更新日:2019/03/27
自賠責保険で対物事故は補償されるの?対物賠償保険に加入しよう
自賠責保険の補償内容で対物事故はカバーしてくれるの?補償されないのなら、どんな内容の自動車保険に加入すべき?そのような疑問にお答えする記事です。自賠責保険の詳細から、対物賠償保険におけるオススメの補償内容まで詳しく解説しています。
目次を使って気になるところから読みましょう!
自賠責保険では対物賠償に対応できません!対物賠償保険の必要性とは?
「自賠責保険も同じ自動車保険なのだから、当然、対物賠償の損害も補償されるのではないか」このような間違った認識の方は多いようです。
しかし、自賠責保険では対物賠償責任を負った場合の損害は補償されません。
自賠責保険は対人賠償責任を負った場合の最低限の補償を定めたものにすぎず、他の補償はないのです。
この記事では、
- 自賠責保険に対物賠償が含まれない理由
- 対物賠償責任保険に加入することの意義
- 保険金額を無制限とすることの必要性
この記事を読んでいただければ、自賠責保険の補償内容と対物賠償責任保険の必要性について理解することができるようになります。
是非、最後までご覧ください。
自賠責保険は対人賠償保険!対物賠償が含まれない理由とは?
太平洋戦争後、目覚ましい復興を遂げた日本では自動車の台数が大きく増加しました。
それに伴って、自動車事故も多発。
交通事故の被害者救済が叫ばれるようになったのです。
そのため、昭和30年に「自動車損害賠償保障法」が成立し、交通事故の被害者に対する補償が法的に担保されることとなりました。
通常、加害者の不法行為による損害賠償責任を問うためには、加害者側に過失があったことを被害者側が立証しなければなりません。
しかし、加害者の過失を立証することは被害者にとって大きな負担であり、そのことが交通事故の被害者救済の大きな障壁となっていました。
「自動車損害賠償保障法」では、加害者側に過失などの責任がなかったことを立証させる責任を負わせることで、立証責任を行う者の立場を被害者から加害者に転換するとともに、加害者に対して自賠責保険への強制加入を義務付けることで損害賠償金の支払い能力を担保したのです。
注目しなければならないのは、「自動車損害賠償保障法」における損害賠償とは被害者が被った身体の被害に対するものに限定されるということです。
物の損害は対象となっていません。
自賠責保険には対人賠償だけではなく、対物賠償も含まれていると考えている方もいるかもしれませんが、そうではないのです。
以下で、その理由について解説します。
自賠責保険は公道を走る自動車・原付に加入義務がある強制保険
「自動車損害賠償保障法」第5条には、自賠責保険に加入していない自動車を公道で走らせてはならないと規定されています。
もしも、この規定に違反した場合には「自動車損害賠償保障法」第86条の3に規定された罰則が科されることとなります。
すなわち、自賠責保険に未加入の自動車を運転した者は1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処するとされているのです。
さらに、自賠責保険の証書を持たないで自動車を運転した場合には30万円以下の罰金を科す、ともされていて、自動車の運転者にとり厳しい内容のものとなっています。
自賠責保険は交通事故被害者の最低限の救済が目的!
そのため、自賠責保険では、その運用に伴って利益を追求することは認められていません。
また、その一方で損失を出すことも認められていないのです。
これを「ノーロスノープロフィット原則」と呼んでいます。
この原則があることによって、徴収することができる保険料の額には制限がかかります。
自賠責保険の保険料率は損害率によって決められますが、その料率には利益率は含まれず、また損失も出ないようにしなければならないからです。
徴収することができる保険料額に上限があるために、補償することができる内容にも一定の制限がかかることとなります。
交通事故被害者の救済という社会保障的観点からみれば、被害者が身体に対して被った損害の補償のほうが物的損害よりも優先されますので、自賠責保険には対物賠償は含まれないのです。
ただし、自賠責保険で補償される金額は死亡の場合で3000万円、ケガの治療については120万円までが上限とされ、それ以上の損害額については補償されません。
「ノーロスノープロフィット原則」によって運用されているため、自賠責保険の補償額には限度があり、被害者への補償は、あくまでも最低限のものとされているのです。
自賠責保険だけでなく対物賠償保険に入るべき!
もしも、事故によって相手側の自動車を傷つけてしまった場合には、修理代金は補償されないのです。
そのため、自動車を運転する場合には対物保険の付いた任意保険にも加入することが大事です。
自賠責保険とともに任意保険に加入することで万が一の事故の際にも対応できるようにしましょう。
車での事故を起こした場合のほとんどは物損事故になる!
警察庁交通局が公表した平成29年の事故発生状況の統計によると、35.5%が追突による事故、24.5%が出合い頭による衝突事故となっています。
その一方で、歩行者に対する事故は10.7%。
自動車による事故のほとんどが物損事故によるものとなっているのです。
対物保険の必要性は事故の統計上からも明らかだといえるでしょう。
対物賠償保険の保険金限度額は無制限にしよう!
対物賠償金額は対人賠償金額に比べてさほど高くはない、ということがいわれていた時期がありました。
その当時の対物賠償保険の保険金額の相場は500万円だったといわれています。
しかし、時代とともに対物事故による損害賠償金額が高額化するにつれて、対物賠償保険の保険金額も高くなってきたのです。
巨額な対物賠償請求が増加している
また、踏切で電車と衝突した事故では、1憶1347万円の支払いが命じられました。
さらに、パチンコ店の店舗を損壊した事故では1憶3580万円の損害賠償金の支払いが命じられています。
このように対物事故といっても、自動車同士の接触事故に限ったものではありません。
また、店舗の休業による休業損害なども対物保険の対象となりますので、認定される損害額は大きなものとなるわけです。
そのため、対物保険の保険金額は無制限とするのが現在の主流となっています。
保険料は無制限でない場合とあまり変わらない
その場合の保険料を比較したのが次の表です。
対物賠償保険保険金額 | 保険料 |
---|---|
無制限 | 45100円 |
9000万円 | 44420円 |
5000万円 | 44260円 |
1000万円 | 43480円 |
*上表は対人賠償責任保険は無制限、人身傷害保険は3000万円として計算しています。
*また、上表の保険金額はあくまでも概算であり、正確なものではありませんので、その点はご了承ください。
たとえば、対物賠償保険の保険金額が無制限の場合と9000万円の場合、その差額はわずか680円でしかありません。
高額化する対物賠償金額を考えた時、わずかな保険料の負担で万全な補償が手に入るのであれば、対物賠償責任保険の保険金額は無制限とするのがおすすめです。
損保会社は保険金限度額を超える賠償では示談交渉を放棄する
損害額が保険金額を超える場合、損害保険会社は示談の代行を放棄するからです。
保険会社の約款には、1回の対物事故の保険金額が保険証券に記載されている保険金額を明らかに超えてしまう場合、示談代行ができないとの規定があります。
そのために、損害額が保険金額よりも大きくなる場合には、保険会社の示談代行サービスは使えないのです。
高すぎるバイク保険に加入していませんか?
バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。
自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。
ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?
実は、バイク保険は少し条件を見直すだけで年間の保険料が1万円近く安くなることがあるのです。
ただ、自分で多くの保険会社で見積もりをして比較するのは大変ですよね。
そんな時は一括比較サービスを利用してみましょう。一括比較サービスであれば、一度の入力で多くの保険会社の見積もりを取ってくれます。
しかも何度利用しても無料です。一度利用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
自賠責保険と対物保険との関係および対物保険に加入する場合の注意点について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
今回のこの記事のポイントは、次の4点です。
- 自賠責保険は対人事故に対する最低限の補償を目的とした保険
- 自賠責保険は対物保険に対応していない
- 対物事故に対応するためには対物保険に加入することが必要
- 対物保険の保険金額は無制限に設定するのがおすすめ
自動車を運転する場合には自賠責保険だけではなく対物保険を含めた任意保険に加入することが必要です。
また、対物保険のように他人への損害賠償を目的とした保険では十分な賠償資力を担保することが自分を守ることにつながります。
事故に対する十分な備えをして快適なドライブを楽しみましょう。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。