更新日:2019/11/08
「特記事項だけ?」自賠責での第三者行為のレセプト請求を解説!
自賠責保険に対する第三者行為でのレセプト請求は、交通事故による治療で多く使われています。ただし自賠責のレセプト請求書類には注意点が何点かあり、今回はその注意点を紹介します。また、交通事故以外で、第三者行為が成立するケースや一般診療と併用する場合の解説もします。
目次を使って気になるところから読みましょう!
自賠責保険で第三者行為の場合はレセプトが特に重要
医療機関で交通事故のケガを治療するとき、第三者行為として被害者の健康保険を通して自賠責保険に治療費を請求してもらうことがありますよね。
ところで、第三者行為のレセプト請求では通常のレセプトと違って、いくつかの注意点があることをご存知でしょうか。
確実なレセプト請求をしなければ、加害者への治療費請求時に混乱をきたすもとになるかもしれません。
そこでこの記事では第三者行為のレセプト請求の重要性について
- 第三者行為レセプト請求での特記事項について
- 第三者行為レセプト請求での必要条件について
- 事故外点数を確認する必要性について
自賠責保険の第三者行為の場合、レセプトには特記事項がある
自賠責保険の第三者行為での治療をレセプト請求する時、記入すべき特記事項があります。
それはレセプトの特記事項記入欄に「10・第三」と記入することです。
この記入は厚生労働省の明細書記載要領にて義務付けられています。
健康保険でもこの記入のないレセプトだと自賠責保険の第三者行為によるものだと把握することが困難になります。
そうなると本来、加害者側に請求できる治療費を見過ごしてしまう可能性が出てくるのです。
したがって、自賠責保険の第三者行為でレセプト請求するときは特記事項を必ず記入する必要があります。
次に、レセプト記入のための条件について解説します。
レセプトの記入条件とは
自賠責保険の第三者行為としてレセプト請求をするためには患者様(被害者)側にも用意してもらう条件があります。
それは以下の書類を被害者から健康保険に提出することです。
- 第三者行為による傷病届
- 事故発生状況報告書(自損事故の場合)
- 交通事故証明書
第三者行為による傷病届と事故発生状況報告書は事故後すみやかに健康保険から取り寄せて、記入後提出する必要があります。
この届出は国民健康保険法第64条に基づく「損害賠償請求権」を主張するものとして必要なものなのです。
交通事故証明書は交通安全センターにて発行してもらうことができます。
なお、通勤途中や業務中の交通事故に関しては労働災害にあたるため、第三者行為によるレセプト請求をすることができませんのでご注意ください。
【参照】損害賠償請求権
- 第六十四条 保険者は、給付事由が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付を行つたときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。次条第一項において同じ。)の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
- 2.前項の場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を免かれる。
- 3.保険者は、第一項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会であつて厚生労働省令の定めるものに委託することができる。
治療が数ヶ月に渡る場合は、毎月の特記事項の記入が必要
ケガの程度によっては自賠責保険の第三者行為での治療が長引く場合があります。
その場合月をまたいで第三者行為のレセプト請求を行うことになります。
この時、翌月以降も毎月の請求時に特記事項の記入をしてください。
翌月以降に特記事項がないと、健康保険はいつまでのものが自賠責保険の第三者行為によるものかを把握しきれないからです。
これも加害者への請求額に影響を及ぼすことなので、特記事項の明記は忘れずに行う必要があります。
ところで、第三者行為として健康保険を使った治療ができるケースには一般的な交通事故のケース以外にもあることをご存知でしょうか。
次の章ではそういったケースについて解説します。
第三者行為によるレセプトに特記事項の記入が必要なとき
第三者行為によるレセプト請求ができる形には一見、請求できないように見える事故もあります。
例えばこういった事例は第三者行為によるレセプト請求はできるのでしょうか。
- 自転車などスポーツ中の事故によるケガの治療
- 食中毒など店舗の過失による病気やケガの治療
- 他人の飼い犬などに噛まれたケガによる治療
- 家族や親せきの車に乗っているときの自損事故でけがの治療
ここではこれらの点について解説します。
傷害の原因が第三者にあると判断したとき
第三者行為の意義
第三者行為という言い方をされる理由をご存知でしょうか。
これは「患者のケガや病気が第三者による不法行為によって生じたと認められる場合」という原則を省略して読んでいるものです。
したがって、交通事故によるケガも他人の運転不注意から生じたケガであるため第三者行為による健康保険を使用した治療を受けることができるのです。
そしてそれを証明するものとして上記の書類を健康保険に提出する必要があるのです。
交通事故ではなくても第三者行為は請求可能
第三者行為の意義からすると、交通事故以外のケガや病気でも請求可能なものがあります。
先ほど例に挙げたスポーツや店舗、そして他者の過失によるケガや病気の治療に対しても第三者行為として請求することができるのです。
当然ですが、交通事故ではないものは自賠責保険が関与することはありません。
自損事故での同乗者のレセプトにも記入が必要
それでは家族や親せきの運転する車の自損事故によるケガではどうなるのでしょうか。
自損事故で同乗者がケガをした場合、同乗者の治療費を自賠責保険の第三者行為としてレセプト請求することができます。
これは同乗者のケガは運転手の事故によって被害を受けたケガだと判断されるからです。
この点に関しては運転手が家族でも親戚でも変わりありません。
同乗者は前述の書式を健康保険に提出することで、自賠責保険の第三者行為として治療を受けることができます。
そして医療機関は同乗者のレセプト請求時に特記事項を記入し、自賠責保険の第三者行為として請求します。
ところで、事故によるケガで治療を受けるとき、普段通院していた医療機関で一緒に治療を受けることがあります。
そのようなケースで、自賠責保険の第三者行為請求時に注意すべきポイントがあります。
自賠責保険の第三者行為では、特記事項の他にも事故外点数も確認が必須
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まとめ:自賠責での第三者行為のレセプト請求
- 自賠責保険の第三者行為レセプト請求では特記事項があること
- 被害者側にも準備していただく書類があること
- 毎月のレセプト請求ごとに特記事項を記入すること
- 交通事故以外でも第三者行為のレセプト請求が可能な場合があること
- 一般の治療との区別を明記すること