2017年マイナス金利で料率改定。2019年は生命保険料が高くなる?

2017年4月より生命保険各社では既存の保険商品を販売停止にしたり保険料の値上げを連続して行っています。生命保険料には料率改定による余波が強く今後も厳しくなることが予想されます。今回は生命保険料の料率改定の仕組みについて簡単にご紹介します。

生命保険の料率改定について

どんな買いモノであっても何らかの対価が必要です。対価を支払うことでモノの交換やサービスを受ける権利を得ることができます。また、対価というのはその時代や経済情勢によって変化するものです。

生命保険は近年において料率改定が行われています。以前までの保険料金とは違う価値で取引されているということです。生命保険の料率改定はこれまで何度も行われてきてはいますが、近年行われている料率改定に関しては今までとは異なる動きが見られそうです。


生命保険において何としても死守しなければならないのが準備金です。これが準備できなければ生命保険会社は会社として成り立たなくなり加入者からの信用は受けられなくなります。この準備金と料率改定がどのように関わっているのかを確認しながら生命保険の保険料がどのようになっているのかを確認しましょう。



生命保険の保険料率とは

生命保険料を決める上で保険料率というのは極めて重要な要素となります。生命保険の保険金額というのはバラバラではなく決まった計算式が設けられ厳密に計算されたものが表示されます。ゆえに生命保険料の中にはあらかじめ設定されている要素があるわけです。


保険料率というのは保険金額に対する割合のことであり、年齢や等級、支払月額などによって決められています。はじめのうちはそれらの要素が低いため保険料率が低くなります。しかし、更新型の保険や保険の転換時には高い率になることが考えられます。


健康保険や厚生年金保険についても保険料率は存在しており各都道府県で差が出ています。


民間の生命保険会社ではこの保険料率を予定死亡率、予定利率、予定事業費率の3つから勘案することで保険料を算定しています。


標準利率が生命保険の保険料率改定に影響を及ぼす

標準利率というのは金融庁が各保険会社に提示する保険会社の運用利回りに関する標準値のことです。なぜ標準値を提示するのかといえば料率改定をする際にも必要ですが、一番は保険自体が破綻しないように各保険会社の足並みをそろえさせておくことが大きな要因でしょう。

標準利率が上がることによって予定利率は上がる傾向があります。予定利率というのはどのくらいの割合で運用していくのかを表したものです。金利が高く運用期間が長ければ元本はそれほど高くならずに済むように予定利率が高くなれば保険料を安くすることができます。しかし予定利率が低ければその分だけ保険料が高くなるのです。


料率改定においてはこの標準利率というのが大きく関与してきます。何しろ標準利率で他の会社の動向も見なければなりませんので、調査の結果から料率改定を行わなければ不利な状況になってしまいます。

2017年4月に標準利率が引き下げられた

予定利率の変動に大きな影響を与えられるという標準利率は2017年4月に1%から0.25%まで引き下げられることになりました。数字だけ見れば単に1/4に削減されたように見えますが実際にはかなりの損失が出るということが予想されます。

料率改定の如何に関わらず保険は複利計算によって保険金を積立てていきます。これは単利の時よりもはるかに多くの利益を生むものです。複利計算では1%の違いでも莫大な金額になることがあるため、今回のような標準利率の低下では多くの保険会社が保険料見直しをしなければならないことになります。


結果として運用ができないということで販売中止になってしまった保険商品も多くあります。

予定利率の引き下げは保険料の値上げに繋がる

先ほどお伝えしたように予定利率が高ければ必要となる元本つまり保険料は安くても保険金が積立てられることになっています。ゆえに標準利率が上がれば料率改定により生命保険料は安くなる傾向があります。

実際にどれくらいの差が出てしまうのかについて例を見ておきましょう。今回は月額10000円を25年間支払い続けたときにどのくらいの積み立てができるのか計算してみます。


ケース123
月額保険料10,000円10,000円14535円
金利1.00%0.25%0.25%
積立合計額3,847,296円3,193,234円3,847,296円

この表から分かることとして全く同じような運用をしていても70万円ほどの差が出てしまい、同じだけの積立額にするためには40%ほど高い元本を用意しなければならないということです。

結局は標準利率低下に伴う料金改定では4割増しほどの保険料が徴収されてもおかしくはないということになります。

標準利率にはマイナス金利が影響する

そもそも標準金利を下げるという決断はなぜされたのでしょうか。述べてきたように生命保険料の料率改定だけでなく多くの企業に大きな影響を与えかねない金利ですので妥当と思える理由が必要となります。

標準金利は金融庁が決定することですが、決して自らの利益になることを目的として操作してよいものではありません。そこには経済的状況と一般的な金融情勢による裏付けがなされなければならないのです。


今回の標準利率の低下は2017年4月のことでした。この事件により生命保険の多くは料率改定により保険料の値上げや既存の保険商品の販売中止を行っています。ということは何らかのアクションがそれ以前にあり、ある程度は予期できることであったことがうかがえます。

マイナス金利とは

2016年1月にマイナス金利導入が発表されました。このマイナス金利こそが標準金利の低下を誘い生命保険の料率改定をさせたという考えがあります。一般的にはマイナス金利導入によって料金改定がされたことを理解できます。

そもそもマイナス金利とは預金利率をマイナスにすることです。銀行にお金を預けるとわずかながら利息を貰うことができます。これは金利がプラスの状態にあるからです。

では、金利がマイナスになるとどうなるでしょうか。正解は預けているとお金が持って行かれるです。


ただしマイナス金利導入に関しては日本銀行と各金融機関との取引における話ですので市井の方には適用されません。


しかし実際に料率改定によって影響を被っているのは生命保険などを取り扱う会社と銀行の取引関係が密接なため間接的に料率改定が引き起こされているのです。

既に商品の販売停止が行われているものもある

生命保険の料率改定に伴いすでに販売停止となっている保険商品があることは先ほども述べました。では、一体どのような保険商品が販売停止になっているのでしょうか。

一概に「この保険商品は販売停止している」とは言えませんが、料率改定に伴い販売が敬遠される保険商品の多くは貯蓄性の高い保険商品です。貯蓄性の高い保険商品といえば終身保険、学資保険、養老保険、個人年金保険などがあります。


貯蓄性の高い保険商品というのは長期間にわたって運用するため予定利率の差によって信じられないくらいの損失を出すこともあります。例えば、10年前に加入している方と現在から加入しようとしている方には予定利率の差が生じます。先ほども書いたように1%の違いでも複利計算では大きな差が出ます。これが何百人となった時点で新規加入は取り扱えないことになります。

生命保険の保険料が値上げになるものもある

生命保険の中には更新型のものも数多くあります。その際には新しい予定利率が適用されてしまいます。そうなると受取金額を下げないために保険料が値上げされることも考えられます。

このときの対応策として払い済み保険や転換保険などがあります。しかし、不要に手を出してしまうと逆に損を出してしまうので慎重に考えなければなりません。

まとめ 生命保険料率改定

生命保険料の料率改定というのは新たに新規加入者を募りたい一方で運用可能な保険が減ってしまう事態を引き起こしています。加入を検討されている方もしくは加入中の保険の見直しを図りたい方にとっては重要な時期です。

こうした重要なことは狭いところで考えるのではなくファイナンシャルプランナーなどによる無料相談会などで広い視野を持つことが重要でしょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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