医療保険と労災保険の違いをきちんと理解しておくことは重要です!

保険に関連する仕事に従事している人でなければ医療保険とか労災保険について知識を持っていることはほとんどありません。しかし、医療保険と労災保険の違いについて正確な知識を持っていることは生活をするうえでとても重要です。特に、労災保険は法律的な問題もあり重要です。

医療保険と労災保険の違い


保険の種類は本当にたくさんあり、簡単な仕組みのものから法律が絡む複雑な制度のものまで多岐にわたります。


保険について詳しい知識を持っていないと、「医療保険」と「労災保険」の違いが分からず、聞いただけで難しいものであると思い込んでしまうことでしょう。


しかし、この違いは決して難しいものではありません。それぞれの保険を詳しく見てみれば、かなり内容が異なるものであることが分かります。


そこで、この記事では「医療保険と労災保険の違い」について、

  • 医療保険と労災保険の適用の範囲
  • 医療保険と労災保険の具体的な違い
  • 労災保険の仕組みと保障対象
  • 労災保険と併用できる手当や保険

以上のことを中心に解説していきます。


この記事を読んでいただければ、医療保険と労災保険の違いについて知ることができ、自分がいざ怪我や病気で医療機関を受診した際に、どの保険の申請をすべきなのかを理解できます。


是非最後までご覧ください。


ほけんROOMでは他にも保険に関する記事や、どの保険相談窓口を選べば良いかと言った記事を公開しておりますので、お悩みの方はそちらも合わせてご覧ください。

また、医療保険についての記事はこちらをご覧ください。

民間保険の医療保険と労災保険は併用可能

医療保険はあくまで生命保険の派生商品であり、民間が販売している保険ですので、加入契約しなければ給付金を受け取ることができません。しかも、医療保険は入院をした際に支払われるものです。

労災保険は、業務中にケガや病気をしたときに治療費が支払われるものです。基本的に、労災保険は労働者が保険料を負担するのではなく、会社が負担するものです。


それに対して医療保険は個人が契約するものですので、保険料は個人がすべて負担します。医療保険は理由は問わず、健康保険の適用範囲内での受診において、入院もしくは手術をしたときに給付金が支払われます。

医療保険は任意だが、労災保険は会社の義務

生命保険や医療保険と労災保険の一番の違いは、医療保険が当人の任意で加入を決めることができるのに対して、労災保険は会社の義務であることです。

労災保険の意義は「労働者を保護」することにあります。会社は労働者に対して保護をする責任を負っています。


労働保険の原点の考え方は、業務中に死傷したときは会社が治療費を負担する義務があるということです。しかし従業員の死傷に伴う支出は、会社にとって負担が大きくなることが多く、会社の負担を減らすために、労災保険という制度が出来上がったのです。


つまり、労働者を保護することが目的ですが、保護する義務を負っている会社のサポートが本来の労働保険の役目です。そこに医療保険とは根本的な違いがあります。

労災でも民間の医療保険(生命保険)は二重で貰うことができる

労災、そして医療保険・生命保険は二重で貰うことが可能です。労災保険は、個人単位ではなく雇用主が保険料を負担して加入する保険です。


一方、個人の自主的な判断で保険会社に加入するのが医療保険・生命保険です。これら保険商品で受け取れる給付金(保険金)は、労災保険の給付金と全く別の保障です。


そのため、ご自分のケガ等で労災が下りても、医療保険・生命保険の給付金(保険金)を妨げるような制約はありません。


とはいえ、民間の複数の保険商品へ加入すると、今度は保険料負担が重くなります。保険商品は自分のニーズに合う、ベストな1商品を選んで加入した方が無難です。

健康保険と労災保険の違い 併用はできない


健康保険は大まかに区分すると2つに分かれています。

一つは市区町村の各自治体で運用されている公的保険である「国民健康保険」であり、もう一つは大企業が自ら組合を作っている「健康保険組合」、および中小企業のための運営団体が運営を行っている「協会けんぽ」です。


また、公務員が加入している「共済組合」や船員が加入している「船員保険」もあります。


一般的には、国民健康保険以外の勤めている人が加入している保険を総称して「健康保険」と呼んでいます。


それに対して労災保険はこれまでに説明してきましたように、会社が加入する義務がある保険ですので、労働者を保護するのが本来の目的です。健康保険と労災保険の一番の違いは使う場面です。


大雑把に言いますと、業務に関連したケガや病気のときは労災保険を使い、それ以外のときは健康保険を使います。骨折時の医療保険についてはこちらで解説していますので、ぜひ読んでみてください。

基本的に労災保険と健康保険は併用することはできない

仕事中または通勤途中にケガをしてしまったならば、必ず労災保険へ手続きを行います。中には「労災保険を使用すれば勤務先に迷惑がかかってしまうのではないのか?」と、心配する人がいるかもしれません。


勤務先に何らかのペナルティがかかってしまうのか、不安な気持ちはわかるのですが、負傷した本人が労災保険と健康保険のどちらを使用するか選択することはできません。


たとえ労災保険を使用しても、勤務先の労災保険料が高くなることはないです。その他にも勤務先へ迷惑をかけることはないのでご安心ください。


もちろん、労災を使ったからと言って、職場環境が気まずくなることもないので躊躇は無用です。

労働中の怪我で健康保険を使用してしまった場合の対処法

これまでに説明してきましたように、健康保険は働いているとき以外で怪我をしたときに適用される保険ですので、労働中の怪我では使うことができません

実はこれはとても重要な点で、反対にいうなら「労働中の怪我では健康保険を使っていけない」ことになります。


もし、間違って労働中の怪我で健康保険を使ってしまったときは、速やかに健康保険組合へ連絡をして、労災保険で支払うような手続きをする必要があります。

そもそも労災保険の仕組みや保障対象について

労災保険の対象となるのは、何も会社に雇われている正社員のみが対象となるわけではありません。パート・アルバイトに至るすべての労働者が対象で、働く方々が安心して労働できる環境づくりの一環のため誕生した保険です。


前述したように加入は事業主の義務です。労働者を一人でも雇用する会社なら、手続きを行う必要があります。また労災保険の保険料は事業主負担です。対象者が払う必要はありません。


こちらでは、

  • 雇用保険とは?労災保険とは?
  • 労災保険の保障範囲は業務中・通勤中の病気・ケガ・死亡に限定
について解説します。

「雇用保険」と「労災保険」をまとめて「労働保険」という

労働保険は「雇用保険」「労災保険」から成り立っています。こちらでは、それぞれの保険内容について解説します。


雇用保険とは

ご自分が失業したとき、次の仕事に就くまでに必要な所得保障・再就職支援が受けられる保険のことです。


雇用保険では、ご自分の就職に必要な知識や技術を習得するための職業訓練、一部の資格取得講座で在職中に補助も受けられます。また、育児や介護のため仕事を一時的に休む際の手当は雇用保険から出ます。


雇用保険は大きく「失業等給付」「育児休業給付」に分かれます。それぞれの給付を細かく分けると次の通りです。


(1)失業等給付

  • 求職者給付:基本手当、技能習得手当、傷病手当等
  • 就職促進手当:就業促進手当、移転費等
  • 教育訓練給付:教育訓練給付金
  • 雇用継続給付:高年齢雇用継続給付金、介護休業給付金
(2)育児休業給付
  • 育児休業給付金

労災保険とは

前述したように業務中にケガや病気をしたとき、治療費が支払われる保険です。主に業務災害と通勤災害の2つが保険へ該当します。

これらが原因で
  • 死亡した場合:葬祭料、遺族補償給付
  • 負傷・疾病した場合:療養補償給付、休養補償給付、傷病補償給付、介護保障給付
  • 治癒(後遺症が残った)場合:障害補償給付、介護補償給付
が受け取れます。

労災保険の保障対象は業務中・通勤中の病気やケガや死亡のみ

こちらでは、労災保険でサポートされる給付金について解説します。


業務災害・通勤災害が原因の給付

労働者が死亡した、負傷・疾病した、後遺症が残ったケースで次のような給付金が受け取れます。

(1)労働者死亡
  • 葬祭料:葬祭をした者に対して支給されるお金
  • 遺族補償給付:労働者が死亡した場合、年金または一時金として支給されるお金
被保険者が死亡しても、本人が生命保険(死亡保険)に入っていれば、これらの労災の給付金を受け取っても問題なく「死亡保険金」が遺族へ下ります。

(2)負傷・疾病
  • 療養補償給付:療養時に支給されるお金
  • 休養補償給付:負傷・疾病で働けず賃金を受けとれないとき支給されるお金
  • 傷病補償給付:1年6カ月を経過しても治らないとき支給されるお金
  • 介護保障給付:介護を要する場合に支給されるお金
被保険者が負傷・疾病で入院・通院しても、本人が医療保険に入っていれば、これらの労災の給付金を受け取っても問題なく「入院給付金」等が本人へ給付されます。

(3)後遺症が残った
  • 障害補償給付:治癒しても障害が残ったとき支給されるお金
  • 介護補償給付:障害が残り介護を受け、介護施設へ入院・入所していないとき支給されるお金
後遺症が残りこれらの労災の給付金を受け取っても、本人が就業不能保険へ入っていれば、本人に問題なく「就業不能給付金」等が給付されます。

その他の給付

業務災害・通勤災害の他、社内でのパワハラ・セクハラが原因で精神疾患を患った場合、労災保険の対象に含まれる可能性もあります。

また、ご自分が健康診断を受けた際に異常が発覚したら、「二次健康診断等給付」も受けられます。こちらは労災保険から給付され、費用負担なく受診できる制度です。

労災保険の請求方法は?どうやって使えばいい?


労災保険を使うには、事故の内容などにより手続きのやり方が違うものの、基本的には必要書類に診断書を添付して地域の労働基準監督署へ提出します。

ですが、通常は個人で労災保険に詳しいことはありませんので、会社の担当者が手続きを行うのが一般的です。もし、会社が労災保険に加入していなかった場合は罰則があります。


こちらでは、

  • 労災保険・医療保険の請求方法とは?
  • 労災保険の適用範囲とは?
  • 労災指定病院とはどこ?
について解説します。

労災保険・医療保険の具体的な請求方法

労災保険・医療保険それぞれの請求の流れは次の通りです。


労災保険の請求方法

労災を受ける事態になった方々が、全ての手続きを進めるわけではありません。

  1. 労働者が事業主に労働災害を報告
  2. 会社側が労働基準監督署長宛に必要書類を提出
  3. 調査開始
  4. 保険金給付
療養補償給付を労災指定病院で受けた場合、費用請求書はこちらを受診した労災指定病院へ提出します。

その他の補償給付は、請求書を管轄する労働基準監督署長へ提出することになります。これらの手続きは会社側が代行します。

なお、必要書類を提出してから労働基準監督署の調査が開始されます。とはいえ、厳しい尋問が行われることは稀です。わざと事故を起こしてケガをしたような疑いが認められなければ、問題なく補償給付が下ります。

医療保険の請求方法

こちらは事業所でなく、ご自分で請求手続きを行います。
  1. 保険会社または契約した際の代理店窓口に連絡
  2. 保険会社へ必要書類を提出
  3. 給付金(保険金)給付
給付金や保険金請求書は、まず保険会社から送付してもらいます。その後に必要事項を記入し、医師の診断書等を貼付して返送します。

なお提出する診断書は、医師が準備した用紙に記入した書類で良い場合もあれば、保険会社所定の用紙に記入しないと、給付金の支払いに応じない保険会社も存在します。請求の際の条件は面倒でも良く確認した方が無難です。

医療保険の請求には会社側が全く関与しないので、不明点や疑問点があれば、保険会社のカスタマーセンター、契約したときの代理店等へ問い合わせてみましょう。

労災保険の適用範囲

基本的に、労災保険は業務中ですが、通勤途中も適用範囲に含まれます。これは通勤も業務のために必要な行動だと考えられるためです。

たまにニュースとなることがありますが、通勤の途中で寄り道をした場合に労災保険が適用されるか、裁判で争われることがあります。


一般的には通勤ルートを大きく外れない範囲であれば、ちょっとした買い物に寄ったりする場合などは労災保険が認められる場合もあります。


しかしきちんとした線引きがないのが実状ですので、納得できないときは争うことも考える必要があります。 

労災指定病院とは

労災指定病院とは労災を専門に扱う病院です。普通の病院と違うのは、当人は治療費の支払いに全く関与する必要がなく、ほとんどすべて労災保険で対応してくれることです。

もし誤って健康保険を使ってしまったケースでも、簡単に労災に変更できるという長所があります。 

仕事中の怪我への具体的な労災の保障内容は?

仕事中のケガや疾病はできるならば避けなければいけないアクシデントです。しかし、このような不運な事態はご自分が十分な注意を払っても、起こり得るケースはあります。


こちらでは、ご自分が

  • 仕事中のケガで入院
  • 仕事中のケガで働けなくなった
  • 仕事中のケガで後遺症が残った
場合、受け取れる給付について具体例をあげ解説していきます。

仕事中の怪我により入院した場合

仕事中のケガには次のようなケースがあげられます。

  • 工場内で作業中、ベルトコンベアーから機材が落下、手や足のケガを負った
  • 業務中に休憩所へ向かう途中、事故に巻き込まれてケガを負った
  • 出張中に事業場施設以外でケガを負った
こちらの場合は「療養補償給付」に該当します。無料で治療や薬剤の支給が受けられます。

その後も、ケガの療養のために労働ができず、賃金を受け取れていない場合は、「休業補償給付」が受け取れます。第4日目から賃金の補償として給付されます。

休業補償給付より支給される金額は、1日につき給付基礎日額の60%です。それに加え、労災保険の社会復帰促進事業から休業特別支援金として、1日につき給付基礎日額の20%が支給されます。

しかし、次のケースでは労災の対象外となります。
  • 業務中に業務と無関係の私的行為を行った結果、ケガを負った
  • 業務中、個人的な恨みから第三者に暴行を受けた
  • 台風や地震などの天災によってケガをした
  • 業務終了後、業務と無関係の食事・旅行へ行き、その途中で事故にあった

仕事中の怪我により働けなくなった場合

業務または通勤が原因となった負傷や疾病の療養開始から1年6か月が経過しても、まだ治っていない場合、傷病等級に該当するは「傷病補償給付」が、年金形式で受け取れます。


傷病等級に関しては次の傷病等級表をご覧ください。


(1)第1級

  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害、常に介護が必要
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、常に介護を要する
  • 両眼が失明
  • そしゃく及び言語の機能を廃している
  • 両上肢を肘関節以上で失う 等
上記の状態が継続している期間1年につき、給付基礎日額の313日分が受け取れます。非常に深刻な事態となっており、現場復帰はまず不可能と言えます。

(2)第2級
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害、随時介護を要する
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を有し、随時介護を要する
  • 両眼の視力が0.02以下
  • 両上肢を腕関節以上で失った 等
上記の状態が継続している期間1年につき、給付基礎日額の277日分が受け取れます。常に介護を要するわけでは無いものの、こちらも重傷の状態です。

(3)第3級
  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害、常に労務に服すのが不可能
  • 片眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になっている
  • そしゃく又は言語の機能を廃している 等
上記の状態が継続している期間1年につき、給付基礎日額の245日分が受け取れます。介護はまず必要ないですが、日常生活にも大きな支障が出る状態です。

仕事中の怪我により後遺症が残った場合

労災保険で言われる「治癒」は、健康時の状態へ完全に回復した状態のみを指すわけではありません。


傷病の症状が安定後、医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できなくなった状態、つまり症状が固定されてしまった状態を言います。


業務災害や通勤災害の治療をした後、残念ながら障害が残ったならば「障害補償給付」が受け取れます。


障害の等級別に、「障害補償年金」か「障害補償一時金」が給付されます。


障害補償年金の場合

障害等級が深刻になるほど給付基礎日額が多くなります。毎年、年金形式で補償が受けられます。

障害等級給付基礎日額
第1級313日
第2級277日
第3級245日
第4級213日
第5級184日
第6級156日
第7級131日


障害補償一時金の場合

障害等級が深刻になるほど給付基礎日額が多くなります。第1級~第7級ほど深刻ではありませんが、一時金が給付されます。

障害等級給付基礎日額
第8級503日
第9級391日
第10級302日
第11級223日
第12級156日
第13級101日
第14級56日


労災保険と併用できる手当や保険を紹介

労災保険で各給付金を受け取れるのは心強いです。しかし、各ご家庭の事情により、大黒柱であるご自分が傷病・障害を負った場合、家族全体の生活水準に大きな影響が出るかもしれません。


ご自分でも何らかの備えを用意しておく必要があるはずです。こちらでは、

  • 労災が下りるのに健康保険の「傷病手当金」は受け取れるのか?
  • 労災保険と併用可能な「障害年金」とは?
について解説します。

労災保険と併用できる傷病保険

従業員が業務外で病気やケガにより労務不能となれば、賃金の支払われないことになります。これでは、従業員本人やその家族が生活に困窮してしまいます。そんな時に健康保険から受け取れるお金が「傷病手当金」です。


傷病手当金の計算

傷病手当金は労務不能である場合、休業4日目~最大で1年6ヶ月の間、給料を受けなかった日について支給される保険給付です。


全国健康保険協会(協会けんぽ)や各健康保険組合へ加入している方々が受けられます。 


傷病手当金をどれくらい受け取れるか、支給期間・支給金額等は全国健康保険協会(協会けんぽ)および各健康保険組合で、それぞれ異なる場合があります。


そのため、健康保険加入者は、ご自分の加入している健康保険組合の規程等を確認する必要があります。傷病手当金の計算は次の通りです。

(支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

ただし、傷病手当金は業務外で病気やケガにより労務不能になった場合であり、原則として労災保険と併用はできません。


労災保険と併用ができるケースもある

業務中に大きなケガまたは病気をし、労災から休業補償給付をもらいながら、仕事を休んでいるものの、その期間に別の病気等を発症することもあります。


この場合、本来業務外の病気等で療養し、休業した場合に受け取れる傷病手当金より、休業補償給付額が低いならば、その差額が傷病手当金から支給されることになります。

労災保険と併用できる障害年金

障害年金は、障害を持つ人達の困窮を防ぎ、安定した生活を送るための公的年金制度の一つといえます。公的年金は何も、老後の生活の維持だけに支給されるお金ではありません。ご自分が厚生年金被保険者の場合は障害厚生年金が給付されることになります。


労災保険と併用ができるのは障害厚生年金

会社等の従業員が障害を持つ状態となった場合「障害厚生年金」が受け取れます。障害厚生年金は厚生年金に加入中、

  • 障害の原因である病気・ケガで、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)があること
  • 一定の障害の状態にあること

障害厚生年金を受け取ることのできる方々は、障害等級が1級・2級・3級に該当する人が対象です。


一方、初診日から5年以内に病気・ケガが治癒し、障害等級3級より軽い障害が残った場合、一時金として障害手当金が支給されます。


障害厚生年金が支給されるには

厚生年金に加入していれば誰でも年金が受け取れるわけでは無く、次の条件に合致することが必要です。


障害の原因である病気・ケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日(初診日)の前日に

  • 初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間で2/3以上の期間、保険料を納付済または免除
  • 初診日に65歳未満、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がない

上記いずれかの要件へ該当しなければいけません。

労災隠しに注意


「労災隠し」と聞きますと、悪意のある悪い人が行うイメージがあります。実は「知らないで」結果的に行っているケースがあります。

普通の人は健康保険の知識や労災保険について意識することがありませんので、本来健康保険では使うことができない業務中の怪我でも、健康保険を使うことがあります。


しかし、本来労災保険を使うケースでも、健康保険を使ってしまいますとそれが「労災隠し」になりますので注意が必要です。

まとめ:医療保険と労災保険の違いを理解しよう

医療保険と労災保険の違いについて見てきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、

  • 医療保険は民間の保険会社が販売するものである
  • 労災保険は会社が保険料を負担する、法律によって定められた保険である
  • 業務中の怪我では健康保険や医療保険を使わず、労災保険を適用する
  • 通勤途中の怪我も労災の適用範囲となる
  • 労災の知識をしっかりと持っておき、適用できる場面では必ず申請する
  • 傷病手当金や障害厚生年金の併用ができるかも考えてみる

でした。


医療保険と健康保険、労災保険と病気や怪我に関する保険の種類はたくさんあり、どの場面でどの保険が使えるのかということは迷うこともあります。


しかし、これらの保険に関して正しい知識を持っておかないと、労災保険が使えるのに誤って健康保険を使ってしまったり、それに気づかずにいたりすることで結果的に自分が損する場面もあります。


保険は難しいものと思い込まず、これらの保険を理解するためには、民間の保険と国の法律による保険の違いだけでも押さえておくことが重要となってきます。


ほけんROOMでは、他にも読んでおきたい保険に関する記事が多数掲載されていますので、ぜひご覧ください。

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