更新日:2023/01/24
組合管掌健康保険とは?協会けんぽとの違いも徹底解説します
組合管掌健康保険とは、単独の企業または同業種で複数の企業が共同して設立する健康保険組合により、運営・管掌される公的医療保険制度です。この組合は更に「単一健康保険組合」、「総合健康保険組合」に分類できます。どちらも手厚い医療保険が特徴です。
目次を使って気になるところから読みましょう!
組合管掌健康保険とは?
あなたは、組合管掌健康保険について気になって調べていると思います。
医療保険の一つだろうと想像できますが、詳しい内容に関してはわからない部分が多いですよね。
組合管掌健康保険は、単独もしくは同業種の複数企業が共同して設立する健康保険組合によって運営されています。
主に大企業に勤める従業員に対する公的医療保険制度になっていることを、しっかりと押さえておきたいですね。
また、組合管掌健康保険の仕事内容や保険給付、さらに「協会けんぽ」との違いについても知りたいと思います。
そこで、この記事では「組合管掌健康保険とはどのような仕組みになっているのか」について、
- 組合管掌健康保険の概要
- 健康保険組合の仕事
- 協会けんぽと健康保険組合の違い
記事を読んでいただければ、組合管掌健康保険の仕組みや、協会けんぽとの違いをご理解いただけると思います。
公的医療保険制度について知識が深まるので、ぜひ最後までご覧ください。
組合管掌健康保険とは公的医療保険の一部
- 政府管掌健康保険
- 組合管掌健康保険
政府管掌健康保険とは、厚生労働省が所管する特別民間法人「全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)」が保険者となる公的医療保険です。
こちらは、主に中小企業・零細企業の従業員が加入することになります。
これに対して組合管掌健康保険とは、単独の企業または同業種で複数の企業が共同して設立する健康保険組合が保険者となります。
この組合管掌健康保険は、更に
- 単一健康保険組合
- 総合健康保険組合
単一健康保険組合は、主に大企業が単独で設立しており、総合健康保険組合は、業界単位で複数の企業が共同して設立しています。
組合管掌保険の中にも種類があることを、しっかり覚えておきましょう。
単一健康保険組合とは
企業単独の保険組合をつくるためには、まずこの企業で働いている被保険者となる従業員が700人以上いることが条件です。
そして、従業員の同意(1/2以上)を得た上で規約を作成し、厚生労働大臣の認可を受けることが必要です。
企業単独の保険組合は、保険料率を自主的に決定することができます。
保険費用の負担については労使の折半という選択肢だけではなく、事業主側に重くすることも可能です。
また、通常の保険診療では対象外の医療サービスを、当該健康保険の対象として保障に組み入れることができ、従業員により手厚い保障を設けることが期待できます。
総合健康保険組合とは
複数の企業が共同で保険組合をつくるためには、まず関係企業で働いている被保険者となる従業員が合計3,000人以上いることが条件です。
そして、各事業所ごとの従業員の同意(1/2以上)を得た上で規約を作成し、厚生労働大臣の認可を受けることが必要です。
この複数の企業による保険組合は、単一健康保険組合の時と同様に保険料率を自主的に決定することができます。
また、通常の保険診療では対象外の医療サービスを、当該健康保険の対象として保障に組み入れることも可能です。
いずれも、公的医療保険であることがわかりましたね。
健康保険組合の主な2つの仕事
こちらでは、この二つの事業をわかりやすく一覧化して説明します。
健康保険組合の仕事をしっかりと押さえておきましょう。
保険給付事業
- 病気・ケガにより医療機関で治療を受けた時、その費用の大半を負担すること
- 病気の療養・出産のために休職し、給与が支払われなかった時の、傷病手当金や出産手当金を支給すること
- 不幸にも被保険者または被扶養者が亡くなってしまった際、埋葬料に係わる給付金を支給すること
保険事業
例えば、病気予防の各種検診や、保険指導、保養所運営、保健衛生に関する指導とPR活動が挙げられます。
公的医療保険では、このようなPR仕事も行われていることに驚いた方もいることでしょう。
企業に勤めていると、職場で健康指導のポスターなどを目にする機会があると思います。
役立つ情報が満載なので、しっかりチェックしておきましょう。
協会けんぽと健康保険組合の違い
協会けんぽには、主に中小企業・零細企業が加入し、その従業員が被保険者となります。
保険料が違う
一方、「単一健康保険組合」および「総合健康保険組合」の場合は、医療保険の保険料率は自主的に決定されますが、この保険料率の設定は全く自由と言うわけではありません。
組合を設立しようとしている企業の従業員(被保険者数)、その従業員の扶養者の数、該当者の年齢構成、医療費、標準報酬月額および標準賞与等を総合的に考慮して設定を行い、将来にわたり安定が確保できる運営であると、厚生労働省に認められなければいけません。
このように、医療保険の保険料率が異なります。
付加給付が存在する
一方、国民健康保険および協会けんぽの健康保険にも、治療費として支払ったお金が患者の負担額である3割を超えた場合に、その分の医療保険の費用を払い戻す高額療養費制度があります。
しかし、単一および総合健康保険組合の付加給付は、高額療養費制度へ更に上乗せする独自の保障の仕組みになっています。
医療保険における付加給付の例は以下の通りです。
なお、各組合保険によって付加給付として認められる医療保険の保障内容、保障日数・金額は異なります。
- 家族療養費付加金・・・被保険者または被扶養者が、1ヵ月の医療費を○万円を超えて支払えば、超えた分の費用を給付します。
- 合算高額療養費付加金・・・合算高額療養費の支給を受ける時、一部の負担額が1ヵ月で○万円を超えた時に、その超えた分が給付されます。
- 傷病手当金付加給付・・・傷病手当金の他、標準報酬日額の○%が給付されます。
- 出産手当金付加給付・・・出産手当金の他、標準報酬日額の○%が給付されます。
- 出産育児一時金付加金・・・乳児1人につき○万円が給付されます。
- 差額ベッド代(特別療養環境室料)給付金・・・差額ベッド代全額または最高○○万円が給付されます。
- 長期入院見舞金・・・○○日以上入院した場合に○万円が給付されます。
- 埋葬料付加金・・・不幸にも被保険者または被扶養者が亡くなった時は埋葬料が支給されます。
組合管掌健康保険とは?のまとめ
この記事では、「組合管掌健康保険とはどのような仕組みになっているのか」をご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。
記事の要点は、
- 組合管掌健康保険とは健康保険組合の一つであり、大企業が設立する「単一健康保険組合」と、複数の企業が共同で設立する「総合健康保険組合」の2種類がある。
- 健康保険組合は、保険給付事業と保険事業の2つの仕事がある。このうち、万が一の際に保険金を支払うことは、保険給付事業にあたる。
- 協会けんぽと健康保険組合の違いは、保険料率の設定や付加給付の面に見られる。協会けんぽでは、保険料率が都道府県ごとに定められ、高額療養費制度で付加給付を与えられるなど、健康保険組合とは異なる仕組みがある。
組合管掌健康保険は、大企業に勤めている従業員向けの健康保険組合の一つであることがご理解いただけたと思います。
事業内容は他の健康保険組合とさほど変わりませんが、将来に向けて安全に運営していくために、独自の保険料率の設定や付加給付が工夫されています。
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