介護保険料の延滞金の徴収根拠及び賦課金額の根拠と未払い時の不利益

介護保険料の延滞金の徴収は地方自治法及び条例を根拠とし、賦課金額は条例を根拠としています。介護保険料及び延滞金は自力執行ができ、時効が短いという特徴があり、支払を時効により免れた場合には、サービス利用時に経済的な不利益が生じるようになっています。

介護保険料の滞納が生じた場合に延滞金を課する根拠について

介護保険制度は、老後等の介護の需要を国民全体で負担するために設けられた制度であり、この制度の財源として65歳以上については第1号被保険者として、40歳から64歳までについては第2号被保険者として介護保険料を徴収することとしています。


この介護保険料徴収については介護保険法第129条第1項の規定により市町村が徴収することとしていますが、納期までに納めなかった場合に延滞金は発生するのでしょうか。

介護保険法の規定内容

介護保険法の規定を見てみると、第129条以下に介護保険料の規定が存在しています。そこには、市町村が介護保険料を徴収するという根拠規定に加え保険料の徴収方法などが規定されていますが、納期までに納めないと延滞金が発生するという明確な規定はありません。


一方財政安定化基金については第157条において延滞金を徴収する旨の規定があります。このような規定ぶりから延滞金を徴収できるのかという疑義が生じます。

延滞金徴収の根拠規定

この点についての疑義は介護保険法第144条において滞納処分という見出しで保険料については地方自治法第231条の3第3項に規定する法律で定める歳入とするとしています。


そして地方自治法第231条の3第3項をみると法律で定める歳入と延滞金等については滞納処分できるとなっており、同条第2項で条例で定めるところにより手数料及び延滞金を徴収できるとしています。これが延滞金を徴収する根拠となるのです。

介護保険料の延滞金に関する賦課金額の根拠規定について

以上のとおり、法律は複雑な構成となっていますが、地方自治法第231条の3第2項の規定により、条例で定めるところにより督促の手数料及び延滞金を徴収することができるとされていることが分かりました。

では、徴収するとしてその延滞金の算出根拠はどのように規定するのでしょうか。

延滞金の賦課金額の根拠

介護保険料の延滞金については、条例で定めるところにより延滞金を徴収することができるとなっていることから、厳密には条例で延滞金を徴収する旨の規定を置く必要があります。


そして、その条例の中において延滞金の算定方法について地方公共団体が規定していくこととなります。これが賦課金額の算定の根拠となります。



具体的な賦課金額の規定等について

では、各地方公共団体においてこの延滞金の賦課金額についてどのように規定しているかというと基本的には財政安定化基金の延滞金と整合性をとって年14.5%の延滞金額を加算するというような規定を置いているものが多いです。


ただ、あまりに金利が高すぎるとして租税特別法第93条第2項の規定により告示された割合を参考として延滞金の割合の特例を定めているところもあります。

介護保険料及び延滞金の自力執行と時効の根拠規定について

このように介護保険料については延滞金が発生し、その額は滞納介護保険料の金額の14.5%程度ということが分かりました。


この介護保険料及び延滞金は裁判手続きを経ずに自力執行が可能となりますがその根拠はどこにあるでしょうか、また、時効についての根拠はどうなっているかをみていきましょう。

自力執行ができる根拠

介護保険料については、地方自治法の規定により督促手続きを行い、延滞金を徴収できる要件を満たした状態であれば同法第231条の3第3項の規定により介護保険料及び延滞金は地方税の滞納処分の例により処分することができるとされています。

この滞納処分というのが自力執行の根拠となっており、この規定を根拠として執行できるのです。

介護保険料及び延滞金の時効に関する根拠

介護保険料については、介護保険法第200条第1項において2年という消滅時効が規定されています。それに対して延滞金については時効に関する明確な根拠規定が介護保険法には見当たりません。


この点延滞金の発生根拠を地方自治法及び条例に求める場合には、地方自治法第236条第1項の規定を根拠として5年という考え方が出てきます。

介護保険料及び延滞金を支払わなかったら

介護保険料に延滞金が14.5%発生するとすると、平成27年の第1号被保険者の平均月額保険料5514円をベースに考えると年間799円の延滞金となり、保険料を1年分延滞すると9588円となり、延滞金が月額の介護保険料を超えてくることになります。


この際時効により逃げ切ろうという考え方が出てきそうですがその際には様々な不利益が生じるので注意が必要です。

介護サービス利用に係る不利益

介護保険料の滞納を1年間続けた場合には、本来サービスを利用しても自己負担分1割を支払えばよい野に対してまず、10割全額支払いあとに9割を返還してもらうという手続きが必要となります。


さらに2年の滞納の際には自己負担割合が1割から3割に上昇し、サービス利用について余分な出費が必要となってくる不利益が生じます。

高額介護サービス費に係る不利益

高額介護サービス費とは、介護サービスを利用する際に負担する自己負担について月々の上限額が定められておりそれを超えてサービスを利用する必要がある場合には超えた部分が払い戻される制度ですが、過去10年間に時効が成立した介護保険料について自己負担割合が3割に上昇される期間についてはこの払い戻しを受けることができないという不利益が生じます。

まとめ

介護保険料については、地方自治法及び条例の規定を根拠として延滞金を徴収することが可能であり、その延滞金の根拠も条例で規定することとなります。これらの徴収金については自力執行が可能であるので財産の差し押さえを受けるリスクもあるのできちんと支払いましょう。


また時効が2年等と短期なことを考慮して支払を逃れたとしても、後にサービス利用時に不利益がある制度となっているのでやはりきちんと支払っておくべきでしょう。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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