更新日:2020/06/10
年金が高すぎる理由!年金を払えない時の対処法や未払いのデメリットを解説
年金、高すぎるでしょ!と感じる方は多いと思いですよね。今回は、年金が高すぎる理由や、年金を未払いでいる人はいるのか、年金を払えない場合の申請手続きなどを解説します。また、年金を未払いのままでいるとどうなるのかや、年金以外で老後資金を準備する方法も解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
年金が高すぎる!払えない場合の対処法や未払いでいるデメリット
最近、年金に関するニュースを目にすることが多いと感じることはありませんか。
現在既に年金をもらっている年代の方に比べて、現役世代、特に若い世代の方は「自分達は年金をもらえないかもしれないのに、払う保険料が高すぎる」と感じている方も多いでしょう。
そこでこの記事では、
- なぜ年金の保険料が高すぎるのか
- 年金を払っていない人はどのくらいいるのか
- 年金を払わないとどうなるのか
- 年金を払えない場合の対処方法
などに関して、できるだけわかりやすく解説していきます。
「高すぎる!払いたくない!」と感じている方も多いと思いますが、だからといって払わなければその分自分の将来に影響することになります。
まずは、年金に関してしっかり理解することが大切ですので、是非最後までお読みいただければと思います。
年金がとにかく高すぎる!なぜこんなに年金は高い?
年金の保険料が高すぎると感じる主な理由の一つ目は、そもそも年金制度を含めた日本の社会保障制度が比較的充実していることが背景にあります。
充実した社会保障を実現するためにはどうしてもコストがかかってしまい、源資となる保険料がより多く必要になってしまうからです。
また、二つ目の理由としては、少子高齢化による影響があります。
年金は将来の自分のための貯金ではなく、現役世代が払った保険料で高齢者を支える仕組みになっています。
そのため、少子高齢化が進めば進むほど、少ない現役世代の人数でたくさんの高齢者を支えなければいけなくなるのです。
現に、2000年では約4人の現役世代で1人の高齢者を支えていましたが、2019年には約2人で1人を支える状況になっています。
また、厚生年金保険料率は、2004年の13.93%から18.3%まで引き上げられています。
このように、充実した日本の社会保障を準備するために、その源資を確保しなくてはならないのに、その源資つまり保険料を払う世代の人口が減少していることが、年金の保険料が高すぎると感じる背景になっているのです。
年金を支払っていない人はいるの?いるとしたらどれくらいいる?
上で述べたように、年金が高すぎる背景には、充実した日本の社会保障制度や人口構成などが影響しているのですが、実際に年金を払っていない人はいるのでしょうか?
ただでさえ、少子高齢化で年金を払う現役世代の人口が減っているのに、その中からさらに払っていない人がいるのであれば、ますます我々の将来の生活は厳しいものになってしまうかもしれません。
以下で、年金を払っていない人がいるのか?、いるとすればどのくらいの人が年金を払っていないのか?について見ていきましょう。
年金を支払っていない人は157万人
- もらえるかどうかかわからない年金を払うのは無駄だ
- 自分のためではなく高齢者のために払いたくない
- 年金が高すぎて現役世代の負担が大きすぎる
未納と滞納の違いに注意
上で少し触れた「未納者」と「滞納者」の違いについてご説明します。
まず、未納者についてですが、「未納」の意味は、「納めるべきものを未だ納めていない」ことです。
国民年金の支払が遅れる(納めていない)と支払を求める催促の通知が送られてきますが、支払期日までに支払えば問題ありません。
仮に払うことができない場合でも、免除制度・納付猶予制度を利用すれば、年金の受給資格期間に含めることができます。
また、免除や猶予となった保険料を後から納める追納制度を使えば、もらえる年金を増やすこともできます。
一方の「滞納」は「期日を過ぎても納めるべきものを納めていないこと」という意味になり、上の「未納」とは若干意味合いが異なっています。
「未納」の時点で催促したにもかかわらず、期日までに納めていないということから、「滞納」の方がより厳しく、滞納処分の対象として扱われます。
段階的に催告状や督促状などを経て、それでも支払わない場合には、最終的に財産の差し押さえまでされてしまいます。
「年金高すぎるわ!払いたくない!」年金を支払わないとどうなるのか
「年金の未納と滞納では意味合いが異なることは理解したが、それでも年金の保険料が高すぎることには変わりない、払わなくてすむのなら払いたくない」と、まだ思っている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、年金を払わないまま、つまり滞納したままにしておくと、どういうことになるのでしょうか。
以下で具体的に見ていきましょう。
将来貰える年金額が減少する
まずわかりやすいのは、払う年金が少なければもらう年金もそれだけ少なくなるということです。
年金を満額もらうには、40年=480ヶ月払う必要があるのですが、払っていない月数に比例してもらう年金は少なくなります。
1年間にもらう国民年金の満額は約78万円ですので、
78万円 × 払った月数 / 480 で、もらえる年金の金額がわかります。
また、年金は加入年数が10年以上ないともらうことができないため、払った期間が10年に満たない場合は1円ももらえないことになってしまいます。
年金は終身保障ですので死ぬまでもらえるお金です。
従って減額されると、長く生きれば生きるほどその分損をしてしまうことになります。
短期的には少しの金額に見えても、年金を払って少しでも加入期間を増やしておくことが、将来の安心につながるといえるでしょう。
財産の差し止め
また、もらえる年金の減額よりも怖いのは、財産を差し押さえられることです。
これは上で述べた滞納の場合の最終的な処分で、未納の後何度かに渡って催告状や督促状などで催促しても支払いがされない場合、特に、支払う能力があるにもかかわらず支払いを怠っている人には、財産の調査が行われ最終的に財産が差し押さえられます。
この対象となるのは、滞納が7ヶ月以上続いており、所得が300万円以上ある方といわれています。
そしてさらに、この財産の差し押さえがされても滞納が続く場合は、国が強制的に徴収することができるようになります。
「年金が高すぎる・払えない」時は免除や納付猶予を利用する
年金を払う能力があるのに払わずにいると、最終的には財産の差し押さえなど厳しい処置があることがわかりました。
一方、年金が高すぎて払う能力がない場合にはどうすればいいのでしょうか。
「未納と滞納の違いに注意」のところで少しお伝えしましたが、滞納ではなく未納の状態であれば、免除や猶予の制度を利用することができます。
それぞれの内容や手続きの方法など、具体的に見ていきましょう。
免除や納付猶予の申請方法や必要書類
経済的な理由などから、年金の保険料が払えない場合、納付の免除(全額・3/4・2/4・1/4
)や猶予の制度を利用することができます。
免除の場合、その割合に応じて年金額が保障されたり、猶予の場合でも年金は増えませんが、10年の受給資格期間に含まれるなどのメリットがあります。
また、障害年金や遺族年金を受け取ることもできます。
申請の詳細は以下のとおりです。
【手続きに必要な書類】
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
- 雇用保険受給資格者証の写し、または雇用保険被保険者資格喪失確認通知書など、失業していることが確認できる公的機関の証明の写し
【提出先】
- 最寄の役所の国民年金担当窓口、または年金事務所
【期限】
- 提出期限は特に設定されていないが、なるべく早い提出が望ましい
- 最大で2年1ヶ月前までの分を申請することが可能だが、遅れると障害年金などをもらえなくなる可能性がある
国民年金保険料免除・納付猶予申請書は、日本年金機構ホームページからダウンロードまたは、提出先の窓口にもあります。
複雑な手続きではないので、年金を払うのが難しい場合は早めに手続きすることをおすすめします。
追納すれば将来の年金額の減少を防げる
また、免除や猶予の制度を利用した場合でも、「追納」の制度を使ってその期間の年金をさかのぼって納めることが可能です。
追納することで、将来受け取る老齢基礎年金の金額を増やすことができます。
具体的には、
- 追納が承認された月以前から10年以内であること
- 一部免除を受けた保険料のうち、免除を受けていない残りの保険料は全て払っていること
- 古い期間の保険料から払うこと
などの条件があります。
手続きの方法は、
- 国⺠年⾦保険料追納申込書に必要事項を記入
- マイナンバーカード(ない場合は通知カードと、運転免許証・パスポートなど)を提示
- 最寄の年金事務所に提出
します。
国⺠年⾦保険料追納申込書は、日本年金機構のホームページよりダウンロードできます。
参考:年国民健康保険料も高すぎる!と感じたら
年金の保険料が高すぎることに関して述べてきましたが、「国民健康保険の保険料も高すぎる」と感じておられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
国民健康保険の保険料は、前年の所得に応じて6月くらいに1年分の金額を通知されます。
従って例えば、自営業の方で前年は収入が多かったが、今年は減ってしまっている場合、前年の所得に応じた保険料となり、「高すぎる!」と感じることになってしまいます。
その場合、減額免除制度が使えます。
国民保険の保険料は、所得割額、均等割額、平等割額によって構成されていますが、減額免除制度とは、世帯全員の所得額が基準以下である場合に、均等割額と平等割額の部分が減額される制度です。
具体的には、以下のように設定されています。
世帯人数 | 7割減 | 5割減 | 2割減 |
---|---|---|---|
1人 | 33万円以下 | 61万円以下 | 84万円以下 |
2人 | 33万円以下 | 89万円以下 | 135万円以下 |
3人 | 33万円以下 | 117万円以下 | 186万円以下 |
4人 | 33万円以下 | 145万円以下 | 237万円以下 |
まとめ:年金が高すぎるわ!と感じても未納だけは回避して
年金の保険料が高すぎることについてご説明してきましたが、もう一度大切なポイントをおさらいしておきましょう。
- 年金が高い理由は、社会保障制度にかかるコストが高いことと、少子高齢化の影響で少ない現役世代で多くの高齢者を支えなければならないから
- 国民年金を払っていない人は約3割
- 年金の未納は「未だ払っていない場合」、滞納は「期日を過ぎても払っていない場合」
- 滞納を続けると、もらえる年金が減るだけでなく、財産の差し押さえや国から強制的に徴収される場合もある
- 年金が払えない場合は、免除や猶予の制度を使う
- 国民健康保険の保険料が高すぎる場合にも、減額免除制度が使える
いかがでしょうか。
高すぎると感じる方の多い年金ですが、高すぎるからといってそのまま払わないでおくと、もらえる年金が少なくなったり、財産の差し押さえなど大変なことになることがわかりましたね。
高すぎると思っても、猶予や免除の制度を使って滞納し続けることだけは回避することをおすすめします。