自賠責保険と休業補償の関係とは?労災保険との併用や注意点!

自賠責保険と休業補償にはどのような関係があるのでしょうか?よく自賠責保険の休業損害と混同している方の多い、労災保険の休業補償ですが、2つの併用は可能なのでしょうか?この記事では、休業補償や休業損害の補償額計算式などについてまで徹底解説します。  

自賠責保険と休業補償の関係とは?

今この記事をご覧の方は、自賠責保険にかかわる『休業』していた期間の補償について調べておられるかと思います。 

もし、交通事故の被害者になってしまい、怪我で入院が必要になるという事態は、あまり想像したくはありませんが、誰にでも起こりうることではないでしょうか。 

そうなると、治療に専念しなければなりませんので、もしかすると仕事を一時的にでも休まなければならなくなりますね。
 

「その間もらえたはずの給料の補償はどうしてくれるんだ!」と、加害者に対して叫びたくなるのも、無理はありません。
 

そのような場合の、被害者救済の仕組みが『自賠責保険』や『休業損害(休業補償?)』なのですが、今回はそれらに関して、 

  • そもそも『休業補償』とはなに? 
  • 休業損害』とはどう違うの?
  • 『休業補償』または『休業損害』の、計算の仕方とは?

主にこれらの点を取り上げます。 

この記事を読んでいただければ、交通事故の被害者になったときに受けられる『休業損害』や『休業補償』について知っていただけると思います。 

ぜひ最後までご覧ください。

休業補償は労災保険の適用により受けられる

まずは、今回の主なテーマとなっている『休業補償』について取り上げていきます。 

『休業補償』とは、業務上発生した、怪我や骨折等の事由により治療が必要になり、仕事ができなくなったときに、労災保険から補償を受けることができる制度です。

休業補償の対象となるのは… 
  • 業務上の事故 
  • 通勤災害  

仕事上トラブルが発生して、療養が必要となり、入院しなければならなくなった場合、当然ながらその期間は仕事ができなくなるので、本来であれば収入がなくなります。 

自分で引き起こしたものとは異なり、業務上発生したことなので、労災が適用になる、というわけです。

休業補償の支給を受けるには、細かく以下の条件があります。

  1. 業務上発生した事故によって負傷を負う、または疾病にかかっており、療養を行っていること
  2. 1の理由のために、仕事を行うことが不可能であること 
  3. 1の理由のために、給与を受け取っていないこと  

簡単にまとめると、やはり「全く仕事ができず、全く給料をもらえていない状態」に適用されることがわかります。

自賠責保険と労災保険の二重請求はできない

「業務上発生した事柄」には、たとえば『交通事故』も考えられます。 

それには通勤中の事故、出張中の事故も含まれる場合があります。 



交通事故と言えば、運転手誰もが加入しなければならない『自賠責保険』があります。 

実は自賠責保険でも、業務上発生した交通事故により補償を受けることが可能です。
 

では、たとえば自賠責保険と労災保険どちらにも加入している人が交通事故に遭った場合、どちらの補償も受けるということは、可能なのでしょうか。 

結論から言えば、それは原則不可能です。 

自賠責保険と、労災保険の二重請求はできないようになっています。 

どちらを先に請求したかどうかは関係なく、どちらか片方の補償しか受けられません。


ただし、給料平均の2割で計算する『休業特別支給金』は受給可能です。

休業補償金は請求後約1ヶ月で受け取れる

多くの方は、そもそも休業補償金は「すぐに受け取れるのか?」という点が知りたい、と思っておられることでしょう。 

実際のところ、休業補償は労働基準監督署に請求後、約1ヶ月で受け取ることができます。 

受給者に、受給資格があるかどうかを審査する必要があるからです。
 

ちなみに、休業補償には業務上の災害の場合3日間の待機期間(会社がその間の補償を行う)が設定されており、それと混同するため「すぐ受け取れる」と誤解してしまうことがあります。
 

しかし、休業補償は請求してから「すぐ」には受け取れないという点を覚えておきましょう。

休業補償金額の計算は、事故3ヶ月前の平均給与のおよそ60%となる

「いつ受け取れるのか」という点の次は、「いくら貰えるのか」という点です。 

休業補償の金額は、どのように計算されるのでしょうか。
 

休業補償は、『事故に合う前3か月分の給料平均』をもとに、その数字に「0.6」を乗算して(6割)計算されます。 

(例)過去三ヶ月で90万円の給料を受けている場合、休業補償の計算式は…
※1か月を30日とした場合 
  • 過去3か月の給料平均:90 ÷ 3 = 300,000 
  • 支給額:300,000 × 0.6 = 180,000(18万円)

さらに、休業特別支給金も合わせて受けることもできる

また、この休業補償と同時に申請を行うのが、『休業特別支給金』です。 

休業補償にプラスして、受給することができます。
 

この休業特別支給金に関しては、過去3か月の給与平均に対して、2割を受け取ることができます。
 

先程と同様に、過去3か月平均90万円での例を挙げると… 
  • 休業特別支給金の支給額:300,000 × 0.2 = 60,000(6万円) 
  • 総支給額:300,000 + 60,000 = 360,000(36万円) 

このように、結果的には休業補償で、平均給料の8割を受け取ることができる計算になります。

休業補償と間違えられやすい休業損害との比較

ここまで取り上げてきたように、『休業補償』とは、労災保険における働けない人を救済するための仕組みです。 

この仕組自体はそこまで難しいものではありませんが、よく間違われやすい言葉として、『休業損害』という言葉があります。 

よく同列に扱われたり、間違われるこの『休業補償』と『休業損害』、実は明確な違いがあるのですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

休業損害は自賠責保険を利用して相手に賠償金を請求すること

よく『休業補償』と同列に扱われがちな『休業損害』ですが、これには以下のような違いがあります。 

  • 休業補償:労災保険のしくみ 
  • 休業損害:自賠責保険のしくみ  

そうです、『休業損害』とは、運転手であれば強制加入となる自賠責保険における、事故被害(労働)者を救済する仕組みのことです。 

自賠責保険の休業損害は、業務中発生した交通事故によって負傷し、治療が必要となり仕事ができなくなった人へ補償を行うものです。 

請求先は加害者となる相手(の加入している自賠責保険会社)となり、請求先も休業補償とは全く異なっていることが分かります。

休業損害による賠償金は示談交渉が成立しなければおりない

労災保険における休業補償では、請求を労働基準監督署に対して行ってから審査を行い、それに通過しなければ受給できないという条件があります。 

同様に自賠責保険における休業損害の請求を損害保険会社に対して行うとき、加害者側と示談交渉が成立している必要があります。 

交通事故における自賠責保険の示談交渉は、弁護士に依頼することで自分で行うよりも高額な補償を受けられる可能性があります。

休業補償と休業損害のそれぞれの計算式

『休業補償』と間違えられやすい『休業損害』の違いについては、ご理解いただけたでしょうか。
 

「本来であれば働けた日の分の給料を補償してもらう」という意味では2つとも同じですし、以下のように計算式も似ています。

  • 休業損害 = 5,700~19,000円(裁判時は一日当たりの基礎収入)× 休業日数 
  • 休業補償 = 一日当たりの基礎収入 × 休業日数 × 0.6(特別支給金を含めると0.8) 

どちらも、基礎収入の計算をする際には過去3か月の給料が用いられることが多いのも、共通している点ですね。

休業補償はアルバイトやパートも対象となる

ある方は、このように疑問に思われるかもしれません。
 

「私はアルバイト(またはパート)で仕事をしており、正規雇用ではないのですが、果たして休業補償の対象となるのだろうか」という疑問です。 

結論から申しますと、アルバイトやパートタイムでの非正規雇用者であっても、休業補償の対象となります。 

ただしこの場合、過去の勤務期間が短いなどの理由で、審査の結果受給できない場合もあります

休業損害の計算式もサラリーマンとアルバイト・パートは同様

では、正規雇用か、非正規雇用かどうかによって、休業補償の計算式は異なるのでしょうか。
 

いいえ、休業補償は正規雇用、非正規雇用に関わらず、特別支給金も含めた休業補償の計算式は、

過去3か月の給与平均 × 0.8

となります。 

雇用形態によって、計算方法が変わることはありません。

主婦兼パートタイマーの場合

休業補償は、原則的には「労働を行い給料をもらっている人」が給付対象となります。 

しかし、実は給料という形で対価を受けていない主婦(主夫)の方であっても、休業補償を受けることができます。 

この場合、基準となるのは『賃金センサス』というものです。 

賃金センサスとは、簡単に言うと毎年厚生労働省によって統計が出される、男性・女性別の収入平均のことです。 

例えば、平成27年度の女性における平均収入で考えると… 

  • (平均収入)3,727,100 ÷ (一年)365 = 10,211円 

よって、10,211円を平均収入として扱い、休業補償の計算を行うことになります。

高すぎるバイク保険に加入していませんか?

バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。


自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。


ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?


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まとめ

さて、ここまで『休業補償』について、『休業損害』との違いと共に取り上げてきましたが、いかがでしたでしょうか。 

今回のこの記事のポイントは、 
  • 休業補償とは、労災保険により、労働災害を負った労働者に対して補償を行う制度のこと  
  • 仕組みの内容は似ているが、『労働損害』とは自賠責保険上の仕組みである 
  • 労災『休業補償』の計算式: 過去三ヶ月の給与平均 × 休業日数 × 0.8(0.6+0.2) 
  • 自賠責保険『休業損害』の計算式: 5,700 × 休業日数 

以上の点です。 

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