国民年金と厚生年金の違いとは?年金の種類ごとに違いを徹底解説!

国民年金と厚生年金の違い、今注目を集めている個人年金と個人型確定拠出年金(iDeCo)の違いなどはご存知でしょうか?年金制度について正しい知識を持つことは、誰にとっても老後生活を安心して過ごすために必要です。ここでは3つの積立年金の種類と違いを紹介します。

日本の3階建ての年金制度とそれぞれの違いとは?

日本では公的年金制度が導入されており、原則として65歳になった時から年金支給が開始されます。


ご自分でコツコツ積み立ててきたお金が、老後になって受け取れるのは心強いですよね。


しかし、公的年金にはいろいろな種類があって、支払い方法や、受け取る年金額に違いがあるこてはご存知でしょうか。


事前に、年金保険料はどの位支払う必要があって、老後にどの位の年金がもらえるのか、しっかり把握することが大切です。


そこで、今回は「日本の年金制度の種類とその違い」について

  • 国民年金と厚生年金の違いとは
  • 企業年金とは何か
  • 個人年金保険と個人型確定拠出年金(iDeCo)
以上のことを中心に解説していきます。                                
 

この記事を読んでいただければ、日本の年金制度の特徴と、支払い方法・支給金額の違い等を知ることに役立つと思います。                    

ぜひ、最後までご覧ください。

3階建ての年金制度

日本の年金制度をついてわかりやすく説明すると、年金制度は3階建ての建物として説明できます。


1階部分が公的年金である国民年金


2階部分が同じく公的年金である厚生年金


3階部分が個人年金です。


基本的に2階部分は会社員や公務員の方しか利用できません。1階部分の国民年金を払っていれば基本的にと3階部部分は誰でも加入できます。


3階建て制度について詳しく知りたい方は「年金の三階建て部分はどんなもの?三階建て部分を加える必要はある?」こちらの記事もご覧ください。

公的年金について国民年金と厚生年金の違いをご紹介

公的年金には、大きく分けて国民年金と厚生年金があります。


国民年金は、毎月年金保険料を納付し、65歳になったら老齢基礎年金として受け取ります。


一方、厚生年金は、毎月の給与から保険料が差し引かれ、原則として65歳になったら厚生年金+老齢基礎年金が受け取れます。


近頃の年金に対する不信感の高まりを受け公的年金についての疑問をお持ちの方も多いかと思います。「年金破綻は嘘?年金が破綻しない理由と保険料を払うメリットを解説!


こちらの記事で公的年金の今後について詳しく解説していますので、興味のある方は是非ご覧ください。

加入対象者の違い

公的年金とはいっても、国民年金と厚生年金では加入対象者に違いがあります。


国民年金の加入対象者は20歳以上のすべての日本国民と日本の居住者となります。


一方、厚生年金の加入対象者は、厚生年金保険の適用を受けた事業所に勤務する従業員が該当します。

国民年金保険料の推移

国民年金保険料は、毎年一律の金額を納付するわけではなく、毎年度、納付額に違いがあります。


過去10年間の保険料の推移をみてみましょう。


各年度毎月の保険料
平成21年4月~平成22年3月14,660円
平成22年4月~平成23年3月15,100円
平成23年4月~平成24年3月15,020円
平成24年4月~平成25年3月14,980円
平成25年4月~平成26年3月15,040円
平成26年4月~平成27年3月15,250円
平成27年4月~平成28年3月15,590円
平成28年4月~平成29年3月16,260円
平成29年4月~平成30年3月16,260円
平成30年4月~平成31年3月16,340円


表を見てもわかる通り、保険料が増額傾向にあることは間違いありません。


ただし、一律に増額されているわけではなく、保険料が若干減少している年度もあります。

一般・坑内員・船員の厚生年金の保険料

厚生年金保険料は、従業員の方々の標準報酬月額により、差し引かれる保険料に違いが出ます。


下表を参考にしてください(1等級~10等級まで表示)。


〇厚生年金保険料額表:平成29年9月分(10月納付分)~

標準報酬報酬月額保険料(全額)
保険料率18.300%
保険料(折半)
保険料率9.150%
1等級:月額88,000円~93,000円未満16,104円8,052円
2等級:月額98,000円93,000円~101,000円未満17,934円8,967円
3等級:月額104,000円101,000円~107,000円未満19,032円9,516円
4等級:月額110,000円107,000円~114,000円未満20,130円10,065円
5等級:月額118,000円114,000円~122,000円未満21,594円10,797円
6等級:月額126,000円122,000円~130,000円未満23,058円11,529円
7等級:月額134,000円130,000円~138,000円未満24,522円12,261円
8等級:月額142,000円138,000円~146,000円未満25,986円12,993円
9等級:月額150,000円146,000円~155,000円未満27,450円13,725円
10等級:月額160,000円155,000円~165,000円未満29,280円14,640円


保険料は、直接、ご自分の給与である報酬月額から計算されるわけではありません。


表のように、ご自分の報酬月額が該当している標準報酬に従い、各等級に分けられ算出されます。


例えば、報酬月額が14万円の人なら、8等級で報酬月額が14万2,000円の区分となります。

支給される2つの年金と、貰える金額の差

実際にご自分が65歳となり、年金の支給が開始された場合、国民年金と厚生年金とでは受け取る金額に違いが出ます。


国民年金の場合は、20歳~60歳まで40年間にわたり、全期間の保険料を納めたならば満額が支給されます。 


老齢基礎年金の満額が77万9,300円(2018年)で毎月64,941円が受け取れる計算となります。


一方、厚生年金の場合は、事業所に勤務していた期間・給与で受け取る年金額も変わります。


受け取る金額は、約174万円が平均額と言われ、毎月145,000円が受け取れる計算となります。

国民年金保険は前納制度で保険料が割引に!

国民年金は毎月コツコツ納付するだけでなく、前納制度を利用することで保険料が割引になります。


前納の方法は、「6ヵ月前納」・「1年前納」・「2年前納」の3種類があり、2年前納は最も割引率が高いです。


また、支払が口座振替か現金またはクレジットカード納付かでも、割引額に違いがあります。


下表を参考にしてください(平成30年度)。

平成30年度6ヵ月前納1年前納2年前納
口座振替96,930円(1,110円割引)
191,970円(4,110円割引)377,350円(15,650円割引)
現金・クレジットカード97,240円(800円割引)192,600円(3,480円割引)378,580円(14,420円割引)

この表を見れば、口座振替でかつ2年前納15,650円割引と、最も割引率の高いことがわかります。

【新制度】公務員の「年金払い退職給付」について

年金払い退職給付は、共済年金の職域加算が廃止された代わりに、地方公務員の退職給付の一部となる年金制度として創設されました。


職域加算とは、共済年金独自の年金制度で、終身年金でかつ職域加算部分の保険料はなく、賦課方式がとられていました。


一方、年金払い退職給付には次のような特徴があります。

  • 原則65歳から支給開始
  • 半分が有期年金(10年間or20年間)、もう半分が終身年金
  • 新たな保険料負担(保険料率の上限を法定:労使あわせて1.5%)
  • ご自分で保険料を積み立て、退職後に受け取る積立方式

企業年金ってどんな年金?

厚生年金を受け取れる従業員の中でも一部の人達は、更に「企業年金」も受けることができます。


公的年金の他、企業が選択的に設けている年金制度です。


この企業年金も含めて、年金制度は「3階建て」とも呼ばれています。


こちらでは企業年金について解説します。

3種類で構成される企業年金

企業年金は次の3種類に分けられます。


いずれも年金の設立には厚生労働大臣の認可または承認が必要となっています。


厚生年金基金


企業が従業員と給付の内容を約束し、高齢期に従業員がその内容に基づいた年金を受け取る確定給付型の企業年金制度です。


企業・業界団体等が設立する法人である「厚生年金基金」が、年金資産の管理・運用を担います。


確定給付企業年金


厚生年金基金と仕組みはほとんど同じです。

ただし、企業等が法人(企業年金基金)を設立する「基金型」と、労使合意の年金規約を企業等が作成し、給付等を実施する「規約型」の2つがあります。

企業型確定拠出年金


企業が拠出した掛金を個人ごとに区分し、掛金および個人の運用収益との合計額を給付額とする制度です。

退職者が貰える脱退一時金(退職一時金)について

退職一時金とは、従業員が退職の際に、勤務先の事業所から一時的に支払われる金銭を言います。


なお、退職金を年金のように受け取る場合、退職一時金には該当しません。


企業の退職金の支給については、就業規則や退職金規定等で規定されている内容に従い行われます。


例えば規定によって、退職金を1回で支給と定められていれば退職一時金となり、年金で支給と定められていれば、企業年金となります。


ただし、企業年金は原則として年金受け取りとなりますが、一時金としても受け取りは可能です。

個人年金保険:4つの種類をご紹介

公的年金をコツコツ積み立てているものの、将来の公的年金制度が崩壊するかもしれないと不安を感じる方々はいらっしゃると思います。


また、ご自分の受け取る年金額で老後の生活が十分に賄えるか心配な方々も多いことでしょう。


そんな時には、生命保険会社が販売する「個人年金保険」に加入を検討してみましょう。


この保険は、年金保険料を積み立て、ご自分が決めた年齢から年金としてお金を受け取ることができる商品です。


個人年金保険には次の4種類があります。

  • 確定年金:年金を受け取れる期間が確定している保険商品です。確定した期間内にご自分が亡くなっても、遺族が年金を受け取れます。
  • 終身個人年金保険:ご自分が生きている限り、年金を受け取ることができる保険商品です。この保険は、長生きが原因で貯蓄等がなくなるリスクに備えるための商品といえます。
  • 変額個人年金保険:払い込んだ保険料を保険会社が運用し、受け取る年金額が変動する保険商品のことです。運用が好調だと受け取り金額が増加するものの、不調だと減少してしまします。
  • 外貨建て個人年金保険:外国の通貨で運用される保険商品です。 円建ての個人年金保険よりも利率は高いですが、為替変動が原因で損をすることもあります。

積み立て方式の個人年金保険とiDeCoの違いは?

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、証券会社が中心となって運用する商品です。
 


投資信託、定期預金等で運用され、この運用の成績で受け取る年金額に差が生じます。
 


iDeCoは掛金の積み立てると、掛金が全額所得控除の対象になるので、税金面で非常に有利といえます。


しかし、個人年金保険と違い、運用コストとして管理費、運用する投資信託の信託報酬を支払う必要があり、月額手数料を負担します。
 


また、個人年金保険は自由に中途解約できますが、iDeCoは中途解約が認められていません。


運用の成績が良い場合の利得と、税金のメリットを重視するならiDeCoがおすすめです。


一方、コツコツ保険料を支払い、既に決定された返戻率(ご自分が得をする割合)で安心したい場合は、個人年金保険がおすすめです。


iDeCoについてもっと詳しく知りたい方はこちら

まとめ:年金の違いを知り、ライフプランに合った年金制度を

日本の年金制度の種類とその違いについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。      


今回の記事のポイントは

  • 国民年金と厚生年金は加入対象者・納付方法・支給額に違いがある
  • 企業年金という民間企業が独自に設けている年金もある
  • 公的年金に将来不安があるなら、個人年金保険や個人型確定拠出年金(iDeCo)の利用を検討することも良い方法
でした。

ご自分の加入している公的年金には違いがあるものの、その特徴や支給額を十分確認して老後に備えることが大切です。

もし、老後の生活費に不安を感じたなら、公的年金に加え任意で加入する個人年金保険等の活用を視野に入れておきましょう。

金融庁の2,000万円レポートに代表されるように、公的年金は破綻したり貰えなくなる可能性は極めて低いですが、公的年金の受給額だけでは長寿命化する老後の生活費を賄うことは厳しくなっています。

ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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