年金だけでは生活できない⁉少ない年金受給額の実態と効率的な貯金方法

老後の生活費と年金の平均受給額とを比較すると、年金は少ない・年金だけでは安心して生活できないということが分かります。現に、少ない年金だけでは足りず生活保護を受ける高齢者が増えています。ここでは年金が平均いくらもらえるのか、どうやって貯金すべきか等を解説します。

老後、年金だけでは少ないのか?生活できない?



20歳以上の国民が加入する国民年金や、会社員などが加入する厚生年金。

「実際に、将来どれくらいの年金がもらえるのだろう?」とは、誰もが気になることだと思います。


「年金だけで生活していけるのだろうか?」「年金以外に、どれくらいの貯蓄があれば余裕をもって生活できるのだろう?」と不安をお持ちの方も多いかもしれません。


そこでこの記事では、年金受給額と効率的な貯金方法について、

  • 年金の平均受給額について(厚生労働省データより)
  • 老後必要な生活費
  • 年金だけで生活することは可能?
  • 老後に備えた効率的な貯金方法
以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、年金の不安に対しての、具体的な対策に役立てていただけることと思います。

年金は少ない?いくらもらえる?厚生労働省による年金平均額最新データ

実際に支給されている年金はどれくらいなのでしょうか?

また今後の受給額は、どのように変化していくのでしょうか?


老後の生活を考えるにあたり、まず知っておきたい情報ですよね。


こちらでは、厚生労働省が公開している「平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、年金の平均受給額について解説をしていきます。

国民年金の平均受給額はいくら?

まず、国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額です。

厚生労働省のデータによると、月額55,464円となっています。


国民年金の制度上の支給額は月額64,941円となっているのですが、こちらは20歳から60歳までの40年間保険料を納付した場合の満額の金額です。


実際には、満額よりも10,000円ほど受給額が少ない人が多くなっているようです。


また家族構成別での支給月額平均は、

  • 単身者 55,615円
  • 夫婦2人 111,230円
となっています。


なお男女別でみると、女性のほうが月額数千円低い金額になっていますが、これは専業主婦が任意加入だった頃に加入していたかどうか、の差になっているようです。

厚生年金の平均受給額はいくら?

次に、厚生年金(老齢厚生年金)の平均受給額は、月額147,927円となっています。

こちらは国民年金に厚生年金部分が上乗せになった金額です。


なお厚生年金は、加入期間や報酬によって支給される金額が決まるため、男女間の差が大きくなっています。

  • 男性 166,668円
  • 女性 103,026円
続いて家族構成別での支給月額平均です。
  • 夫(厚生年金)+妻(国民年金) 222,283円
  • 夫婦共働き 269,694円
となっています。


会社員の方など厚生年金に加入している方は、支払う保険料は国民年金のみの方より高額にはなりますが、受給時の金額の差をみると、その差は大きく感じられますね。

今後の年金受給額はどう変化していくのか

気になるのは、これから年金受給額がどうなっていくか、ですよね。

厚生年金の平均支給額は、平成26年を底値として年々回復傾向にあるといいます。
しかし「マクロ経済スライド」により、今後年金受給額が減少する可能性があります。

マクロ経済スライドとは、現役人口の減少や平均余命の延びなどの社会情勢に合わせて、年金の給付水準が自動的に調整される仕組です。

この仕組により、物価と賃金の上昇とともに増えるはずの年金額の伸びを抑えたり、また物価や賃金の上昇率が低かったりマイナスだった場合は受給額が減額となる可能性があるのです。

老後生活はいくら必要?少ない年金で生活できるのか



ここまで、年金の平均受給額について見てきました。


では実際、年金だけで不自由なく生活を送ることは可能なのでしょうか?

それを知るためにも、老後に必要な生活費を知っておく必要がありますね。


そこでこちらでは、老後に必要な生活費について、公益財団法人「生活保険文化センター」のデータをもとに解説をしていきます。

夫婦2人の平均的な老後の生活費

夫婦2人での老後生活を送るために、必要とされる生活費についての意識調査によれば、その最低金額は月平均22.1万円となっています。


実際、世帯主が60歳以上で無職の世帯(2人以上の世帯)での1か月の消費支出は約24万円となっています。

その内訳は以下のようになります。

内訳金額
食料費68,646円
交通・通信費28,598円
教育娯楽費24,054円
光熱・水道費21,742円
住居費14,801円
保険医療費14,693円
家具・家事用品費9,964円
被服及び履物費6,402円
教育費346円
その他50,688円
消費支出計239,934円

ゆとりある老後生活を送る場合の平均的な生活費

同調査によれば、ゆとりある老後生活を送るために必要な生活費は、平均で月36.1万円となっています。

前述の最低生活費以外に、平均14万円が必要と考えられていることになりますね。


この14万円の用途としては

  1. 旅行やレジャー 60.7%
  2. 趣味や教養 51.1%
  3. 日常生活費の充実 49.6%
  4. 身内との付き合い 48.8%
  5. 耐久消費財の買い替え 30.0%
  6. 子供や孫への資金支援 22.4%
  7. 隣人や友人との付き合い 15.5%
  8. とりあえず貯蓄 3.7%
上記のような内訳となっています。


やはり誰もが、ぎりぎりの生活ではなくゆとりある生活を送りたいと考えますよね。

少ない年金だけで生活することはできるのか

ここまで、年金の平均受給額や老後の生活費について解説をしてきました。

各調査によると、年金のみで生活を送るのは不安が大きいと考えられますね。

ただあくまでも平均値ですので、実際の支給額とは異なりますし、生活費も家庭の状況により様々です。

年金だけで生活をすることは可能なのか?以下、参考例を見ながら説明していきます。

贅沢をしなければ年金だけでも生活は可能

生活費の実態として、参考に生活保護費での考え方を見ていきます。


東京都八王子市在住の70歳以上の夫婦の場合、生活扶助(日常生活に必要な費用)は11万円となります。


この生活扶助の金額は、「健康で文化的な最低限度の生活」を送るための必要費として、厚生労働省が毎年算出しています。


この考え方で見ると、夫婦2人の場合は、住宅ローンなどの支払いがないことを前提として、年金だけでもなんとか最低限の生活を維持することはできそうですね。

老後は医療費や介護費などがかかる場合が多く、年金だけでは少ない

老後は生活費の他に、医療費や介護費などがかかる可能性が高くなります。


例えば医療費の場合、「高額療養費制度」を使った所得が一般の70歳以上の方の場合、1か月の負担額の上限は、

  • 外来 12,000円
  • 入院・外来 44,400円
となります。


また介護費は、要介護の度合いにもよりますが、介護保険制度を利用して支払った月の平均額は78,000円となっています。(生活保険文化センターの調査による)


上記を考慮に入れると、老後の生活を年金だけでは賄うことはますます難しそうです。

年金だけでは少なく老後に生活保護を受けることも少なくない

厚生労働省の発表によると、生活保護を受給している世帯の中で、高齢者世帯の占める割合は55.1%となっています。


これは、20年程前と比べると3倍近くになり、増え続けている状況です。


年金のみで生活をすることが難しい場合は、最低限の生活を維持するためにも、生活保護を受けられるのはありがたいことですよね。


ただ生活保護を受ける上では、車や家などの財産や資産を所有できないなどいくつかのデメリットがあります。


さらに、生活保護の制度について周知徹底されていないなどの理由で、生活保護の基準に満たない経済状況の世帯でも、8割ほどが制度を利用できていないという現実があります。


だからこそ、年金のみに頼らず計画的な貯蓄が大切になってくるのですね。

今の日本の年金は少ない!老後に向けた効率的な貯金方法とは



ここまで見てきたように、老後の生活を年金のみに頼ることはかなり不安が大きいといえます。


少しでも余裕を持った生活のためにも、また予期せぬ事態に備えるためにも、今からできることを計画的に実行していきたいですね。


そこでこちらでは、老後の暮らしに備えて効率的に貯蓄をする方法について解説していきます。

任意加入や年金受給年齢を繰り下げて受給額を増やす

まずは、国民年金の任意加入制度の利用や、受給年齢を繰下げる方法があります。


任意加入制度とは、保険料を納めていない期間がある場合、60歳から65歳までの5年間に保険料を納付することで、受給金額を増やすことができる制度です。


ただし、国民年金の繰上げ受給を受けていないことや厚生年金に加入していないことなどの条件があります。


次に繰下げ受給については、66歳以降70歳まで繰下げをすることができ、1か月につき0.7%の増額になります。


例えば支給月額5万円の人が70歳まで繰下げた場合は、42%の増額となり、月額7.1万円となります。

少ない年金を補うために個人年金保険に加入する

個人年金保険とは、公的年金とは別に、保険会社などで個人的に加入する年金保険のことです。


個人年金保険にはさまざまな種類があります。


例えば年金の受取方によっての分類は

  • 確定年金:契約時に決めた一定期間、年金が受け取れる
  • 終身年金:生存している間はずっと、年金が受け取れる
また運用の仕方による分類は
  • 定額年金:契約時に将来受取る年金額が決まる
  • 変額年金:運用実績によって将来受取る年金額が変動する
のようなものがあります。

メリットとして、所得控除が受けられる点(いくつか条件があります)などがありますが、デメリットとして、定額型はインフレに弱いことなどが挙げられます。

内容をしっかり比較検討して、ご自身に合ったものを選んでいきたいですね。

自分に合った貯金の方法が分からない場合はFPに相談しよう

老後の生活に備えるための、いくつかの貯金方法について見てきました。

その方法については、その方のライフスタイルなどによっても向き・不向きがあるかと思います。


ご自身でさまざまな情報を集めても、「実際に自分に向いているのか?メリットやデメリットは?」などの不安を感じられる方も多いかもしれません。


そのような場合は、FP(ファイナンシャルプランナー)に相談することも良い方法です。

納得できるまで相談することができるので、安心して貯蓄方法を選ぶことができますね。

まとめ:老後生活は年金だけでは少ない!早いうちから貯金を始めよう

年金受給額の実態と効率的な貯金方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?


この記事のポイントは

  • 国民年金の平均受給額は、月55,464円、厚生年金の平均受給額は、月147,927円で、男女間また家族構成により金額差がある。
  • 今後の年金受給額は、社会情勢により減額になる可能性がある。
  • 老後に必要な費用や少しでもゆとりある生活を考えると、年金のみで生活費を賄うことは難しい
  • 少ない年金の不足を補うための貯蓄方法として、年金受給年齢の繰下げや個人年金保険などが考えられるが、FPに相談することも大切な方法である。
でした。

老後余裕のある生活を送るためにも、ご自身が受取れる年金額を把握し、しっかりと不足を補える対策を講じることが大切です。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、「マネーキャリア」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

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