更新日:2017/12/13
介護保険でのモニタリングってどんなもの?どう行えばいいの?
介護保険のサービス提供を行うにはケアプランの作成が必要であり、その作成にあたり大切な作業がモニタリングです。また、サービス開始後のケアマネージャーによるモニタリングは、利用者やその家族が安心して適切な介護保険のサービスを受けることが出来る大切な要となります。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 介護保険のモニタリングに関する基礎知識
- 介護保険のモニタリングで意識すべき基本事項
- サービスが始まってからの変化を見逃さない
- 利用者のニーズの変化を確認する
- モニタリングの継続で信頼関係を築く
- モニタリングの注意点
- 利用者・家族の視点を中心に置く
- サービス担当者からの情報を活用する
- サービス提供の現場に出向く
- 訪問系サービスにおけるモニタリング
- 事前に利用者や家族の了承を得る
- 基本的にはサービス事業所に事前に連絡する
- 見せてほしいケア内容があれば、その旨を告げておく
- サービス担当者・利用者の双方と話をしたいときは、サービスの終了直前に訪ねる
- 介護保険モニタリングにかかる特段の事情の取り扱い
- まとめ
目次
介護保険のモニタリングに関する基礎知識
モニタリングを行い、利用者やその家族がどのようなサービスを希望しているか?という必要な情報を得て(アセスメント)、ケアプランの作成が出来ます。
介護保険のモニタリングについて詳しく見ていきましょう。
介護保険のモニタリングで意識すべき基本事項
まずは、前回の課題分析は適切だったか、設定した短期目標・長期目標はどれくらい達成出来たかなどです。介護保険サービスの提供を受けるにあたり、どのように生活の質を上げていくかなどの課題と、改善策として1~3カ月を目安に考えられた短期目標と、半年~1年を目安に考えられた長期目標がケアプランには記載されています。今回のモニタリングでは進歩状況を確認するようにしましょう。
新しい課題や目標があれば、それらも新しいケアプランに記載します。
次に、サービス提供者からのサービス内容はどうだったか?内容は適切であったか?また、これらのサービスに利用者や家族は満足しているか?などをモニタリングでは意識しておきます。利用者や家族の状況の変化も汲みつつ、前回から今回までのモニタリングの間のサービス提供はどうであったかを利用者や家族に丁寧に確認しましょう。
この定期的なサービス内容の確認が適切なサービス提供、また利用者や家族との信頼関係に結びつきます。
サービスが始まってからの変化を見逃さない
利用者のニーズの変化を確認する
高齢である利用者の心身の状態は急に変化が起きることもあります。
もし現在のニーズがケアプランを作成した時のニーズと異なっているようであれば、介護サービスの内容が適切ではありません。そのような場合には、ケアプランの修正が必要となります。
モニタリングの継続で信頼関係を築く
そしてサービス提供者の意見や相談にしっかり耳を傾け、きちんと対応し、適切な支援に結びつけることが出来れば、サービス提供者や事業所からも信頼を得ることが出来ます。
モニタリングの注意点
介護保険サービスは利用者がいてこそ行われるものです。利用者や家族はどのような介護が必要か?生活の質はどうか?
利用者側とのコミュニケーションが大変重要なポイントとなります。
そしてサービス担当者との信頼関係も大切で、普段から利用者や家族と接する機会が多いサービス担当者からの情報提供は、ケアマネージャーだけでは取得出来ないものもあります。利用者や家族とはもちろんですが、サービス担当者ともいい関係を築いていくことが大切です。
利用者・家族の視点を中心に置く
ケアマネジメントを行う際は、利用者やその家族の主体的な参加が必要となりますので、モニタリングを行う時に心がけておきたいのは、利用者と家族の視点を中心に置くということです。
サービス担当者からの情報を活用する
担当者から情報をもらった時には、その情報に対して素早く行動に移したり、担当者に詳しく話を聞いたり、また利用者の状況を確認しその報告を担当者に行うなど、きちんとサービス担当者からの情報を活用するようにしてください。必要がありケアプランを見直したりした際にはその旨も担当者に報告することによって、担当者はケアマネージャーを信頼し、さらにモニタリングの良きパートナーとなってくれるでしょう。情報を受け取った際には感謝の言葉を伝えることも大切です。
サービス提供の現場に出向く
訪問系サービスにおけるモニタリング
モニタリングの対象は利用者とその家族です。サービス提供中の利用者の状態の確認や利用者と接していて何か気になることや変化が見られることを記録していきます。
定期的にモニタリングを行い、利用者や家族の状況を把握しておくことで、何か変化が見られた時にすぐに対応することが出来ます。
モニタリングを行うにあたって、アセスメント(情報収集)を行い、訪問介護計画書を作成の後、1カ月に一度程度利用者の自宅に訪問して面談を行います。サービスの提供がスムーズに行われているか?利用者や家族の心身の状態、生活の状況はどうか?また、前回からの目標の達成度や満足度はどうであったかなどから情報収集し、評価を行います。
モニタリングを行ったら、ケアマネージャーに書面で報告しなければなりません。そこで目標やサービス内容に見直しがあるかないか、利用者の希望などきちんとケアマネージャーに報告することで、適切な支援を行っていくことが出来ます。
事前に利用者や家族の了承を得る
まずは利用者や家族にモニタリングのために自宅訪問をしてもいいか、この日は大丈夫かなど確認し了承を得なければなりません。突然自宅にケアマネージャーが訪れ話を聞きたいと言っても、利用者や家族には予定があったり驚かれてしまいますね。
例えば、明日のヘルパーがサービス提供時に訪問する際に一緒に伺ってもいいか?など、利用者側が負担とならない日程を提示しましょう。
基本的にはサービス事業所に事前に連絡する
もし何も確認せずサービス提供中に訪問し、利用者が入浴介助中や食事中であった場合にはモニタリングを行うことが出来ません。また、ケアマネージャーが訪問したからと、ヘルパーがサービスの手を止めなければならないようなことがあってはいけません。
なのでサービス提供時に訪問する際には利用者やサービス提供者の迷惑にならないよう、十分に配慮しておきましょう。
しかし、利用者や家族からサービスについての苦情や意見などがあった場合には、抜き打ちで訪問し、サービス内容のチェックを行うことは認められますので、このような場合には事業所に事前に連絡する必要はありません。
見せてほしいケア内容があれば、その旨を告げておく
ケア内容はスケジュールが決められているので、何時頃に訪問すればそのケアの時間帯かを確認しておくことをおすすめします。
サービス担当者・利用者の双方と話をしたいときは、サービスの終了直前に訪ねる
サービス終了直前であれば、ヘルパーも片づけなどをしながら話を出来る可能性がありますし、そのままサービス終了後に利用者から意見を聞くことも出来ます。
そしてヘルパーは決められた移動時間で次の利用者宅へ訪問することもありますので、無理に引き止めるようなことはしないようにしましょう。
介護保険モニタリングにかかる特段の事情の取り扱い
例えば、利用者が突然入院することになったり、利用者家族が自宅での生活が出来なくなったり、または災害が起き避難を余儀なくされた時などです。このような状況では自宅に訪問しモニタリングを行うことは困難となります。
このようなことが起きた場合には自己判断せず、かならず各自治体へ相談し、指示を仰ぐようにしましょう。指示を仰いだ後、各自治体から「特段の事情による申立書」や「居宅サービス計画書」などの書類の提出が求められますので、必要な書類はきちんと揃え、また普段から利用者や家族の記録は残しておき、以降は各自治体の指示に従います。
また、特段の事情として利用者の急な入院の場合、月の途中で入院し、その月のうちに退院することが難しい状況であれば自宅に訪問してモニタリングを行うことは出来ません。しかし、可能であれば利用者の入院先を訪問し、面接を行う必要がある場合もありますので、その際にはきちんと記録を残しておいてください。
この介護保険モニタリングにおける特段の事情に該当する事情とは、必ず利用者側の起因によるものであって、ケアマネージャー側に起因する事情は含まれません。
まとめ
また、定期的に担当者と利用者や家族が顔を合わせていることで、信頼関係も築くことが出来、利用者側からの希望や情報など伝えやすくなります。介護保険でのサービスを行う際は、信頼関係がきちんと出来ていることは、とても大切なこととなります。
また、事業所がきちんと運営されているかの判断として介護保険では実地指導というものが行われます。実地指導とは、都道府県及び市町村の担当者が介護サービス事業所へ出向き、その事業所が適正な事業運営を行っているかを確認するものです。
その際、モニタリングを行っていなかったり、定期的に利用者の自宅に訪問していない場合には、最悪の場合、著しい運営基準違反として事業所の指定取り消し処分を受けることもあります。
このように、モニタリングは利用者のケアプランを作成するためだけではなく、事業所がきちんと運営されているかの判断にも用いられる
大切な作業です。利用者や家族、サービス提供者が連携して介護サービスを行っていけるよう、モニタリングはきちんと行うようにしましょう。