介護保険の報酬請求に誤りが見つかった!同月過誤の方法が知りたい!

介護保険サービスを提供している事業所は毎月その介護報酬額を国保連合会へ請求します。しかし、その請求額に誤りが見つかった場合には、同月過誤により請求額の調整ができます。介護保険の同月過誤とはどのような流れで行われるのか?注意点とともに確認していきましょう。

目次を使って気になるところから読みましょう!

介護保険の同月過誤についての説明

介護保険の介護報酬額は市町村である保険者から事業所に支払われます。この介護報酬を受け取るためには、サービス提供記録に基づいて請求を行います。
しかし、この介護報酬額がすでに決定している、または支給されているものに対して何らかの理由で請求内容に誤りがあった場合には、一旦請求を取り下げて改めて請求し直さなければなりません。
この介護報酬の請求内容の間違いを直し、請求する前の状態にすることを『過誤調整』といいます。

過誤調整が起きてしまう理由として、本来請求するべき介護報酬額を低く、または高く請求してしまったり、生活保護受給者に対する介護保険サービス分の請求方法の間違いなどが原因です。

利用者が介護保険サービスを利用すると、サービスを提供した事業所は国保連合会へ費用の9割または8割(1割または2割は利用者へ)を請求しますが、毎月1~10日までに前月分の請求を済ませなければいけないのでとても重要な業務ではありますが、請求内容に誤りがある場合があります。

そして実際に介護報酬額の請求に誤りがあった場合、請求取り下げ=過誤するには2つの方法があります。
それが通常過誤と同月過誤といいます。

通常過誤と同月過誤

2つの過誤の方法について説明していきます。

まず通常過誤とは、請求に誤りのあった介護保険サービス費の取り下げだけを行うものです。過誤決定通知書を国保連合会より受け取ってから、再度正しいサービス提供分の請求を行うことができます。

通常過誤の流れとしては、請求の誤りが発覚した当該事業所は保険者である市町村に過誤申立てを依頼し、市町村は過誤申立情報を作成し、国保連合会へ送ります。
国保連合会は過誤申立情報をもとに過誤処理を行い、過誤決定通知書を保険者と事業所へ送付します。
事業所へは今回請求された介護保険サービス分の報酬額から過誤分(誤った請求分)が相殺された金額がひとまず支払われます。
最後に事業所は取り下げた(過誤)した請求明細書を修正し、再度正しい介護報酬額を請求することができます。

次に同月過誤とは、支払いを受けた介護保険サービス費の取り下げと、その取り下げ分の正しい報酬額の再請求を同一月内で行うことをいいます。
同月過誤を行った月のサービス請求額と過誤分の正しい請求額とで過誤額の調整をするので、事業所の金銭的負担は少なくなります。

介護保険の同月過誤の流れ

ここでは分かりやすく事例を挙げて介護保険の同月過誤について説明していきましょう。

ある事業所が平成○年4月に審査した結果、平成○年3月の介護保険サービス提供分の35万円が事業所へすでに支払われていたが、実際の介護保険サービス提供分は30万円でした。事業所が受け取った介護報酬額に誤りがあるので同月過誤を行うことになりました。
そして、5月の介護保険サービス提供分25万円も合わせて国保連合会へ請求することにします。

流れとしては、当該事業所が同月過誤の希望を保険者である市町村と国保連合へ同月過誤処理が行われる月の前月末までに連絡します。
さらに事業所は保険者に過誤申立て依頼書を提出します。

次に保険者は国保連合会に過誤申立ての依頼を行い、国保連合会は過誤申立てを受付けた後、同月過誤処理を行います。

事業所は国保連合会へ正しい額の3月介護保険サービス提供分30万円と、5月分の介護保険サービス提供分25万円を6月10日までに請求します。介護給付費の請求は介護保険法により毎月10日が締切日と定められていますので、必ずサービス提供のあった翌月10日までに請求するようにしましょう。
介護保険サービス提供分の請求を受けた国保連合会は審査処理を行います。

そして国保連合会は同月過誤処理に基づいて過誤決定通知書を、また審査処理に基づいて支払決定通知書をそれぞれ事業所に送付します。

最後に国保連合会は支払決定額55万円(今回請求した3月の正しいサービス提供分と5月分サービス提供分)と、過誤決定額(過誤依頼をした35万円)を相殺した20万円を翌月の7月に事業所へ支払います。

以上が同月過誤の流れとなります。

また、過誤処理が行われた結果、国保連合会からの支払決定額がマイナスとなってしまった場合には、マイナス分を国保連合会が指定する期日までに現金にて払い戻さなければなりません。
マイナスになるとはどういうことかというと、過誤(請求取り下げ)が必要なサービス費が50万円あり、同月過誤を行う際に請求する当月分のサービス費が10万円、過誤の正しい再請求分が35万円だとします。
国保連合会では過誤処理で当月分のサービス費と正しい請求分を足して、過誤の必要なサービス費と相殺します。そうすると、今回の場合は5万円のマイナスとなり、この5万円を事業所は払い戻さなければいけません。
過誤処理後の報酬額が必ずプラスになるとは限りません。



事業所の流れ

国保連合会からの介護給付費の支払決定後に、請求の誤りが発覚した際にはこれを訂正し、過誤調整をしなければなりません。
事業所はまず保険者に介護給付費明細書の取下げ依頼、過誤申立を行います。
提出する書類は、介護給付費過誤申立依頼書や給付費明細書(誤りのあるものと正しいものの両方)などが必要です。

また、当月の介護給付費も国保連合会に請求すると、国保連合会が過誤処理を行う中でこの当月の介護給付費と過誤処理分の金額を相殺し、その差額が事業所に支払われることになります。
事業所はこれらの処理内容が報告される国保連合会からの過誤処理結果を待ちます。

保険者の流れ

当該事業所から介護給付費過誤申立依頼書などの提出を受け、過誤依頼があると、保険者はその事業所より申し立てられた情報をまとめ、国保連合会へ提出します。
これを過誤申立といいます。

保険者より過誤申立を受けた国保連合会は受け取った情報にもとづいて過誤処理を行います。

介護保険の同月過誤の注意点

同月過誤を行う際は、必ず同じ月に過誤となった分を再請求しなければなりません。

また、過誤申請ができるのは、国保連合会での報酬額の審査確定後に保険者に確定した情報が送られてからとなるので、過誤申請をしようとする際には注意が必要です。

毎月の申請締め切りが市区町村によって変わる

保険者である市町村に過誤処理を依頼する場合、自治体によって取下げ依頼書の受付締切日が異なる場合もありますので、必ず自治体に確認しておきましょう。
また、過誤処理を依頼し、保険者によってその処理が行われるのは翌月と定められている場合もありますのでその点も確認しておくといいでしょう。

一つの取り下げでも、その月全ての申請を取り下げなくてはならない

過誤の依頼は請求明細書単位での依頼となることから、1枚の明細書の中に複数の介護保険によるサービスが記載されているので、そのうちの1つのサービス分のみを取り下げたい場合であっても、全ての介護保険サービス分の申請を取り下げなくてはいけません。

まとめ

過誤調整を行う際、通常過誤の方法だと再度正しい介護給付費の請求を行うまで事業所はその月の分の報酬を受け取ることはできません。
もし特別の事情で過誤申立の件数が多く、通常過誤での給付費返還額が多額になれば事業所の負担は大きくなってしまいます。

そのような場合には、同月過誤で過誤調整することで過誤処理と正しい給付費の再請求を同一月に行うことができます。
同月過誤で処理することによって、大きなお金を動かすことなく、過誤調整分と再請求分の差額のみの金額調整で済みます。

過誤調整の方法はどうしたらいいのかなど、詳しくは保険者である市町村の介護保険係へ問い合わせてみましょう。

しかし、請求額を誤ったり利用者のサービス実績を間違えて請求してしまうことは、過誤依頼によって事業所の経営的な負担になるだけではなく、事業所としての信頼にもひびきかねません。
介護報酬額の請求には十分注意しておくようにしましょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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