奨学金の保証人になれる条件は?なれない人・変更方法などを解説

大学進学時に多くの学生が利用する奨学金。奨学金を受けるためには保証人が必要になりますが、なれる条件や奨学金の保証人の返済義務など、奨学金の保証人を選ぶ前に知っておくべきことを詳しく解説していき、保証人が見つからなかった場合の対策についても説明します。

奨学金の保証人になれる条件は?なれない人・変更方法などを解説

内容をまとめると

  • 奨学金の保証人になるには、4親等以内の親族、収入を証明できるなどの条件があり、条件はすべて満たさないといけない。
  • 連帯保証人と保証人では、伴う責任と義務がちがう
  • 無職でも保証人になれる
  • 保証人変更手続きに必要な書類は、連帯保証人と保証人で違う
  • 保証人にも返済義務はあるが、連帯保証人よりは返済額が少ない
  • 奨学金の保証人が立てられないときは、機関保証制度を利用すれば奨学金を受けられる


大学進学が決まると、大きな壁として立ちはだかるのが学費です。特に日本の私立大学は、かなり高額な費用となり、悩みの種となっている親御さんは多いのではないでしょうか。

「お金がないから進学をあきらめる」そんなことができるだけ防げるよう、奨学金制度というものがあります。

奨学金制度には、給付型といって返済しなくていいものと、返済必要なものの2種類があり、返済が必要なものは、ローンなどと同じでお金を借りるときに保証人が必要になります。

そこでこの記事では、奨学金の保障人について
  • 保証人になれる人とは
  • 連帯保証人と保証人は何が違う?
  • 保証人になるための条件とは
  • 保証人変更手続き、何が必要でどうやるの?
  • 保証人に返済義務はあるの?
  • 保証人がいない場合はどうする?
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を最後まで読んでいただければ、奨学金の保障人について理解でき、奨学金を検討する際のお役に立てると思います。

ぜひ、最後までご覧ください。

奨学金の保証人になれる条件:4親等以内の親族のおじおばなど

奨学金を申し込むときには、必ず必要になってくる保証人ですが、親族なら誰でもいいというわけではありません。一定の条件を満たした人でなくては、なれないのです。


奨学金を借りるとき、両親が「連帯保証人」になることが多いと思います。保証人は、連帯保証人とは別の人でなければいけないので、奨学金の保障人になってもらう人を探すのに苦労するかもしれません。


奨学金の保証人は以下の条件をすべてクリアできる人がなれます。

奨学金を借りる人=奨学生

  1. 奨学生および連帯保証人以外で生計が別の人
  2. 両親を除いた4親等以内の親族(兄弟、姉妹、叔父、叔母、祖父、祖母)
  3. 奨学金を申し込む時点で65歳未満
  4. 成人している
  5. 学生ではない
  6. 奨学生または、連帯保証人の配偶者ではない
  7. 自己破産などの債務整理中ではない
  8. 奨学金を借りる期間終了時に、奨学生が満45歳を超える場合には、その時点で60歳未満の人

もしも、未成年の兄弟のように4親等以内の成年親族でない人だったり、65歳以上の人を選びたい場合は、次の条件を満たし、源泉徴収票や確定申告書、年金振込通知書のように収入を証明できる書類を提出できるなら、選ぶことができます。

条件は次のいずれかをクリアする必要があります
  • 給与所得(年金も含む)のみなら年収が320万円以上、もしくは給与+給与以外の所得で220万円以上
  • 預金残高と固定資産(住宅、土地など)の評価額を合わせた額が、借入額より多い場合
  • 預金残高+評価額/16年+年間収入(所得)が320万円以上(220万円以上)

参考:連帯保証人と保証人の違いは?

奨学金を申し込むときには、連帯保証人と保証人を立てる必要があります


この2つは保証人という面では同じでも、伴ってくる責任と義務は全く違うということは、覚えておいた方がいいでしょう。


連帯保証人には、奨学生と同じ責任と義務があります。


奨学生がきちん滞りなく返済をしていれば、特に何も問題はありませんが、もしも返済が滞ったり、奨学生が自己破産してしまうなどで返済不可能となったときには、連帯保証人に返済義務が生じます。これは、義務なので拒否することはできません。


保証人は、返済を求められたとき「いやいや、本人に請求してください」と拒むことができます。また「借りた本人は、これ位資金を持ってて、回収もできますよ」と証明できれば、返済を拒否して「本人から回収して」と主張することも認めらています。


また、もしも保証人が返済しなければいけなくなったときは、連帯保証人のように全額返済する義務はなく、未返済額の半分を返済することとなります。


保証人は、連帯保証人と比べると、伴う責任と義務は少ないと考えてもいいでしょう。

奨学金の保証人になれない人は?無職の人や兄弟は可能?


「借りる本人が返済できなくなったときは、私が変わって返済します」と返済を確実に行うことを証明するために立てる保証人。


その意味でも「無職だったり、同じ年代の兄弟などでは、奨学金の保障人になれないんでしょ」と思いがちですが、実は日本学生支援機構が提示している条件を満たしていれば、たとえ無職でも奨学金の保障人になることはできます。


そこでここでは奨学金の保証人の条件につて

  • 兄弟でも保障人になれる
  • 保証人は無職でもなれる
この2点を解説いていきたいと思います。

ただ連帯保証人は、原則両親と決められていて、働いている必要があるので注意してください。

兄弟でも未成年でないなどの条件を満たしていれば保証人になれる

奨学金の保障人になれる条件の一つに「4親等以内の親族である」があります。


4親等以内となると、結構広い範囲まとなり、曾祖父(母)やいとこも含まれます。


つまり他の条件も満たしていたら、親戚であれば、皆が奨学金の保証人になることは可能なのです。


もちろん兄弟でも可能です。


例えば、奨学金を借りる本人が18歳で、1つ上の19歳の兄、または本人より年下の兄弟姉妹に保証人になってもらうなど、未成年を奨学金の保証人に立てる場合には、通常の条件に加え、以下の条件のどれかに当てはまっている必要があります。


  • ①源泉徴収票、確定申告書の控え、所得証明書を提出でき、給与所得者なら年収が320万円以上。給与以外の収入なら年間所得が220万円以上(給与を足してもいい)
  • ②預金残高証明書や固定資産評価証明書などを提出でき、預金残高と評価額を合算額が借入額より多い
  • ①と②の書類を組み合わせた必要な書類を提出でき、預金残高+評価額/16年+年収が320万円以上(年間所得なら220万円以上)

これらの条件をクリアできる未成年者は、なかなか少ないのではないでしょうか。

未成年の兄弟姉妹を保障人に考えるのは、あまり現実的ではないのかもしれません。

無職の場合でも奨学金の保証人になれる場合も

奨学金の保証人を考えるときに、無職の人をパッと思い浮かべる人は、少ないはずです。


保証人といえば、ある程度収入のある人がなるものだと多くの人は考えると思います。


ただ、無職であっても、奨学金の保証人になっている人はいます。


実例を少し紹介していきます。


20代女性

専業主婦の方の場合

妹が大学に進学するときに奨学金の保障人になりました。

私は、当時すでに結婚し専業主婦をしていたので「私は保証人にはなれない」と思ったのですが、無職でも大丈夫だということで引き受けました。

特に収入の証明なども求められませんでした。

60代男性

無職でも収入のある方の場合

姪の奨学金の保障人になりました。わたしは65歳を超え無職ですが、不動産収入があります。

収入は250万円ほどで、65歳以上でも保障人になれる条件に該当しました。

可愛い姪の役に立てて良かったです。返済完了まで責任を果たせるよう長生きしたいと思います。

無職であったとしても、保証人にはなれます。


奨学金の保証人になれるかどうかは、日本学生支援機構が提示した条件を満たせるかどうかで決まります


その条件には「無職ではなれない」とは書かれていません。


上の女性のように、無職であっても結婚して、奨学生と生計が別であり、成人していれば問題はありません。


ただ、仮にこの女性が債務整理中などの問題を抱えていた場合には、保証人の条件すべてを満たせなくなるので、保証人にはなれなくなります。


また、無職だからといっても「収入がない」とは限りません


上の60代男性のように、不動産所得がある場合もありますし、年金受給者の場合でも、年金に他の所得を加え(例えば、株などの投資利益)て年間所得が220万円以上になることも考えられます。


奨学金の保証人を考えるときには「無職=保障人になれない人」とは決めつけない方が、可能性は広がるかもしれません。


奨学金返済に困ったときは、お金のプロに相談!

借りるときにはあまり意識しないかもしれませんが、奨学金もローンや借金と同じで、しっかりと返済していかなければいけないものです。


ただ「奨学金返済のため、生活が苦しい」という人は多くいて、実際社会問題としても取り上げられています。


返済が滞った状態が続くと、個人信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録され、新しくクレジットカードを作れなくなり、ローンも組めなくなります。


そんな状況になる前に、返済に負担を感じ始めたら、早めにお金のプロに相談することをおすすめします。


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【変更】奨学金の連帯保証人・保証人変更の手続き・必要書類

奨学金は、貸与期間を終えてから(大学卒業後)始まり、13~20年かけて返済します。


それだけ長期間になると、奨学金の保証人になっている人の生活も変わりますし、亡くなってしまうなんてことも考えられますよね。


死亡などにより、奨学金の保証人を変更することは、必要な手続きの上、日本学生支援機構の審査に通れば変更できます。


連帯保証人・保障人変更の手続きは、まず必要書類を準備します。

  • 返還誓約書提出前なら「返還誓約書記載事項訂正届
  • 貸与期間または返済期間中の変更は「連帯保証人保証人変更届

この書類は、在学期間中なら学校の担当者からもらえますし、卒業後は日本学生支援機構のホームページからダウンロードして印刷します。


ここで準備した書類に加えて、添付書類が必要になってきます。


連帯保証人の手続きには、新たに連帯保証人になる人の「印鑑登録証明書」と「源泉徴収票などの収入を証明するもの」の2つが必要になってきます。


保証人の手続きには、新たに保証人になる人の「印鑑登録証明書」を変更届などの他の書類と一緒に提出します。


連帯保証人と保証人では、添付する必要書類が違うので注意してください


書類が準備できたら、あとは必要事項を記入し提出します。


提出先も在学期間中は学校へ、卒業後は日本学生支援機構に送ります。

奨学金を返済できなかったとき保証人の返済義務は

連帯保証人の返済義務は全額にあります。


返済を求められたら、それを拒否することはできません。支払うことが困難なときには、自己破産をするしかありません。


返済義務は借りる本人と同等にあり「自分の借金である」位の心構えが必要といえるでしょう。


一方、保証人には「分別の利益」と呼ばれる権利があります(民法456条、457条)


この権利は「連帯保証人も含めて、保証人が複数いる場合には保証人全員で返済負担額を分割できる」というものです。


奨学金だと、連帯保証人と保証人でそれぞれ返済額を1/2ずつ負担することになります。


つまり奨学金の保証人は、もちろん返済義務はありますが、未返済額の1/2の金額に対してあるということです。


ただ「分別の利益」はあくまでも保証人が持っている権利なので、返済を求められたときに、自ら権利を主張しなければ減額されません。


実際、日本学生支援機構は朝日新聞で報じられたように、分別の利益を主張した場合は、減額に応じますが、基本的には全額返済を請求してるので、分別の利益についてはしっかりと覚えておいた方がいいでしょう。

伯父や伯母に保証人をお願いする際の必要書類は?

奨学金の保証人をお願いする人に用意してもらうものは「印鑑登録証明書」だけで、大丈夫です。


奨学金申し込み時には、連帯保証人と保証人を決めて「確認書」を学校に提出します。


奨学金採用時に、連帯保証人と保証人からサインしてもらった返還誓約書を提出するので、あらかじめ記入しといてもらいましょう。


サインは本人に書いてもらうものです。保証人が離れたところに住んでいると、なかなか大変な作業となります。


できるだけ近くに住んでいる人にお願いすることも、保証人を決める上での選択材料になるといえるのではないでしょうか。


返還誓約書には、連帯保証人と保証人両方の「印鑑登録証明書」と連帯保証人の収入証明書も添付してください。


提出先は進学する大学です。


奨学金の保証人をお願いする人が遠方に住んでいたら、印鑑登録証明書を郵送してもらわなければいけません。


そのため、必要書類は提出期限に間に合うように、できるだけ早めから準備することを心がけましょう。

保証人がいない場合:機関保証を利用しよう


「奨学金の保証人の条件を満たす人がいない」「保証人を引き受けてくれる人がいない」などで、保証人がみつからないことは、よくあることだと思います。


親戚との関係が良好だったらいいですが、あまり関わっていないなどの場合は頼みずらいですし、祖父母に頼めても、年金だけで320万円以上の収入がある人は珍しいと思います。


だからといって「奨学金が受けれない」ということではありません。


奨学金には、保証人の代わりに機関保証というものがあり、そちらを利用すれば、奨学金を申し込むことが可能になります。


そこでここからは機関保証について

  • 機関保証とは?
  • 人的保証からの変更方法
以上のことを解説していきます。

奨学金の機関保証とは

機関保証とは、連帯保証人と保証人を立てる代わりに、保証機関連帯保証となってくれる制度です。


借りた本人が返済しなかったときには、保証機関が日本学生支援機構に支払ってくれますが、これで返済額がなくなったわけではなく、保証機関へ返済していくことになります。


機関保証制度のメリット


保証人が必要なく、万が一返済できなくなっても、保証人になってくれた親や両親に迷惑をかけずに済むことは、最大のメリットです。

デメリット

機関保証を利用するには、毎月保証料を保証機関に支払います。

保証料は毎月の奨学金から天引きされます。この保証料が学生にとっては、なかなか高額に感じることがあります。

保証料については日本学生支援機構のホームページに掲載されていますが、例えば第二種の場合、毎月10万円の奨学金を4年間借りると保証料は月々5,358円です。

つまり貸与期間の4年間で支払う保証料は

5,358円×48ヵ月=257,184円

となり、約26万円が保証料として天引きされます。

デメリットもありますが「機関保障制度」は、保証人を立てなくてもご自身の責任だけで
奨学金を受けられるという点においても、検討できる選択肢だといえるでしょう。

人的保証から機関保証への変更する手続きは

保証人を立てて奨学金を借りる制度を「人的保証」といいますが、保証人が亡くなったり、やむを得ない事情などがあった場合は、人的保証から機関保証へ変更ができます


変更するには、まずは日本学生支援機構の奨学金相談センターに連絡し、保証制度を変更したいことを伝えます。


その後「保障の変更依頼書」が届くので、必要事項を記入して送り返します。


書類の審査があり、審査を通れば日本国際教育支援協会から保証料の請求書が届き、変更完了となります。


ただし、返済期間中に保証制度を変更するには

  • 遅延せずに返済していること
  • 返済を振替口座を使っておこなっていること
  • 返済者本人が、債務整理中などの状況にないこと
この条件を満たさないと、変更はできません

逆に、機関保証から人的保証に変更することはできませんので、奨学金申し込みの時には保障制度の選択は、慎重におこないましょう。

「奨学金を借りたけれど、この先返済し続けることができるのか不安」など、奨学金について心配事や不安を抱えていましたら、ぜひ一度お金のプロに相談してみてください。


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わからないことは、プロに相談するのが解決への近道です


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まとめ

奨学金の保障人について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。


この記事のポイントは

  • 奨学金の保証人になるには、4親等以内の親族であり、収入を証明できるなどの条件があり、条件はすべて満たさないといけない
  • 連帯保証人と保証人では、伴う責任と義務がちがう
  • 無職でも保証人になれる
  • 保証人変更手続きに必要な書類は、連帯保証人と保証人で違う
  • 保証人にも返済義務はあるが、連帯保証人よりは返済額が少ない
  • 奨学金の保証人が立てられないときは、機関保証制度を利用すれば奨学金を受けられる
でした。

奨学金の保証人になってくれる人は、大学進学を応援し支えてくれ、そして、あなたを信頼している人です。

そんな人を裏切らないためにもしっかりと返済していきましょう。

もしも返済が苦しくなってしまったら、マネーキャリアのライフプラン相談に頼ってみてください。

ほけんROOMでは、お金に関する記事が他にも多数掲載されていますので、ぜひ、参考にしてみてください。

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