更新日:2020/05/23
火災保険の一部保険・超過保険とは?保険料の払いすぎに注意しよう
火災保険の一部保険・超過保険は保険料の払いすぎです。「一部保険」は、建物の評価額よりも保険金額が下回っていることを指し、「超過保険」は補償されないのに保険料を多く払っていることを指します。自分の火災保険が一部保険・超過保険になっていないか見直し、保険金額は新価を基準に全部保険で設定しましょう。
目次を使って気になるところから読みましょう!
火災保険の一部保険・超過保険とは?保険料の払いすぎに注意!
- 一部保険・超過保険とは?
- 一部保険は損なのか?
- 一部保険・超過保険・全部保険と火災保険の新価・時価の関係
- 火災保険の保険金額の設定する際のポイント
一部保険とは
損害保険の保険金のかけ方の一つに一部保険というものがあります。保険金額が保険対象となるものの金額よりも少ない場合のことを指しています。
一部保険のメリットとしては保険料の安さが挙げられますが、万一の際は十分な補償が受けられなくなってしまう大きなデメリットがあります。
火災保険の一部保険の大きな問題としては、「比例填補」と呼ばれる支払方法が挙げられます。
火災保険の契約が一部保険になっており、さらに支払方法が比例填補となっていた場合、万一に支払われる保険金が大きく減額されてしまうため、注意が必要です。
超過保険とは
一部保険とは逆に、補償対象の金額よりも保険金額が多い場合を超過保険と呼びます。
保険金額の基準とする「新価」や「時価」よりも高い保険金がかけられている場合を指しています。
特に注意したいのが時価契約をしている場合です。この場合は全部保険でも超過保険となってしまう事が多く、支払っている保険料分の保険金を受け取ることができない場合もあります。まずはご自身の契約している火災保険ではどのようになっているのか確認することが重要です。
火災保険の「一部保険」と「超過保険」は保険料の無駄払い
火災保険の一部保険や超過保険は何が問題なのでしょうか?
一部保険は住宅の価格よりも保険金額が少なく設定されているだけなので、火災などの万一の際に保険金が満額出れば問題ないように思えます。
しかし、住宅価格の50%分しか保険に加入した場合、火事で全損となった場合でも50%の補償しか受けることができません。保険料が安くなるために一部保険を選択したのかもしれませんが、万一の時に十分な補償を受けられなくなってしまうのは避けたいですよね。
また、超過保険の場合は住宅の価格よりも保険金額が多く設定されているだけなので、火災などの際に多くの保険金が支払われるため、問題ないように思う方もいるかもしれません。
火災保険では住宅の価格よりも多くの保険金を受け取ることはできません。そのため、高いお金を払って超過保険としてしまうと、保険料の無駄払いとなってしまうため注意が必要です。
火災保険の一部保険・超過保険・全部保険の「新価」と「時価」
火災保険の保険金額を決める場合、建物の金額をもとに決めますよね。建物の金額としては、「新価」と「時価」に分けられます。
新価は「再調達価格」とも呼ばれており、同じ建物を建てた場合いくらかかるのかを基準に決められます。そのため、建物の価格と新価は同じ価格になります。最近の火災保険はこの「新価」で契約される場合がほとんどです。
時価は建物の評価額になります。住宅は年数が経つにつれ経年劣化するものです。そのため、年を重ねるごとに年々減っていくのが時価になります。火災保険を時価で契約している場合、万一の際に出る保険金額も時価をもとに計算された金額になってしまいます。
火災保険の新価と時価は、一部保険・全部保険とどの様な関係があるのでしょうか?それぞれ詳しくご紹介します。
「新価」の一部保険・超過保険・全部保険
火災保険の契約を新価にしている場合、保険金額を上限に、損害を受けた金額と同額の保険金を受け取ることができます。新価の場合、特に問題はないように感じますが、どのような問題があるのでしょうか?
火災保険を新価で契約していた場合、一部保険・超過保険・全部保険で受け取れる保険金を表したものが以下の表になります。
一部保険 | 超過保険 | 全部保険 | |
---|---|---|---|
建物評価額 | 2,500万円 | 2,500万円 | 2,500万円 |
保険金額 | 1,500万円 | 3,500万円 | 2,500万円 |
保険金(全損時) | 1,500万円 | 2,500万円 | 2,500万円 |
そのため、建物評価額と保険金額を同額とした全部保険がバランスが良くおすすめとなります。
「時価」の超過保険・全部保険
火災保険の契約を時価でしている場合、万一の際に受け取れる保険金額は、その時の建物評価額になってしまいます。そのため、全部保険にしていた場合でも、建物評価額は年々下がってしまうため、超過保険と同じようになってしまうのです。
時価の場合の超過保険・全部保険で受け取れる保険金額は以下のようになります。
新築時の価格 | 15年後の時価 | |
---|---|---|
建物評価額 | 2,500万円 | 1,500万円 |
保険金額 | 2,500万円 | 2,500万円 |
保険金(全損時) | 2,500万円 | 1,500万円 |
時価で契約していた場合保険料は新価よりも安くなりますが、受け取る保険料にかなり差があり、建物評価額と保険金の額に差があり、余分に保険料を払っているとも言えるため、時価での契約はあまりおすすめできません。
「時価」の一部保険
時価の場合、保険料の損も無くある程度の保険金が受け取れるため、一部保険の方がいいのでは、と考える方もいるかもしれませんね。しかし、時価での一部保険で注意したいことの一つが、「比例てん補方式」です。
比例補填方式では、以下の計算式を用いて保険料が算出されます。
保険金 = 損害額 × 保険金額 ÷ 時価額
時価の一部保険の例を挙げると以下のようになります。
金額 | |
---|---|
建物の時価額 | 2,500万円 |
保険金額 | 1,500万円 |
保険金(全損時) | 900万円 |
参考:火災保険の比例てん補方式って?
火災保険の比例てん補方式とは、支払われる保険金が保険金額の建物評価額に対する割合で計算されるものになります。
例えば、1,000万円の住宅に500万円の火災保険をかけていたとします。この住宅が火事で500万円の損害を受けた場合、支払われる保険金額は500万円の50%、250万円ということになるのです。
火災保険では比例てん補方式の他に実損てん補方式と呼ばれる計算方法もあります。
実損てん補方式
実損てん補方式は、保険金額を上限として実損、つまり実際の損害額がそのまま支払われる方法です。
先ほどと同じように、1,000万円の住宅に500万円の火災保険をかけていた場合を考えてみましょう。この住宅で500万円の被害を受けた場合、比例てん補方式では250万円しか受け取れませんでしたが、実損てん補方式では500万円受け取れる、ということになるのです。
火災保険の保険金額は新価を基準に全部保険で設定する
火災保険の保険金額は、新価を基準に全部保険で設定するようにしてください。
先述したように、時価を基準にしてしまうと、保険料は安くなるかもしれませんが、ほとんどの場合経年劣化して住宅の時価額は下がってしまうものです。そのため、受け取れる保険金は新価よりも少なくなってしまい、万一全損した時に新しく家を建てるための費用が不足してしまいます。
新価を基準に全部保険にすることにはさらにメリットがあり、
- 物価の上昇で住宅の価値が上がった場合にもしっかり補償を受けられる
というメリットも挙げられます。
物価の上昇で住宅の価値が上がり、新築当初よりも全損時にかかる費用が増えてしまったとしても、新価を基準とした全部保険の場合は増えた分の費用も補償されることになります。
多くのメリットがあるため、火災保険は新価を基準に全部保険で設定するようにしましょう。
まとめ:火災保険が一部保険・超過保険になっていないか確認しよう
いかがでしたか?ここでは火災保険の一部保険や超過保険について詳しくご紹介しました。
今回の記事のポイントは、
- 火災保険が一部保険・超過保険の場合、保険料の無駄払いをしている可能性がある
- 火災保険の契約が新価の場合、一部保険では補償不足に、超過保険では保険料の無駄払いになる
- 時価の場合、超過保険では保険料の無駄払いに、一部保険では保険金がかなり減ってしまう可能性がある
- 火災保険は新価を基準に全部保険で設定する
になります。
一部保険を利用することで保険料を安く抑えることはできます。しかし、万一の際に十分な補償を受けることができなくなってしまうため、一部保険の利用は避けることをおすすめします。
もし保険料を安く抑えたいと考えているのならば、補償内容や免責金額、契約期間など見直すことでも安くすることができます。
いざという時に大きな助けとなる火災保険。
ぜひこの記事を参考に加入している火災保険を今一度見直してみてください。