農協(JA共済)の予定利率変動型の個人年金はおすすめ?返戻率は?

農協が運営するJA共済の個人年金は年金積立におすすめ?と疑問の方も多いはず。かんぽ問題があった今だから、農協だから信頼できるは危険です。今回は、JA共済の予定利率変動型の個人年金保険はどんなメリットがあるのかや、返戻率(利率)の計算をシミュレーションします。

JA共済(農協)の予定利率変動型の個人年金の評価・評判を解説


自営業の方や企業勤めの方で、定期年金に上乗せで、農協が運営するJA共済の個人年金に10年や20年お金を預けてみようと考えている方も多いはず。


しかし、農協の個人年金はあまり聞きなれないもので、JA共済の予定利率変動型の個人年金っておすすめなのか、どこにメリット・デメリットがあるのかなど、理解しておきたいところ。


そこで今回は、JA共済の個人年金「ライフロード」について

  • 予定利率変動型とはどんなタイプの保険なのか
  • どんなメリット・デメリットがあるか
  • どんな人におすすめか、どんな払い込みがおすすめか
  • JA共済の個人年金の注意点・ポイント

を解説します。


かんぽの不正問題を受けて、農協が運営しているから信頼できるということを疑っている方も多くなりました。

JA共済に加入を検討している方から不安の声がある今、どんなメリット・デメリットがあるかを理解しましょう。


結論からいえば、JA共済の個人年金保険は、あまりおすすめできません。

予定利率が下がっている昨今(マイナス金利になっている)、直近数十年については固定金利の方がおすすめです。ですが、JA共済が非営利団体であるために、予定利率変動型タイプしか販売できないのです。


また、JA共済だけでなく、他の年金積立と比較して加入することをおすすめします。必要があれば、専門家への相談をお気軽にご利用ください。

農協が運営するJA共済は非営利企業

世の中には新しい保険会社が数多く存在していますが、やはり昔から馴染みのある会社に安心感を感じる人も多いでしょう。そんな中、地元に密着している魅力がありながら、全国に支店を抱える農協のJA共済は評判が高いです。


ただ、JAといえば農協のイメージがあり、JA共済の保険商品というと認知度がイマイチで、個人年金の商品についてあまり知っている人は多くないはずです。


JA共済が積極的に保険商品を売り出さないのには理由があります。


JA共済・農協は非営利団体であり、組合員のために存在する団体という位置づけです。つまり、儲けようとしてはいけないということです。


民間の保険会社は、保険料から得たお金を使って個人ではできない運用し、利益を発生させています。利益によって、保険商品の開発や販売(広告宣伝やTVCMなど)を行い、広く保険商品を売っているのです。


一方で、JA共済は非営利なため、積極的にリスクを取れる商品や販売促進をできていないのが現状です。現状の評価ですと、おすすめではありません。

JA共済の個人年金保険、予定利率変動型という珍しい種類とは?

JA共済の個人年金保険の予定利率変動型とは、市場金利の変動などによって、定期的に予定利率が変更される保険のことをいいます。予定利率とは、保険商品の運用利回りのことで、個人年金保険の年金額を左右するもので、加入を検討している方に非常に重要な指標です。


通常、予定利率が契約後に変更されることはないので、契約時点で満期になるころには返戻率は何%になるか、解約したら解約返戻金がどのくらい返ってくるかが決まっています。


しかし、JA共済の個人年金保険では、予定利率が契約後に変更されることがあるため、契約時点では将来受け取れる基本年金額が計算できず、不明です。 


最低の予定利率が保証されているので、積み立てた掛け金が0円になるようなことはありませんが、年金額がわからないので、老後の資金計画が立てにくいでしょう。

予定利率変動型のデメリット:返戻率(利率)が低い可能性大


JA共済(農協)の個人年金保険は予定利率変動型であるため、経済によって予定利率は毎年変動します。

一方で、現在日本の経済状況はいいとは言えません。そのため、予定利率変動型の個人年金保険は低い予定利率で推移しています。最低限の予定利率は確保されていますが、早期解約してしまうと元本割れを起こしてしまう可能性もあります。10年を超えてからの解約なら、元本を割れることはありません。

5年までは予定利率0.50%で固定、6年目以降から利率変動が始まり、最低限の予定利率は0.75%となっています。つまり、10年を超えれば元本割れはせず、少なからず上乗せはあるのです。銀行に預金しているよりは当然ながらおすすめです。

JA共済の個人年金の返戻率をシミュレーション

JA共済の個人年金保険の返戻率をシミュレーションしてみましょう。

積立額は1万円、予定利率は最低保障の0.50%、6年目以降は0.75%とします。

年数積立額年金額返戻率
5年後60万円60万7435円 101.2%
10年後120万円124万1980円103.5%
20年後240万円258万4715円107.7%
30年後360万円403万1993円112%


期間が10年を超えてくると、積立額よりも年金額の方が数万~数十万円高くなります。 


もし、定期預金で毎月1万円積み立てたとしたらどうでしょうか。

2019年9月時点の定期預金・預入期間10年の平均金利は0.017%日本銀行の資料)です。毎月1万円を30年間積み立てたとしても、30年後には「360万9170円」にしかなりません。


今後金利が上がる可能性もありますが、現時点ではJA共済の個人年金保険の方が期待できます。 


一方で、一般の保険会社の外貨建て個人年金保険で毎月1万円を30年間、年利2%で運用したとしたら、30年後には「492万7254円」になります。


※外貨建て個人年金保険には、年金受取時点での外貨のレートによって、円換算した場合に大きく年金額が目減りするリスクがある点には注意が必要です。

農協の個人年金のメリット:個人年金保険料控除が適用される

農協の個人年金保険には、年末調整・確定申告時に「個人年金保険料控除」が受けられるというメリットがあります。(参照:国税庁「生命保険料控除」)


個人年金保険料控除とは、個人年金保険に加入している場合に、年間の支払保険料に応じた金額を所得額から控除して、所得税や住民税を安くできる制度のことです。


農協の個人年金保険の控除は、一般生命保険控除とは異なる枠組みで税金の軽減を受けることができます。この控除は、毎年受けることが出来るため、長く加入する人にとってはより節税効果の高いものです。


ただし、個人年金保険料控除を受けるには、個人年金保険加入時に「個人年金保険料税制適格特約」を付けておかなくてはなりません。


個人年金保険料税制適格特約を付けることができるのは、以下の条件を満たしている場合に限られるので注意しましょう。 

  • 年金受取人が契約者か契約者の配偶者のいずれかであること
  • 年金受取人が被保険者と同じ人であること
  • 保険料の払込期間を10年以上に設定していること
  • 年金受取開始が60歳以降、年金受取期間が10年以上であること
    (年金の種類が確定年金、または、有期年金の場合)

JA共済の予定利率変動型の個人年金は長期運用する人におすすめ

利率変動ということは、農協の個人年金保険は経済の影響を大きく受けるということです。


経済というのはずっと現状のまま推移するということはありません。


個人年金保険に若くして加入した20代や30代であれば、60歳まで払い続けた場合の20~30年という間に、経済は必ず動きを見せます。


当然経済が良い時代というのも出てくるわけです。

年金積立を少額の掛け金でやりたい方にもおすすめ

JA共済の個人年金保険は、掛金の最低額が3000円であるため、年金積立を少額から始めたい人にもおすすめです。

老後資金の準備方法として、他の個人年金保険やiDeCo(イデコ)などもありますが、他の個人年金保険では、被保険者の年齢や死亡給付金額などで保険料が決まります。そのため、自分で保険料を自由に設定することはできません。条件によっては保険料が数万円になることもあるので、家計の負担も大きくなります。

iDeCoは自分で掛金額を決められますが、最低額が5000円なので、毎月積み立てるのは辛いという人もいるでしょう。

JA共済の個人年金保険であれば、3000円から1000円単位で掛金額を指定できるので、自分の経済状況に合わせやすいというメリットは評価できます。

一時払い・一括払いできる方にはおすすめではない

JA共済の個人年金保険は、掛金を一時払い・一括払いできる人にはあまりおすすめできません。


JA共済の個人年金保険の予定利率は契約当初5年間は0.50%、その後は0.75%とあまり高いものではないからです。


為替リスクはあるものの、評判の良い外貨建て個人年金保険であれば年利2%以上の利率で運用できるものもあります。


iDeCoで取り扱われているリスクが低い国債型の投資信託でも、1%程度の利回りが期待できる商品があります。さらに、iDeCoは掛金が全額所得控除できる、運用益に税金がかからないなどのメリットもありお得です。


掛金を一時払い・一括払いできる資金力がある人は、JA共済の個人年金保険よりも、より利率が高く利益が期待できる運用商品にチャレンジした方がよいでしょう。

JA共済の個人年金保険のポイント・注意点

ここからはJA共済(農協)の個人年金保険のポイントや注意点をみていきます。


大きなポイントが3つあります。

  1. 告知が不要で簡単な手続き
  2. 加入年齢の条件
  3. 注意点;元本割れの危険性

申し込みは簡単で、告知(医師の検査など)は基本不要

JA共済の個人年金保険の申込方法は簡単です。まずは最寄りのJAの窓口に行き、ライフアドバイザーやスマイルサポーターと保障内容や掛金額について相談しましょう。 


契約内容が決まったら、その場で必要書類を記入して申込手続きを行います。押印が必要な書類があるので、印鑑を忘れずに持っていきましょう。 


個人年金保険や生命保険に加入する際、告知(医師の診査)が必要なケースが多いですが、JA共済の個人年金保険では基本的に告知が不要です。


自分で告知書を記入するだけで申し込めます。

その後、JA共済側で審査が行われ、問題がなければ「共済証書」が届きます。共済証書は契約内容の確認・変更や共済金請求の際に必要な書類なので、大切に保管しておきましょう。

JA共済の積立年金には加入年齢の条件がある

JA共済の個人年金保険は医師の診査なしで手軽に申し込めますが、その代わりに加入年齢が18~50歳に制限されています。JA共済の個人年金保険への加入を考えている場合は、早めに契約を済ませましょう。 


すでに50歳を過ぎている場合は他の個人年金保険を探さなくてはなりませんが、他の保険でも50歳以上では積立期間が短くなるため、加入できない可能性があります。特に、健康状態に問題が出ていると、審査に通過できないケースがほとんどでしょう。


もし加入できたとしても、保険料が非常に高額になるケースが多く、運用期間が短くなるため年金額が上がらない可能性もあります。50歳以上の人は、個人年金保険以外の手段も検討してみましょう。

途中解約する場合は元本割れする可能性が高い

返戻率のシミュレーションを見てわかるように、個人型年金保険を途中解約すると、元本割れを起こす可能性があります。


加入から10年経過すれば返戻率が100%を超えるので、少なくとも10年間は加入を継続するようにしましょう。 


掛金の支払いが困難になったときには、掛金の減額も可能です。


解約すると元本割れを起こすときは、まず掛金の減額を検討してみましょう。



ただし、掛金を減額すると減額部分は解約したものとみなされ、基本年金額が変更されます。基本年金額がかなり少なくなることがあり、場合によっては元本割れを起こす可能性もあるので、掛金を減額した場合にどれくらい基本年金額が減るのかを調べた上で、慎重に決定しましょう。

まとめ:JA共済の個人年金はおすすめしません

JA共済の個人年金保険は、予定利率変動型というタイプの保険です。予定利率は将来受け取る基本年金額を決める重要なもので、通常は契約後に変更されることはありません。 


そのため、本来は契約時点で基本年金額が把握できるのですが、JA共済の個人年金保険は契約後に予定利率が変わることがあるので、基本年金額がわからないのです。


公的年金の先行きが不透明で、老後資金の確保が重要な課題である現状で、はっきりと基本年金額が把握できないと資金計画が立てづらく、人によって評価が別れます。


また、景気の上昇などで予定利率が上がれば年金額が増える可能性がありますが、現在日本は超低金利が続いているので期待はできないでしょう。


そのため、JA共済の個人年金保険に加入するメリットが少なく、あまりおすすめはできませんし、個人年金のおすすめランキングにもあまり登場することはありません。


ただし、JA共済の個人年金保険は、契約時に個人年金保険料税制適格特約を付けることで、個人年金保険料控除が受けられます。途中解約や掛金の減額をしなければ元本割れは起こさないので、掛金を貯金とみなして、貯金した分税金が安くなると考えればお得といえます。老後資金のためではなく、節税のためと割り切るのであれば、JA共済の個人年金保険への加入を検討してもよいでしょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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