生命保険の解約に手数料がかかるの?難しい保険解約金の問題を大解説

生命保険の解約はいつでも可能で手数料もかかりません。生命保険解約で返金される解約返戻金がありますが、支払い保険料の全額が戻る訳ではないです。さらに、手数料とは違い、解約控除が差し引かれる場合があります。本記事では解約控除などわかりづらいお金の問題を解説します。

生命保険を解約する時に、手数料はかからない

保険契約者は、いつでも自由に生命保険を解約することができます。


また、手数料もかかりません。


解約に特別の制限はありませんので、保険会社は保険契約者の申し出を拒否することができず、解約に応じなくてはなりません。


生命保険を解約すると、今まで支払った保険料は返還されませんが、解約返戻金が支払われます。

生命保険の解約手続きの流れ

生命保険を解約する方法は以下の通りです。
  1. 生命保険会社の営業担当者へ連絡する
  2. 生命保険会社の窓口で解約する
  3. 生命保険会社のコールセンターへ電話連絡する

いずれも契約者本人から解約の意思を伝えましょう。生命保険会社から解約に必要な書類の指示があるので、書類の取得と準備を行います。当然手数料の要求はありません。


なお、直接生命保険会社の窓口で解約したい場合は、前もって営業時間や手続きに必要な書類等を確認しておきましょう。


解約の際に必要な書類は以下の通りです。

  1. 解約請求書
  2. 保険証券

解約請求書は生命保険会社から取得して記入する書類です。

窓口で解約したい場合は、書面に契約印を捺印する必要があることも踏まえて印鑑を持参しておきましょう。


保険証券とは、生命保険契約の成立とその内容を証明する書類です。

仮に保険証券を失くしても再発行は可能ですが、解約の際に失くしたことに気付いて慌てないように、大事に保管してください。


なお、保険契約者の改姓や解約返戻金を保険契約者本人以外の口座へ振り込みを希望するケース等によっては、追加の書類が必要になる場合もあります。

ただし、解約返戻金から解約控除分が引かれる

前述したように生命保険の解約の場合は、手数料は支払いません。


しかし、生命保険料を支払った期間が短い場合には、解約返戻金から解約控除分が差し引かれることになります。


解約控除分とは、生命保険契約を締結した際に生命保険会社側が負う経費の内、回収できていない経費分のことです。いわば、この解約控除分が手数料とも言えます。


なお、生命保険料が10年以上支払われている場合には、一般的に生命保険会社は解約控除を行いません。

そもそも解約返戻金とは?

  • 解約返戻金とは

生命保険を解約した時に戻ってくるお金です。

被保険者のために積み立てた責任準備金から解約控除分を差し引いた残りの金額となります。


つまり、解約しても支払った保険料の全額が戻ってくるわけではありません。

  • 解約返戻金は生命保険契約時に確定

解約返戻金の額は保険契約時に確定します。


契約の際に取得した約款の最後に金額例表が提示されているのが一般的です。通常ならば「経過年数○年のときは、解約返戻金の額××円」というように記載されています。「契約のしおり」等にも記載されているので、解約を検討する際に確認してみましょう。

  • 責任準備金とは

保険会社が将来の保険金等を支払うために保険料の中から積み立てられるお金です。責任準備金は、保険契約者全体の共同準備財産となります。

解約控除は、生命保険会社の募集手数料などの金額

解約控除分を差し引く理由は、主に生命保険契約締結時に生命保険の代理店に支払う募集手数料等を回収するためと言われています。


生命保険会社は、生命保険契約が締結されると募集手数料等の諸経費を前もって支払います。


その後、生命保険会社は各保険契約者から集めた保険料を利用して不動産を取得し賃料収入、有価証券や貸付金の利息から利益を得ると言う形で長期的な運用を行います。


そのため、保険契約者から払い込まれる保険料が、生命保険会社が支払った諸経費の埋め合わせや収益のために必要となります。


しかし、生命保険が契約後に短期間で解約されてしまうと、生命保険会社は長期的な運用ができなくなり、諸経費の事後回収が苦しくなっていきます。


したがって、生命保険会社と他の保険契約者の損失を防ぐために、募集手数料等の諸経費を差し引いて解約返戻金を支払うことになります。

解約返戻金には税金がかからない場合が多い

解約返戻金は一時所得の対象

一時所得とは、営利や、労務・役務の対価、資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時的な所得を言います。


解約返戻金はこの一時所得に該当します。



一時所得の金額の計算式は、

解約返戻金-支払保険料合計額-最高50万円(特別控除額)=一時所得の金額

となります。


また、一時所得の約半額が所得税として抜かれるということになります。


要は、受け取った解約返戻金が既に支払った生命保険料合計額よりも多い場合は所得税の対象となる場合があるということです。


ただし、既に支払った生命保険料合計額が解約返戻金よりも上回っている場合や、解約返戻金の額が50万円(特別控除)を超えない場合には、受け取った解約返戻金に税金はかかりません。


また、保険料負担者と解約返戻金受取人が違う場合には、贈与税の対象となります。


例えば、妻が契約している生命保険の保険料を夫が支払っているケースが該当します。贈与税には110万円の基礎控除があるので、1年間に解約返戻金も含めた贈与の総額が110万円までなら非課税となります。

現在の保険は利率が低いので、税金がかかる心配はない

現在の保険は利率が非常に低くなっています。


生命保険会社は、保険契約者から支払われた保険料を利用して不動産投資、有価証券、貸付金等で運用していることは前述しましたが、その運用で見込める利回りを「予定利率」と言います。


この予定利率は金融庁が定める「標準利率」を指標としていますが、マイナス金利政策により2017年4月には、以前の標準利率1%から0.25%に引き下げられ、史上最低水準となっています。


つまり、標準利率が下がると予定利率も下げざるを得なくなるのです。予定利率が下がれば各生命保険会社は損失を防ぐため解約返戻金の返戻率を下げることになります。


そのため、解約返戻金が支払い生命保険料の合計額を超えている場合でも、50万円(特別控除分)を超えるケースは限られてきます。

ドル建ての生命保険は、解約返戻金から為替手数料が引かれる

  • ドル建ての生命保険とは

ドル建ての生命保険とは、保険料をドルで支払う終身保険のことです。


特長としては、保険料は安く、予定利率は約3%で、支払い保険料の100%の解約返戻金となる傾向があり、解約返戻金も高く貯めることができます。


しかし、外貨建てのため為替リスクがあり、為替の影響で解約返戻金も変動します。また、解約返戻金の受け取りの方法によっては為替手数料も高額になります。


  • 解約返戻金の受け取り

円でもドルでも受け取りは可能ですが、米ドルで運用してきたお金を保険会社で円に交換して受け取ると、為替手数料が1ドルにつき0.5円かかります。


解約返戻金が多額に上る場合は、為替手数料もそれだけ高くなります。


そのため、解約返戻金の受け取りの際は、保険会社からは米ドルで受け取り、為替手数料が安い銀行で交換する方が経済的です。

参考:早期解約は営業マンが手にした手数料を会社に返すことになる

早期解約を営業マンに申し出て、拒否されたりトラブルになったケースがよくあります。これはいったいなぜでしょうか?


そもそも、保険会社所属の営業マンの給料は、歩合制のため営業成績によって給料が大きく変動します。


そのため、保険会社側は営業マンが営業成績のために強引な契約をしたからではないか等の理由で、ペナルティを科す場合があります。


そのペナルティは営業マンが契約で得た手数料を保険会社に返すことであり、営義マンにとってはせっかくの手数料が不意にされたと考えるはずです。


営業マンが早期解約を拒みがちになるのは、手数料はもとより、営業成績にかかわる大切な顧客を失う解約手続きに消極的になるからといえます。

まとめ

生命保険の解約は、最終的に保険契約者本人が判断して決めることです。


ただし、その前にすでに加入している生命保険が本当にご自身にとって不要かどうか。解約して戻ってくる解約返戻金の額は満足できるものなのか?解約して別の生命保険に入り直す場合に、その加入したい保険商品がご自身にとって魅力的か?


今一度、冷静に判断して解約を決定するべきでしょう。

ランキング