあう可能性がありますよね。そういった時に被用者保険には、傷病手当金という給付金を受けれる制度があります。
傷病手当金とは、医師に労務不能と診断された場合、3日以上の連続した休みが続き給与が受け取れない時に、4日目から1日につき「直近に継続した12ヶ月の標準報酬月額の30分の1」にあたる3分の2相当額を、最長1年6ヶ月まで受け取ることができる制度の事です。
所得金額が基準となった保障となりますので、所得に応じた給付を受けることができます。
労働者が安心して働くことができる
社会保険制度には厚生年金への加入も含まれており、老後まで手厚く完備してくれることから、労働者にとって安心して働くことができる保険となっているのです。
会社側のメリット|求職者が集まりやすい
従業員を社会保険に加入させることにより、本人だけでなく、その家族にも安心感を与えますので、企業としては求職者が集まりやすいというメリットがあります。
逆に、社会保険への加入を避ける求職者は、他にも収入があったり、短期就職を希望していたりと、腰掛の仕事となりがちな傾向が見受けられます。
被用者保険の中には「付加給付」がつく場合がある
保険給付には、病院で医療サービスを受けることができる「現物給付」と呼ばれるものと、傷病手当金や出産給付金などの「現金給付」とよばれるものがあります。この2つの保険給付は、健康保険法で定められた「法定給付」というものです。
被用者保険の中には、上記で述べた法定給付の他に「付加給付」というものがあります。
【付加給付とは】
- 加入している健康保険組合が、独自に定めた規定に基づいて行っている給付のこと。
例えば、病気の治療で高額な医療費がかかってしまった人が、1年間に支払った医療費が10万円以下だったため、高額療養費の限度額に達していなかった場合でも、加入している健康保険組合が定めている条件に該当することで付加給付を受けることが可能になります。
医療保険の被用者保険のデメリットはある?
まとめ|公的医療保険の一種「被用者保険」の給付内容について
それでは最後に、この記事のポイントをまとめていきます。
- 被用者保険とは、企業の従業員や個人事業主に雇われている人が加入する健康保険のこと。
- 公的医療保険は、会社員や公務員、船員が加入する「被用者保険」と、それ以外の人が加入する「国民健康保険」の2種類に分けられる。
- 被用者保険には、組合管掌健康保険、政府管掌健康保険、船員保険、共済組合保険の4つの種類がある。
- 被用者保険には、扶養制度や出産給付金、傷病手当金など、従業員が安心して働くことができるメリットがある。
また、付加給付に関しては加入する医療保険によって受給できる内容が異なりますので、加入後は確認しておくに越したことはありません。
病気やケガにより病院へ支払う医療費や、その間仕事ができなくなった場合の収入など、様々な負担を軽減することができるのが被用者保険なのです。