
更新日:2021/11/26
皮膚がん(基底細胞がん、メラノーマ)だとがん保険は保障対象でないって本当?
基底細胞がんやメラノーマ(悪性黒色腫)は皮膚がんの一種ですが、がん保険に入っていても支払い対象になっていないことが多いのをご存知でしょうか。今回は、皮膚がんとがん保険の関係について、リスクや手術費用、上皮内新生物の保障可否なども含めながら解説していきます。
- 基底細胞がんやメラノーマなどの皮膚がんが、がん保険で保障されるのか知りたい方
- 現在がん保険への加入を検討している方
- 基底細胞がんと、他の皮膚がんの違い
- 基底細胞がんやメラノーマが、がん保険で保障される場合の「条件」について
内容をまとめると
- 基底細胞がんは、がん保険の保障範囲外となってしまうケースがある
- 基底細胞がんは、もっとも罹患率の高い皮膚がんの一種である
- 同じ皮膚がんでも「上皮内新生物」の場合は保障されない場合がある
- リスクの高い悪性黒色腫(メラノーマ)以外は保障されない場合がある
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目次を使って気になるところから読みましょう!
皮膚がん(基底細胞がん、メラノーマ)だとがん保険は保障対象でないって本当?
皮膚がんの一種である「基底細胞がん」や「メラノーマ」は、がん保険に加入しても保障されない、と認識されていることが多いですが、本当なのでしょうか。
まず大前提として、皮膚がんは
- 基底細胞がん
- 有棘細胞がん
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
- パジェット病
基底細胞がんはがん保険の保障対象外なケースも多い!手術費用は?
なぜ基底細胞がんやメラノーマが、がん保険で保障されない場合があるのか理由を知りたいと思われる方は多いでしょう。
そこでまずは、
- 基底細胞がんとは
- 基底細胞がんの原因
- 基底細胞がんの症状
- 基底細胞がんの治療や手術にかかる費用
これらの解説から基底細胞がんについて詳しく知り、なぜがん保険で保障されないのかを考えてみましょう。
基底細胞がんとは
「基底細胞がん」とは皮膚がんの一種であり、皮膚構造のうち「基底層」からがんが発生する病気です。
ただし必ずしも基底層の細胞ががん化するわけではなく、あくまで基底細胞に似ているがん細胞が発生することから、基底細胞がんという命名となっています。
実は皮膚がんのなかでもっとも罹患する確率が高いのがこの「基底細胞がん」であり、国立がん研究センターによると皮膚がん患者全体の24%を占めています。
日本において皮膚がん自体の死亡率は低く、統計によると2018年の罹患者数が「12,391人」であるのに対し死者数が「848人」となっています。
基底細胞がんの原因
基底細胞がんの主な原因として挙げられるのは、簡単にいえば外で紫外線を浴び続けること、いわば「日光曝露」が原因とされています。
そのほかにも、放射線や火傷などが原因で発病することもあるため、原因を一つに絞ることはできません。
基底細胞がんの症状
基底細胞がんの症状として、一見するとホクロのような皮疹が、主に顔の皮膚表面に現れるというものがあります。
発症からしばらくすると、ホクロのように見えていた部分はかさぶたとなり、出血がみられることもあります。
ただし医者が見れば通常のホクロとは完全に異なるため、皮膚科を受診すればがんが見逃されることはまずありません。
検査は基本的に初回は触診および視診であり、多くの場合受診した時点で症状が顕著であるため皮膚がんであることが医者には分かる場合が多いですが、実際に罹患が確定するのは生検病理診断を行ってからです。
基底細胞がんはその症状によって、
- 結節型
- 表在型
- 湿潤型
- 斑状強皮症型
基底細胞がんの治療や手術にかかる費用
基底細胞がんの治療は、主に腫瘍部分を切除することにより行われますが、場合によっては、
- 放射線治療:患部への放射線の照射
- 化学治療:軟骨などの皮膚患部への塗布
- 凍結治療:液体窒素による細胞の凍結・破壊
- 光線力学的療法:化学治療との併用による細胞へのレーザー治療
- モース顕微鏡手術:切除部位をできるだけ少なくする特別な切除手術
- 顔などのリスクが高い部位に腫瘍ができており大きさが6ミリ以上
- 境界が不明瞭である
- 再発した、または放射線による治療歴がある
- 斑状強皮症型や湿潤型などの「組織型」である
なぜ上皮内新生物はがん保険で保障されないのか
がんはいわゆる「悪性新生物」と「上皮内新生物」に分類され、それは皮膚がんも同様です。
そして「上皮内新生物」はがん保険の保障対象外、または保障されるとしても悪性新生物よりも保障内容が薄い場合があります。
なぜ上皮内新生物は悪性新生物よりも保障されにくいのか、それは病気としての「リスクの低さ」が主な原因として挙げられます。
基本的に上皮内新生物は、がんが「上皮」で留まっている状態であり、転移や再発のリスクが低く、かかる治療費も悪性新生物のときより少ないため、必然的にがん保険での保障も少なくなります。
上皮内新生物への保障が基本保障に含まれているがん保険もありますが、別途特約を付帯する必要があるがん保険もあるため、悪性新生物だけでなく上皮内新生物診断時にも確実に保障を受けたいという方は、加入時に必ず保障の有無を確認しておきましょう。
かかりやすい3つの皮膚がんを紹介
皮膚がんにがん保険で備えた方が良いと実感するための根拠として、それぞれの皮膚がんの種類における違いについて理解しておくことは重要です。
そこで次からは、罹患しやすい皮膚がんについて、
- 基底細胞がん
- 有棘細胞がん
- 悪性黒色腫(メラノーマ)
①基底細胞がん
今回のメインテーマとなっている「基底細胞がん」は、もっとも罹患する割合が高い病気です。
すでに解説したとおり、皮膚構造のうち「基底細胞」ががん化するものであり、日光曝露ややけどが主な原因とされています。
基底細胞がんは再発率・死亡率ともに皮膚がんの中でもっとも低く、完治しやすいとされています。
②有棘細胞がん
「有棘細胞がん」は、皮膚構造のうち「有棘層」にがんが発生します。
基底細胞がんに次いで罹患する割合が高い皮膚がんであり、主な原因と考えられているのは日光曝露ですが、ほとんど日光に当たらない口の中などに発生することもあります。
代表的な初期症状として挙げられるのは「日光角化症」であり、皮膚の一部分がやけどを負ったようになったり、進行すると潰瘍状に肥大化し、臭いを放つようになることもあります。
基本的に皮膚がんは早期に腫瘤の切除ができれば完治する可能性が高いですが、有棘細胞がんの場合、発症からしばらく放置してしまったことによって腫瘤が肥大化していると、他の臓器に転移している可能性も高くなります。
もし転移した場合は切除だけで完治させることはできず、抗がん剤や放射線治療が必要になります。
有棘細胞がんは腫瘤の切除以外にも、必要に応じて凍結治療や光線科学的療法などを用います。
③悪性黒色腫(メラノーマ)
「悪性黒色腫(メラノーマ)」は、メラノサイトという色素細胞から生成されるメラニンという色素が、がん化したものです。
メラノーマは長時間の日光暴露だけでなく、産まれたときからあるホクロが原因となることもあるため、別名「ホクロがん」と呼ばれることもあります。
皮膚がんの中ではもっとも死亡率が高く、他の臓器に転移した場合、5年生存率は1割程度とされています。
ただし日本人の発症率自体はおよそ0.01%と、統計的にメラノーマの発症率・死亡率が高い白人と比べても発症する可能性はかなり低いです。
初期のメラノーマは一見普通のホクロとほとんど見分けが付きませんが、
- ホクロの色にムラがある、変色している
- 明らかに元々のホクロが大きくなっている(目安は6ミリ以上)
- ホクロが円形ではなく、外側が不規則な形になっている
- 30、40歳頃になってから急に新しいホクロができた
悪性黒色腫以外の皮膚がんはがん保険の対象外である事がある
すでに冒頭で説明したとおり、悪性黒色腫(メラノーマ)以外のがんは、がん保険における保障の対象外となっている場合があります。
悪性黒色腫と比較してリスクが低い上皮内新生物が保障の対象外であることが多いのと同様に、基底細胞がんや有棘細胞がんもリスクが低いためです。
ただしすべてのがん保険でメラノーマ以外が対象外なのかというとそうではなく、ある保険会社では次のように定められています。
病名 | 保障の可否 | 理由 |
---|---|---|
悪性黒色腫(メラノーマ) | ○ | |
上皮内黒色腫 若年性黒色腫 | ✕ | 上皮内新生物に包含されるため |
悪性リンパ種 | ○ | |
基底細胞腫 | ○ |
※保障の可否が「✕」となっている病気でも、特約を付帯することで保障を受けられる場合があります。
上記のがん保険では、メラノーマのほかに基底細胞がんも保障の対象となっていますが、「上皮内黒色腫」や「若年性黒色腫」は基本保障から外れています。
このように、悪性黒色腫以外の保障の可否に関しては、がん保険によって基準が異なります。
皮膚がんの治療費は相対的に安い
他のがんに比べると比較的にリスクが小さいものの放置すると命にかかわることもある皮膚がんですが、初期の段階であれば腫瘤部分を切除すれば十分完治が可能であり、他のがんと比べて治療費も安く済みます。
ある病院における皮膚がんの治療費(健康保険適用後・概算)は、
- 手術(外来):約4万円
- 入院:約10万円
重粒子線治療を使う場合もあるので先進医療特約をつけておこう
たいていのがん保険には、重粒子線治療などの健康保険が適用されず全額自己負担となる「先進医療」が必要になったときのために、「先進医療特約」が用意されています。
なぜこの特約が必要といえるのか、それは先進医療が必要となるリスク自体は低いものの、もし先進医療を選ばざるを得なくなったときの金銭的負担、リスクが非常に大きいからです。
先進医療特約は、「かかった技術料全額保障・通算2,000万円まで保障」のように設定されていることが多いことからも、通常の治療とは比較できないほど高額になる可能性があることが分かるでしょう。
大きなリスクに備えられる反面、先進医療特約が必要となるケースも少ないため、毎月の保険料に数百円するだけで、大きな金銭的リスクに備えることができます。
中には「先進医療自体、選択されることが少ないのだから加入しておく必要はない」と考える方もいるかもしれませんが、任意自動車保険などと同様に「万が一のときのリスクが非常に大きい」ため、実際多くの人が、がん保険加入時に先進医療特約を付帯しています。
皮膚がんが保障外でないがん保険
多くの方が抱かれる「がん保険で皮膚がんに備えることができるのか」という疑問に対しては、実際のところ現在販売されているほとんどのがん保険において皮膚がんは保障対象となっているため、確かに「備えられる」と回答できます。
しかし重要なのは、今回何度も解説しているようにがん保険それぞれで適用されるがんの種類、いわば保障範囲が大きく異なることです。
あるがん保険ではメラノーマ以外は保障されなかったり、また別の保険では上皮内新生物への保障も基本保障に含まれておらず特約が必要だったりと、保険ごとに異なる「条件」をきちんとチェックしておく必要があります。
また上皮内新生物が基本保障に含まれていても、「悪性新生物の50%」というように、保険金額に制限があることが多い点にも注意が必要です。
現在の皮膚がん治療においては、入院よりも通院治療を重視することが増えつつあることも考え、皮膚がん治療で入院が必要となるリスクがどれくらいなのか、また支払う保険料での負増やしててまで入院保障を充実させる必要があるのか、という点なども慎重に考える必要があります。
まとめ:皮膚がんはがん保険の対象外なのか
今回は基底細胞がんや悪性黒色腫(メラノーマ)といった皮膚がんが、がん保険の対象になるかどうか、という点をさまざまな角度から解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
皮膚がんは他のがんよりもリスクが少ないとはいえ、もし罹患したら確実に治療が必要であり治療費もかかるため、自己負担分を賄えるがん保険に加入しておくことは確かにメリットがあります。
もちろんがん保険は皮膚がんだけでなく胃がんや大腸がん、肺がんや肝臓がんなど、リスクが高いがんの治療費にも備えることができるため、この機会にがん保険への加入について、真剣に考えてみてはいかがでしょうか。
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