遺族年金の受給額の計算方法って?遺族基礎年金や遺族厚生年金も解説

家族が亡くなった際の生活の支えとして大切な遺族年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給額の目安の試算方法・計算式についてわかりやすく解説します。また、自身の遺族年金受給額が簡単にわかる受給額早見表や受給者が65歳以上になった時の遺族年金の受給額を紹介します。

監修者
株式会社Wizleap 代表取締役。東京大学経済学部で金融を学び、金融分野における情報の非対称性を解消すべく、マネーキャリアの編集活動を行う。ファイナンシャルプランナー証券外務員を取得。

遺族年金の支給額の計算方法って?いくらもらえるの?

一家の大黒柱をはじめとした家族に万が一のことがあったとき、遺族年金を頼りにしている人が多いでしょう。


しかし、遺族年金は制度が複雑で、いったい自分の場合いくら受給できるのかよく分からないという人がほとんどです。


そこで、この記事では「遺族年金の受給額の計算式と試算およびシミュレーション」について、

  • 遺族年金制度とは
  • 遺族基礎年金の計算式および計算例
  • 遺族厚生年金の計算式および計算例
  • 遺族年金受給者が65歳以上になった時に受給できる年金の変化
  • どの遺族年金も受け取ることが出来ない場合について
  • 遺族厚生年金を受給する妻に対する2つの加算制度 

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、遺族年金で自分がいくらもらえるのかを知ることができ、生命保険や将来のマネープランの設計に役立てていただけます。


是非最後までご覧ください。

遺族年金制度とは何か?

そもそも遺族年金とはどのようなものなのでしょうか?名前だけは聞いたことがある、という方が大半かもしれません。


名前から連想できるように、配偶者が無くなった場合に支給され、

  • 亡くなった方が生計を維持していた(遺族の年収が850万円未満) 

が前提条件となります。


遺族基礎年金遺族厚生年金があり、どちらが支給されるかは以下の表を参考にしてください。

加入している年金遺族年金の種類
国民年金遺族基礎年金
厚生年金遺族厚生年金
+
遺族基礎年金
どの年金に加入しているかがポイントとなっています。

会社員や公務員の場合は厚生年金にも加入しています。そのため、両方の受給資格がある状態となっています。一方、国民年金のみの加入となる自営業の方などは、片方しか受給できないことになります。


一家の大黒柱に万一のことがあった場合、残された家族は路頭に迷ってしまいます。残このようなことにならないように国から支給される年金なのです。

【遺族年金①】遺族基礎年金の計算方法と受給資格

最初にご紹介する遺族年金は遺族基礎年金です。国民年金への加入が条件となっていますが、国民年金は加入義務があるため、大半の方が受給資格のある遺族年金となります。


しかし、残された配偶者と子供のための年金となるため、

  • 18歳未満の子供がいること

が大きなポイントとなっています。18歳未満の子供がいない場合、受給資格は無くなってしまうのです。


受給期間は子供が18歳を迎える年の3月31日までとなっています。詳しい受給条件は以下でご紹介していきます。


また、一体いくら貰えるのか気になる方も多いと思います。支給額は子供の人数によって違いがあります。子供が多いと受け取る額も増えていく仕組みとなっているのです。


ここでは、

  • 遺族基礎年金の計算方法
  • 受給資格

について詳しくご紹介していきます。

遺族基礎年金の計算式と計算例

遺族基礎年金は、亡くなった方の収入額や所得額には関係なく、以下の計算の仕方で支給額が決まっています。

遺族基礎年金受給年額=780,100円+子の加算(子の加算︰第一子・第二子 一人あたり224,500円、第三子以降 一人あたり74,800円)

たとえば、子どもが一人いる家庭の受給資格者は、年間1,004,600円の遺族基礎年金を受給することができます。

遺族基礎年金の受給資格

遺族基礎年金では、下記の4つのうちいずれかの要件を満たす方が亡くなった場合に、遺族に遺族基礎年金の受給資格が発生します。

①国民年金に加入していた人

遺族基礎年金の遺族年金受給資格を得るためには、そもそも亡くなった方が国民年金保険に加入していなければ、受給することはできません。

しかし日本国内においては、20歳以上60歳未満の人は国民年金保険に強制的に加入となるため、年齢さえ満たしていればすべての人が遺族年金の受給の対象になると言えます。

②国民年金保険に加入していた人で、日本国内に住所を持っており、かつ60歳以上65歳未満であった人

この要件は、令和8年4月1日前に死亡した場合には、死亡日の時点で65歳未満であれば受給資格を満たすという制度により規定されています。

国民年金保険は60歳以上の人は被保険者にはなれません。



しかし、それまで被保険者であった人には受給資格が与えられます。

ただし、①および②については、亡くなった日の属する月の2か月前から遡って1年間の間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の納付漏れがないこと、もしくは死亡日の2か月前までの被保険者期間のうち、保険料の納付期間と保険料の免除期間をあわせて3分の2以上があることが必要です。

③老齢基礎年金を受給中であった人

老齢基礎年金とは、国民年金保険料を納めていた人が65歳以降に受給することができる給付金で、いわゆる一般的に言うところの年金のことです。

国民年金保険に加入して保険料を納めていれば、一月あたり60,000円前後の給付を受けることができる制度です。

この老齢基礎年金を受給している人が亡くなった場合、遺された遺族に遺族基礎年金の遺族年金受給資格が発生します。

④老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていた人 

老齢基礎年金は、65歳になったら必ず受給しなければならないというわけではありません。 



老齢基礎年金には受給開始時期の繰り下げというものがあり、年金の受給開始を最大70歳まで繰り下げることができます。

この繰り下げを行うことによって、年金の受給総額を増やすことができるのです。

しかし、65歳以降に受給開始時期を繰り下げたからといって、当然遺族年金受給資格が失われるわけではありません。

③により65歳〜70歳の人で、繰り下げにより現在は老齢基礎年金を受給していない人が亡くなった場合でも遺された遺族には遺族基礎年金の遺族年金受給資格が発生するため、このような要件が定義されているのです。

また、遺族基礎年金は、亡くなった方が要件を満たしているだけでは、遺された遺族に遺族年金受給資格が発生するかどうかは確定しません。

まず、そもそも遺族基礎年金で言うところの「遺された遺族」とは、亡くなった人によって生計を維持されていたと認められる「子どものいる配偶者」または「子ども」に限定されます。

亡くなった方によって生計を維持されていた方が、配偶者や子どもではなく他の親族などの場合は、遺族基礎年金をもらえません。

さらに、子どもがいるからといって誰でも受給が可能なわけではありません。

18歳になった年の3月31日を過ぎていない子ども、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子どもがいる場合に限り、遺族基礎年金を受給することができます。

また、ここでいう配偶者は夫もしくは妻のどちらでも遺族基礎年金の受給は可能です。

遺族の方の収入については、目安として前年の収入が年間850万円以上、または所得が年間6,555,000千以上であり、その収入を将来にわたって得ることができると認められる場合は、遺族基礎年金の対象外となり、遺族基礎年金を受給することはできません。

ただし、5年以内に収入が年間850万円未満になることが確実であれば、受給の対象となります。  

【遺族年金②】遺族基礎年金の計算方法と受給資格

次にご紹介するのが遺族厚生年金です。厚生年金に加入していた場合に支給されますが、受給資格などはどうなっているのでしょうか?


注目ポイントは、子供がいなくても支給される場合がある、ということです。


また、両方の受給条件を満たしている場合、どうなるのか気になると思います。このような場合、両方が支給されることになっています。どちらかを選ぶ必要はありません。


支給対象は限られていますが、

  • 55歳以上の夫
  • 父母
  • 祖父母

となっています。


支給される金額は人によって違い、厚生年金への加入期間などによって決まります。さらに詳しく、

  • 遺族厚生年金の支給額
  • 受給資格

を解説していきたいと思います。細かい計算方法や、受給資格についてご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

遺族厚生年金の計算式と計算例

遺族厚生年金は、亡くなった方が厚生年金に加入していた際の収入額、さらに正しく言えば標準報酬月額によって金額が変わってきます。


遺族厚生年金の計算式は、下記の計算の仕方のとおりです。


遺族厚生年金受給年額= { [平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数]+[平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数] }×3/4



この計算式によって導き出される金額を、報酬比例部分の年金額と言います。また、次の計算式によって導き出される金額も確認をします。


 { [平均標準報酬月額 × 7.5/1000 × 平成15年3月以前の被保険者期間]+[平均標準報酬額 × 5.769/1000 × 平成15年4月以後の被保険者期間]}✕3/4


こちらの計算式によって導き出される金額は、報酬比例部分の年金額(または従前額保障)と言い、さらに「0.998」(従前額改定率)を掛けたものが支給額となります。


ただし昭和13年4月1日以前生まれの人の従前額改定率は1.000になります。


この2つの金額を比較し、金額の大きなほうが遺族厚生年金受給年額となります


ただし平成15年4月以後の加入月数



・在職中に亡くなった場合、被保険者期間が300月に満たない場合は、300月として計算します。


またここで言う平均標準報酬額とは、平成15年4月以後に被保険者期間であった計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の合計金額を、平成15年4月以後に被保険者期間であった月数で割った額です。


これらの計算のときは、過去の標準報酬月額と標準賞与額には、最近の賃金水準や物価水準でを考慮するために「再評価率」という率を掛けて計算します。

遺族厚生年金の受給資格

遺族厚生年金も、遺族基礎年金と同様に誰でも受給できるわけではなく、限られた遺族となります。

遺族厚生年金の受給資格について以下に列挙します。

①被保険者が亡くなったとき、または被保険者期間中の怪我や病気がもとで初診の日から5年以内に亡くなったとき。 

まず、遺族厚生年金も遺族基礎年金と同様に、厚生年金保険の被保険者が亡くなった時、亡くなった方の遺族が遺族年金受給資格が発生します。

厚生年金保険は国民年金保険とは異なり、20歳から60歳までの加入期間というわけではなく、厚生年金保険の適用事業所に就業した際に加入し、通常は退職した時点で脱退となります。

よって、早ければ15歳から厚生年金に加入することとなり、厚生年金保険は最大で70歳までですので、この期間に厚生年金に加入していた方が亡くなったときに、受給資格が発生します。

また、退職等により厚生年金保険を既に脱退していても、加入していたときの怪我や病気がもとで亡くなった場合は、初診の日から5年以内であれば、遺族厚生年金の受給資格が発生します。

注意を要すべきこととして、遺族基礎年金と同様に、1年間保険料を滞納なく納めていない、もしくは保険料の納付期間が国民年金保険加入期間の3分の2以上ない場合、受給資格が発生しませんのでご注意ください。

②老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上である者が亡くなったとき。

厚生年金に入っていた期間が25年以上がある方が死亡した場合は、①に関わらず遺族厚生年金の受給資格が発生することになります。

③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が亡くなったとき。

①および②に関わらず、1級または2級の障害厚生年金を受けることができる方が亡くなった場合、遺族厚生年金の受給資格が発生します。

遺族年金の受給要件について、日本年金機構のサイトに説明が記載されておりますのでぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

遺族年金受給額早見表

遺族年金の計算式および計算例については分かりましたが、具体的に遺族年金をいくら受給できるかを計算するのは面倒なものです。

そこで、以下に遺族基礎年金および遺族厚生年金それぞれの受給金額について、早見表にまとめました。

自分が遺族基礎年金および遺族厚生年金の受給資格を満たしているかどうかを確認の上、早見表を活用して受給金額を確認してみてください。

遺族基礎年金受給額の早見表

遺族基礎年金の早見表は、以下のとおりです。

平均標準報酬月額妻のみ妻と子一人妻と子二人妻と子三人
20万円084,000円103,258円109,542円
25万円084,000円103,258円109,542円
30万円084,000円103,258円109,542円
35万円084,000円103,258円109,542円
40万円
084,000円103,258円109,542円
45万円084,000円103,258円109,542円
50万円084,000円103,258円109,542円
55万円084,000円103,258円109,542円
60万円084,000円103,258円109,542円
62万円084,000円103,258円109,542円

遺族基礎年金の場合、標準報酬月額に関わらず、子どもの人数によって受給できる金額が変わります。

遺族厚生年金受給額の早見表

続いて、遺族厚生年金の受給額の早見表は以下のとおりです。

平均標準報酬月額遺族厚生年金妻のみ妻と子一人妻と子二人妻と子三人
20万円27,076円 27,076円111,476円130,334円136,618円
25万円33,845円33,845円118,245円137,103円143,387円
30万円40,614円40,614円125,014円1801,866円150,156円
35万円568,594円47,383円131,783円150,641円156,925円
40万円54,152円54,152円138,552円157,410円163,693円
45万円60,921円60,921円145,321円164,179円170,462円
50万円67,690円67,690円152,090円170,948円177,231円
55万円74,459円74,459円158,859円177,717円184,000円
60万円81,228円81,228円165,628円184,486円190,769円
62万円83,935円83,935円168,335円187,194円193,477円

遺族厚生年金も、遺族基礎年金と同様平均標準報酬月額によって受給金額が異なります。

遺族共済年金受給額の早見表

遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類には限りません。


以前は公務員が加入することができた共済年金という制度において、遺族共済年金という制度も存在しました。


しかし現在の年金制度においては、遺族厚生年金と遺族共済年金は一緒になって運用されています。


ただし、その制度があったときに加入していた人は、遺族共済年金も受給することが可能ですので、以下に遺族共済年金の早見表もまとめました。

平均標準報酬月額遺族厚生年金妻のみ妻と子一人妻と子二人妻と子三人
20万円31,433円31,433円115,833円134,691円140,974円
25万円32,291円32,291円123,691円142,549円148,832円
30万円47,149円47,149円131,549円150,407円156,691円
35万円55,007円55,007円139,407円158,265円164,549円
40万円62,865円62,865円147,265円166,124円172,407円
45万円70,723円70,723円155,123円173,982円180,265円
50万円78,582円78,582円162,982円181,840円188,123
55万円86,440円86,440円170,840円189,698円195,981円
60万円94,298円94,298円178,698円197,556円203,840円
62万円97,441円97,441円181,841円200,700円206,983円


ぜひチェックしてみてください。

どの遺族年金も受け取ることが出来ない場合は?


それぞれに条件があるため、どちらも受け取ることができない、という場合もあるかと思います。特に自営業で遺族基礎年金だけの場合、子供がいないと遺族年金は支給されません。


このような場合は払ってきた保険料は無駄になってしまうのでしょうか?


どちらも受け取れなかった場合、第一号被保険者という条件のもと、

  • 寡婦年金制度
  • 死亡一時金制度

というものを利用することができます。


2つの制度を利用することができますが、これらの制度を両方利用することはできません。寡婦年金制度を利用する場合は死亡一時金制度は利用できない、ということです。どちらの制度を利用するのかを決めなくてはいけません。


それぞれの制度について詳しくご紹介していきます。

寡婦年金制度

国民年金を払うことで、老後に年金が支給されます。老齢基礎年金です。年金を受け取る前に夫に万一のことがあった場合、払ってきた保険料は無駄になってしまうのでしょうか?


このような場合に支給されるのが寡婦年金です。支給対象は妻のみとなるため、夫には支給されません。


支給されるのは60歳から65歳までの5年間となります。


受給できる条件としては、

  • 夫が第一号被保険者として10年以上保険料を納めていた
  • 夫と10年以上継続して婚姻関係にある
  • 夫と生計を一にしていた

などが挙げられます。


支給金額は、老齢年金(夫が受け取るはずだった年金)の3/4の金額となります。


ただし受け取れない場合もあり、

  • 障害基礎年金を受給していた(夫)
  • 老齢年金を受け取ったことがある(夫)
  • 老齢年金を繰り上げ受給していた(妻)

などの場合、支給対象外となってしまいます。

死亡一時金制度

国民年金に第一号被保険者として加入していた期間が36カ月(3年)以上ある方が、老齢年金などを受け取ることなく亡くなってしまった場合、死亡一時金も支給の対象となります。


死亡一時金では支給対象が、

  1. 配偶者
  2. 父母
  3. 祖父母
  4. 兄弟姉妹

となっています。


受け取れるのは1人で、先ほどご紹介した受給できる遺族の順番が優先順位となっています。


支給される金額は以下のようになっています。

納付月数支給額
36~180月未満12万円
180~240月未満14.5万円
240~300月未満17万円
300~360月未満22万円
360~420月未満27万円
420月以上32万円
国民年金の納付月数によって金額に差があります。


先ほどもご紹介したように、寡婦年金と両方受け取ることはできません。


受け取れる金額としては寡婦年金の方が多くなりますが、寡婦年金では受け取れる期間が決まっているため、どちらかを自分で選ぶことになります。

遺族厚生年金を受給する妻に対する2つの加算制度

遺族厚生年金を受給していても、子供がいない、18歳以上の場合、支給額も低く不安が残ります。このような妻に対して

  • 中高齢寡婦加算
  • 経過的寡婦加算

の2つの加算制度があります。


遺族基礎年金では子供のいない妻や、子供が18歳を過ぎている妻には支給されません。それを補うための制度が中高齢寡婦加算です。


条件としては、

  • 夫の死亡時に40歳以上
  • 子供がいない、または18歳以上

で加算対象となります。


金額は2019年度で585,100円となっています。


中高齢寡婦加算は65歳までとなっており、65歳からは老齢基礎年金を受け取ることになります。しかし、昭和31年4月1日以前に生まれた人は、中高齢寡婦加算よりも、老齢年金の支給額が低くなってしまうという問題がありました。


この問題を解決するための制度が経過的寡婦加算で、生まれた年によって19,527円~585,100円まで設定されています。

参考:遺族年金受給者が65歳以上になった時の遺族年金の変化

遺族年金は、年金と名が付いているだけあり、老後に受け取ることのできる一般的な年金と混同してしまう人も多いです。


しかし、65歳以上になると、遺族年金を受給している人も老齢年金といずれかを選択しなければなりません。


これは両方の年金を同時に受け取ることはできないという制度のためです。


また、国民年金や厚生年金、寡婦年金など年金の種類がたくさんあるため、さらに混同しやすくなってしまっています。


ここからは、65歳以降にどの年金制度を選択すれば良いのかを、制度の概要とともにご説明していきます。

65歳からは遺族基礎年金か自身の老齢年金のどちらかを受給

遺族年金と通常の老齢年金については、65歳以降同時に受け取ることはできません。

一人一年金の原則と言い、複数の年金の受給資格がある場合は、どちらか一方の年金を選択する必要があります。

このときは、単純に受給額が有利な方を選択して問題ありません。

夫が妻が亡くなったことにより受給する遺族厚生年金よりも自分の老齢年金の方が多く受給できる場合や、国民年金保険に加入している55歳以上の夫で、自分の老齢年金よりも遺族厚生年金の方が多く受給できる場合は、遺族厚生年金を選ぶといった具合に選ぶことになります。

65歳以上の遺族厚生年金の受け取りについて

厚生年金保険に加入していた方が亡くなった場合、亡くなった方の遺族は基本的に遺族厚生年金を受給することとなりますが、65歳以降は自動的に老齢厚生年金を受給することとなります。


遺族厚生年金は老齢厚生年金と重複して受給することはできません。


なお重複して受給ではありませんが、遺族本人について老齢厚生年金を受け取ることのできる受給額がある場合には、老齢厚生年金のほうが優先的に支給されます。


遺族厚生年金と老齢厚生年金に差額があったときには、その差額を受給することができます。

まとめ:遺族年金の計算方法とシミュレーションと受給者が65歳以上の場合の注意点について

遺族年金の計算方法およびシミュレーションについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、計算式はそれぞれ異なる
  • 遺族基礎年金は子ども何人いるかで受給金額が変動する
  • 遺族厚生年金および遺族共済年金は平均標準報酬月額によって受給金額が変動する
  • 遺族年金と老齢年金は重複して受給することはできない

です。


遺族年金は遺族の方にとって金銭面での大きな支えとなり、同時に生命保険などの必要保障額を下げてくれる国の貴重な制度でもあります。


しかし遺族年金の計算式や受給額の算出は複雑なため、詳しく知りたい方は年金事務所や市役所の窓口で相談するか、年金計算アプリやエクセルなどのソフトを使うことをおすすめします。


自分が受給できる遺族年金の金額を知ることで、生命保険などの保障額を今よりも下げることもできますので、当記事を参考にぜひ今のうちから試算してみてください。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

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