更新日:2018/02/16
45歳です。介護が必要となりました。介護保険サービスは使えますか?
45歳の人が介護が必要な状態になった場合、介護保険が使えるのでしょうか。実は原因となった病名などにより介護保険が使えない場合もあります。介護保険制度の中身と、特に45歳の方が関係する第2号被保険者(40歳から64歳)の制度や仕組みを解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
45歳の方の介護保険に関する情報まとめ
介護保険は40歳以上のすべての人が加入する保険制度です。
介護保険制度は満40歳に達すると自動的に加入されます。民間の保険等とは異なり申込や契約手続はありませんし、告知事項もありません。介護保険料は会社員の場合、給与天引きされているので、あまり支払っている実感もないのではないでしょうか。
介護保険では被保険者は年齢により2種類に区分されています。
①65歳以上の人は第1号被保険者 ②40歳以上65歳未満の人は第2号被保険者となります。
被保険者はそれぞれの所得等に応じた介護保険料を納付します。
万一、介護が必要な状態になり、条件を満たす場合に介護保険のサービスを受けることができます。
今回は「もし45歳の方が介護が必要になったら」という場面を想定して、介護保険に関する情報をまとめております。
45歳の方は介護保険の第2号被保険者になる
第1号被保険者と第2号被保険者ではサービスを受ける際にどんな違いがあるのでしょうか?
第1号被保険者(65歳以上の人)の場合、サービスを利用できる人は、介護や介護予防が必要と認定された人です。介護が必要な状態になった原因が、どんな病気や怪我であるかは問われません。
しかし第2号被保険者の場合は、介護保険のサービスを利用するには条件があります。
45歳の方が介護保険の介護サービスを受けるための条件
特定16疾病以外の原因で介護が必要になった場合は介護保険の対象になりません。
45歳の方が介護が必要になったとしても、特定疾病が原因でない場合は、介護保険の介護サービスを受けることができません。
要介護、要支援状態である
市町村に要介護認定の申請を行い、認定が下りてから介護サービスを使うことができます。
要介護、要支援の段階によって、利用できるサービスの内容や、限度額が変わってきます。
特定16疾病に罹患している
40歳以上65歳未満の人については、これらの疾病によって要介護・要支援状態になった場合にのみ、要介護・要支援認定申請をすると認定を受けることができます。
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗しょう症
- 多系統萎縮症(旧シャイ・ドレーガ―症候群)
- 初老期における認知症
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- パーキンソン病関連疾患(旧パーキンソン病)
- 閉塞性動脈硬化症
- 関節リウマチ(旧慢性関節リウマチ)
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
- がん(末期)
これらはいずれも加齢による心身の変化に起因する疾病であり、その医学的概念を明確に定義できるものです。
また3~6カ月以上継続して要介護状態または要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病です。
45歳の方の介護保険料
第2号被保険者の保険料は、本人が加入している健康保険や国民健康保険の保険料に上乗せされて一緒に納付されています。
会社員の場合、保険料は医療保険ごとに設定されている介護保険料率と給与等により決まり、事業主と被保険者が半分ずつ負担します。
第2号被保険者の介護保険料 =
給与等(標準報酬月額(賞与額)) × 介護保険料
なお40歳以上65歳未満の被扶養者は、個別に介護保険料の負担はありません。
自営業者等の場合、介護保険料は、所得割、資産割、被保険者均等割、世帯平等割の4つの中から、市町村ごとに組合せが決まっており、世帯ごとの保険料を世帯主が国民健康保険に納付します。
45歳の方の介護保険の徴収方法
第2号被保険者の介護保険料の徴収方法は、会社員の場合と、それ以外の場合で方法が異なります。
会社員の場合、介護保険料は医療保険の保険料額と合計して、医療保険者によって給与天引きで徴収され、事業主負担(折半)が行われます。
会社員以外の、自営業者やフリーター、無職の人の場合は、医療保険は国民健康保険に加入しています。このような人たちは、国民健康保険の保険料(法律上は税)に上乗せした形で介護保険料(税)として徴収されます。
45歳の方の介護保険料はいくらか
例として全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している人を想定して計算をしてみましょう。
(前提条件)
介護保険料率:1.58%
標準報酬月額:20万円
介護保険料=(標準報酬月額)×(介護保険料率)
介護保険料=20万円 × 1.58% =3160円
1カ月当たりの介護保険料は3160円となります。
45歳の方が受けられる介護サービスの内容
よって、45歳の方が受けられるものは65歳以上の第1号被保険者のサービスと変わりはありません。
ケアマネージャーと相談しながら必要なサービスや事業所を選んでゆきましょう。
サービスは大きな区分けで3種類のものがあります。
①居宅サービス②施設サービス③地域密着サービスです。
居宅サービス
居宅サービス(在宅サービス)としては以下のものが挙げられます。
- 訪問介護(ホームヘルプサービス) ・・家庭での介護や身の回りの世話をホームヘルパーが援助
- 訪問入浴介護 ・・巡回入浴車を使い、自宅を訪問しての入浴介護サービス
- 訪問看護 ・・看護師や保健士、理学療法士が自宅を訪問して提供する看護サービス
- 訪問リハビリテーション ・・理学療法士や作業療法士が、要介護者の心身の機能を維持回復させ、日常生活の自立を助けるための機能訓練
- 居宅療養管理指導 ・・医師、歯科医師などが直接、要介護者のいるところへ訪問して行う療養上の管理
居宅サービス(施設サービス)としては以下のものが挙げられます。
主に自宅から施設に通いながらのサービスです。
- 通所介護(デイサービス) ・・デイサービスセンターなどに日帰りで通って、日常生活の訓練、食事や入浴の介護を受けるサービス
- 通所リハビリテーション(デイケア) ・・介護老人保健施設や病院、診療所に通所してきた利用者に対し、理学療法や作業療法からなるリハビリテーションを提供するサービス
- 短期入所生活介護(ショートステイ) ・・家族の病気などで一時的に施設に短期間入所して施設入所者と同様の介護を受けるサービス
- 短期入所療養介護 ・・医学的管理を必要とする利用者が介護老人保健施設や介護療養型医療施設などに短期間入所して受ける医療系のサービス
- 福祉用具 ・・心身機能が低下して日常生活に支障のある要介護者が在宅で自立した生活ができるよう援助するために、福祉用具の貸与と購入費を支給します
- 住宅改修 ・・自宅の段差を解消したり手すりを取り付けたりする工事に対して、住宅改修費を支給します
施設サービス
- 介護老人福祉施設(特養・特別養護老人ホーム) ・・常時介護が必要で、在宅での生活が困難な要介護者が入所し、食事・排泄・入浴・機能訓練などを受けるサービス
- 介護老人保健施設(老健) ・・医療と福祉の両方のサービスを提供し、病院から在宅への橋渡し役を担います。
- 介護療養型医療施設(介護療養) ・・療養上の管理、看護、医学的管理下の介護や機能訓練などを受けるサービス
地域密着型サービス
- 夜間対応型訪問介護 ・・夜間の訪問介護サービス
- 小規模多機能型居宅介護 ・・通所、短期入所、訪問介護を組み合わせたサービス
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、通所介護 ・・認知症高齢者が少人数で共同生活を送るサービス。
- 地域密着型特定施設入居者生活介護 ・・定員29名以下の小規模施設で生活しながら介護を受けるサービス
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護・・24時間365日体制で、必要なサービスを組み合わせて提供します
- 看護小規模多機能型居宅介護 ・・通所、短期入所と訪問看護(介護)を組み合わせたサービス
まとめ
45歳の方を想定して介護保険制度を考えてみました。
一番大きなポイントは、特定16疾病です。
45歳の方だけではありませんが、40歳以上65歳未満の方が、介護が必要になった場合、病名や原因について、主治医やケアマネージャーとよく条件を確認する必要があります。