更新日:2018/12/23
学資保険を相続税対策として利用するには、どうすればいいのか?
学資保険は子どもの教育資金を積み立てるための効果的な手段ですが、相続税対策としても利用することができます。この記事では、学資保険を使った相続税対策とはどういうものなのかを、相続税、贈与税などをご紹介しつつ、具体的に計算しながら、ご説明したいと思います。
目次を使って気になるところから読みましょう!
学資保険で相続税対策ができる
学資保険と相続税対策がどう結びつくのか、見当がつかないという人も多いかと思いますが、学資保険を利用することで相続税を減らすことができるということです。
そこで、この記事では学資保険の相続税対策として、どのように学資保険を利用することによって、相続税を減らすことができるのかをご紹介したいと思います。
ちょっと複雑で難しいかもしれませんが、できるだけわかりやすく、ご説明したいと思います。
そもそも相続税とは
ただし、相続税には基礎控除額というものがあり、相続財産の合計額が基礎控除額を超えていなければ、相続税は課せられません。
基礎控除額は相続人の人数によって、相続人が1人の場合は3,600万円、2人目以降は、600万円ずつ上乗せされていきます。
まずは贈与税について理解する
贈与税とは、ある個人から財産をもらった場合に課せられる税金です。
保険との関係では、自分が保険料を支払っていない生命保険金を受け取ったときは、贈与とみなされ贈与税を課せられます。
一方、自分を被保険者として保険料を支払っていた人が亡くなった場合に生命保険金を受け取ったときは、贈与税ではなく相続税が課せられます。
贈与税は1年間に110万円まで課税が控除される
このような贈与税の課税方法を「暦年課税」と言います。
この「贈与税の110万円控除」を利用することが、学資保険を使った相続税対策の鍵になります。
孫の教育資金として学資保険の為に生前贈与していく
子ども(孫)の教育資金を積み立てるため、学資保険の保険料に充てるための資金を親の両親(祖父母)から生前贈与によって、受け取るという方法です。
そこで、生前贈与とは何かを、その仕組みとともにご紹介します。
生前贈与の仕組み
生前贈与した場合、その財産には相続税ではなく、贈与税が課せられます。
したがって、2017年に相続税が増税されたこともあり、生前贈与することによって、相続税を節税することが可能となります。
1.学資保険での相続税対策を具体的に計算する
ここからは、学資保険を使った相続税対策について、計算しながら、具体的にご説明します。
既にご説明したとおり、子ども(孫)の教育資金を積み立てるため、学資保険の保険料に充てるための資金を親の両親(祖父母)から生前贈与によって、受け取ります。
祖父母から生前贈与によって、学資保険の保険料に充てるための資金を受け取る際、贈与税が課せられますが、ここで、ある制度を利用することによって、贈与税がかからない方法があります。
その制度とは、「贈与税の110万円控除」です。
既にご紹介したとおり、「贈与税の110万円控除」は、1年間にもらった財産の合計額が110万円を超えていなければ、贈与税は課されないという制度です。
したがって、祖父母から生前贈与によって、学資保険の保険料に充てるための資金を受け取る際に、1年間の贈与額を110万円以内にすれば、贈与税は一切かからないということになります。
具体的には、仮に1年間の祖父母からの生前贈与額を110万円として、孫が15歳になるまで学資保険の保険料として支払っていけば、15年後の払込保険料は1,650万円となりますが、「贈与税の110万円控除」により、贈与税は課せられません。
この時、学資保険の返戻率が108%の場合、1,650万円×1.08=1,782万円の保険金を受け取ることになり、贈与税は課せられませんが、税金がまったくかからないわけではありません。
この場合は、保険金1,782万円-払込保険料1,650万円=132万円に対して所得税が課されます。
しかし、相続税と所得税では課税額にかなりの差があるので、祖父母から生前贈与による資金を学資保険に充て、「贈与税の110万円控除」を利用することによって、相続税対策となり、かなりの節税ができることになります。
学資保険での相続税対策の注意点
「贈与税の110万円控除」を利用する上で、この2つの注意点は重要になりますので、しっかりと確認してください。
定期贈与(連年贈与)と見なされると贈与税が発生する
ある贈与が定期贈与と判断された場合、贈与契約を締結した年に1,000万円の贈与があったものとみなされ、贈与税が課せられます。
一方、毎年贈与契約を結んだ上で、毎年100万円ずつ贈与が行われ、結果として10年間で1,000万円の贈与となった場合、この贈与は定期贈与ではなく、毎年の贈与額が110万円以下のため、贈与税は課されません。
贈与契約書の作成と贈与の証拠を残しておくこと
したがって、税務署によって、定期贈与と見なされないように証拠を残しておく必要があります。
1.まず、「1,000万円を10年間にわたって、毎年100万円を贈与する」という定期贈与の契約書は作成せずに、毎年贈与契約書を作成する必要があります。
2.次に、贈与する際には銀行の預金口座を利用します。
銀行の祖父母の預金口座から振り込んで、親の預金口座に入金があれば、毎年贈与があったことの証拠になることから、定期贈与ではないと証明できるからです。
まとめ
以上のように、学資保険での相続税対策とは、学資保険の保険料を生前贈与による資金で充当し、「贈与税の110万円控除」により、毎年110万円以下の保険料を支払っていくことによって、相続税を減らすという方法です。
ちょっと複雑だったかもしれませんが、学資保険への加入を検討する際、相続税対策に利用できるかどうかを併せて検討してみてください。
もし、学資保険を使って相続税対策をすることができれば、将来親から財産を相続する際に、相続税の負担が軽減されることになります。
この記事を読むことによって、学資保険での相続税対策をする際の参考になれば幸いです。
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