自賠責保険の支払基準を解説!保険金はどれくらい受け取れる?

自賠責保険には明確な支払基準が法定されており、それに従い賠償金額が決定されます。自賠責保険は被害者の傷害・後遺障害・死亡を補償範囲としています。この支払基準は人に対する補償が対象です。そのため、車同士の衝突における自動車の損害や、物損事故には適用されません。

自賠責保険における”支払基準”について詳しく解説

自賠責保険は自動車を所有する人なら、どなたでも加入しなければならない保険です。

自動車を所有している方々なら、まず法律上加入が義務付けられている自賠責保険に入り、そのカバーしきれない部分を任意保険で補てんする、という方法をとっていることでしょう。

なので自賠責保険には明確な支払基準があって、それに従い保険金が支払われることになっております。

そこで今回は、「自賠責保険における支払い基準」について 

  • 自賠責保険の傷害・後遺障害・死亡の保険金限度額について
  • この3つのパターンのそれぞれの支払基準
  • 自賠責保険以外に支払基準があるのか
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、自賠責保険はどんな支払基準となっているのか、支払基準が適用される傷害(障害)の種類を知ることに役立つと思います。  

ぜひ、最後までご覧ください。

 

自賠責保険の保険金限度額は大きく3種類

自賠責保険は事故が起こった場合、被害者を守ることを目的として加入が義務付けられています。


つまり人に対する補償なので、車同士の衝突における自動車の損害や、物にぶつかったときの損害は補償されないことになっています。

補償される範囲は次の通りです。

  • ”傷害”による損害補償
  • ”後遺障害”による損害補償
  • ”死亡”による損害補償
の3つです。

こちらではそれぞれの補償について解説します。

”傷害”による損害補償

傷害による損害補償は被害者1名あたり120万円となります。

ただし、傷害の補償とはいっても治療費だけではありません。

補償内容としては次の通りです。
  • 治療費:応急手当、診費、 入院、投薬、手術等の費用
  • 看護料:(入院中の看護)12歳以下の子に近親者が付き添うケースが該当、(自宅看護又は通院看護)12歳以下の子に近親者が付き添ったケース、それ以外は医師が看護の必要性を認めたケースが該当
  • 通院交通費:通院のために必要となった交通費
  • 柔道整復等の費用:柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師の施術費用
  • 諸雑費:入院中のいろいろな雑費
  • 義肢等の費用:傷害により義肢、義眼、歯科補鉄、補聴器、松葉杖等の費用
  • 診断書等の費用:医師の診断書、医療機関の診療報酬明細書等の発行費用
  • 文書料:交通事故証明書、印鑑証明書、住民票等の発行手数料
  • 休業損害:事故の傷害による収入の減少
  • 慰謝料:事故による被害者の精神的・肉体的な苦痛に対する補償

”後遺障害”による損害補償

後遺障害とは、事故により受傷した傷害が治ったときに、身体に残された毀損状態のことを指します。


また、精神的な毀損(事故が原因となった精神障害)も補償の対象となります。


後遺障害による損害補償は上限が4,000万円(被害者1名)までとなります。


補償の内容としては次の通りです。


  • 逸失利益:身体に残った障害が原因となる労働能力の減少で、将来発生することが予測される収入減
  • 慰謝料等:事故による被害者の精神的・肉体的な苦痛に対する補償

”死亡”による損害補償

死亡による損害があった場合、1名につき3,000万円を上限に保険金が支払われます。


補償の内容としては次の通りです。

  • 葬儀費:通夜の準備、祭壇の設置、火葬、墓石購入等の費用
  • 逸失利益:被害者が亡くならなければ将来得たと予測される収入より、本人の生活費を控除した利益
  • 慰謝料:被害者本人の慰謝料および遺族の慰謝料

自賠責保険の支払基準

前述した通り、自賠責保険の支払基準としては3種類に分かれます。

それぞれ補償内容、金額の上限が定められていることがおわかりになるでしょう。

こちらでは、自賠責保険における傷害・後遺障害・死亡の支払基準と、具体的な金額を解説します。

傷害補償にかかる費用とそれぞれの支払基準

傷害補償は被害者1名あたり120万円(上限)となります。


自賠責におけるそれぞれの費用と支払基準は下表のとおりです。


支払いの対象支払い基準
治療費必要かつ妥当な実費
看護料(※1)入院:1日4,100円
通院:1日2,050円
通院交通費必要かつ妥当な実費
柔道整復等の費用必要かつ妥当な実費
諸雑費1日1,100円
義肢等の費用(※2)必要かつ妥当な実費
診断書等の費用必要かつ妥当な実費
文書料必要かつ妥当な実費
休業損害(※3)1日5,700円
慰謝料1日4,200円


(※1)看護料に関して、更に収入減の立証をすると近親者19,000円、それ以外は各地域の家政婦料金を限度として実額が支払われます。


(※2)眼鏡の費用としては50,000円が限度となります。


(※3)休業損害に関して、更に収入減の立証をすると19,000円を限度として、その実額が支払われます。

後遺障害にかかる費用とそれぞれの支払基準

後遺障害は被害者1名あたり4,000万円(上限)となります。

自賠責におけるそれぞれの費用と支払基準は次のとおりです。

介護を要する後遺障害


神経系統の機能・精神や胸腹部臓器への著しい障害のため、介護の必要のある人が該当します。

限度額/等級介護1級介護2級
支払限度額4,000万円3,000万円
慰謝料1,600万円1,163万円


介護を要する後遺障害以外の後遺障害


介護を要する後遺障害以外の通常の後遺障害については、下表の通りとなります。

○第1級~第6級まで

限度額/等級第1級第2級第3級第4級第5級第6級
支払限度額3,000万円2,590万円2,219万円1,889万円1,574万円1,296万円
慰謝料1,100万円958万円829万円712万円599万円498万円

○第7級~第14級まで

限度額/等級第7級第8級第9級第10級第11級第12級第13級第14級
支払限度額1,051万円819万円616万円461万円331万円224万円139万円75万円
慰謝料409万円324万円245万円187万円135万円93万円57万円32万円

限度額/等級 第13級 第14級 
支払限度額 139万円 75万円 
慰謝料 57万円 32万円 

死亡時にかかる費用とそれぞれの支払基準

死亡による損害は被害者1名あたり3,000万円(上限)となります。

自賠責におけるそれぞれの費用と支払基準は下表のとおりです。


支払いの対象支払い基準
葬儀費(※)60万円
逸失利益必要かつ妥当な金額
慰謝料(被害者本人)350万円
慰謝料(遺族)  ・遺族請求者1名:550万円             
 ・遺族請求者2名:650万円              
   ・遺族請求者3名以上:750万円         
・被害者に被扶養者がいるとき:200万円加算 

(※)葬儀費に関しては、立証資料等により60万円を明らかに超える費用なら、100万円を上限に妥当な金額が支払われます

自賠責保険以外の支払基準は?

自賠責保険以外の支払基準に、「任意保険基準」「裁判所基準」があります。基準内容は次の通りです。

  • 任意保険基準:任意保険会社の会社所定の基準で算定した賠償金額(示談金額)の支払基準です。自賠責保険よりは高く設定されています。
  • 裁判所基準:任意保険会社の提示した金額に不満があり、最終的に裁判で争った場合、裁判所が判決で下す賠償金額の基準を指します。この基準は最も高く、任意保険基準よりも2倍以上の金額の開きになることもあります。

高すぎるバイク保険に加入していませんか?

バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。


自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。


ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?


実は、バイク保険は少し条件を見直すだけで年間の保険料が1万円近く安くなることがあるのです。


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まとめ

自賠責保険における支払い基準について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 自賠責保険における傷害・後遺障害・死亡の支払基準は上限額が明確に定められている。
  • 請求費用によっては、立証することによって法定の金額よりも多く補償が受け取れる時もある
  • 自賠責保険の支払基準以外にも、任意保険基準・裁判所基準がある
でした。

自賠責保険の後遺障害・死亡の賠償の上限額は数千万円と、一見すれば高額な補償と思われがちです。

しかし、裁判で下される損害賠償金額によっては、数億円に上るケースもあるので任意保険である自動車保険へ加入しておくことが大切です。

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