更新日:2022/12/28
奨学金返済中は結婚できない?結婚後に返済する場合の注意点とは
奨学金返済中でも結婚することはできますが、奨学金=借金と考える人は多く結婚後の不安が募る、相手はよくても相手の親や家族が反対する可能性があるなどのデメリットがあります。しかし結婚をするなら奨学金返済の事実は結婚相手に隠さず言うのが無難です。結婚後に返済する注意点を解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
- 奨学金返済中でも結婚はできる?結婚後の奨学金返済の注意点
- 奨学金返済中でも結婚できる!奨学金返済中に結婚するデメリット
- デメリット①奨学金=借金と考える人は多く、不安が募る
- デメリット②相手はよくても相手の家族が反対する可能性がある
- 参考:奨学金の返済があっても結婚式をあげたい場合
- 結婚後に奨学金を返済する場合の注意点
- 結婚後の奨学金返済は大変!奨学金の返済があることは結婚前に
- 「奨学金を旦那に払ってもらう」という考えでは結婚は続かない
- 結婚後の奨学金の返済プランをお互いが納得できる形で考える
- 奨学金返済を滞納しないようにする
- 結婚後でも積極的に奨学金の繰り上げ返済をする
- 結婚後に奨学金の返済が残っている間はローンを組まない
- 奨学金の返済が終わるか目途がつくまで子供・子育ては我慢する
- 結婚後の奨学金の返済にどうしても困った場合の手段
- 奨学金返済の手段①減額返還制度を利用する
- 奨学金返済の手段②返還期限猶予を利用する
- 奨学金返済の手段③返還免除制度を利用する
- 奨学金返済の手段④自己破産などの債務整理を行う
- まとめ:奨学金返済中に結婚することはできる
目次
奨学金返済中でも結婚はできる?結婚後の奨学金返済の注意点
大学入学にあたって奨学金制度を利用して返済中の状態で、結婚は出来るのかと気になっていることでしょう。
もしくは、結婚相手が奨学金返済中の場合に結婚することは出来るのか?結婚することで何か問題になるのでは?と心配になることと思います。
奨学金の返済有無で結婚自体に制限がかかる訳ではないですが、結婚するにあたって注意すべき点があります。
この記事では、
- 奨学金返済中に結婚はできる!返済中に結婚するデメリット
- 奨学金返済中に結婚する場合の注意点
- 奨学金の返済に困る場合の対策手段
について解説します。
心に決めたパートナーと楽しい新婚生活を送るためにも、心配事は予め解消しておきたいものです。幸せな家庭作りのため、ぜひ最後までチェックしてみてください。
奨学金返済中でも結婚できる!奨学金返済中に結婚するデメリット
奨学金を返済中であっても、結婚することは可能です。
奨学金の返済が残っていることをパートナーが理解していたり、自分がパートナーの奨学金返済状況を把握・合意出来ているのであれば、結婚自体に何の問題もありません。
結婚相手の両親や親族を含めた相手方の考え方次第ではありますが、
- 奨学金=借金と考えてしまい、不安がある
- 奨学金の返済があることで、相手の親が反対する可能性
について解説します。これから結婚を考えている方にとっては参考になるかと思います。ぜひチェックしてみてください。
デメリット①奨学金=借金と考える人は多く、不安が募る
奨学金は地方自治体や日本学生支援機構等が行う、学費の貸与・給付が利用できる制度で、大学生の2人に1人が利用しているという実態があります。
利用する奨学金の種類や貸与額にもよりますが、労働者福祉中央協議会が2019年に発表した調査結果によると、39歳以下の平均返済総額は平均324.3万円、毎月の返済額は平均16,880円です。
医師や看護師・薬剤師になるために医学部や看護学部、薬学部に進学する場合や、大学院に進み大学院生となる場合も、奨学金の貸与額が大きくなる傾向があります。
借入総額 | 割合 |
---|---|
100万円未満 | 2.9% |
100~200万円未満 | 17.7% |
200~300万円未満 | 31.5% |
300~400万円未満 | 16.8% |
400~500万円未満 | 13.9% |
500~600万円未満 | 6.0% |
600~700万円未満 | 2.9% |
700~800万円未満 | 1.8% |
800~1000万円未満 | 1.2% |
1000万円以上、 または、分からない・無回答 | 5.3% |
(労働者福祉中央協議会 奨学金の借入総額)
住宅ローンや車のローンなどの各種ローンとは異なり利用する心理的ハードルは低い奨学金ですが、20代の若者が多額の返済義務を負うため、奨学金=借金と考える人は多いのが現状です。
借金を抱えた状態での結婚ということで、当人同士だけでなく、両親や親族等が不安に感じたり、反対したりするのも無理はないでしょう。
デメリット②相手はよくても相手の家族が反対する可能性がある
奨学金も借金であると前述したとおり、結婚にあたっては当人同士でしっかりと話をしておくことが大切です。
奨学金の返済義務は、あくまでも本人、および連帯保証人に対して発生し、結婚後のパートナーに対して返済義務があるわけではありません。
ただし、結婚後に形成する財産は夫婦の共有財産となるため、本来共有財産・貯金額として保有すべき資産が少なくなることを意味しています。
挙式費用や、結婚指輪、その他新婚生活に始めるために必要な資金が不足したり、その後の結婚生活でも継続して、家計を圧迫する可能性があることは、双方で理解・合意している必要があります。
遠距離恋愛でなかなか会えないとしても、二人の将来のことなので、ゆっくり時間を取って話し合いをするのが良いでしょう。
参考:奨学金の返済があっても結婚式をあげたい場合
奨学金の返済があっても、人生の大きなイベントの1つである結婚式をあげたいときは、どうすればいいのでしょうか。
結婚式というと、数百万の費用がかかると考えてしまい、諦める人も多いようです。
しかし、「小さな結婚式」では、10万円以下でも挙式することができますよ。
挙式料はもちろん、ヘアメイクやドレス代、写真撮影などすべてついていますし、ホテルやレストランなど会場もさまざまな場所から選べます。
身内だけのシンプルな挙式であれば、十分に対応してくれますので、選択肢の1つとして検討してみてはどうですか。
お金がないけど結婚式をあげたという方のための記事がほけんROOMにはあるので、是非そちらの記事をご覧になれば、役に立つ情報が見つかると思います。
結婚後に奨学金を返済する場合の注意点
奨学金の返済は結婚後も続きます。そのため、将来のライフプランや返済計画などを、相手とよく話し合っておく必要があります。
そこで、結婚後に奨学金を返済する場合の注意点として、
- 結婚後の奨学金返済は大変!奨学金の返済があることは結婚前に
- 「奨学金を旦那に払ってもらう」という考えでは結婚は続かない
- 結婚後の奨学金の返済プランをお互いが納得できる形で考える
- 奨学金返済を滞納しないようにする
- 結婚後でも積極的に奨学金の繰り上げ返済をする
- 結婚後に奨学金の返済が残っている間はローンを組まない
- 奨学金の返済が終わるか目途がつくまで子供・子育ては我慢する
結婚後の奨学金返済は大変!奨学金の返済があることは結婚前に
奨学金の返済があることを内緒にしたまま結婚するのはおすすめできません。
結婚にあたり重要事項な隠していたとしてパートナーの信用を失い、喧嘩になったり、最悪の場合は離婚に至ることも考えられます。
また、奨学金返済による家計に負担をかけたり、経済的な不自由を生んだりとリスクやデメリットが多く存在します。
実際に、労働者福祉中央協議会が2019年に発表した調査結果によると、奨学金を利用し、卒業後に社会人をしながら奨学金返済をしている対象者のうち、約3割が奨学金返済が結婚に影響していると回答しています。
正規雇用 | 非正規雇用者 | |
---|---|---|
結婚 | 34.5% | 36.7% |
出産 | 26.9% | 31.6% |
子育て | 29.8% | 33.3% |
持ち家取得 | 32.2% | 30.2% |
仕事や就職先の選択 | 25.6% | 31.9% |
貯蓄 | 60.9% | 62.7% |
39歳以下の貸与型奨学金利用者 奨学金返済による生活設計への影響
(参考:労働者福祉中央協議会 奨学金や教育費負担に関する
アンケート調査)
また、結婚後の妊娠・出産・子育て、住宅購入などのライフイベントも同様に、本人だけでなくパートナーにとっても奨学金返済が将来的な不安要素になりえることが分かります。
「奨学金を旦那に払ってもらう」という考えでは結婚は続かない
奨学金は本人の学費補填のために借りたもので、自身で返済すべきという考えが多数派のようです。
2016年に行われたマイナビニュースの調査結果によると、結婚相手が奨学金を借りていた場合に誰が返済すべきかという質問に対して、約6割が本人が自力で返済すべきであると回答しています。(参考:マイナビニュース 結婚相手の奨学金、夫婦で一緒に返済すべき?)
夫婦であっても、結婚前のことは本人で何とかしてほしいという意見が多いようですが、
各家庭ごとに家計の考え方は違います。まずは、しっかりと話し合いをするのが良いでしょう。
結婚後の奨学金の返済プランをお互いが納得できる形で考える
自力で奨学金を返済する場合も、夫婦で利用できるはずの収入の一部が奨学金返済に回ってしまうため、結果的にパートナーに対して影響が及ぶことになります。
例えば、平均返済総額の324.3万円を、毎月約2万円を返済したとすると、約20年が返済期間になります。この期間の返済計画をお互いが納得できるような返済プランにすると安心です。
完済するまでは毎月のお小遣い額を4万円から2万円にする、外食は月に1回までにするなど、無理なく実現できる具体的なプランが良いでしょう。
奨学金返済を滞納しないようにする
奨学金を利用すると、返済不要の給付型奨学金や無利子のものでない限り、利子を含む貸与額全額の返済義務を負い、借金と同じように返済遅延・滞納に応じたペナルティーがあります。
滞納により延滞金が加算されるだけでなく、滞納が続くようであれば信用情報登録機関(ブラックリスト)へ登録されることになります。
一度ブラックリストに登録されると、クレジットカードの新規発行審査が通らなかったり、各種ローンが組めなくなったりと、大きな不利益につながります。
最終的に、給与や財産の差し止め等の強制執行・自己破産と、滞納状況に応じてペナルティーも重くなっていきますので、滞納せずに返済を続けることが重要です。
結婚後でも積極的に奨学金の繰り上げ返済をする
返済期日を待たず積極的に繰り上げ返済をすることも大切です。
繰り上げ返済には精神面での負荷軽減だけでなく、返済総額が減るメリットもあります。
利子が付く第2種奨学金を利用した場合は、実際に貸与された金額(元金)と、貸与額から返済額を除いた残額にかかる利息分を足した金額を元に、毎月の返済額が算出されています。
繰り上げ返済をすることで、利息部分の金額を減らすことができるので、結果的に返済総額が少なくなるのです。ボーナス月に繰り上げ返済をする等、ぜひ検討してみましょう。
結婚後に奨学金の返済が残っている間はローンを組まない
奨学金の返済をしている状態で、家計に余裕があるからと新たに住宅・車を購入するためのローンや、ブライダルローン等を組むことはおすすめしません。
極端な例ですが、
- 公務員・会社員を問わず、給与の減額・ボーナスカット
- 退職やリストラにあった
- 病気のため定期的に病院に通院が必要になった
- 両親への仕送りが必要になった
- 旦那または妻が亡くなり、父子・母子家庭となった
- 天災や世界レベルでの不景気等が発生した
などの万が一の事態が発生した場合に、家計が苦しくなり奨学金やローンの返済が滞ってしまうリスクが考えられます。
特に、嫁いだ後に専業主婦になる場合は、夫に万が一のことがあると、即座に家計を圧迫します。
保険などでリスクに備えることも可能ですが、余剰金は貯蓄に回したり、繰り上げ返済を行うのが安心です。
奨学金の返済が終わるか目途がつくまで子供・子育ては我慢する
結婚後に子どもを望む場合、妊娠・出産・子育てと、約20年間の長期に渡る多額の費用支出が発生します。
また、妊娠・出産により女性は働けない期間が出来るため、一時的に男性一人で家計を支える必要があります。資金繰りに困って後悔しないように、しっかりと備えておくことが大切です。
奨学金返済があるからといって出産できないことはありませんが、結果的に家計が逼迫し貧乏な状態では子育てにも多くの不自由が生じます。
自身だけでなく息子・娘に迷惑をかけるような事態は避けるべきでしょう。
結婚後の奨学金の返済にどうしても困った場合の手段
どうしても奨学金返済が出来ない場合、何か救済手段はあるのでしょうか?
もちろん、事前にしっかりと準備を行い、返済が滞るようなことはないようにすべきですが、万が一の事態を想定し、各種制度を理解しておくことは大切です。
この記事では、
- 減額返還制度
- 返還期限猶予
- 返還免除制度
- 自己破産などの債務整理
について紹介します。ぜひ最後までチェックし、困った時の知恵袋として活用してください。
奨学金返済の手段①減額返還制度を利用する
減額返還制度は、返済期間を延長する代わりに毎月の返済額を減らすことができる制度です。
災害や傷病、その他経済的な理由により返済が困難になった方向けの救済措置で、一定期間の返済額を半分、もしくは3分の1に減額することができます。
一度の申請で減額が適用される期間は1年間で、最長15年まで返済期間を延長することができます。また、当該制度を利用するにあたって、追加利息が加算されることもないので安心です。
利用にあたって、適用条件・申請方法が決められているので、日本学生支援機構のHPを参照するか、万が一の場合は問い合わせをしてみるといいでしょう。
奨学金返済の手段②返還期限猶予を利用する
返還期限猶予制度は、月々の奨学金返済の期限を一定期間先延ばしにする制度です。先延ばしにする分だけ返済期間は長くなりますが、追加利息や手数料等もなく返済予定総額は変わりません。
返還期限猶予の適用期間は1年間で、期限内に再申請をすることで最長で10年間の期限延長を申請することができます。
なお、災害や傷病、生活保護受給等の理由で当該制度を利用する場合は、その状態が継続している期間中は適用し続けることができるので安心です。
適用にあたっては申請が必要で、申請後に審査があります。
日本学生支援機構には、減額返還制度や返還期限猶予についての相談窓口もあるので、無理をせず早めに相談してみましょう。
奨学金返済の手段③返還免除制度を利用する
一定の条件を満たす場合に、奨学金返済を免除する制度があります。死亡又は精神若しくは身体の障害による返還免除です。
奨学金利用者が亡くなったり、精神的・身体的に重大な障害を負い就労困難な状態になった場合に、返済予定金額の一部・全額を免除する制度です。
なお、過去には教育又は研究の職に係る返還免除制度がありました。
大学や高等専門教育機関、研究所・試験所等に常任職員として務めている場合は、奨学金の返済が免除されるというものですが、平成15年に廃止されています。
奨学金返済の手段④自己破産などの債務整理を行う
奨学金返済が出来ない場合、自己破産等の債務整理を行う方法もあります。ただし、自己破産をする場合、
- ブラックリストに登録される
- 一定基準を超える財産は処分する必要がある
- 申請手続き中は、弁護士・警察官・生命保険募集人等の資格職に就けなくなる
など数々のデメリットが存在します。
あくまでも最終手段として考え、まずは前述した減額制度や期限猶予の制度を利用するようにしましょう。
まとめ:奨学金返済中に結婚することはできる
奨学金返済中の結婚について解説しましたが、いかがでしたか。
この記事のポイントは、
- 奨学金の返済は、相手や相手の家族に心配をかける可能性がある
- 結婚後の返済の計画について、相手とよく相談しておくこと
- 返済に困ったら、減額制度や猶予制度などを利用する
でした。
奨学金の返済は、結婚前にも結婚後の生活にも影響を与えますので、お互い納得するまで話し合い、問題なく結婚生活をスタート出来るようにしましょう。
なお、結婚に伴い苗字が変更になるので、金融機関にて口座の名義変更を行った後、奨学金の引き落とし口座(リレー口座)の口座変更手続きが必要になります。
結婚が決まったら、忘れず手続きするようにしましょう。
ほけんROOMでは、他にも読んでおきたいマネーライフに関する記事が多数掲載されていますので、是非ご覧ください。