更新日:2020/06/20
ボーナスの手取り額の計算方法って?予想シミュレーションを紹介!
皆さんご存知の通り、ボーナスは額面通りには支給されず、所得税や社会保険料といった税金が控除されてしまいます。そのため実際の支給額に驚かれる方も多いでしょう。ここではボーナスの手取り額や控除される税金の計算方法を実際のケースでシミュレーションしながら解説します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
ボーナスの手取り額の計算方法ってどうやる?
誰もが楽しみにしているボーナス。
しかし実際に支給されたときに額面金額に比べて手取り額が少ないと感じる人は多いと思います。
この差は何なのか、気になっていたり具体的に知りたいと思っている人もいるはずです。
そもそもボーナス支給日まで手取り額が分からないと、あらかじめ生活設計を立てることができなくて困ることにもなりかねません。
そこで今回のこの記事では「ボーナスの手取り額の計算方法」について
- ボーナスから控除されているお金の内訳
- 控除される所得税の詳しい計算方法
- 具体的な控除額の計算事例
以上のことを中心に説明します。
この記事を読んでいただければ、ボーナスの額面金額と手取り額の差を正しく理解できることと思います。
また手取り額が思っていたよりも少なくて落ち込んだり、生活設計が狂って困ることもなくなるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
ボーナスの手取り額を知るために控除額を計算しよう
ボーナスの手取り額は、額面金額から色々なお金が差し引かれた後の金額です。
この「差し引かれる金額」のことを「控除額」と言います。
額面金額から手取り額を計算するには、そもそも控除額とは何なのかを理解する必要があります。
そして控除額の詳細な内訳やそれぞれの計算方法を理解することで手取り額を知ることができます。
以下では控除額の意味や計算方法について、順番に見ていきたいと思います。
控除額とは?
会社が給料やボーナスを支払うときに特定のお金を差し引くことを控除と言います。この控除された金額が控除額です。
そしてボーナスからは社会保険料や所得税が控除されています。
これは会社がボーナスを支払うときに控除して納付しなければいけないことが、法律で定められているからです。
そしてこの控除されている社会保険料や所得税を計算できるようになると、あらかじめ手取り額を把握できることになります。
そこで社会保険料と所得税のぞれぞれについて、詳しい計算方法を見ていきましょう。
控除①:健康保険料
控除②:厚生年金保険料
厚生年金保険料の控除額の計算方法は標準賞与額×厚生年金保険料率×2分の1です。
この厚生年金料率の値は0.183です。こちらの料率は健康保険料率と違い誰でもこの値です。
また標準額の上限は1ヶ月で150万円までと定められています。
なお厚生年金保険料率は変更になる場合がありますので厚生年金機構のホームページで確認しましょう。
厚生年金保険料も健康保険料と同様に事業主と従業員とが折半で負担することとなっています。
更に厚生年金基金に加入している場合には基金ごとに決められている免除保険料率(2.4%~5.0%)を控除した率になります。
控除③:雇用保険料
雇用保険料の控除額の計算方法はボーナス×0.3%です。
しかし事業の内容によって引かれるパーセンテージには違いがあります。例えば清酒事業の場合は0.4%などの違いがあります。しかしほとんどの会社が0.3%に設定されています。
更に雇用保険料の控除には労働者負担と事業主負担があります。基本的には労働者の負担の方が少ないです。
なお健康保険料や厚生年金保険料の控除と違い標準賞与額での計算ではなくボーナスそのものの金額を計算に用います。
控除④:所得税(源泉徴収税)
所得税の控除額の計算方法はボーナスから健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を引いた額に賞与に対する源泉徴収税率をかけます。
この源泉徴収税率とはボーナスが支給される前月の給与から社会保険料を引いたものです。更に扶養家族によって決まります。
また万が一、社会保険の控除後の賞与が前月の社会保険料控除後の給与の10倍を超える場合は通常の給与と同じように計算します。
更に前月に給与がない場合も給与の10倍を超えた時と同じ計算方法を用います。
シミュレーション①:賞与50万、前月給与30万、扶養親族1人
早速、具体的な事例を用いながらシミュレーションをしてみたいと思います。
以下の条件の下、計算式を使ってボーナスの手取り額を計算してみましょう。
- 賞与支給月:2019年12月
- 賞与支給額:50万円
- 年齢:38歳(40歳未満の区分)
- 加入している健康保険:協会けんぽ
- 勤務地:東京
- 厚生年金保険の区分:一般の被保険者
- 雇用保険の区分:一般の事業
- 前月給与額(社会保険料控除後):30万円
- 扶養親族:1人
[健康保険料]
この事例では賞与額(千円未満切捨)は500,000円、保険料率は9.90%です。(協会けんぽ:平成31年度保険料額表)
保険料率は労使折半(社会保険料を企業と労働者が半分ずつ負担すること)のため、ご自身の負担は4.95%となります。
賞与額:500,000円×保険料率:4.95%=24,750円
[厚生年金保険料]
この事例では賞与額(千円未満切捨)は500,000円、保険料率は18.3%です。
保険料率は労使折半のためご自身の負担は9.15%となります。
賞与額:500,000円×保険料率:9.15%=45,750円
[雇用保険料]
この事例では賞与額(額面金額)は500,000円、保険料率は0.3%です。(平成31年度の雇用保険料率)
賞与額:500,000円×保険料率:0.3%=1,500円
[社会保険料控除額]
健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料を合計して社会保険料控除額を求めます。
健康保険料:24,750円+厚生年金保険料:45,750円+雇用保険料:1,500円=72,000円
[源泉徴収税額]
この事例では前月給与30万円、扶養親族1人です。
「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」から算出率は6.126%であることが分かります。
賞与額(額面金額)500,000円、社会保険料控除額72,000円なので、以下のようになります。
(賞与額:500,000円ー社会保険料控除額:72,000円)×6.126%=26,219.28円
1円未満の端数は切捨てとなります。源泉徴収税額は26,219円です。
[手取り額]
社会保険料控除額と源泉徴収税額が計算できました。
これらの控除額を額面金額から引くことで、手取り額を求めることができます。
額面金額:500,000円ー社会保険料控除額:72,000円ー源泉徴収税額:26,219円=401,781円
額面金額50万円に対して手取り額はおよそ40万円になることが分かります。
このようにシミュレーションをして1つ1つ計算をすることで、ボーナスの額面金額と手取り額の差を具体的に理解することができたことと思います。
そしてご自身のケースについても是非シュミレーションをしてみて下さい。さらに理解を深めることができるはずです。
大体の手取り額が分かったところで、次はボーナスの支給額から控除された税金について詳しく見ていきます。
参考:ボーナスにかかる所得税をもっと詳しく解説
前月の給与と社会保険料、扶養親族を確認しよう
国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を利用しよう
前月の給与と社会保険料、扶養親族の人数を確認したら、国税庁HPに掲載されている「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめてみましょう。
該当する箇所を探して一番左の列の「賞与の金額に乗ずべき率」がご自身に適用される算出率です。
例えば扶養親族が2人、前月の社会保険料等控除後の給与等の金額が20万円の場合、算出率は2.042%です。
なお表からも分かるように、算出率は0.000%~45.945%とかなり幅があります。
その人ごとに算出率は異なるので、ご自身に適用される算出率を正しく把握することが大切です。
まとめ:簡単!ボーナスの手取りの計算方法
「ボーナスの手取り額の計算方法」について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
この記事のポイントは
- ボーナスからは社会保険料と所得税が控除されている
- 所得税の金額は前月の給与や社会保険料、扶養親族の数によって変わる
- 賞与50万円、前月給与30万円、扶養親族1人の場合の手取り額は約40万円
でした。
この記事を読んでいただけたことで、ボーナスの額面金額と手取り額の差が一体何なのかを理解していただけたことと思います。
また一見すると難しそうに思えていた手取り額の計算も、実は簡単であることが分かっていただけたかと思います。
これからは家族構成や収入の変化などライフスタイルの変化があったとしても、手取り額をあらかじめ計算できるので生活設計も立てやすくなったはずです。
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