更新日:2019/10/30
子どもの学資保険の特約について。入院保障はあったほうがいいの?
学資保険の本来の目的は教育資金を確保することです。入院保障などの特約は、あくまでもオマケにすぎません。ではこの入院保障、本当に学資保険につける必要はあるのでしょうか。それは各自の状況により異なります。必要なのか、そうでないのか。判断するポイントをご紹介します。
目次を使って気になるところから読みましょう!
学資保険の入院保障は必要なのか
多くの学資保険は、貯蓄機能と保障機能を兼ね備えています。
各家庭の状況に合わせて、さまざまなプラン選択ができるのも魅力のひとつです。
学資保険の中には、医療保険のように入院費などが保障されているものもあります。
しかしこの入院保障、本当に必要なのでしょうか。
保険を選ぶときに、本来は不要なプランを付けて保険料が高額になってしまうというケースは少なくありません。
もちろんそれは、学資保険も例外ではないのです。
学資保険は子どもの教育資金を積み立てるためのもの
この大前提を忘れてしまい、医療保障ばかりに目を取られてしまっては本末転倒です。
もしそちらに重きを置くのであれば、あえて学資保険を選ぶ必要はありません。
通常の医療保険に入ったほうがずっと効率がよいといえます。
学資保険の満期額の相場は、200万円程度。
これは、18年という長い年月があれば自力でも貯めることができる額です。
それでも学資保険が人気であるのは、
・満期の額が元本よりも高い
・医療保障などのおまけもついている
という理由からでしょう。
そう、あくまでも医療保障は「おまけ」なのです。
入院保障は特約にあたる
入院費を保障する入院保障もその一つです。
ただし、学資保険において入院保障はあくまでも特約です。
主契約である貯蓄機能がおろそかになれば、特約は意味を持たなくなります。
入院保障の特約は主に入院中の滞在費用に対する保障です。
診療代や手術代がメインではありません。
もちろん医療保障がついているのであれば入院保障とセットになっている場合が多いでしょう。
しかし、これらは学資保険においてはすべて特約になっていることに注意してください。
学資保険に入院特約をつける注意点
むしろつけない方が保険料は安く済みますので、不要であるならシンプルなプランを選ぶようにしましょう。
また、学資保険の入院保障に関しては注意点があります。
子どもの万が一のときに備えた入院費用についてお考えの方は、この注意点をもとに再検討してみてください。
実際、子どもの医療費はそんなにかからない
むしろ大人の方こそがいろいろと病気を抱え、治癒能力も低下していることが多いでしょう。
しかし、それ以上に子どもの医療費が安いとされる理由があります。
子どもの医療費というものは、ほとんどが公的医療保険によってかなり安く抑えられます。
先進医療や検査のために高額な医療費が必要である場合はともかく、通常の治療に関しては公的医療保険(健康保険)で十分対応できるはずです。
そして、もしこの通常の治療が長引いたとしても、長期にわたる高額な医療費は世帯単位で「高額療養費制度」の適用となります。
この制度により、月の医療費は所得による上限額まで抑えることができます。
自治体によって多少の差はありますが、子どもの入院費用は負担ゼロで済む場合も少なくありません。
入院特約をつけると返戻率が下がる
本来は教育資金のために長期間の運用をすることで満期金を用意するわけですが、入院特約を付けた分だけ多くの支払期間や保険料を支払うこととなるためです。
入院保障はもしものときの備えですが、その保障期間は学資保険の満期まで。
その後の保障はありません。
さらに長期的に考えれば、別個で医療保険に加入した方が費用をより安く抑えることができます。
また中には、保障を厚くしたために元本割れとなり、本来の「教育資金確保」という目的を果たすことができなくなる場合もあります。
返戻率というものは主契約に対して付加されるものですので、それ以外の入院特約には適用されません。
仮に9:1で主契約を多めにしていたとしても、学資保険は90%しか運用できません。
大学入学までには大きな差がついてしまうのです。
元本割れが絶対的に悪いとは言えない
目的や捉え方によっては、むしろお得な運用法ともいえるのです。
学資保険と別に医療保険に加入していると思えば悪くはない
学資保険において「満期金の確保こそが最重要課題」と考えているのであれば、元本割れをするわけにはいかないでしょう。
しかしその他にも学資保険に何か求める要素があるのならば、元本割れだから絶対にダメと言い切ることはできません。
学資保険に入院特約を付けるとことを「学資保険と医療保険の両方に加入している」と考えればいかがでしょうか。
万が一、子どもに健康保険適用外の治療が必要になったら?
お住まいの自治体が、子どもの医療費助成に消極的であったなら?
子どもの健康あってこその教育資金です。
だから多くの学資保険は、入院保障などの医療タイプの特約を設けているのですね。
学資保険が元本割れしているということは、満期金が支払い総額よりも少ないということです。
でも支払総額と入院保障費を考えてみれば、少なくともそういう意味で元本割れしていることはまずないでしょう。
つまり「学資保険」と「医療保険」を別で加入した場合と比較すれば、大変お得な方法と言えるのです。
保険とは安心を買うもの
- 小児慢性特定疾病医療費助成制度
- 乳幼児医療費助成制度
などがそれにあたります。
しかしこの助成制度は、決して万全なものとはいえません。
まず先進医療の費用や差額ベッド代は助成対象ではありません。
そしてもちろん、看護のためご両親が仕事を制限せざるを得なくなっても、保障はされません。
治療にかかる費用は膨大なものとなり、とても一般家庭で払える金額ではなくなってしまう場合もあります。
そんなときこそ、保険というものが真価を発揮する場面なのです。
保険というものは「損をしないようにする」ということよりも「自力ではどうにもならないときに救ってもらう」という目的にこそ価値があリます。
それ以外の保険商品は結局のところ、ただの資産運用でしかないのです。
たとえ万に一つであっても、子どもが重大な病気にかかる可能性はゼロではありません。
そんなときに子どもを救えなかったら。
家庭が立ちゆかなくなってしまったら。
医療保障のある保険に加入することが親御さんの心の支えにつながるならば、それはそれで十分に価値のある買い物といえるのです。
学資保険に入院特約をつけた上で、少しでも返戻率をあげたい方へ
でも返戻金はなるべく多く受け取りたい。
そうお考えの方に、少しでも返戻率を上げるポイントをお伝えします。
払込期間を短くする
たとえば、同じ額を10年間で支払った場合と18年かけて支払った場合では、同じ利率で運用したとしても18年後に受け取れる金額は違ってきます。
10年で支払った場合は、保険会社は全額を8年間運用できますよね。
しかし18年かけた場合は、最後の支払日まで総額を運用することはできません。
ですから当然、より短期間で保険料を払い終えた方が返戻率は高くなるのです。
返戻金が同額ならば、もちろん払込総額が低く抑えられるわけです。
実際のとある学資保険の例を挙げます。
契約者:男性30歳
被保険者:お子さま0歳
総受取金額:200万円
これをシミュレーションすると、
保険料払込期間が11歳までの場合
毎月の保険料:14,354円
払込保険料総額:1,894,728 円
受取総額(戻り率):2,000,000円(105.5%)
保険料払込期間が14歳までの場合
毎月の保険料:11,467円
払込保険料総額:1,926,456円
受取総額(戻り率):2,000,000円(103.8%)
保険料払込期間が17歳までの場合
毎月の保険料:9,614円
払込保険料総額:1,961,256円
受取総額(戻り率):2,000,000円(101.9%)
6年の差で、払込総額は6万円以上の違いがあるのです。
払込方法を年払いや一括払いに変更する
保険料の一括払いは「全期前納」とも呼ばれます。
契約後に一括で全額を支払い、それをいったん保険会社が預かリます。
その後毎年決まった期日に、預かり金から保険会社が分割して支払いに充てる形です。
同じ受取金200万円でも、月払いと比較して支払い総額に20万円以上の差が出ることもあリます。
また年払いは月払いよりも手続きの手間が省かれるぶん、保険料の支払い額は抑えられます。
ただし各保険会社のプランや加入者の条件などによって、その差額に違いはあるのでご注意ください。
契約者を女性にする
一般的に女性は男性よりも死亡率が低く長生きであるためです。
たかが数十円ではありますが、18年間も積み重なれば1万円を超えるでしょう。
また、なかなか子どもが生まれるという幸福な時期には想像しにくいかもしれませんが、両親が離婚した場合には一般的に親権を母親が持つことが多いかと思います。
その場合にも、学資保険の名義書き換えなどで揉めることが少なくなります。
まとめ
しかしそれと同時に、保険と言うものは安心を手に入れるための手段でもあるのです。
多くの保険がありますが、それぞれが目的とすることや保障内容は千差万別。
「自分の家庭には何が一番必要なのか?」
それをよく見極め、自分の家庭に最も適した保険を選んでいただきたいと思います。
学資保険の選び方が知りたい方はこちらの記事もご覧ください