そのままでも大丈夫?知っておきたい自賠責保険の名義変更手続き

自賠責保険の名義変更手続きはできるのでしょうか?できるとしたらその方法は?また、自賠責保険の名義変更手続きはしなくても良いとも聞くけれど、本当はどうなのでしょうか?加入義務がある自賠責保険の名義変更に関わる様々な問題点についてくわしく解説します。

加入義務のある”自賠責保険の名義変更”はできるの?

自賠責保険は、「自動車損害賠償保障法」に規定された強制保険です。

太平洋戦争後、急速な復興と経済成長が進んだ日本では自動車の登録台数が増え、それに伴って交通事故が多発するようになりました。


そこで、交通事故による被害者救済のため、昭和30年に「自動車損害賠償保障法」が制定され、自動車を運転する場合には自賠責保険に加入することが義務付けられたのです。


もしも、自賠責保険に加入せずに自動車を運転した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則が定められています。


自賠責保険は、このような罰則付きの強制保険ですから、保険期間の途中で名義を変更することはできるのだろうか、との疑問を持つ人がいるかもしれません。


ここでは、加入義務のある自賠責保険は保険期間途中での名義変更はできるのか否か、という疑問に対する答えと、もしできるのであればどのような手続きが必要なのか、という点について解説します。




自賠責保険であっても名義変更は”可能”

自賠責保険を保険期間の途中で名義変更することは可能です。

加入が義務付けられている強制保険の名義を変更することには、何か差しさわりがあるのではないかと考える人がいるかもしれませんが、そのようなことはありません。


強制保険であることと、名義変更手続とはまったく別のものです。


自動車を売却したり、譲渡したりした場合には車検証上の名義とともに自賠責保険の名義も変更するようにしましょう。




自賠責保険の名義変更にあたり、必要な”手続きと書類”

中古車を購入したけれど、自賠責保険の名義が元の所有者のままだった場合や、友人から原付バイクを譲ってもらった場合などは、最寄りの保険会社で名義変更の手続きを行います。


その際に必要な書類は次の通りです。


  1. 自賠責保険証書
  2. 自賠責保険承認請求書
  3. 自動車売買契約関係書類

以下にくわしく解説します。




自賠責保険の名義変更”手続き方法は簡単”

自賠責保険の名義変更手続きは、上記の書類を整えて、最寄りの保険会社に行けば、その場で行ってもらえますので、難しいものではありません。

また、中古車を購入した時に、車検証の名義書き換えと一緒に自賠責保険の名義変更手続きを中古車ディ―ラーに依頼すれば、手続きを代行してくれる可能性もあります。


なお、名義変更手続き中に事故を起こしてしまった場合でも、自賠責保険は適用されますので安心です。

”自賠責保険承認請求書”

自賠責保険承認請求書は、自賠責保険の名義変更、解約などの手続きを行う際に使用する書類で、保険会社に用意されています。


自賠責保険の名義変更手続きを行う場合には、自賠責保険承認請求書に所定の事項を記入し、自動車の譲渡人及び譲受人の印鑑を押さなければなりません。


その際の印鑑は双方ともに認印で大丈夫です。


ただし、名義変更手続きを行うのが、譲受人の場合で、上記の自動車売買契約関係書類を揃えることができない時には、それに代えて譲渡人の印鑑証明書(発行後、6ヵ月以内のもの)を提出することとなるのですが、その際の、自賠責保険承認請求書に押す譲渡人の印鑑は、印鑑証明書の印に限られますのでご注意ください。

”権利譲渡の意思を確認”できるもの

上記の自賠責保険の名義変更手続きに必要な書類の中で、自動車売買契約関係書類というものがありますが、この書類は、譲渡人から譲受人への自動車の所有権譲渡の意思があったことを確認するために提出するものです。

具体的な例としては、自動車売買契約書、下取り車の受領証などがあります。


自動車売買契約関係書類を揃えることができない場合については、名義変更手続きを行う者が譲受人であるか、譲渡人であるかの違いによって取り扱い方が異なります。


譲受人が名義変更手続きをする場合の取り扱い


  1. 自動車売買契約関係書類を揃えることができない時には、譲渡人の印鑑証明書(発行後、6ヵ月以内のもの)を提出すれば良いとされています。
  2. もしも譲渡人からの協力を得られずに、印鑑証明書を含めた自動車売買契約関係書類の資料を揃えることができない時には、譲受人へと名義変更された車検証を提示することで、自動車の譲渡に伴って、自賠責保険契約の譲渡もあったものとみなされ、名義変更手続きが可能となります。
  3. 譲受人へと名義変更された車検証の提示ができない時には、保険会社から別の書類を提示するように求められますので、その指示にしたがって下さい。


譲渡人が手続きをする場合の取り扱い


  1. 自動車売買契約関係書類の代わりに、譲渡人の本人確認書類、たとえば運転免許証や健康保険証などで代用することができます。 

自賠責保険は”名義変更していないケースが多い”

中古車や中古の原付バイクを購入した時に、自賠責保険の名義変更がされていないケースは多いようです。

特に原付バイクなどは友人同士での譲渡も多いため、自賠責保険の満期までまだ日があればそのままになってしまうことがあるようです。


また、自賠責保険は、事故が起きた場合に保険契約者の名前には関係なく補償がされますので、名義変更の手続きを行わなくても大丈夫、と考えられているのかもしれません。


ただし、自賠責保険の名義変更手続きを行わないでいると、後でトラブルになる可能性があります。


以下にくわしく解説します。




そもそも自賠責保険の”名義変更は義務ではない”

保険期間途中で自動車を譲渡した場合でも、必ず名義変更手続をしなければならない義務はありません。


自賠責保険は人ではなく、自動車に付いている保険です。


自賠責保険の名義人が誰であろうと関わらず、事故が起きた際には保険金が支払われます。


極端な話、自動車の名義だけではなく、登録番号が変わっていたとしても、事故が起きた時には自賠責保険の補償の対象となるのです。 


自動車には登録する時、1台ごとに車台番号という番号が割り振られます。


車検証には車台番号の欄があり、そこに記載されている、たとえばNKR-1234567という番号がその番号となります。


自賠責保険はこの車台番号と連動して適用されますので、保険契約者の名義や登録番号といったものは関係ないのです。


時折、登録番号が記入されていない自賠責保険の保険証書を見ることがありますが、何ら問題はありません。 


ちなみに自賠責保険が適用されるため、自賠責保険証書に記載されていなければならない事項は次の3つとなります。


  1. 車検証に記載されているものと同じ車台番号
  2. 保険期間
  3. 自賠責保険加入の手続きを扱った保険会社の保険料収納済印

すなわち、車台番号と保険期間、さらには保険料の支払い、といった3点の確認が取れてさえいれば、自賠責保険が適用されるわけです。


自賠責保険適用の条件は、あくまでも自動車に保険が付保されているか否かであって、保険契約者が誰であるのかということとは関係していないことが、ここからもわかると思います。


なぜ、このような仕組みになっているのかといえば、自賠責保険の制度が作られた目的が交通事故の被害者救済のためだからです。


契約者が誰かということや登録番号の有無に関わらず、事故を起こした自動車自体に自賠責保険が付いてさえいれば保険金が支払われることで、被害者への補償が担保される仕組みとなっているのです。


そのため、自賠責保険への加入は義務付けられていますが、名義変更までは義務化されていません。 


自賠責保険に名義変更をしていないケースが多いのは、このような理由もあるからです。

万が一、事故を起こした場合は”前の所有者”が手続きを行う

被害者に対する補償、という視点からみれば、自賠責保険の名義変更手続きは行わないでいても問題はありません。


しかし、前に名義変更手続きを行っていない自動車を所有していた人、および現在所有している人にとっては様々な問題が生じてきます。


まず、名義変更手続きを行っていない自動車を運転して事故を起こした場合の保険金請求手続は前の所有者が行うこととなります。


現実には保険会社が任意保険と併せた一括払い請求手続きを行うことが多いので、その際に保険会社からの連絡に対応することとなるでしょう。


次に、名義変更手続きを行わないことで、前の所有者の住所氏名などの個人情報がそのまま次にその自動車を運転する人の目にふれてしまうという問題があります。


さらには、自賠責保険の更新の連絡が前の所有者のもとにきてしまいます。


この点については実害はありませんが、あまり気持ちのいいものではないでしょう。


これらが賠責保険の名義変更手続きを行わなかった場合に、前の自動車の所有者が被る問題です。


それに対して、現在、自動車を所有している人が被る問題には次の2点があります。


保険会社から自賠責保険の更新の連絡がこない、というのが1番目の問題です。


自賠責保険の保険証書には、前の所有者の住所氏名が記載されていますので、現在の所有者のもとには更新の連絡はこないのです。


車検を通す必要がある自動車については、車検の時に新規で自賠責保険に加入しますので問題はありませんが、原付バイクのように車検を通す必要がない自動車の場合には、自賠責保険の更新手続きを忘れてしまう可能性があります。


その場合、無保険の状態で運転することとなりますので、万が一、事故を起こした場合には大変なこととなります。


たとえ、任意保険に加入していたとしても、相手を死傷させてしまった場合に使用する対人賠償責任保険は自賠責保険と連動していますので、自賠責保険に加入していなければ適用されず、補償を受けることができません。


被害者に対する補償は現在、その自動車を運転している人が自費で行わなければならなくなるのです。


2番目の問題としてあげられるのは、自賠責保険に加入しないで運転した場合には「自動車損害賠償保障法」上の罰則が適用され、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることです。


自賠責保険の更新手続きもれの可能性があることが、現在、自動車を所有している人が被る一番の問題点でしょう。


このように見てくると、自賠責保険の名義変更手続きはきちんと行っておくほうが良いといえます。




高すぎるバイク保険に加入していませんか?

バイクに乗っている方であれば、自賠責保険だけではなく、バイク保険(任意保険)にも加入しているのではないでしょうか。


自賠責保険だけでは賄えないたくさんの補償をしてくれるので、必ず入るべきですよね。


ただ、その保険料について見直したことはありますか?バイクを購入する時のショップで言われるがままに加入していたりしませんか?


実は、バイク保険は少し条件を見直すだけで年間の保険料が1万円近く安くなることがあるのです。


ただ、自分で多くの保険会社で見積もりをして比較するのは大変ですよね。


そんな時は一括比較サービスを利用してみましょう。一括比較サービスであれば、一度の入力で多くの保険会社の見積もりを取ってくれます。


しかも何度利用しても無料です。一度利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがでしたか。

自賠責保険の名義変更手続きについて解説してきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。


自賠責保険は交通事故の被害者救済のために設けられた制度です。


そのため、自賠責保険の名義変更手続きを行わなくとも、被害者の救済には問題はありません。


しかし、自動車の所有者にとっては、その所有の前後を問わず、名義変更手続きを行わないことによって問題が生じる可能性があるのです。


自動車を売却したり購入したりした場合には、自動車の名義変更手続きとともに自賠責保険の名義変更手続きも忘れずに行うことをおすすめします。

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