公務員に学資保険は必要?共済や定期預金で十分?内容を比較検討!

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子どもの教育費は共済組合で十分?と学資保険の加入に悩む公務員の方も多いと思います。特に共働きの公務員の場合、安定性から学資保険への加入をためらう方もいると思います。ここでは公務員にとっての学資保険の必要性、生命保険や定期預金との差、共働き夫婦が学資保険に加入時の名義などを解説します。

公務員に学資保険は必要?他の保険との兼ね合いは?


公務員は安定した収入と充実した社会保障が魅力の職業です。


平均給与額を見ても、人事院の平成31年国家公務員給与等実態調査の結果によると、417,683円と比較的高額なことがわかります。


そのため、「子どもの教育資金はしっかり積み立てたいけれど、共済組合や定期預金で十分なのでは?」と学資保険の加入を迷っている公務員の方も多いのではないでしょうか。


しかし、学資保険は共済保険や定期預金、生命保険などとは異なるメリットがあるため、万が一に備えて学資保険への加入をおすすめします。


この記事のポイントは、

  • 公務員の学資保険の必要性
  • 生命保険、定期預金、医療保険との比較
  • 公務員の共働き夫婦が学資保険に契約する際の名義
  • 学資保険は年末調整時に生命保険料控除の対象になる
  • 日本教育公務員弘済会(日教弘)について

です。


この記事を読めば、公務員の学資保険選びだけでなく、他の保険との関係性も把握できます。


ぜひ最後までご覧ください。

公務員にも学資保険は必要。生命保険、定期預金、医療保険と比較

学資保険は、子どもの将来の教育資金を貯めることを目的とした保険で、大きな特徴としては、 

  • 子どもの大学進学前後が満期となっていることが多く、貯蓄性が高い
  • 契約者に万が一のことがあった場合、以降の保険料支払いが免除される制度がある(払込免除特約)

の2点が挙げられます。


これらを踏まえ、他の保険や定期預金と比較しながら、公務員にとっての学資保険の必要性を検討してみましょう。

学資保険は貯蓄性が高く、公務員にもおすすめ

公務員は転職の可能性も少なく、共済による保障が手厚いため医療費の心配度合いも低めです。


「学資保険は必要ない」「銀行の定期預金で十分」と思われるかもしれませんが、学資保険の魅力は貯蓄性の高さと返戻率を兼ね備えているところにあります。


返戻率とは、払込保険料総額に対して、学資保険が満期になった時に戻ってくる満期返戻金がいくらになるかの割合を指し、計算方法は

返戻率=満期返戻金÷払込保険料総額×100

この返戻率が高ければ高いほど戻ってくるお金が多いということになります。


ここで、定期預金とどちらがお得かという疑問が湧いてくるかもしれません。


仮に、定期預金で100万円を利息0.5%で18年間貯金した場合のシミュレーションをしてみましょう。


金利については、現在の定期預金でもっとも高い0.1%で計算しています。

年数預金額年数預金額
1年
1,000,000
10年1,008,029
2年1,001,601
11年1,008,835
3年1,002,40212年1,009,642
4年1,003,20413年1,010,450
5年1,004,00614年1,011,258
6年1,004,81015年1,012,067
7年1,005,613
16年1,012,877
8年1,006,41817年1,013,687
9年1,007,22318年1,014,498
※利息には所得税15%復興特別所得税0.315%地方税5%を差し引きます。四捨五入で計算しています。

結果、18年後に受け取れる金額は101.4万円で、返戻率に換算すると101.4%となりました。


現代は学資保険も返戻率が下がってきていますが、そうはいっても返戻率105%前後の返戻率の学資保険が多く存在します。また時には110%という学資保険も見かけます。


返戻率の面で比べれば、18年間の定期預金よりも、学資保険の方がお得ということが言えます。

学資保険は子どもに対する保障が生命保険よりも充実

何も学資保険でなくても、一般の生命保険を利用して教育資金を貯めるという方法も考えられます。


この場合に学資保険を選択するメリットは、学資保険にもよりますが、オプションとして子どもの医療保障が充実しているという点です。


子どもが成長していく過程では、病気やケガを避けて通ることはできません。大事に至らければそれに越したことはないのですが、何があるかはわからないものです。


学資保険であれば、子どもの不測の入院や手術へ備えることが可能です。

学資保険は定期預金より保障も充実

預貯金で教育資金を貯めるというのも、もちろん1つの方法です。


この方法であれば貯めたお金の使い方は自由なので、急にまとまったお金が必要になったときなどには助かるという面もあります。


ただし普通預金では利息が見込めないので、使い勝手は制限されますが定期預金を選ぶという方もいらっしゃるでしょう。それでも先ほどのシミュレーションの通り、学資保険と比べた場合に定期預金で増える額はわずかです。


また学資保険には、前述の払込免除特約がほぼ標準で付いています。


契約者に万が一のことがあった場合、学資保険であればそれ以降の支払いは免除されたうえで満額の保険金を受け取れますが、預貯金では積み立てた額以上を得ることは当然ながらできません。

保障制度が安定した公務員の、医療保険の優先度は低め

保険に加入するのであれば、何を優先するか考える必要があるものですが、公務員であれば「医療保険」の優先度が低めといえるかもしれません。

公務員に限らず、多くの就労者の場合、医療費の自己負担額は3割です。

例えば、一ヶ月、病院で手術・治療・入院して医療費が100万円かかった場合、公的医療機関が70万円負担してくれるので、自己負担額は30万円になります。


さらに高額療養費制度があり、自己負担額は3割未満になります。


自己負担額がいくらになるかは年収によって変わってきますが、仮に年収370万円~770万円までの間の方が、自己負担額30万円だった場合、高額療養費制度を利用すると自己負担額は87,430円で済んでしまいます。


この制度は世帯合算で計算ができるので、夫婦の医療費を合算することができます。


これに加え、公務員の場合は附加給付があります。


附加給付とは、公務員または従業員700人以上の大手企業などが国からの許可を受けて独自に運営している組合管掌健康保険(組合健保)が行っている制度で、独自に保障を上乗せしています。


この附加給付がある場合、1人1ヶ月の医療費の自己負担額が決まっており、各組合健保で変わってきますが、公務員は1ヶ月の医療費上限が25,000円となっています


さらに、病気で働けなくなった場合でも、半年間は給与が全額支給、半年後から1年後までは、給与の8割が支給されます。1年後からは、健康保険組合または共済組合が傷病手当として給与の2/3を支給してくれます。


以上のように公務員は福利厚生がとても充実しているので、民間保険の医療保険は必ずしも必要ではないでしょう。

公務員の共働き夫婦は学資保険をどちらの名義で契約すべき?


公務員でなくとも、学資保険の契約者を父母どちらの名義にするかは悩みどころですね。


夫婦どちらかのみに収入がある家庭であれば、収入が多い方が契約者になるべきでしょう。


学資保険の最大のメリットともいえる払込免除特約は、あくまでも「契約者」に万が一のことがあった場合にのみ適用されるからです。


では共働きの家庭ではどうでしょうか。この場合、子どもの兄弟構成にも考えるべきポイントがあります。

第一子は、亡くなると家計への影響が大きい方の名義で

第一子の学資保険を契約する際には、夫婦のうち収入が多い方を契約者にするのが基本です。

理由は、どちらかにのみ収入がある場合と同じで、払込免除特約の存在です。

この特約自体が、残された家族の経済的な負担を軽くするためのものなので、万が一があった時に家計への影響が大きい方を契約者にするべきと考えられるのです。

ただし、第二子の学資保険は、第一子と逆の保護者名義で契約しましょう。

契約者でない方の保護者が亡くなった場合にも、家事育児など、残された家族でまかなわなければならない部分は多くあります。

その二次的な影響として、働き方を縮小したり、外部サービスを利用する必要が出ることもあるでしょう。
そうなれば学資保険の支払いが大きな負担になる可能があるため、リスクを分散しておくことがおすすめなのです。

公務員家庭の学資保険シミュレーション

では、ある公務員家庭の学資保険をシミュレーションしてみましょう。


ソニー生命の学資保険「学資金準備スクエア」に下記の条件で加入するとします。

  • 家族構成:夫30歳、妻30歳、子ども0歳
  • 保険金額:200万円
  • 保険料払込年数:10年

上記の条件の場合、

  • 月額保険料:16,020円
  • 払込保険料総額:1,922,400円
  • 返戻率:104%

となります。

学資保険は年末調整時に生命保険料控除の対象に

生命保険料控除とは、生命保険などに加入している人が受けられる税制上の優遇制度です。


学資保険の保険料は、所得税と住民税における生命保険料控除の対象となります。


これらの税金は、公務員であれば毎月の給与から源泉徴収された上で、年末調整の際に申請することによって控除を受けることができる仕組みとなっています。

保険料控除により実質利回りが良くなる

控除額は、収入や1年間の保険料の支払金額によって変わってきますが、最大で、所得税で4万円、住民税で2.8万円の控除を受けることができます。

これによって、実際に安くできる税金の額は年間6,800円となります。


6,800円と聞くと「それだけ?」と感じられるかもしれませんが、学資保険は長ければ約18年間払い続ける保険です。


6,800円×18年としても122,400円の節約となり、これは逆に122,400円貯まったと考えることができます。


これを学資保険の返戻率に換算すると保険料支払い総額が300万円の学資保険で、満期返戻金を3,122,400円受け取るとすれば返戻率は104%にもなります。

教職員の方向け、日本教育公務員弘済会(日教弘)について

日本教育公務員弘済会とは、1945年に結成された静岡県弘済貯蓄組合を前身とし、現在は各都道府県に支部があります。

活動の柱は、

  • 共済事業(提携保険事業)
  • 奨学事業
  • 教育研究助成事業
  • 教育文化事業
  • 福祉事業

以上の5つとなっていて、この「共済事業」の中に教職員用の保険があります。(現在はジブラルタ生命が運営)


扱っているのは「勤労保険」「医療保険」「終身保険」「個人年金保険」の4種類で、計6つの保険商品があります。


教職員(教員と、その他の教育関係職員)のみしか加入できないという極めて限定的な保険ですが、こちらを学資保険の代わりに利用することも考えられますので、教職員の方は一度問い合わせをしてみるのもいいかもしれません。

まとめ:学資保険は公務員にとってもメリットが大きい

公務員の方の、学資保険の必要性について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回の記事のポイントは

  • 公務員は給与水準が高く共済組合による充実した保障制度もあるが、学資保険には定期預金や他の保険と比較した場合のメリットが多い
  • 学資保険の契約者は、第一子であれば夫婦のうち収入が多い方の名義とするのが良い
  • 教職員であれば、日本公務員弘済会による保険も利用することができる

でした。


学資保険は子どもの教育資金を貯めることに特化した保険なので、他の手段での貯蓄と比べた際のメリットが多く存在します。


公務員の方もぜひ前向きに検討されてはいかがでしょうか。


保険ROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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