戦争が起きても海外旅行保険は適用される?わかりやすく解説します!

日本人が海外旅行を楽しむ機会は多くなっています。しかし、世界では今もまだ戦争が起こりテロも続発しています。海外旅行保険へ加入しても戦争に巻き込まれ死亡・負傷をした場合は補償外となります。ただし、テロに遭い死亡・負傷した場合には海外旅行保険が適用されます。

海外旅行保険は戦争に適用しているの?

海外には日本には無い文化や伝統、歴史的建造物、そして自然があります。外国に住んでいる方々だって、平和に暮らし心温かい方々が多いです。

しかし、世界では今もまだ戦争が起こりテロも続発しています。この怒りや憎悪の応酬は我々の周知しない時にいきなり始まってしまうことがあります。


では、仮に日本で海外旅行保険へ加入し、渡航先で戦争、内乱、大規模テロが勃発した場合、現地での死亡・負傷・携帯品などの損害が補償されるのでしょうか?


今回は、海外旅行保険が戦争にも適用されるのか否かを説明します。




海外旅行保険において戦争は”補償されない”

結論からいえば、海外旅行保険において戦争は補償されません。

これは海外旅行保険の場合も、損害保険や死亡保険などであっても同じことです。


以降では、なぜ戦争が保険事故として補償されないのかを説明します。

戦争、及び補償とならない基準

海外旅行保険には、「戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動」に起因する損害へは保険金を支払わないという「免責条項」があります。

海外旅行保険のみならず、火災保険・家財保険・自動車保険・死亡保険、医療保険などのような我々の身近な保険にも、前記した免責条項が明記されています。


海外旅行保険の免責条項に規定されている言葉を説明すれば次の通りです。


  • 戦争:国と国との武力闘争を指します。
  • 外国の武力行使:渡航先の国が他国に攻撃されることを意味します。
  • 革命:民衆の支持を背景に行われる政権交代を指します。
  • 政権奪取:ある勢力が、国を代表とする政権を打倒することです。いわゆる「クーデター」と言われるものです。
  • 内乱:国内の勢力間での武力闘争です。
  • 武装反乱その他これらに類似の事変または暴動:いわゆる武力衝突全般を指しています。

ただし、免責事項には全世界で頻発している「テロ行為」が規定されていません。


テロ行為については後述します。

海外在住の人は”戦争特約”を検討

コンサルタントなどの契約の業務により、危険度の高い国・地域に派遣される業務従事者は、災害補償保険(戦争特約)を付加することができます。


ただし、海外のどの国・地域に在住しても付加されるわけではなく、戦争特約対象国・地域に該当している場合に認められます。

”テロ行為”の場合は海外旅行保険が適用される

実はテロ行為に遭遇し保険事故が発生した場合、海外旅行保険が適用されます。

つまり、爆発や銃撃戦に巻き込まれケガをした場合の治療費用、傷害死亡・後遺障害、疾病死亡、賠償責任、携行品損害、救援者費用、航空機遅延費用などが補償されることになります。

”日本政府が”テロと呼ぶことが一つの基準でもある

テロとはいっても、様々な事態が想定され、空港や人口密集地域での爆弾テロ、自動小銃などによる乱射によるテロ、さらに自動車で通行人をなぎ倒すようなテロなどもあります。

明確な定義はなかなか難しいですが、日本政府がこれらの事態を受けて「テロ」と呼ぶことが補償される基準となります。

戦争と認定されれば、保険金の支払いは免責となる

例えば、爆弾テロのように同時多発的に施設や橋が爆破された場合でも、実はその爆破が都市機能や防衛機能をマヒさせるための工作員による破壊活動で、その直後に他国の戦車部隊や空挺部隊がご自分の渡航先の国になだれ込むというケースは、明らかに「外国の武力行使」に該当します。

また、渡航先の国がこれに応戦すれば「戦争」と認定されることになります。


「外国の武力行使」にしても「戦争」と認定されても、保険金の支払いは免責となります。

クレジットカード付帯の海外旅行保険も同様に戦争は補償されずテロ行為は補償される

クレジットカード付帯の海外旅行保険も、販売型の海外旅行保険も補償内容は基本的に同じものです。

そのため、免責事項も当然存在し、前述した戦争や武力行使などは補償の対象外ですが、テロ行為により死亡やケガをした場合などは、クレジットカード付帯の海外旅行保険でも補償されることになります。

海外旅行保険と戦争に対し、気をつけるべきことは

海外旅行保険に加入しても、渡航先で戦争や外国の武力行使などが起これば補償の対象外となります。

一度、戦争が起これば渡航先は大混乱となり、日本へ引き返す飛行機も無くなってしまうおそれがあります。


また、市街戦ともなれば正規軍であっても、反政府ゲリラであっても、民間人だからと言って発砲してこないという補償はどこにもありません。

戦争や変乱が起きそうな地域は避けること

現在、戦争が実際に起きていなくとも、政情不安で小競り合いが頻繁に起こるような地域に渡航することは避けましょう。


政情不安な国に有名な景勝地や歴史的な建造物、珍しい自然があっても、戦争というものは人が起こす愚行です。その場所が戦場になってしまうことも十分に考えられます。

情報収集は外務省の専用ページにて確認を

外務省には「海外安全ホームページ」という、海外の安全情報を伝える専用ページがあります。このページで各国の「危険情報」が更新されています。


○危険情報


この危険情報とは、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域の情報を、治安情勢やその他の危険要因を総合的に判断し、それぞれの国・地域に応じた安全対策の目安を報告するものです。


○安全対策の目安


安全対策の目安となるものは次の4つです。


危険度内容
[レベル1]
十分注意してください。
その国・地域への渡航,
滞在をする場合には危険を避けるために特別な注意が必要です。
[レベル2]
不要不急の渡航は止めてください。
その国・地域への不要不急の渡航は止めるレベルに達しています。
どうしても渡航する場合には、特別な注意を払い、
十分な安全対策をとる必要があります。
[レベル3]
渡航は止めてください。
(渡航中止勧告)
その国・地域への渡航は、どのような目的であれ止めることが求められます。
このレベルになると、現地に滞在している日本人に対して、
退避の可能性やその準備を促すメッセージを含むことがあります。
[レベル4]
退避してください。渡航は止めてください。
(退避勧告)
その国・地域に滞在している方は安全な国・地域へ退避することが要求されます。
この状況では、当然のことながら、どのような目的であれ新たな渡航は
止めるべき段階にあります。このレベルになれば渡航先での
何らかの大規模な武力衝突の危険や、紛争やテロが絶えない地域が該当します。

○注意点


危険情報には拘束力がなく、例えばレベル4の地域へ渡航する場合、空港で止められというような強制力はありません。最終的に危険な地域へ渡航する決断をするのはご自分ということになります。


旅行会社のツアーの場合は、危険情報を参考に当該旅行会社が独自の判断で取りやめたり、旅行を続行したりすることになります。


ツアーに申込んだ客であっても、旅行会社にすべてお任せするのではなく、危険情報を参考にご自分の判断でキャンセルすることも必要です。


旅行のお金よりも、ご自分や同行者の生命・身体を第一に考えましょう。

まとめ:”戦争”と認定されることはよほどのこと

戦争とは国と国との総力戦です。この「戦争」に認定される事態はそう多くはありません。

しかし、最近でもイラク戦争や、シリア内戦など、国土が崩壊する姿をメディア通して我々も見聞きしています。


また、テロは海外旅行保険で補償されるからと言って、テロによる被害が最近報告された地域を旅行することは控えるべきです。


危険がある地域へは、戦争状態はもとよりテロが行われるリスクのある所へも絶対に旅行はしない、当たり前のことですがご自分と同行者の生命を守る最も大切な方法です。

ランキング