更新日:2020/11/19
厚生・国民年金の真の問題は国の無駄遣いではない⁉年金制度はどうなる?
年金は減額の一方で、その原因として考えられるのがグリーンピア問題など日本年金機構の年金無駄遣いですが、真の原因は国の無駄遣いではないのです。ここでは国の年金不祥事を紹介したうえで年金問題の真の原因を解説し、更に今後の年金の推移、今後のとるべき対応を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
公的年金額が上がらない理由は?国が年金・税金を無駄遣いしているのか
公的年金の受給金額は、年々減少しており、受け取れる年齢も段階的に引き上げられています。
その原因は、国が年金や税金を無駄遣いしているせいだと感じている人もいるでしょう。
その原因としてよくあげられるのが「グリーンピア」事業。
年金で積み立てられたお金をもとに、造られたのが「グリーンピア」などの保養施設です。しかし、それだけで本当に受給金額が上がらないのでしょうか。
今回の記事では、以下の内容と中心に解説します。
- グリーンピア事業が無駄遣いだったのか?
- 年金受給金額が減少している本当の原因
- これからの年金制度について
- 今後が不安な方に個人年金保険がおすすめ
最後までご一読ください。
グリーンピア問題とは?総額約3700億円の年金無駄遣い⁉
グリーンピアとは、年金福祉事業団が施設を整備して建設された大きな規模の年金保養施設です。
全国に13か所あり、公的なリゾートホテルの一面があります。
1980年から1988年にかけて建設され、年金受給者の保養所という目的を持って建設されました。
建設にあたり、以前の大蔵省(現財務省)の資金運用部から借り入れを行い、運営は地方自治体や財団である年金保養協会が行っていました。
しかし、施設の運営に関してノウハウがなかったために、経営がうまくいかず、借り入れしていたお金の返済ができない状態で、赤字経営のところが多くあったのです。
赤字を年金福祉事業団が負担しました。その資金は、年金の被保険者から集めた保険料を使って補填していました。
本来、年金受給者のために使われるはずの保険料をグリーンピアの赤字解消のために、国民から徴収したお金が使われていたのです。
その金額は、施設の維持費などを含めて約3,700億円が年金から支出されていたことが、年金の無駄遣いとして問題となったのです。
その他の日本年金機構の無駄遣い・不祥事一覧
2009年12月31日までは社会保険庁といわれていましたが、その後は「日本年金機構」と名前を変えていますが、職員はほぼそのままです。
年金の無駄遣いといわれたものは、「グリーンピア」問題だけではありません。そのほかの無駄遣い・不祥事を紹介します。
個人情報紛失
2018年3月に発覚した不祥事です。
2017年に書類の様式や記入項目を大きく変更しています。
これによって、約130万人の受給者の所得税が控除されずに2018年2月に日本年金機構は本来の金額よりも少なく支払ったのです。
正しく手続きを行った人だけに、不足分を4月分に含めて支払いをしています。
年金の支給漏れ
2017年9月に、事務処理上のミスで約10万6,000人の年金受給者に対して、総額約598億円の年金支給漏れがありました。
支給漏れされた分は、振替加算され支払われています。
年金問題の真の原因は無駄遣いではなく少子高齢化・経済停滞にある
年金の受給金額が減少しているのは、年金の無駄遣いが原因と考えている人も多く見られますが、年金の受給金額が減少している本当の理由には、少子高齢化が原因なのです。
以前であれば、年金をしっかりと支払っていれば定年退職後の60歳をむかえたときに、生活していくのに十分な年金が受け取れるというものでした。
現在、年金を受け取っている高齢者も悠々自適とはいかないものの、生活していくのに困らないだけの年金をもらっています。
しかし、現在の働き盛りである30代・40代、さらには10代・20代にいたっては、現在年金を受給している人と同等の年金が受給できる可能性は低いものになっています。
その理由は、年金の無駄遣いではなく、少子高齢化によって公的年金の受給金額は目減りしていくことが予測できるからです。
今後の年金制度はどうなる?さらに減額の可能性はある?
公的年金には、国民年金と厚生年金があります。今後の年金制度はどのように変化していくことが予測できるのでしょうか。
公的年金は、国民年金保険料にプラスして税金が投入されています。年金制度は、支払われた保険料が現在の年金受給者が受け取っているのです。
年金制度は、収支のバランスが取れていないと制度が危うくなります。年金の無駄遣いではなく、少子高齢化が問題視され、今後の年金制度を考えると受給金額を減らすか、年金保険料を増やすか、という問題が出ていきます。
今後の年金制度の改正の見込みとしては、年金受給年齢を70歳に繰り上げることや70歳以降も厚生年金に加入すること、在職老齢年金の見直しなどが検討されています。
パート就労者も厚生年金に加入することなども検討されており、年金の財源の改正が見込まれます。
しかし国民年金の加入・保険料を納めることは義務
国民年金保険への加入は、「国民皆年金」であり、20歳以上は加入しなければなりません。
国民皆年金なので、加入しないという選択肢はなく、国民は20歳になったら原則的に国民年金保険料を支払い、加入しなければならないのです。
国民年金では大きな問題として未納者が多いことです。平成25年12月末の調査では、納入者が64.5%を占めています。それ以外は、未納者であると解釈できます。
未納となりやすい原因には、自営業者で支払わなければならないと、分かっていても経済的な事情や国民年金制度の認識不足、誤解などがあるようです。
国民年金保険の保険料を納めることは義務なのです。
年金の保険料を未納のままにしておくとどうなるのか
先にも述べたように、国民年金保険は国民が20歳になったら加入しなければならない制度です。
国民年金は国民全員が加入しなければなりません。
国民年金の保険料を支払わないのままにしておくと、督促状の通知が届きます。
それでも支払わないままにしておくと「特別催告状」が通知されます。さらに支払わないままにしておくと「最終催告状」が通知されます。
最終催告状が来ても、未納のままにしておくと日本年金機構の職員などが自宅を訪問して、支払いを促すようになります。
また、支払っていない人の銀行口座などを調査して、差し押さえの手続きが行われ、強制的に徴収できるようになります。
老齢年金は、支払った月数で受給額が異なり、未納のままの期間が長いともらえる年金受給額が少なくなります。
国の無駄遣いなど、公的年金が信用できない方は個人年金保険がおすすめ
年金の無駄遣いなど、公的年金に対して不信感や不安感を抱いている人は、個人年金保険への加入をおすすめします。
公的年金の受給金額が少なくなり、受給できる年齢も引き上げられている原因は、過去の年金の無駄遣いと感じている人も多いでしょう。
しかし、少子高齢化で年金制度を支えている現役世代が減少して、高齢者が増加していくことが問題となっているのです。
将来的に、年金受給額が少なくなることが心配される場合は、民間の保険会社が販売している個人年金保険に加入しておけば、安心できるでしょう。
個人年金保険は、民間の保険会社が保険金を一時金または年金方式で受け取れる保険で、私的に準備できます。
年金の無駄遣いとされた「グリーピア問題」の後は、日本年金機構によって公的年金の管理も見直されています。
老後の年金問題に不安がある方はお金のプロ(FP)に相談しよう
現役世代で年金がいくら受給できるか、など不安がある場合はファイナンシャルプランナー(FP)に相談するとよいでしょう。
FPは、お金のプロとして年金問題だけでなく、その後の生活費などの見直しを行ってくれます。
老後の資金に不安がある方は、公的年金の保険料を支払っていくのはもちろんですが、資産運用や個人年金保険に加入するにしても、その家庭にあったものを選んでくれます。
老後の資金を準備できるのは、個人年金保険以外にもNISAやiDeCoなどの積立方法の相談にも応じてくれます。
まとめ:今後も公的年金は国に無駄遣いされる危険性がある
今回の記事では、国の年金の無駄遣いや今後の年金制度について解説しました。
この記事のポイントは以下の通りになります。
- 国が年金の無駄遣いをしていたのか
- グリーンピア問題
- 年金制度の真の問題は少子高齢化
- 今後の年金制度について
- 国民年金は国民の義務
- 個人年金保険の加入おすすめ
日本の公的年金制度が破綻することはないと考えられますが、老後に満足のいく生活が送れるだけの年金が受給できるかは、不安が残るところです。
老後の生活資金を準備しておきたいと考えるのであれば、個人的に個人年金保険に加入することをおすすめします。
日本の情勢にあわせて、変化していく可能性があるので今後も年金制度については、注目していく必要があるでしょう。
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