自賠責保険の被害者請求とは?請求の流れや注意点などを解説!

自賠責保険には、被害者が加害者の保険会社に直接保険金請求できる、被害者請求制度があるのをご存知ですか?また、自賠責保険の加害者請求との違いは何なのでしょう。この記事では、被害者請求について、請求の流れや注意点、加害者請求との違いまで解説します。

自賠責保険で行える”被害者請求とは”

今この記事をご覧になっている方は、自賠責保険の『被害者請求』について関心を持っておられることでしょう。 


私達の知らないところでも、毎日のように発生している交通事故。 


誰もが事故に遭わないように車の運転を行ったり、歩きや自転車で外出する時も、車の事故に巻き込まれないよう、細心の注意を払っておられることでしょう。 


しかし、それでも誰一人として、「私は100%事故には遭わない」と断言することはできません。 


運転手ならだれもが自賠責保険に加入していますが、実際に自分が『被害者』になってしまった時のことを、どのくらいの方が、想定したことがおありでしょうか。 


この記事を一つのきっかけとして、「もしも」の時に必要な、被害者が加害者に対して行う『被害者請求』について、以下のことを考えていただきたいと思います。


  1. 被害者請求とは、具体的に何だろうか? 
  2. 「加害者請求」との違いとは? 
  3. 実際に被害者請求を行うときの、手順とは? 
  4. 被害者請求を行うとき、注意しなければならない点とは? 

以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、実際に交通事故の被害者となってしまったとき、自分が受けるべき加害者からの「補償」を、どのように請求できるか、実際にどのくらいの補償が受けられるのか、という点について知っていただけると思います。 

ぜひ最後までご覧ください。

事故被害者が加害者の保険会社へ直接請求できる

ではまず、そもそも「被害者請求」とは一体何なのか、という点から考えていきましょう。 


よく、被害者請求は「被害者が加害者自身に対して行うもの」と思われていることがありますが、正確にはそうではありません。
 


被害者請求とは、交通事故において、『被害を被った側』である被害者が、加害者の加入している自賠責保険の保険会社(損保)に対して、補償を請求することです。


  • 請求元:交通事故の被害者
  • 請求先:加害者が加入している損害保険会社

しかし、本来であれば交通事故というのは、交通事故の原因となった加害者側が、責任を果たすという意味でも、進んで被害者に対して賠償責任を負わなければならないのではないでしょうか。

確かに、その通りです。
しかし現実は、10人中10人がそうである、とは言えません。

加害者の中には、何らかの理由で、被害者に対して自ら賠償責任を負うことを拒否する人がいます。

自分には過失がないと確信している場合や、単純にお金を払いたくない、という理由で拒否する人もいます。

もしそのまま加害者側が賠償責任を放棄し続けるのであればどうなってしまうでしょうか。 

…そうです、本来であれば被害者側が「泣き寝入り」のような状態になってしまうのです。


そういった事態を避けるために、被害者側は加害者が進んで賠償責任を果たさない場合において、自賠責保険では、自ら加害者が加入している保険会社に対して、いわば保険金を請求することができるようになっています。

では、その「被害者請求」について、さらに掘り下げて、いくつかの点を考えていきましょう。


被害者が保険金を早く受け取れる

自賠責の被害者請求におけるメリットの一つとして挙げられる点は、被害者が保険金を早く受け取ることができる、という点です。


加害者側が何らかの理由で賠償責任を負うことを先延ばしにしている、または最初から行うつもりがないのであれば、それだけ被害者側が保険金という補償を受けるのが遅くなっていきます。


そんな時、もし…

  • 被害者が、早めに怪我や後遺障害の治療を受けなければならないとしたら…?
  • 被害者に、必要な治療を受けるための費用が無いとしたら…? 

こんな事態に陥ってしまった時のために、被害者請求があります。

被害者請求では、実際に保険会社に対していくつもの書類を用意して提出し認定してもらう必要がありますが、そんな段階を待たずに、自賠責保険の「仮渡金」制度によって、先んじて以下のようにお金を受け取ることが可能です。

事故内容詳細金額
死亡-
290万円
傷害11日以上の医師の診療を要する場合5万円
傷害14日以上の入院を必要とする場合20万円
傷害14日以上の入院・30日以上の医師の治療が必要な場合40万円

このように、被害者請求を利用するなら、さしあたってお金がない場合でも、すぐに必要な治療を受けることができるのです。

正当な後遺障害認定が受けやすい

もう一つのメリットは、自賠責の『後遺障害認定』に関することです。


交通事故の被害者は、事故によって体の部位に恒久的な症状を遺す、後遺障害を負う場合があります。


その後遺障害の「程度」は、医師によって症状固定した段階(これ以上症状が進行しないと判断された段階)で認定される、等級によってあらわされます。


  • 要介護:1~2級
  • その他:1~14級

後遺障害はその症状が重いほど上位の等級認定を受けることになりますが、たとえば「むちうち」という症状の場合、以下のどちらかの等級で認定を受ける場合があります。

等級傷害内容詳細(一部)保険金上限
第11級・両眼の眼球に著しい調節機能障害、運動障害
・脊柱に変形がみられる
・一方の手の、人差し指、中指または薬指の欠損
331万円
第12級・一眼の眼球に著しい調節機能障害、運動障害
・長管骨に変形がみられる
・一方の手の、小指の欠損
224万円

これを見ていただければわかる通り、11級で認定されるか、12級で認定されるかによって、受け取れる保険金の限度額が100万円以上も異なります。

本来後遺障害は、自賠責の「事前認定」によって被害者が特別な手続きを行わなくても等級が認定されます。 

しかしその場合は、特に症状が多岐に渡るむちうちなど、表面的な部分でしか等級が判断されない場合があり、本来受けられるべき「11級」の等級認定がなされない場合があります。 

そこで、被害者自身が請求を行うことにより、症状が固定してからの医師の診断書など、より正確で詳細な書類を提出することができるため、高い等級で後遺障害の認定が受けられる可能性があります。

治療費や慰謝料の相場は?

では、実際に事故で後遺障害を追ってしまった場合、どのくらいの慰謝料が受け取れるのでしょうか。


自賠責基準』と『弁護士基準』それぞれの相場を見てみましょう。


等級自賠責基準弁護士基準
1級1100万円2800万円
2級958万円2370万円
3級829万円1990万円
4級712万円1670万円
5級599万円1400万円


このように、示談の段階から弁護士に介入してもらうことにより、慰謝料の基準に『弁護士基準』が反映でき、より多くの慰謝料を受け取ることが可能です。

加害者請求についても少しだけ解説

ではここから少しだけ、「被害者請求」とは対照的な「加害者請求」について取り上げていきます。 


被害者請求が、被害者自身が行うものだとすれば、『加害者請求』は、交通事故における加害者が自身の加入している自賠責保険の保険会社に対して行うものです。


  • 請求元:加害者
  • 請求先:交通事故の加害者が加入している保険会社

一見すると被害者請求と同じ請求先なので関連性があるようにも思えますが、意味合いが全く異なります。

加害者請求とは、実際に加害者が被害者に対して、すでに支払った賠償金を、自賠責保険会社に対して請求することです。

これは、加害者の加入している保険会社が、被害者が請求を行う前に先に事故における保険の手続きを行っていることも意味しており、それには「事前認定」が含まれます。 

加害者が加入する保険会社から” 任意一括払い”を受けることができる

事前認定とは、事故における後遺障害等級認定などを、被害者が行わなくても保険会社がまとめて行ってくれるしくみのことです。


事故によっては、当然ですが長期的な治療が必要となり、それだけ多くの治療費が必要になる場合があります。


この場合、後遺障害等級の「事前認定」が行われることによって、自賠責保険会社から賠償金や治療費等をまとめて支払われる「一括払い」が行われます。


被害者にとってはいくつもの必要書類を用意しなくて良い、というメリットがありますが、その分後遺障害の等級認定が、本来受けるはずの等級よりも低い等級で認定されてしまう可能性があるというデメリットもあります。 

自身の過失割合が大きいと、加害者からの一括払いは受けられない

交通事故には、単独事故でなければどのような場合も被害者と加害者が存在します。


しかし、それはあくまで便宜上のものであり、怪我をしていたり後遺障害を負っていたりと、立場上「被害者」ではあるものの、事故の過失がほとんど被害者側にある場合もあります。


たとえば、交通法規を順守しながら走行していた車両に、被害者側の車両が自ら突っ込んでしまった場合です。


その場合過失割合の多くが被害者側にあるため、加害者側からの一括払いが受けられなくなる場合があります。

被害者請求のやり方とその後の流れをご紹介

ではここからは、具体的な「被害者請求」の流れについて取り上げていきます。 


実際にその手続きが必要となったときのために、これから挙げる手順をぜひ把握しておきましょう。 

加害者が加入している保険会社を確認する

被害者請求は、加害者が加入している自賠責保険の保険会社(損保)に対して行うものです。 


ですから、被害者請求を行う上でまず必要となる点は、『加害者が加入している自賠責保険会社を把握する』、ということです。 


これは、後になって行うのではなく、可能であれば事故が発生したその時に確認するべきことです。 


事故が発生した時は、相手方の名前や住所、勤務先や電話番号、車のナンバーや実際の事故状況などを控えておく必要がありますが、その際に相手が加入している保険会社についても確認しておきましょう。 

被害者請求に必要な書類は自分で用意しなければならない

被害者請求には、以下のような書類がまとめて必要となり、それらはすべて自力で用意する必要があります。 


傷害事故か、死亡事故なのか、によっても必要な書類は変わってきます。 


支払い請求書や事故発生状況報告書は保険会社から受け取れますが、印鑑証明や戸籍謄本が必要な場合は市町村に直接赴く必要も生じます。


被害者請求に関しては、この「書類を用意する」という手間がネックになることは間違いありませんが、記入もれや不備が発生しないように注意しなければなりません。 


被害者請求に必要な書類として、以下の代表的なものが挙げられます。


  • 保険金支払い請求書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療報酬明細書
  • 診断書(後遺障害の診断書含む)
  • 印鑑証明書(本人及び請求者)

そのほか、休業損害証明書や診療時のレントゲン写真が必要になる場合もあります。

自賠責損害調査事務所が調査に入る

被害者から請求が行われると、その請求が正当なものであるかどうかを調べるために、実際の事故調査が行われます。 


損害保険料率算出機構の支部である「自賠責損害調査事務所」がそれを行うことになります。 


その調査の結果が自賠責保険の保険会社に報告され、実際に被害者に支払われる金額が決定されます。 

弁護士に相談することも視野に入れて

被害者請求には必要な書類をいくつも用意したり、そのための手続きを行う必要がありますが、それらの書類には正確さが求められます。 


それに、初めて被害者請求を行うとなると、どれだけネットで調べても分からないことや不安なことが多いでしょう。 


そういった方は、ぜひ弁護士に相談することをお勧めします。 


請求に伴う不安を取り除くことができるのと同時に、弁護士の仲介によって正確な書類を作成できます。 

被害者請求を行うときに注意してほしいこと

では、私たちが実際に被害者請求を行うときに注意しなければならない点とは、どのような点でしょうか。 


次から挙げる3つの点を覚えておきましょう。 

費用と時間がかかる

まず一つ目は、被害者請求には費用がかかるうえ、多くの手間がかかる、という点です。 


すでに挙げた通り、被害者請求を行うには数種類の書類を自力で用意しなければなりません。 


保険会社から取り寄せるものや、病院から有料で発行してもらわなければならないもの、役所に直接赴いて申請しなければならないものもあります。


複数の医療機関から診断書を取り寄せる場合でも、当然ながらその分多くの費用と時間が掛かります。 

被害者請求が行える”時効は3年間”

被害者請求には、請求を行える期限がある、という点も覚えておかなければなりません。 


被害者請求の請求権は、『3年で時効』となります。 


きちんと事故後に請求を行おうとして、3年経過してしまうという事態は考えにくいですが、治療が長引くなどしてうやむやになってしまったり、後で行おうとして完全に忘れてしまうような事態は考えられます。 


ですから、できる限り早めに請求を行うに越したことはありません。 

早い方が、より事故調査の結果も正確なものとなるからです。
 


ちなみに、被害者請求は事故直後から3年ですが、加害者請求の場合は加害者が被害者に対して「賠償金を支払ってから3年」というかたちになっています。

自賠責保険の賠償金額の範囲は決まっている

自賠責保険は、事故によって負った障害の内容によって、補償の限度額(上限)が以下のように決まっています。 


 (表を挿入 事故の内容→死亡・後遺障害・傷害ごと) 

事故内容備考
補償の上限額
傷害-120万円
後遺障害①常時介護が必要な場合4000万円
後遺障害②
介護が必要な場合3000万円
後遺障害③要介護でない75万円~3000万円
死亡-3000万円


治療内容によっては、これらの上限を超えて費用が必要になる場合があります。 


より厚い補償で交通事故に備えるためには、自賠責保険だけでなく、任意保険へ加入する必要があります。 

高すぎるバイク保険に加入していませんか?

バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。


自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。


ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?


実は、バイク保険は少し条件を見直すだけで年間の保険料が1万円近く安くなることがあるのです。


ただ、自分で多くの保険会社で見積もりをして比較するのは大変ですよね。


そんな時は一括比較サービスを利用してみましょう。一括比較サービスであれば、一度の入力で多くの保険会社の見積もりを取ってくれます。


しかも何度利用しても無料です。一度利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

ここまで、自賠責保険における『被害者請求』について取り上げてきました。


今回のこの記事のポイントは、

  1. 被害者請求とは、事故における加害者の加入している損保に対して請求を行うことである
  2. 加害者請求と請求先は同じだが、加害者が被害者に対して支払った金額を請求することであるという点で大きな違いがある
  3. 被害者請求は、数種類の書類を自力で用意する必要があり、それに基づいて自賠責損害調査事務所が事故調査を行う
  4. 被害者請求には、3年という期限がある点には注意が必要である

この4つの点です。


私たち自身は、事故の当事者にならない限り被害者請求にかかわる詳細を知る必要はないのではないか、と思えるかもしれません。


しかし逆に言えば、事故に遭ってしまって考えるのでは、様々なことが後手後手になってしまいがちです。


いつ起きるかわからない、それでも起きないとは限らない将来の「万が一」に備えて、発進前に周囲の安全をバックミラーで確認しておくように、今回取り上げた『被害者請求』のことをぜひ覚えておくようにしましょう。





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この記事の監修者
森下 浩志
2018年に早稲田大学基幹理工学部に入学。保険×テックの領域で保険業界をイノベーションをしていく姿勢に共感し、「ほけんROOM」の運営に参画。2019年にファイナンシャルプランナー、損害保険募集人資格を取得。

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