緩和ケアを保障するがん保険のガン緩和療養特約とは?

今までの緩和ケアは末期ガンなど終末期のがん患者に対するケアが中心でしたが、本人や家族のQOLのためにも、がん治療と同時に緩和ケアを行うことが増えてきました。この記事では緩和ケアががん保険で保障される条件と、がん保険の緩和療養特約などについて解説します。

内容をまとめると

  • がん保険での緩和ケア保障を受けるためには、医療機関や治療方法等の条件がある
  • ホスピスとは緩和ケアを受ける専門の医療機関である
  • がん保険に「緩和療養特約」を付帯することで緩和ケアの保障を受けられる
  • 基本保障に緩和ケア保障が含まれているがん保険もある
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緩和ケアががん保険の保障対象となるための二つの条件


がん患者は必要に応じて、治療に伴うさまざまな肉体的または精神的な苦痛を和らげるための「緩和ケア」を受けることがありますが、この「緩和ケア」の費用をがん保険で保障してくれるのか、という点が気になっている方は多いでしょう。


実際のところ、緩和ケアががん保険の保障対象となるためには、これから解説する、

  1. 入院治療の場合に、入院施設が保険会社の所定の施設かどうか
  2. 痛み止めを用いるなど、治療行為を行なっているかどうか
これらの条件をクリアする必要があります。

条件①入院治療の場合に、入院施設が保険会社の所定の施設かどうか

がん保険で緩和ケアにかかる費用が保障されるためには、緩和ケアのために入院した施設が、緩和ケア専門の病院である必要があります。


一般病棟で緩和ケアを行った場合などは、基本的に保障の対象外となってしまいます。


同様の理由で、国外の施設で緩和ケアを受けた場合でも、がん保険では保障されません。


また、緩和ケアを受けた根拠として、費用に「緩和ケア病棟入院料」が算定されていることが条件となります。

条件②痛み止めを用いるなど、治療行為を行なっているかどうか

がん保険で緩和ケアが保障される2つ目の条件は、公的医療保険が適用となる治療行為を行っていることです。


患者の苦痛を和らげるための緩和ケアでは、主に鎮痛効果のある「モルヒネ」などの医療用麻薬を患者に使用しますが、このような厚生労働省で認定されている医療用麻薬を用いた治療を実際に行っていることが条件となります。


そのため使用した医療用麻薬が厚生労働省で承認されていないもの、いわば公的医療保険の適用外となるものを用いた場合は、がん保険では保障の対象外となります。


あくまで「緩和ケア」として使用された医療用麻薬に限るため、手術後に患者の痛みを抑えるために医療用麻薬を用いた場合も、基本的に緩和ケアとは認められず保障されません。

がん治療と緩和ケア・ホスピスの関係について解説


がん治療に伴う緩和ケアは、たびたび「ホスピス」という言葉と混同されることがありますが、この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。


次からは、

  • ホスピスとは緩和ケアが専門となる医療機関
  • 緩和ケアの受療形態
  • 緩和ケア・ホスピス(緩和ケア病棟)にかかる費用
これらの点について解説していきます。

ホスピスとは緩和ケアが専門となる医療機関

ホスピス」とは、緩和ケア専門の医療機関のことであり、現在は全国に「452件」ほど施設があります。


施設の名称、所在地や電話番号に関しては日本ホスピス緩和ケア協会が公開している「緩和ケア病棟入院料届出受理施設一覧(2021年6月15日時点)」をご覧ください。


ここにリストアップされている専門施設で受けた緩和ケアのみ、がん保険で保障の対象となるわけです。


この専門施設ではがん治療のための医療行為を受けるのではなく、集団生活のなかで心身ともに快適な生活を送れるように、医師や看護師、介護福祉士や心理士などが総出でサポートを行うための施設です。

緩和ケアの受療形態

緩和ケアは、専門施設での入院だけでなく、通院や自宅療養という形式で行う場合もあります。


緩和ケアは「残りの余命を苦痛なく過ごす」だけが目的ではなく、完治の見込みがある患者を和らげる目的でも行われるため、緩和ケアは病院でがん治療と並行して受けたり、緩和ケア外来という専門の外来で受診する場合もあります。


通院で緩和ケアを受ける場合、一日だけ(デイケア)、または何日間か期間限定といった形式で緩和ケア病棟を利用することがあります。


さらに緩和ケアは自宅で受けることも可能であり、たとえば余命が残り少ないと思われる患者が、余生を家族のもとで過ごしたいと願う場合などに利用されることが多いです。


自宅療養の場合は、専門医が自宅に赴いて緩和ケアを行うことが可能です。

緩和ケア・ホスピス(緩和ケア病棟)にかかる費用

緩和ケアを専門の病院で受けたり、ホスピスに入院する場合、かかる費用はそれぞれ計算方法が異なります。


まず一般病棟で緩和ケアを受ける場合は、通常の医療費にくわえて「緩和ケア診療加算」分がプラスされ、そこから公的医療保険の負担割合(3割または1割)が適用されます。


また、食事療養費は公的医療保険では保障されないため、1食あたり「460円」が自己負担となります。


次に、緩和ケア専門施設で治療を受ける場合は、厚生労働省から承認を受けている施設においては定額となっており、1日あたり「52,070円」または「49,700円」となっています。


その金額から医療保険負担率が適用されるため、

  • 1割負担の人:約5,200円または約4,900円
  • 3割負担の人:約16,000円または約15,000円
1日あたりの医療費はこのようになります。


専門施設でも食事療養費が自己負担となるのは変わらず、1食あたり460円かかります。

緩和ケア終末期の保険金請求で指定代理請求人を利用する方法を紹介


緩和ケア終末期には、緩和ケアを受けている被保険者自身が保険金の請求を行えないことがあります。


その場合、がん保険においては所定の手続きを踏むことで被保険者以外の代理人が保険金を請求できる「指定代理請求特約」を利用できます。


基本的にこの特約は費用がかからず、がん保険によって加入時に特約の付帯が必須である場合は、自動的に保障が適用されるようになっています。


代理請求は通常の保険金請求と同様の手続きで行いますが、あらかじめ被保険者は「指定代理請求人」を立てておく必要があります。


あるがん保険において、代理請求ができる人に関して

  1. 被保険者の戸籍上の配偶者
  2. 被保険者の直系血族
  3. 被保険者の3親等内の親族
  4. 被保険者の同居人、または生計同一者
  5. 被保険者の療養看護や、財産管理を行っている

以上の条件が定められています。

緩和療養給付金がついたがん保険もある


今回紹介している緩和ケアに備えるがん保険では、基本的に特約として付帯することではじめて緩和ケア時に保障を受けることができますが、最初から基本保障の中に緩和ケア保障が含まれているがん保険もあります。


ある保険では以下のような内容となっています。

  • 入院・通院で緩和ケアを受けた場合、1回あたり10万円の「緩和療養給付金」を支給
  • 支給回数は月1回、計60回(通算60カ月)まで保障

このような内容で保障を受けることができます。

まとめ:緩和ケアの医療費も高額になることがあるので注意


今回は緩和ケアを受けた場合のがん保険の保障について取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。


以前は余命が残りわずかであるがん患者の苦痛を少しでも和らげる、という意味合いが強かった緩和ケアですが、現在は通常のがん治療と並行して行われることもあります。


将来がんに罹患したときのために万全の備えをしておきたいと思われる方は、ぜひ「緩和ケア」が保障されるがん保険への加入を考えてみてはいかがでしょうか。


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