介護保険料の支払は一律では無いの?各段階に応じた算出方法を紹介!

介護保険制度は、介護保険料と公費を財源として運営されています。第1号被保険者の場合、所得段階により支払う介護保険料の金額は異なります。第2号被保険者の場合は、加入している公的医療保険ごとに設定され、徴収されています。今後もこの制度は段階的に変更されていきます。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

所得段階によって介護保険料の支払額は異なる

介護保険制度は、40歳以上の方々が納める介護保険料と公費(国、県、市町村)を財源として運営されています。

介護保険料は、国民年金のように一律○○円というように決まっているわけではありません。また、年齢により保険料の決め方・納め方が違います。


65歳以上の方の場合は、介護保険料を年金からの納付、納付書での納付又は口座振替による納付方法があります。


所得段階により支払う介護保険料の金額はそれぞれ異なります。


40歳~64歳の方の場合、加入している公的医療保険の保険料と合わせて納付します。


国民健康保険に加入している方ならば、保険料は前年の合計所得金額に応じて決定され、各世帯で納めます。


事業所の健康保険に加入している方ならば、保険料は加入している公的医療保険の算定方式に応じて決定します。


今回は介護保険料の支払額について説明いたします。




第1号被保険者の介護保険料の基準額とは

第1号被保険者は、65歳以上の方を対象にしています。この第1号被保険者の方々が支払う保険料は、介護保険料の基準額を基に計算することになります。

この介護保険料の基準額は、国が一律に基準額を指定しているわけではなく、各市区町村の介護の実情によって算出されます。


どのように計算するかは次の通りです。


(各市区町村の介護サービス総費用の中で第1号被保険者分負担分÷各市区町村の第1号被保険者数)=介護保険料の基準額(年額)


そのため、介護保険料の基準額は各市区町村によって異なることになります。

介護保険料の所得段階による違い

介護保険料の所得段階も、その区分が国から一律に指定されているわけではなく、各市区町村が判断して区分していきます。

そのため、所得段階も各条件が異なる面があり、各市町村により概ね11段階~14段階に分かれ差があります。


こちらでは、地方自治体の設定した所得段階・年間保険料の介護保険料率表を取り上げて説明します。

所得段階と年間保険料の介護保険料率表

第1号被保険者の方々の介護保険料は、基本的に3年毎に改定します。 介護保険料は、本人・世帯員の市民税の課税状況、被保険者本人の合計所得金額等により段階別に決まります。


新潟県長岡市の設定した所得段階・年間保険料を参考に、介護保険料率表を用いて説明します。

  • 参考自治体:新潟県長岡市
  • 対象被保険者:第1号被保険者(65歳以上)
  • 所得段階:11段階
  • 介護保険料の基準額:73,286円

(平成27~29年度)

所得段階所得段階区分年間保険料(※1)
1①生活保護受給者、②老齢福祉年金受給者でかつ世帯全員が市民税非課税、③世帯全員が市民税非課税でかつ被保険者本人の「課税年金収入額」と「合計所得金額」の合計額が80万円以下
73,286×0.35=25,700円
2世帯全員が市民税非課税で、被保険者本人の「課税年金収入額」と「合計所得金額」の合計額が80万円超120万円以下73,286×0.60=44,000円

3世帯全員が市民税非課税で、被保険者本人の「課税年金収入額」と「合計所得金額」の合計額が120万円超73,286×0.70=51,300円
4被保険者本人が市民税非課税・世帯員が市民税課税で、被保険者本人の「課税年金収入額」と「合計所得金額」の合計額が80万円以下73,286×0.85=62,300円
5被保険者本人が市民税非課税・世帯員が市民税課税で、被保険者本人の「課税年金収入額」と「合計所得金額」の合計額が80万円超73,286×1.00=73,300円
6被保険者本人が市民税課税、被保険者本人の「合計所得金額」が125万円未満73,286×1.20=87,900円
7被保険者本人が市民税課税、被保険者本人の合計所得金額が125万円以上200万円未満73,286×1.30=95,300円
8被保険者本人が市民税課税、被保険者本人の合計所得金額が200万円以上250万円未満73,286×1.40=102,600円
9被保険者本人が市民税課税、被保険者本人の合計所得金額が250万円以上350万円未満73,286×1.65=120,900円
10被保険者本人が市民税課税、被保険者本人の合計所得金額が350万円以上500万円未満73,286×1.80=131,900円
11被保険者本人が市民税課税、被保険者本人の合計所得金額が500万円以上73,286×1.95=142,900円

(※1)年間保険料額:100円未満四捨五入して算出

第2号被保険者の介護保険料

第2号被保険者は40歳~64歳の方が対象です。この第2号被保険者は、加入している公的医療保険の保険料と合わせて納付することになります。


主に事業所に勤務する従業員の方は加入している事業所の健康保険から、自営業者やフリーランスの方等は加入している国民健康保険を通じて納付します。

第2号被保険者は全国の平均から一人当たりの負担率が決められている

第2号被保険者の負担率の設定は、市区町村ではなく国が行う事務であり、3年ごとに政令で定められることになります。

全国の平均から一人当たりの負担率を決めることになるため、全国規模の集計を行います。


そして、公平性の観点から、第1号被保険者と第2号被保険者の1人当たりの平均的な介護保険料が、ほぼ同じ水準になるように、双方の合算数で按分して負担することを定めます。

第2号被保険者の介護保険料はこれから段階的に変わっていく

介護保険制度は高齢者の増加により、これからも介護保険の費用は増大することが予想されます。

財源の確保のための費用負担が政府にとって頭の痛い課題となっています。


そのため、介護保険料はこれからも段階的に変化していくものと想定されます。

2018年から総報酬制が段階的導入される

段階的に変化するも仕組みの一つが来年より導入される「総報酬制(割)」です。

そもそも第2号被保険者の介護保険料は、それぞれが加入している公的医療保険ごとに設定され、徴収されています。 


現時点での方法は、国民健康保険、全国健康保険協会(協会けんぽ)、各企業が運営・管理する健康保険組合、各共済の保険者に、国は実際に費用負担をしてもらう金額を配分します。 


その時に、加入者がたくさん存在する公的医療保険には費用負担を多く、加入者が他と比較して少なければ費用負担を少なく、といったことが考慮されています。この方法は「加入者割」と言われています。  


しかし、「総報酬制(割)」は、保険加入者の所得に応じて保険者に費用負担を配分するという方法です。


単純に公的医療保険の加入者数だけをみて割り振るのではなく、それぞれの加入者の収入を考慮に入れて、費用負担を決める仕組みに変わることになります。

ただし対象は健康保険組合加入者だけ

総報酬制の対象は第2号被保険者全てではなく、国民健康保険以外の被保険者に適用されます。

つまり、全国健康保険協会(協会けんぽ)、各企業が運営・管理する健康保険組合、各共済が対象となります。


この総報酬制が導入されると、所得レベルの高い加入者が多い大企業の健康保険組合や、共済組合の費用負担は増加してしまいます。


一方、主に中小企業の従業員が加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)は、費用負担が軽くなることが想定されます。


今後、費用負担の増加による反発が十分予想される制度の導入のため、政府がどのように調整していけるかが焦点となります。


まとめ

介護保険制度は高齢者の増加により、これからも更なる費用負担が要求されていくことでしょう。

介護を必要とする方の費用負担も、当然のことながら増えていくはずです。


そのため、増える負担への備えとして、民間の介護保険の活用も検討するべきです。

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