更新日:2022/09/19
個人事業主は複数口座を作って使い分けするべき!
法人ではない個人事業主は資金管理を一つの口座だけで完結させている方も多いでしょう。しかし、プライベート用と事業用、複数の口座を持つことで、資金繰りや確定申告の際などに有利にはたらきます。今回は個人事業主が口座を複数持つメリットや、分け方について紹介します。
- 一つの口座でやりくりしている個人事業主
- 確定申告の手間を少しでも省きたい方
- 個人事業主が複数口座を使うべき理由
- 複数口座で使い分ける際のポイント
内容をまとめると
- 個人事業主はプライベート口座と事業用口座を分けた方が良い
- 税務調査や確定申告時に有利にはたらく
- 屋号付き口座を用いれば、顧客の信用も得やすくなる
- 目的別に口座を分けることで、収入と支出の管理がしやすくなる
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目次を使って気になるところから読みましょう!
個人事業主ならプライベート口座と事業用口座は絶対に分ける!
個人事業主ならば口座を分けた方が良いといえる、確かな理由があります。
- 生活費とビジネス費用を分けるため
- 税務調査に対応するため
- 確定申告を円滑にするため
理由①生活費とビジネス費用が曖昧になる
個人事業主が口座を分けた方が良い1つ目の理由は、事業用口座とプライベート口座を同じにしていることにより、どの出費が事業用なのか分からなくなり、帳簿付けも非常に面倒になるからです。
どの出費が生活費なのか、どの出費が事業費なのかが曖昧になるため、たとえば「100円」という少額の出費であっても、それが経費なのか、またはコンビニでジュースを買っただけなのか、ということをいちいち遡ってチェックしなければなりません。
さらに、銀行にある残高が、生活費に使って良いものなのか、事業用に残しておくべきものなのかがわからなくなるので、いわゆる「資金繰り」も不自由になります。
特に残高が少なくなったときの同一口座による資金繰りは危険で、本来は事業用として借りていたお金を生活費に充ててしまう可能性もあります。
このようにプライベート用と事業用を同じ口座のままにしてしまうと、資金管理に関してすべてが「公私混同」状態になってしまうため、デメリットしかありません。
理由②税務調査で不利になる
2つ目の理由は、もし税務調査を受けたときに事業用口座とプライベート用口座が一緒になっていると、税務調査でプライベート口座の通帳ごとチェックされます。
税務調査は本来「事業に関する帳簿書類」を提出する必要がありますが、それはあくまで事業用口座だけなので、本来はプライベート用口座を提出する必要はありません。
もちろん、口座を分けていながらも、何らかの理由でプライベート用口座を「敢えて」事業用に使用していたり送金している場合などは提出しなければなりませんが、そのような特別な理由がない限り個人的な買い物による出費などは税務調査の対象外です。
個人事業主の場合は特に、口座をあらかじめ分けておけば、税務調査の際も事業用口座の通帳を提出すれば良いので、プライベートが守られます。
理由③確定申告が不便になる
3つ目の理由は、入るお金と出ていくお金を管理できないので、確定申告に伴う帳簿付けに不便が生じます。
確定申告では資産や負債を記録した「貸借対照表」を提出することになりますが、もし口座を分けていなければ、
- 事業主貸
- 事業主借
個人事業主が事業用の複数の口座を開設する際に気になるポイント
個人事業主が事業用に複数の口座を開設するとき、多くの方が気になる疑問がいくつかあります。
次はその疑問について、
- 屋号付きの口座が必要か?
- プライベート用にお金を使いたい場合はどうする?
これらの点を解決していきましょう。
①口座名義に屋号は必要?
個人事業主が事業用口座を開設する場合、口座名義に屋号(会社名にあたるもの)は必須ではありませんが、屋号付き口座を解説しておくといくつかのメリットがあります。
そのメリットとは、
- 私用に使わなくなる
- 取引先から信用を得やすい
- 税務調査や確定申告時に便利
このような点が挙げられます。
特に、個人事業主が企業とお金の取引をする際や、ネットショップなどを経営している場合などは、個人名だけでなく屋号があると信頼を得やすかったり、顧客に安心してもらいやすい、というメリットがあります。
ただし、すべての銀行が屋号付き口座を開設できるわけではなく、
- 楽天銀行
- ジャパンネット銀行
- 三井住友銀行
- 三菱東京UFJ銀行
- みずほ銀行
- りそな銀行
- ゆうちょ銀行 ※振替口座のみ
- 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類
- 届け出た個人事業主であることを証明できる書類(登記簿謄本や納税証明書など)
②プライベートで使うお金の移動はどうする?
基本的にプライベートにおける出費は勘定に入れる必要がありませんが、どうしても事業用口座からの現金移動が発生した場合は、その都度記帳が必要です。
紙面で帳簿をつけている場合はさきほど挙げたような「事業主貸」や「事業主借」などの勘定科目で、事業用資金からお金が出ていったことを都度仕分けする必要があります。
ただし会計ソフトなどを用いる場合は、「プライベート出費」というかたちで単純に登録すれば良いので便利です。
また、できるだけ事業用口座からプライベートでの現金移動は少なくし、基本的に月1回にとどめます。
それが無理な場合でも、発生した出費が経費になるかならないかで徹底的に分けることでミスが減り、申告がしやすくなります。
事業用口座は支出用・入金用・税金支払い用の3つに分ける
事業用口座を一つ作るだけでなく、さらに目的別に分けて管理することで、さらに資金繰りが楽になります。
たとえば、
- 支出用口座
- 入金用口座
- 税金支払い用口座
①支出用口座
「支出用口座」は、いわゆる「経費」として出ていくお金を管理します。
仕事に使う備品などを購入する場合はここから現金を引き出して使うか、即時口座残高から引き落としされるデビットカードを利用することもできるでしょう。
水道光熱費など経費として計上できる出費があれば、それらもこの口座から支払われるようにします。
もちろん口座内にお金がなければ支払いができないため、月に1回または2回、定期的に支払い用口座内に、次に挙げる「入金用口座」から振り込まれるようにします。
②入金用口座
「入金用口座」は、いわゆる「売上」や「報酬」が振り込まれる専用の口座にできます。
あくまで入金用の口座にして、基本ここからはお金が出ていかないようにします。
屋号が設定できる口座は限られているので、できればこの入金用口座を屋号付き口座とした方が良いでしょう。
毎月この口座から支出用口座にお金を振り込む必要がありますが、「定額自動振り込み機能」がある口座を選ぶなら、自分で手続きしなくても毎月決まった日に、決まった金額を自動的に支出用口座に移動できます。
③税金支払い用口座
「税金支払い用口座」はその名のとおり、所得税や消費税、住民税などの税金支払い専用の口座にします。
たとえば、個人事業主の場合売上が1,000万円以上になると所得税と住民税以外に「消費税」の支払い義務が発生するため、将来に備えて納税専用の積立を行うことがあります。
その税金支払いに向けた積立を「税金支払い用口座」で行うことができますが、必要に応じて「納税準備預金」という、納税専用に作られた口座を利用できるでしょう。
納税準備預金を利用すると、
- 納税時期にあわせて定額で積立できる
- 預金利率が普通講座よりわずかに高い
- 利子に対する税金がゼロ
主に法人向けの口座ですが、個人事業主でも開設は可能なので、租税用積立を行う場合の選択肢として考えておきましょう。
財布とカードも個人用と事業用に分ける
口座以外に、財布やクレジットカードなどもプライベート用と事業用に分けることで、さらに資金の出入りを明確化できます。
多くの方が活用している会計ソフトやいわゆる「家計簿アプリ」では、講座だけでなく複数のクレジットカードと連携させることができます。
口座と同様に、経費に計上できる出費はすべて事業用のクレジットカードから支払うことで、会計ソフトにもすぐに経費として帳簿付けされるので、便利です。
たとえば、仕事で使うパソコンの周辺機器、プリンターのインク、コピー用紙、仕事専用の携帯電話料金など経費にできる支払いを、事業用クレジットカードで支払うようにできます。
安定した収入がある場合、さまざまな特典を受けられる「法人用カード」の契約も可能です。
事業用のクレジットカードにおいて利用金額が毎月引き落とされる口座は、事業用の「支出用口座」に設定しておきましょう。
ただし、クレジットカードを複数所持することになりますので、
- プライベートの出費に使ってしまう
- 所持した枚数だけ上限が増えるので使いすぎてしまう
- 枚数分だけ年会費がかかる
- 収入が低い場合クレジットカード自体を作れない可能性がある
個人事業主の口座に関するまとめ
今回は個人事業主の口座に関して取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。
複数の口座を管理することは面倒と感じる方もおられるかもしれませんが、プライベート用と事業用を一緒くたにしている方が、のちのち帳簿付けなどがより手間になり、時間がかかります。
今まで口座を分けていなかったという方も、この機会に事業用口座を開設し、資金管理を徹底してみてはいかがでしょうか。
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