共有名義の住宅はどう火災保険に契約する?所有者変更時の対処とは?

共有名義の建物で火災保険に加入する場合、契約者は共有名義にならず、一人が契約します。しかし、被保険者の記入欄には複数の名前を記入できるのです。もしも相続や離婚で火災保険の契約を変更したい場合の手続きや、税額軽減のためにできる契約者選びのポイントを紹介します。

共有名義の建物の場合、火災保険の契約について

建物の名義が親と子、夫と妻といった共有名義になっている場合に火災保険の契約はどうなるのか。


こういった疑問をもつ方は多いことでしょう。


なかには火災が起きた時にきちんと補償してもらうことができるのか、と不安を覚える方もいらっしゃるかもしれません。


建物が共有名義でも、火災保険の補償を受けることはできますが、その際に注意すべき点がいくつかあります。


そこで、ここでは、共有名義の建物に付保された火災保険について、

  • 契約者、被保険者、保険金受取人の意味と関係
  • 建物の所有者が変更した場合
  • 契約者を選ぶポイント
以上のことを中心に解説していきます。

この記事を読んでいただければ、共有名義の建物で火災保険に加入する際に注意するべき点がよくわかるようになります。

是非、最後までご覧ください。

火災保険の被保険者は建物所有者全員

火災保険の被保険者(保険金の支払いを受ける人。保険金受取人と同じ)は、共有名義となっている建物の所有者全員です。


被保険者は保険の目的が事故によって損害を受けた時に、その損害を補てんしてもらう経済的利益をもつ者をいいます。


ちなみに、被保険者がもつ経済的利益のことを被保険利益と呼びます。


通常は保険の目的の所有者が被保険者となります。


そのため、火災保険の場合には、保険の目的となる建物の所有者が被保険者となるのです。


建物が共有名義の場合には、法律上、その建物は所有者全員の共有とされ、それぞれがもつ持ち分割合に応じて共同で所有している状態になります。


火災保険では、建物の所有者が被保険者となるとされているので、所有者全員が被保険者となるわけです。


被保険者は複数人記入できる

火災保険契約の被保険者欄には複数の人を記入することができます。 

保険の目的となる建物の所有者が複数いて、共有名義となっている場合には、火災保険の被保険者数もその人数に応じて複数となるので、被保険者欄には、その人たちの氏名を記入することとなります。

言い換えれば、建物が共有名義となっている場合には、被保険者欄にはその人たち全員の氏名を記入する必要があるのです。 

記入しなかった被保険者がいた場合でも、火災保険の保険金は支払われます。

しかし、その際には記入していなかった被保険者の氏名をあらためて被保険者欄に記入する手続きを行う必要があります。

そのために、火災保険の保険金支払いが遅くなる可能性があるのです。

たとえば、保険金を建物の再築にあてる場合に、入金が遅れることで工事に影響がでるおそれがあります。 

そのようなことにならないためにも、建物が共有名義となっている場合には、被保険者全員の氏名を被保険者欄に記入するようにしましょう。

ちなみに、火災保険の保険料を支払う保険契約者は1人でなければならないとされています。

他の所有者との共有名義にすることはできません。

そのため、被保険者が複数いる場合にはその中から代表者を選んで保険契約者とすることが一般的です。 

火災保険独特の保険契約方法

火災保険には保険加入の際に契約者や被保険者、さらには保険金受取人を明確に決めておく必要はありません。 


これは、火災保険独特の保険契約方法によるものです。 


たとえば、生命保険の場合には、保険契約者(保険料を支払う人)と被保険者(保険契約の対象となる人)、保険金受取人(保険金を受け取る人)を加入の際に明確にします。


その理由は、保険契約に関わる3者がそれぞれ別人となる可能性があり、そこに保険金詐欺が行われるおそれがあるからです。 


しかし、火災保険の場合、建物の所有者がそのまま保険契約者、被保険者、保険金受取人となるため、加入の際に必ずしも明確にする必要はありません。 


このことは、建物が共有名義となっていて、被保険者が複数の場合でも同じです。


住宅ローンを組んでいるなどの理由で、銀行から質権の設定を受けている場合を除いて、火災保険には建物の所有者以外に被保険者は存在しません。 


また、被保険利益を有する被保険者と保険金受取人は同一人物となります。 


このように、契約者、被保険者、保険金受取人が契約の時点ですでに明確になっているところから、生命保険のような契約の形式はとらなくてもよい、とされているのです。


これが火災保険独特の保険契約方法です。 

共有割合は関係する?

 火災による保険金の支払いがなされる時には、共有名義の人たちが建物に対してもっている共有割合が関係します。


ちなみに共有割合とは、共有名義の人たちが、その建物に対して有している権利の割合のことです。


たとえば、父親が50%、母親が30%、長男が20%といった具合ですね。 


火災保険の保険金はこの共有割合に応じ、共有名義人に対して支払われます。


 保険金請求の手続きは、被保険者の中で代表者を決めて行ないますが、その際には保険会社から他の被保険者からの委任状を取り付けるように求められます。 


また、保険金が多額となる場合には、持ち分割合を確認するため、建物の登記事項証明書の提出を求められることもあります。 

相続や離婚などで所有者が変更になった場合

相続や離婚によって、建物の所有者が変更した場合には速やかに変更の手続きを行いましょう。


相続や離婚を理由とする所有者の変更は、保険契約者の変更を伴うことがあり、そのことによっていざという時の保険金の支払いに影響がでる可能性があります。 


名義変更手続きを行われていないことを理由に火災保険が支払われないことはありません。


しかし、保険契約者が変更したことで保険料の支払いがストップしたりすると契約が失効し、いざという時に保険金が支払われないおそれがあるのです。 


また、保険金が支払われる場合でも、保険金請求手続きの際に、所有者の変更の手続きも行なう必要があるため、保険金支払いが遅くなるリスクもあります。 


契約内容の変更手続きが必要

相続や離婚によって建物の所有者が変更した時には、保険金支払いの際に生じる可能性のあるリスクを避けるため、契約内容の変更手続きが必要です。 


手続きの方法は掛け捨て型の火災保険と積立型火災保険の場合とで異なります。 


掛捨て型の火災保険の変更手続きは比較的簡単に行うことができます。 


保険会社に連絡をすると変更手続きのための書類が送られてくるので、それに所定の事項を記入して提出すれば手続きは完了します。 

積立型火災保険の変更手続きは複雑

積立型火災保険に契約している場合の変更手続きは掛け捨て型と比べて複雑です。 


建物の所有者の一人が亡くなると相続が発生し、その場合の手続きが複雑となるからです。


積立型火災保険には満期返戻金があります。 


相続の場合、満期返戻金は遺産分割協議の対象となります。 


そのため、他の相続財産を含めた遺産分割協議を行なって満期返戻金を相続人のうち、誰がいくら相続するのかを決めなければなりません。


 この手続きが終わらなければ、変更手続きを行うことができないのです。


 遺産分割協議で扱われるのは積立型火災保険の満期返戻金だけではありません。


また、相続人には、建物の共有名義人以外の人がいる可能性もあります。


場合によっては手続きの終了までに時間がかかることもあります。 


その場合には、加入先の保険会社に対応の方法について確認することをおすすめします。 


なお、保険契約者がなくなった場合でも、保険料の支払いができていれば、いざという時の補償は問題ありません。 

変更は速やかに行うべき

建物の所有者が変更した場合、変更手続きは速やかに行うようにしましょう。 


これまで解説してきたように、変更手続きを行わないことで、保険契約が失効する可能性や保険金支払いがスムースにいかないといったデメリットが生じます。 


たとえば、離婚によって配偶者の一人が建物の所有者ではなくなると、その人は火災保険の被保険者ではなくなります。 


もし、その人が保険契約者だった場合には保険料を支払う人がいなくなるので、速やかに契約者を変更する必要があります。 


もちろん、保険契約者の変更手続きを行わずに保険料だけを支払うことはできますが、契約の実態に即していないため、保険金請求の際に変更手続きを行う必要があります。 


また、離婚した側からクレームがくる可能性もあります。 


火災保険の契約は所有者の実態に合わせることが必要なのです。 

契約者を選ぶ際のポイントとは?

火災保険の被保険者が複数人いる場合には、保険契約者は共有名義にはできないので、その中から1人を選ばなければなりません。 


その場合には、所得の高い人を保険契約者として選ぶのがポイントです。 


火災保険には地震保険とセットで契約した場合に、地震保険料の控除が受けられる税法上のメリットがあります。 


所得の高い人は税率も高くなるため、地震保険料の控除を利用すれば、その分、節税によるメリットを得ることができるからです。 


まとめ:火災保険の契約者は共有名義にならない

火災保険を契約する際に、建物の所有者が複数いる場合の注意点について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。


今回のこの記事のポイントは、 

  • 火災保険では、保険契約者、被保険者、保険金受取人が同一人物
  • 被保険者は複数いても問題はないが、その場合の保険契約者は1人に限られ、共有名義にはならない
  • 建物の所有者が変更した場合には速やかに変更手続きを行う
  • 保険契約者を決めるポイントは地震保険料控除
です。

建物の所有者が複数いる場合でも、保険契約者はその中の1人に限られ、共有名義にはなりません。 

保険契約者が変わった時には、速やかに変更手続きを行い、保険契約に支障がでないようにしましょう。 

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