更新日:2018/03/10
介護保険のケアプラン、軽微な変更であれば手続きは省略できます
本来、介護保険のケアプラン変更には多くの手続きが必要です。ただしそれが「軽微な変更」である場合は、それら手順を省略できます。では、介護保険におけるケアプランの軽微な変更とはどういうものなのでしょうか。その内容と注意点についてご説明いたします。
目次を使って気になるところから読みましょう!
介護保険のケアプランに関する軽微な変更の内容に関する情報まとめ
ケアプランとは、介護サービス計画のこと。
いわばサービスの設計図ですから、その変更は本来なら重大なことです。
しかし変更の内容が軽微であるなら、ややこしい手続きが省略できることもあるのです。
「軽微な変更」の具体的な内容と変更時の注意点について、詳しく解説していきます。
介護保険サービスに関する軽微な変更
申請して、認定調査を受けて、結果が出たからはいどうぞというわけにはいきません。
介護保険サービスは公費を使いますから、その利用にはきちんとした理由付けが必要です。
まずはケアマネジャーがアセスメント(聞き取り・考察・検討)を行い、
- 利用者にとって何を目標とするか
- そのためには何をすればいいのか
- そのためにはどんな介護保険サービスが必要か
ということをケアプラン上に明確に記載しなくてはなりません。
さらにそのケアプランが妥当かどうかをサービス担当者会議で話し合う必要もあります。
サービス担当者会議には、利用者本人・家族・ケアマネジャー・利用中のサービス事業所の担当者らが出席します。
そしてケアプランが確定したのちに、ようやく介護保険サービス開始となります。
しかし、よかれと思って作ったケアプランが必ずしも効果を上げるとは限りません。
「本人の活動量の増加と意欲向上を目指して、デイサービスに参加する」
当初はそういう目的であったのに、
「デイサービスに行くことで疲れきって、むしろ自宅での活動が極端に減った」
ということだって起こるわけです。
この場合はサービスを見直す必要があるでしょう。
ケアマネジャーがケアプランを練り直し、サービス担当者会議を開かなければなりません。
ケアプランを変更せずしてサービスを勝手に変えるわけにはいかないのです。
介護保険サービスの変更というものは、かなり手間がかかるといえます。
ただし、もしケアプランの変更が「軽微な変更」に該当するなら、アセスメント・サービス担当者会議などの一連の業務を実施する必要はないとされています。
介護保険における「軽微な変更」に該当する主な項目は以下のようなものです。
サービス提供の曜日変更
こういった理由で一時的に介護保険サービスの日にちを変更する場合は、軽微な変更として取り扱うことができます。
ただし、下記の条件は必須となります。
- ケアプランに盛り込まれた利用者の現状や目標設定に変化がないこと
- 利用者の体調不良や家族の都合などによる臨時的・一時的な変更であること
もし体調不良が続いて目標自体を変える必要があるときには、一連の業務実施とケアプランの再作成が必要です。
また今後ずっと曜日などを変更したままである場合でも「通院の曜日変更」など目標設定に関係がない理由である場合は、軽微な変更とされることもあります。
サービス提供の回数変更
同一事業所における週1回程度の回数増減は、軽微な変更と考えられます。
ただしこれも、支援の目標が変わったことが理由である場合は該当しません。
また軽微な変更を繰り返し行い、1回→2回、2回→3回と段階的に増やすのも反則です。
2回目以降は通常の手順を踏む必要があるでしょう。
住所、名称に関する軽微な変更
それぞれの詳しい条件について見ていきましょう。
利用者の住所変更
住む場所が変わっただけでその環境に大差がない場合は、軽微な変更に当てはまります。
ただし住所変更にともない、家族構成(子と同居など)や住環境(エレベーターの有無など)が大きく変わる場合は軽微な変更に該当しません。
特に健康な家族と同居になった場合には、介護保険におけるヘルパー利用には厳しい制限がかかります。
事業所の名称変更
「○○訪問介護事業所」が「にこにこヘルパーサービス」に変わったくらいでケアプランが洗い直しになってしまったら、ケアマネジャーさんが気の毒ですね。
その他の軽微な変更
ただし直接目標設定に関わる部分については、その判断が難しいこともあります。
目標期間の延長
「目標自体は間違ってないの!ただ達成までにもう少し時間をちょうだい!」
という感じですかね。
ただしここは難しいところです。
事前に決めた期間中に達成できなかったのであれば、そもそも目標設定が間違っている可能性があるからです。
ケアマネジャーは継続的にモニタリングを行い目標設定の妥当性を検討した上で、軽微な変更に当てはまるかどうかを判断する必要があります。
福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数のみが異なる場合
介護保険でレンタルしている車イスを、同じ機能がある車イスに変えたようなときですね。
この場合たとえ利用単位数に変化があっても、目標設定に変化はないので軽微な変更として取り扱うことができます。
目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更
「いま行ってるデイサービスに苦手な利用者さんがいるから他に行きたい」
なんてこともあり得ますよね。
この場合は、サービス事業所が変わったとしてもケアプラン上の目標もサービスも変わらないため、軽微な変更に該当すると考えられます。
ただし介護保険サービスというものは、利用者を中心としたチームケアです。
目標やサービス内容に変化がない場合であってもサービス提供者が変わったのであれば、やはりサービス担当者会議などで情報共有する方が望ましいこともあります。
「軽微な変更」に該当するか否かの判断は、状況によって分かれるところでしょう。
目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
たとえば、ヘルパーの昼食調理を弁当買い出しに変更するようなときなどです。
「栄養状態の改善」などが目標であった場合は、どちらでも達成することは可能でしょう。
しかし多くの場合、その変更には何らかの理由があるはずです。
本当に目標設定が変わっていないかということは、精査する必要があります。
担当介護支援専門員の変更
「ごめんなさい、○○さんは転勤になるので来月からは私が担当します」
というのもわりとよくある話です。
ただし新しいケアマネジャーが利用者や各サービス担当者と面識があり、引き継ぎがきちんと行われていることは必須です。
まとめ
減算とは、要するにペナルティにより報酬を減らされることです。
上記の項目に当てはまるからといって、ただちに軽微な変更となるわけではありません。
その変更が目標の変化によるものかどうかは、判断が難しいこともあるでしょう。
自治体によって基準がまちまちな部分でもありますから、迷った場合はケアマネジャーさんは必ず介護保険担当窓口に確認を取りましょう。
また余談になりますが、利用者さんとご家族に一言アドバイスです。
サービス担当者会議を面倒がって軽微ではない変更を渋るような担当者は、良いケアマネジャーとはいえません。
場合によっては、ケアマネジャーや居宅介護支援事業所を変更した方がいいかもしれません。