介護保険はグループホームに適用される?グループホームの特徴を解説

グループホームは、認知症高齢者を対象に少人数で共同生活をする施設で、介護保険が適用される地域密着型サービスの一つとされています。グループホームは国の介護保険政策の取り組みとして全国に広がり、認知症高齢者の自立支援のサポートを目的とします。

認知症高齢者の受け入れ施設グループホームについての全情報

認知症高齢者の配偶者や親を介護しているご家族の中には、昼夜を問わず徘徊するような症状が出始めてきたので、目を離すのが心配だ、と感じることがあるでしょう。

しかし、認知症高齢者の方と別居していたり、自分達の仕事が忙しかったりして、傍で見守ることが非常に難しいケースもあります。


そのような場合に利用したいのが、認知症高齢者の受け入れ施設である「グループホーム」です。 


今回は、このグループホームについて説明していきます。この記事を読めば、グループホームの特徴・メリットとデメリットについて基本的な知識を得ることができることでしょう。


グループホームの現状と特徴

グループホームは、認知症高齢者を対象に少人数で共同生活をする施設です。介護保険が適用される地域密着型サービスの一つとされています。

認知症高齢者が住み慣れた地域で、安心した生活を送ることができることを目的としています。

グループホームは、1990年代後半に国のモデル事業として始まりました。平成28年(2016年)の時点では、全国の事業所数は13,069箇所となり今後も増加傾向にあると言えます(厚生労働省「平成28年介護サービス施設・事業所調査の概況」)。


グループホームは地域密着型の介護施設である

グループホームは、認知症高齢者を対象に少人数で共同生活をする施設で、「認知症対応型老人共同生活援助事業」と呼ばれています。

ご家庭に近い居住環境で、入居した高齢者の能力に応じてそれぞれが料理や掃除などの役割を受け持ちながら、自立した生活を送ることになります。

グループホームの設備

グループホームでは、居室、浴室、トイレ、機能訓練室、食堂・共同リビングなどが設置されています。なお、1居室の定員は基本1名となっています。

居室内には基本的に自宅から家具の持ち込んでも構いません。住み慣れた自宅に近い環境を再現できるように配慮している施設も多いです。


一方、グループホームは高齢者が自立した生活を送ることを目的としているため、医療機関のような検査・治療室、歩行が困難な方のための機械浴等の設備は整っていません。


グループホームの人員体制

グループホームでは、支援する専門スタッフがおよそ5~9人体制で配置されています。

スタッフの人員体制は次の通りです。

  • 管理者・・・3年以上の認知症介護経験があり、専従で常勤の職員1名を配置します。
  • 計画作成担当者・・・介護計画を作成する担当者で、管理者を兼務することも可能です。ただし、1名以上は介護支援専門員(ケアマネジャー)でなければいけません。
  • 介護スタッフ・・・24時間常駐し、認知症高齢者を介護します。入居した高齢者3名に対して介護スタッフ1名以上配置します。夜間であるなら入居した高齢者の人数に関係なく常時1名以上を配置します。
  • 代表者・・・介護施設の従業者またはホームヘルパーとして3年以上の介護経験者、もしくは保健医療福祉サービス事業の経営経験を有する者が対象となります。

※医療・看護スタッフは、専門スタッフとしてグループホームでは配置が想定されていません。ただし、一部のグループホームでは配置しているところもあります。

グループホームで提供されるサービス

サービスの内容は、介護保険法により「入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活の世話及び機能訓練を行う」(介護保険法第8条第20項)と規定されています。

基本的には、入居した高齢者が自立した生活を送るため、介護スタッフによるリハビリテーションやレクリエーションを受けることができます。


グループホームへの入所手続き

グループホームへの入居を希望するならば、当該施設担当者に電話連絡等をする等して事前に相談します。


その後、入居する高齢者の方とそのご家族が施設見学を行い、気に入ったならば、契約内容の説明を受け、入居の申し込みを行います。


申込の際には、施設職員が自宅を訪問し入居を希望する高齢者の身体の状況を把握します。


申込む際にはまず住民票を取得することが必要です。なぜなら、グループホームは介護保険の保険者である市区町村が運営主体ですので、市区町村の住民だけが対象となるサービスだからです。


また、入居を希望する高齢者の認知症診断も必要です。医師から診断書を作成してもらいましょう。


必要書類をそろえたら、入居する本人の安全面等を考慮しつつ、入居の受け入れについて職員と話し合います。問題無ければ、入居契約を締結し、いよいよ入居を開始します。

グループホームへの入所基準

グループホームへの入居基準としては次の条件に該当することが必要です。


  • グループホームは介護保険が適用される施設であるため、当該施設のある市区町村内に住んでいることが前提となります。
  • 認知症の診断を受けた主に要支援2~要介護に該当する65歳以上の高齢者が対象となります。ただし、65歳未満でも初老期認知症に該当する方、若年性認知症と診断された方であるならばグループホームに入居することは可能です。
  • 高齢者が家庭環境等により、ご家庭での介護が困難な状態であることが必要です。
  • 概ねの身の回りことをするのに支障が無く、共同生活を送ることに問題のない高齢者が対象です。

グループホームへの入所難易度

そもそもグループホームは定員が約9名~18名と、入居する人数は少数に限られます。

そのため、気に入った施設でも必ず入居できるわけではありません。入居を検討する際には、市区町村内のできるだけ多くのグループホームを確認し、その中から入居できそうな施設を選ぶという方法が有効です。

介護保険によるグループホームの費用

グループホームの月々にかかる費用は、居室の家賃、食費、光熱費、介護保険による1割自己負担(所得によっては2割自己負担)、おむつ代等その他雑費がかかります。

費用負担の内容は事業者の契約プランや部屋のタイプ、高齢者の介護度によって異なります。また、入居一時金が必要になる場合があります。

入居一時金は返ってくる

入居一時金とは、グループホームを使用する権利を得るために事業者側へ支払うお金です。原則としてグループホームは終身利用です。

入居一時金は、アパート等の敷金と同じく、グループホームを退去する際に一部が返還されます。ただし、入居期間が長くなるにつれて返還される金額は小さくなっていきます。


なお、グループホームよっては入居一時金の費用は、無料である施設もあれば100万円以上になる施設もあり、かなり差があります。

月々にかかる費用

介護スタッフによるリハビリテーションやレクリエーションをはじめとした介護サービス費は、介護保険が適用されるため原則として自己負担額は1割となります。

しかし、居室の家賃、食費、光熱費等は介護保険が適用外であるため、それなりに費用がかかり、毎月のグループホームの月額利用料総額は15万~30万円程度となります。

介護保険によって毎月かかる費用とそのトータルは

グループホームの月額利用料の一例をあげます。参考にしてください。

  • グループホーム居室の家賃:40,000円
  • 食費:35,000円
  • 水道光熱費:20,000円
  • 施設管理費:10,000円
  • 家賃+食費+水道光熱費+施設管理費=105,000円

介護保険
要介護認定
介護サービス費
(介護保険適用後の自己負担額)
介護サービス費に家賃、食費、水道光熱費、施設管理費を加えた合計
要支援222,650円127,650円
要介護122,770円127,770円
要介護223,850円128,850円
要介護324,540円129,540円
要介護425,050円130,050円
要介護525,560円130,560円

※ただし、グループホームの施設使用料や、食費、水道光熱費、施設管理費は、施設の規模等によって異なり、介護保険料も各市区町村によってそれぞれ異なります。

介護保険グループホームの家賃助成制度

介護サービス費は介護保険が適用されますが、グループホームの家賃は毎月それなりの負担になります。

そこで介護保険の保険者である市区町村では、「家賃助成制度」を設けています。


家賃助成制度の条件に当てはまる場合は、5,000円~数万円程度が概ね事業所側から減額して請求されます。


申請条件・申請方法・助成金額も、各自治体によって若干異なります。


申請を希望する際には、要介護認定を受けた介護保険の保険者である市区町村窓口へご相談ください。

グループホームのメリットとデメリット

介護保険の被保険者である高齢者に対し、手厚い介護サービスと、自立支援が期待されるグループホームですが、それぞれメリットとデメリットが存在します。

主なメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット1:認知症の問題行動を減らすことができる

認知症が進み、昼夜を問わず徘徊するような症状があらわれた場合は、当該高齢者を常時見守ってくれるスタッフがいることはご家族にとって大きな安心となります。

過去に、徘徊を繰り返す高齢者が、ご家族の目を離したすきに線路内へ侵入し、痛ましい電車事故を引き起こした事例もあります。


この様な悲劇を繰り返さないためにも、グループホームの活用には意味があります。

メリット2:認知症の方の良いリハビリになる

リハビリのプロが認知症の高齢者に対応するため、ご家族よりも効果的なリハビリが期待できます。

リハビリを繰り返すことで、認知症の緩和にも役立つことでしょう。リハビリの際のスタッフとのコミュニケーションが、高齢者の心の支えにもなるはずです。

メリット3:レクリエーションが充実しているところが多い

グループホームでは、楽しみながら無理なく四肢を動かしリハビリにも役立つレクリエーションを活発に行っています。

自宅では引きこもりがちな高齢者に、体を動かす機会をどんどんつくれば運動機能の改善にもつながります。

メリット4:小規模でアットホームなところが多い

グループホームは少人数制なので、高齢者同士やスタッフもすぐに顔なじみになるでしょう。

家庭に近い環境の中で、生活を送ることができることは、入居している高齢者にとって心の安らぎを得られることでしょう。


ただし、実際の家族が訪問しなくて良いわけではないので、ご家族が定期的に顔を見せに来るような配慮はするべきです。

デメリット1:入居者間の人間関係の問題が起こることがある

入居者間で、意見の違いや性格が合わない等の違いから、揉め事が起こる場合が想定されます。

目に余る暴言や暴力がある場合には、退去を要請されることもあります。気をつけましょう。

デメリット2:入居費用が高い

グループホームの入居費用は、通常のマンションやアパートを借りるよりも割高です。

そのため、前述した「家賃助成制度」の活用や、介護認定を受ける前に民間の介護保険に加入する等して、介護保険金による金銭的サポートを受ける備えを用意しておくことも重要です。

デメリット3:身体状態が悪化すると退去しなくてはならない

グループホームは、入居した高齢者の自立した生活を送ることを目的とする施設ですので、入居時から比べて身体状況が悪化した方、入院期間が長くなった方は、施設を退去しなければならないケースもあります。

デメリット4:医療ケアには対応していないところが多い

グループホームは、医療面での高齢者ケアは原則として行っていません。

伝染の危険がある病気・疾患を発症した方や、重度の介護が必要となってしまった方は、入所が難しいケースがあります。

グループホームの歴史

グループホームの歴史は1980年代にスウェーデンで行われた「グループリビングケア」から始まります。

従来型の医療機関のような環境で行われる介護ではなく、高齢者各自の個性に寄り添い、ご自宅での生活に近い暮らしを実現させることを目標としました。


認知症の症状の緩和に有効であることが知れ渡り、ヨーロッパ各国に拡大しました。その後、1990年代後半に日本の介護保険政策として取り入れられることになります。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームは、認知症で要介護度が重い高齢者でも受け入れてくれる施設です。

グループホームは自立支援サポートが目的ですが、有料老人ホームは、認知症以外のケアや医療・看護サービスも提供します。


そのため、認知症高齢者で寝たきりの方や、重度の要介護者にも対応することができます。


有料老人ホームも毎月の介護および生活費用がかかります。入居一時金はグループホーム以上に大きな開きがあり、費用は無料~1億円程度になる場合があります。

まとめ

グループホームは、高齢者本人が住み慣れた地域で共同生活するという点が最大の魅力と言えます。

入居した配偶者・親・祖父母がスタッフから見守られることは、ご家族にとって安心なことですが、任せきりにするのではなく、定期にグループホームを訪問して本人の話を聞いてあげることも忘れないでください。

この記事の監修者
谷川 昌平
東京大学の経済学部で金融を学び、その知見を生かし世の中の情報の非対称性をなくすべく、学生時代に株式会社Wizleapを創業。保険*テックのインシュアテックの領域で様々な保険や金融サービスを世に生み出す一歩として、保険相談や選び方のポイントを伝える「ほけんROOM」を運営。2019年にファイナンシャルプランナー取得。

ランキング