自賠責保険での休業損害の支払基準とは?計算式や給付条件について!

自賠責保険の休業損害ってどれくらいもらえるの?自賠責保険における休業損害の補償金額には支払い基準があります。この記事では、休業損害の補償金計算方法や、給付対象条件、請求時の注意点などについて解説します。ぜひ最後までご覧ください。

自賠責保険を利用して請求できる休業損害をご紹介

毎日の仕事が大変…とどれだけ感じていても、実際は、働けなくなって給料を貰えなくなることの方が辛い…。 

今までにそんな経験をされた方がおられるかもしれません。

たとえば交通事故等に遭ってしまって、怪我で働けなくなってしまったとしたら…
本来は働けて給料を貰えたはずの期間なのに、どう感じるでしょうか。 

加害者に対して「働けたはずの分の給料を返してほしい!」と思うのも、無理はないでしょう。

ですから今回は、そんな時のためにある自賠責保険のしくみ「休業損害」について、 

  1. 『休業損害』によって、どのくらいの金額を、何日間補償してくれるの? 
  2. 自賠責保険の『休業損害』の対象となる人の条件ってなに? 
  3. 自賠責保険で『休業損害』を請求するとき注意するべきこととは? 

以上の3点を取り上げていきます。 

この記事を読んでいただければ、休業損害によってどの程度補償を受けることができるのか、という点を知っていただけると思います。 

ぜひ最後までご覧ください。

休業損害の補償金額は原則として決まっている

本来は得られた分の収入を請求する権利(消極損害に包含)は、自賠責保険において、被害者の権利として認められています。 

ではまず、自賠責保険の一つである休業損害によっていくら補償されるのか、という点について取り上げていきます。 

 一日あたり、どのくらいの金額が補償されるのでしょうか。

補償金額は日額5,700円となっている

まず、自賠責保険における休業損害の補償金額は、原則一日あたり5,700円となっています。
 

パートタイマー等の短時間労働者であっても、フルタイムで働いている方でも基本的にはその金額が基準となります。 

この金額を、治療のために休業となった日数で乗算します。  

(一日当たり)5,700円 × 休業した日数 = 休業損害 

しかし、これには例外があります。 

一日分の給料が5,700円以上であることを証明できる場合は、一日あたり上限19,000円までアップします。 

または、1日あたりの収入額×休業日数で計算される

前で挙げた5,700円という金額は「自賠責保険の基準」となります。
 

ただし、交通事故から裁判に発展した場合は、「弁護士基準」となり計算式が異なってきます。 

一日当たりの基礎収入 × 休業日数 = 休業損害 

自賠責基準とは異なるこの「基礎収入」とは、いったい何でしょうか。 

これは、5,700円という固定の金額で計算するのではなく、事故前に働けていた期間、実際に得ていた収入(≒基礎収入)で計算する、ということです。 

一例として、過去半年(事故に遭い休業するまでの3か月間)の収入をもとに計算する場合があります。 
例えば、3か月間の収入を90万円として、休業期間を40日とした場合、以下の計算式になります。 

 (収入合計)90万円 ÷ 90日 = (一日当たりの休業損害)10,000円 
↓ 
一日当たりの基礎収入(10,000円) × 休業日数(40日) = 休業損害(400,000円)
 

あくまで一例ですが、このようになります。

ただし、症状や状況によっては補償金額が減額される場合もある

当然、誰もが休業した日数分全額を、補償して欲しいと思われるでしょう。 

しかしながら、場合によっては休業損害の補償金額が減額される場合があります。 

考えられるのは、以下のようなケースです。  

  • 休業(治療)期間は40日だが、症状は30日ぐらいにはすでに改善されていたので、その後の日数分を、何割分か減額する 

この例のように、症状の推移によって休業損害が減額されるということはあり得ます。

自賠責保険の休業損害が対象となる人

では次に、自賠責保険の休業損害が対象となる人について取り上げていきます。 

事故に遭った人なら誰でも対象になるのでは?と思われる方が多いと思います。

では、休業補償を受けるために、何らかの条件があったりするのでしょうか。

収入を得ていない主婦(主夫)や家事従事者や学生も対象となる

まず、休業損害は簡単に言うと「収入を得ている(いた)人」が対象となります。 

  • 安定した給料を得ている会社員 
  • 短時間で働いている非正規雇用者 
  • 特定の組織に属していない、自営業や個人事業主など
  • ある程度長期間パートタイムで働いている学生 
  • 家事に従事している主婦または主夫 

会社員は会社からお金を貰っていますし、自営業や個人事業を行っている方も形式は違いますが、多いか少ないかにかかわらず、収入を得ています。 

また、安定収入ではないものの学校の合間に働いている学生、さらに給料は貰っていないものの家事に従事しているとみなされる方も、自賠責保険における休業損害の対象となる場合があります。 

さらに、事故に遭った時点で無職ではありますが、仕事の内定を受けており、治療期間の期間中に働く予定だった方も、それを証明できれば、休業損害の対象となる可能性はあります。

収入を得ていない場合の計算方法

家事に従事されている方が交通事故に遭い、短期間または長期間で治療のための入院を余儀なくされることがあります。 

この場合も、一日あたり5,700円での休業損害が認められる場合が多いです。
 

ただし、さきほど挙げた「補償金額の減額」と同様に、治療期間すべての日で100%の休業損害が支払われるのは難しいかもしれません。 

参考にされる点としては… 
  • 治療のために入院しており、全く家事ができなかった期間は何日間か? 
  • 症状が固定するまでの期間、何%の割合で家事が行えないような状態であったか? 

例:休業損害の計算は… 
  • 1日目~30日目 → 5,700円 × 100%
  • 30日目以降 → 5,700円 × 50%

あくまで一例ですが、このように「割合」で休業損害の判断がなされる事例があります。 

ですから、自分で保険会社への交渉を行うよりも、弁護士に依頼して交渉してもらうほうが、休業損害が多く認められる場合があります。

自賠責保険で休業損害を請求するときの注意点

では最後に、自賠責保険において休業損害を請求するとき、どのような点に注意するべきか、ということについて考えてみましょう。

注意したい点として考えるのは、自賠責保険と「労働災害保険(労災)」に関することです。

通勤中や勤務中のケガや病気は労災保険の対象となる

私達が交通事故に遭う可能性があるのは、なにも休日だけではありません。  

通勤時、いわゆる会社に行くまでの道のり、または仕事で疲れた状態で車を運転して帰ってくるその道のりにおいても、交通事故に遭う可能性は大いにあります。  

また、勤務時間の最中(出張中)に交通事故に遭うこともあります。 

そういった、業務の範疇において遭った事故には、一定額以上の給与を受けている労働者が加入する、労災が適用されます。

自賠責保険と労災保険の両方からの請求はできない

ただし、労災と自賠責保険、両方の補償を同事故で受けることはできません。 

例えば、交通事故に遭ってから、先に加害者側の加入していた保険会社から自賠責保険の保険金を受け取ったとします。 

それから、自身が加入していた労災からも補償を受けようとすると、先に受け取っていた自賠責保険の補償分は差し引かれます。

状況によって、自賠責・労災どちらから補償を受けるかを選ぶ必要が出てくるのです。

高すぎるバイク保険に加入していませんか?

バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。


自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。


ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?


実は、バイク保険は少し条件を見直すだけで年間の保険料が1万円近く安くなることがあるのです。


ただ、自分で多くの保険会社で見積もりをして比較するのは大変ですよね。


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まとめ

ここまで、自賠責保険における『休業損害』について様々な点を取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。  

今回この記事のポイントとなるのは、 

  • 休業損害保険の保障額は一日あたり5,700円で、それに休業日数を乗算したものが基本の計算式として用いられる 
  • 裁判では、過去の収入額平均である「基礎収入」が計算に用いられる場合がある 
  • 休業損害の対象となる人は、正規雇用、非正規雇用を問わず収入を得ている人であり、主婦やパートタイマーの学生も対象となり得る
  • 自賠責保険と休業損害、両方から補償を受けることはできない

以上の4点となります。

私達が被害者として事故に遭うとき、最も問題となるのは「仕事ができない」ということではなく、「仕事ができないような怪我を負ってしまう」ことです。 

仕事に復帰できる方もいれば、今までの職から退くことを余儀なくされる方もおられます。 

だからこそ、今まで事故に遭っていないという方であっても、休業損害についてきちんと知っておき、万が一の事態に備えることは非常に大切です。 

それは将来、自分が当事者になった際に、冷静に対処し、受けるべき分の補償を受け、その上で今
後の生活にしっかり備えるための、良い準備となるからです。


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